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「ではこれで」
そう言ってゼロスが消えたのを見計らってポップが良いのかと聞いた
都佑はゼロスに別行動を促したのだ。
見ず知らずの人だったら余計にだが、気を知れている奴を
近くに居させたほうが余程楽だと言ったポップに都佑が反論したのだ。
“ゼロスは一緒に居た方が恐ろしい”
そう言い切ったのだ。本人を目の前にして。
『じゃマァム、ヒュンケル、またね!!』
そうポップの手がマァム達の肩に置かれ、元の場所に戻る事になった皆に
都佑はお別れを言った。
神殿の奥には先が無く、ヒュンケル達が見た村にも手掛かりが無かったからだ。
ダイの行方も未だ知る事が出来ず、これ以上探しても無駄だろうが
旅を続けてきりが良い所で実家に帰ると言ったことになったのだ。
ポップが帰ってきて、すぐにヒュンケル達を連れて移動し帰ってきた
『おかえり』
「ああ、ただいま。そいじゃ!いくかー!」
おー!そう言った都佑は走って滝になっていた川に向かって飛び降りた
それを見てポップが急いで滝の元に行くも、空を飛んで川下りを始めた都佑を見つけ
笑って追いかけだしたのだった
++++++++++++++++
「えーと、此処が神聖樹の近くでーーっとあっちか!」
私達ポップ&都佑は父上が残した地図を頼りに父上の実家になる地域に向かう為に歩き出した
ゼロスがやってきたことで、色々困ったことには巻き込まれているが…
「どーした?具合でも悪いのか?」
『ううん、なんでもない』
そっか。そう言って都佑の頭を優しく撫でるポップ
その手の大きさが、黒髪が、見たことない人に変わる
違う。知らない。知らないの。
そう感じた胸の痛みに、顔に出さずに首を傾げた
「見ろ!あれがーーーって!?」
『え?何?』
おいおいそう言ったポップが青ざめる
そう、降り立った場所は
「おお!ポップ、それに都佑じゃないか!!どうしたんだこんな所まで」
「デルムリン島…!?」
「ふむ、ダイを探している途中でそんな事が」
今までの事をデルムリン島で暮らしていた
チュウ、クロコダイル、ブラス、ヒムとブラスの家の離れにある
クロコダイルの家に入って今までのことを説明していた
『おかげさまで記憶はある程度思い出したから良いんだけど〜』
「厄介な奴が現れてよ、キルバーンみてぇな不思議な存在で」
ああ、凄く分かる気がする。そう都佑が笑いを堪えているのをみて
クロコダイルが声をあげた
「ポップよ、ではダイはそのゼロスという名の魔族の世界に行っていると?」
『嗚呼それはあり得ないと思う。』
「何?」
『神聖樹の神殿で満月の日に、神聖樹のご加護を受けた者が居ないと
神殿が開かないらしいのよ。私の母と父が出会ったようにね。』
「ではダイがもし別の世界に飛ぶとなれば、神聖樹のご加護を受けた者が別にいるか」
『あるいは私が行って皆を騙してまでして飛ばすしか方法がないって事。
加えて神聖樹に聞いてみたんだけど、どうも私で終ってるらしくて…。』
廃れた場所であるため、これ以上探しても無理だと感じた都佑が
家の中に隠されていた地図を見つけた
「それで辿っていけばここについたって訳。
全く、昔の地図だからどこかと思ってたら、まさかデルムリン島の一部だったって」
「何!?それは真か!ポップ!!」
「そうだよ。それでブラス爺さんに聞きに来たわけだ。なぁ何か知らねぇか?此処に言い伝えのあることとか…」
「そう言われても、ワシも長く生きてはいるが、この何処かに等…」
「あの場所はどうだ?裏の森にある小さな泉の」
それだ!そう言ったポップが案内してくれとヒムに頼んだ
折角来たんだから今日はゆっくりしていけとクロコダインに言われ
日がもうすぐでくれる所だったので落ち着いていくことにした
「それにしても都佑はポップに勝ちたいと思わないのか?」
『おん?』
「ちょ、おっさん!?」
そう言ったポップにクロコダインが「わはは」と上を向いて笑う
「いや、都佑は別世界の魔法が得意だっただろう?
此方の世界の魔法を使ってポップより強くなろうとは思わなかったのかと思ってな。」
『ポップが全部倒してくれると思って、考えた事なかった。』
そう言った都佑はポップの目をみてサラリと答えたことに
見られたポップの顔が首から頭の上まで赤く色が変わっていく
まるでやかんのように頭から蒸気がでそうな勢いで、
照れ隠しにぶつぶつ言い始めたのを機に話を進める
「剣術でもそこまで弱いとは見てなかったが」
『まぁある程度叩き込まれて、た、し…あれ誰に叩き込まれたんだっけ』
薄く金髪の男が出てきた。ガウリィーだ、水色より暗めの色はゼルガディスだろう
だが、それ以外に誰かがいる。ミーネの父親か?いや服装が違うのだ。
誰だ?何故腹を触って笑ってしまう?貴方は?何で?
何で私の名前を嬉しそうに呼ぶのだろう?
「都佑、良い。今はそれで」
『…うん、ごめんね。何処で覚えたか分からないんだ。』
「そうか、すまない変な事を聞いた。」
いいの。そう首を横に振った都佑は
風呂が沸いたとのチュウの声に席を外す事をポップに伝えた
笑って手を振ってドアが閉じる音を聞いて
真顔に変わったポップにクロコダインは成長したなと感じていた
「おっさん、明日俺と都佑、ヒムの三人で行くが、ついて来てくれないか?」
「都佑が暴走するとでもいうのか?」
そう半分冗談で言ったクロコダイルに対して分からねぇと
神妙な顔で俯いたポップを見て、クロコダイルは目付がかわった
「成る程、分かった。俺も行くとしよう。」
「ありがとよ、おっさんが居れば百人力だぜ」
「なははは!ポップ、お前さん以上に頼りになる男もいないぞ」
「ほんと、ありがとよ。最近な、都佑の奴何処か上の空なんだ。」
ポップ、そう言ったクロコダイルに続けて喋る
「ゼロスの野郎には都佑"は"普通の人間だって言われてさ
場合によっては連れて帰るとか宣戦布告されるしよ」
「なに!?それは本当か!!」
「嗚呼、俺は普通だと思ってたけどよ、
あの力を見りゃ普通じゃないって分かるんだが
…何処か上の空になった時だけ、なんだ」
何処にでもいる、優しい女の子に見えた。
ふと夕焼けを見たり、足元にある草花を足を止めて見たり
そう一人で何かを見た時に目を細めてみる時がある
そんな時、戦っていたあの時とは違って、何処にでもいる人間なのだと感じた。
だが、それだけじゃなかった。
「まだ分かんねぇ、分かんねぇけどよ、都佑が何処かに行っちまう気がして、怖いんだ。」
「ポップ、お前」
「戦った時の夢が言ってんだ、これからもっと恐ろしい事が起きるって…」
それは予知夢に近いのかもしれない
本来メルルに相談をしようかとも思ったが、
都佑がミーネとの関係が解消された後、度々見る様になったのだ
都佑は傍にいるし、かと言って不安にさせてゼロスに奪われるのはもっとごめんだ。
そう言ったポップにクロコダイルがふむと声をだす
「多分だが、そのゼロスは都佑を向こうの世界に連れ出す力は無いと考えた。」
「え?」
「それにお前が信じてやらずに誰が信じるというのだ。
お前はずっと前から好いていたのだろう?好きな女子を信じないで
何が男と言うのだ。」
そうだそうだ!そう言ったチュウを横目に、ありがとよとポップが笑って言う
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「ちょっと良いか、都佑」
そうノックしたドアの音を聞いて、都佑はどうぞと声を出した
部屋に入ってきたのはクロコダイルだった
『どうしたの?』
「お前さん、この世界の魔術をそこまで覚えようとしなかったのは
この世界で生きる必要性を無くしていたからではなかったのか?」
そう言われて都佑は動かしていた身体を止めた
それにやはりかと声を出して息を吐いたクロコダイル
「ポップに何も告げずに、自分だけ犠牲になって
勝手に俺達の前から消えようとしたんだろう?」
『…もしそうだとしたら?』
「もしそうしていたら、俺はお前の事を一度は殴っていたな。
…だが、お前は違った。ポップに勇気を与えたじゃないか。」
え?そう止めていた身体がクロコダイルの方を向いた
「お前はそう馬鹿な人間じゃない。俺の前に立った時だって
お前は術を使えたのに剣で挑んできたじゃないか。」
死んだっていい!!どうなったっていい!!
そう言った声を何処か遠くで思い出した
「ヒュンケルの時になってその術を知って驚いたがな」
『甘く見ていたわけじゃないけどね、まだ比重が重かっただけよ』
知っているさそう言いながらクロコダイルが
ベランダの方にやってきて一緒に空を見上げた
「この世界は良い世界だろう?」
『…ええ、とっても。』
「帰りたいのか」
『分からないが今言えることね。前はそうじゃなかったけどね』
「そうか。ポップに愛想ついて帰るかと思ったんだが」
『いやいや、あの黒髪さん勇気もあるけど
よく見るとかっこいいんだから、困ってるのよ。』
この世界に大事な者が多すぎて、
帰りたくてもきっと帰れないんだろうって。
何処かの声が、途切れて聞こえた。
「そうか」
『それに、魔術を高めて自分がポップより
ずば抜けちゃうことこそ、私恐れてるんだと思う。』
「なに?」
『私は誰にも何にも勝らなくて良いんだって。
何だろう、何処かで思ってて、それが何処か分からないのに
そう思ったら心が温かくなるの。』
声がしない。音も聞こえない。
でも、暖かい。あたたかい、温もりが感じる。
『でも今はちょっとだけ、自分の力磨きたいなって思ってる!
私だって成長したんだからね!!』
そう言った都佑にそれなら安心だとクロコダイルが言って笑う
『それに、ポップにはまだ言ってないんだけど』
「おいおい、俺を抜きで聞くのは、いささか申し訳ないぞ」
そうクロコダイルが後ろを向いて言う
「そうそう、俺よかおっさんが良いってか?」
『ちょ、ポップ!?貴方下で遊んでるって』
「ありがとよおっさん」
「嗚呼、何大したことはしていないさ。」
そう言って部屋を後にしたクロコダイルを見て、都佑はそっぽ向いた
最近目合わせてくれねぇじゃねぇかと言う声に更にそっぽを向いた都佑
もう180度いくのではと思う位向いてるが、彼との身長差でそれは叶うことない
寧ろ身長差で向く方向に彼の顔がくるのだ。全く、心臓がいくつあっても足らない。
『っ、』
「何を、言おうとしたんだ?」
淡い時間
誰かに、告げる時間を、思い出した
『ふと、思い出したの、』
「ああ」
『私、誰かにね?夢を伝えてたの』
「誰かに?」
そう、誰か分からない。黒く塗りつぶされていて、見えない
なのに、誰かが何となく分かるし、嬉しそうに笑う自分を見て
温かい気持ちになるのだ
嗚呼、幸せな時間だったのだと。
“だった”のだと。
『私、魔法使いになりたかった』
「っ!!」
『沢山炎や氷を使って、皆を助けるクールな存在になりたかった。
でも、使えなかった。手に出なかった。それを何処か分かってる時間。』
「都佑…」
『まだ何か分からない、でもふと考えてたら思い出したの。
ポップ、貴方を思い出してたらふとね?』
それは昔の記憶、きっと都佑が“普通の時間”を過ごしていた貴重な時間だ。
それを知った時、お前は…
「そうか、それなら魔法使いになりゃよかったのにってか、今も魔法使いじゃね?」
『私はいいよ』
なんで?なんて何となく分かった。
何時でも元の世界に帰れるような立ち位置に居たのだ
彼女は、無意識に、帰りたがっていたのだ。
「…帰る、のか?」
『ううん、分からない』
「っ、ダイはどうすんだよ」
『ポップ、貴方が』
「俺は!!お前が、お前がいねぇと…だめなんだよ、」
知ってるそう言った都佑の目が遠くをみていた
触れた時間が少なくて、遠くに行ったみたいに見えた
『私も貴方と居たい』
「なら!!」
『私ミーネとわかれたいの。』
その言葉にポップが目を開いた
ーなぁミーネ、お前さんと都佑が分かれるってどういう状態になる?
ーそうね〜前に捕まっていたのは私の一部分だったからよかったけど
「おめぇ、それ、本気で言ってんのか?」
『…ポップ?』
ーきっといつかできるかもしれないわね、だって
「っ、」
『ポップ?ねぇどうしたの?』
急に抱きしめたポップに都佑が困惑する
ポップは目を閉じてミーネが言っていた事を思い出した
ーだって都佑は、私が呼んだ普通の人間なんだから