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『へー』
「ど、どう?何か痛まない?大丈夫?」
そう恐る恐る聞くマァムに全くと言って首を振る都佑に
マァムだけでなく一同が安堵し、肩の荷を下ろした
『それよりも何でこんな綺麗な笑顔出来るかなぁー私そっちの方が凄いと思う。』
「可愛くしようとするとぶっさいくになるもんな?」
軽く鉄拳を入れて、話を進める都佑に
マァムに似てきたなとクロコダイルが心の中で思って言わずに置いた。
『でも、嬉しそう。ミーネも、嬉しそうに笑えるじゃない。』
「記憶はないの?」
『全く…ないわけでもないんだけどさ』
『夢みたいなうっすらした記憶なの。
それが現実って言われた方が私疑問で首傾げちゃう位よ?』
そう笑って答える都佑に、マァムは「そう」と答えた
『へーそれならこうやったらいいのか…あれ?』
そう左に流していた三つ編みをほどき、後ろに編もうとする所で止まる都佑に
左右に腰をかけていたポップとメルルが声をあげた
「どうしました?」
『…この髪の毛、めっちゃ短い!!!』
私の今の髪の毛じゃむりじゃーんそう笑って言う都佑に
都佑以外がずっこけた
「急に何気付いたと思っただろ!!」
『えへへ〜ねぇマァム!髪の毛切ってくれない?私多分髪の毛消し去りそうで…』
器用なようで不器用な都佑のことを
前から知っているマァムは「任せて!」と言って
今から髪の毛を切りたそうな都佑に
マァムはハサミを見つけにと席を外した
「そんな綺麗な髪の毛を切ってしまうんですか…!?」
『いーの。きっと、この長さは私の気分じゃないし、それに』
きっと、本当の私になりたいんだと思う。
そう言った都佑の目は、写真で見た純粋な目に見えた。
「…これ位でどうかしら?」
『おぉー!おおーー!!』
写真のようにするために、背中にくっつきそうだった
髪の毛の量を脇下位まで切り、前髪も眉毛下位に整えた
マァム天才!凄い!と褒める都佑に、マァムも喜んでいた。
「にしても、髪の毛切るだけでこんなに変わるとはなー」
『ん?どしたの?』
いや、なんでも。そう照れたポップに都佑は首をこてんと左に傾けた
「そのバンダナどうすんだよ」
『ああ、これは〜こーして、ゴムにくっつけたらほら!
リボンみたいに見えるでしょー!』
そう器用に団子を作っていたゴムに
バンダナをひっかけてリボンを作った。
「都佑、これからきっと大事な話するけど、無理しなくていいからね?」
『いいよ。きっと大丈夫。』
そう笑った都佑に、ほっとしたマァムが指揮をとった
「成る程、あの洞穴と宝石のおかげで
一時的に都佑の成長を止めていたと」
都佑がどうしてこの世界に来たのか、
そしてミーネがどうして都佑を経由して
力を封印しなければいけなくなったのか
深い説明はされていなかったが
何をしていたかの記載を読み解きながら話をすすめていた
「ええ、それで都佑の中にミーネを入れて
力を封じていた訳。」
「そんで、その力を奪いたくて魔王バーンが狙ってつついたと」
「そして私がポップやダイと出会う1か月位前に出会ったって訳。」
『別世界の力が使えたのは、バーンがつついたことで
ミーネの能力がすこし現れてたからなんだね〜』
「使えば使う程、蓋がズレていって、完全に出て来ちゃう時には
都佑が前に唱えた呪文で良かったらしいのよ。」
五つの光の中、銀色の柱を立てた少女
その力はミーネが持っていた本来の力だったということだ
「魔王バーンの手の中に居たのは、
ミーネと都佑貴方の感情を取ってたと思うわ。
だって感情をもし全部取られていたら私と初めて会った時
もっと酷い状態だったと思うのよ。」
まだコミュニケーションが取れていた状態で
何処から来たのか分からない時点で取れていたのか
定かではない気がするが
「取り戻してから、ミーネが殆ど力を使って
都佑が感情的に走り出したり〜って感じかしら。
呪文の効果は次の呪文まで続くらしくて、
時間が過ぎていく中でミーネとして外に出てたって感じ…だと思うわ。」
「で、問題のミーネと都佑を分けるって出来るのか?」
「問題はそこね。この本に記されている情報だと、
18歳になった満月の夜に聖なるご加護を受けないと
大いなる災いが起きるだろうって。」
『あれ?ミーネの誕生日もうとっくの前に終わった気が』
その声で皆の声が一つになった
思わず耳を塞いだ都佑だったが
すぐに本当かというクロコダイルの声に耳から手を外して答えた
「大いなる災いってなんだよ!!」
「分かんないわよ!でも何かある筈だけど、今はこれ位ね。」
『…まさか私みたいにダイを誰かの身体に封印したなんてことねぇよな?』
そう考える都佑に、まさかーと思った一同だが、やれなくはない情報で固まる。
「な、なぁ都佑、おめぇーさ、蓋されてた時どんな感じだったんだ?
こー何か身体の奥にあるとか感じたか?」
『まぁ、感じなくも無かったけど、確実に何か得体のしれない者がいる!
って感じは何にもなかったかな。呪文を放った後も気付かなかった位よ?
多分パニックにならないように呪文で記憶操作されているんだと思うわ。』
その解答にポップは「だよなー」と答えて身体を椅子の背もたれに乗せた
「何にせよ、別の世界が絡んでいるとは些か厄介だな。」
『私が居た所とまた違ってそうだからね』
「え?何で分かるの?」
『ああ、簡単な話よ。ほら、私が前に着ていた筈の衣装あるでしょ?
それと此間から見かけてないゼロスの衣装が大体こんな感じだったかな?』
そう白い紙にペンをスラスラと滑らせる
絵が上手かったんだなーとポップに褒められつつ
描いた覚えないけどねと答えた都佑が話を進めた
『この服装は恐らく魔法関係の服装。普通ローブとか長くしてもさ
前も長くしないと防寒にならないし、旅をする格好でも
私の衣装は余所行きの衣装でしょ?』
時系列的に考えても、パプニカ王国や何処かの国の衣装にしては
服の素材が違う気がした。まぁ色合いとか繊維とか?
『一番違うなって思ったのは、肌の色ね』
「肌?」
『国が変われば衣装も変わる。
でも国が近いと衣装は似たようなものになるの。
でもゼロスと私、ミーネの衣装全員全く違う姿になってるわ。』
単に魔族とは言えど、木を隠すなら森の中。
人の中に紛れ込めるなら、人と同じような衣装を姿をするべきだ。
そう考えたら、ゼロスと都佑の衣装には国が違うのは分かった。
「だが、北と南の国とか範囲が広いこともあるんじゃないのか?」
『その違いが肌って訳。いい?暑い所は肌を露出しやすいの。
私の衣装は肌を出してるのに黒くない。
室内で生活していた可能性が高い上に、王族なら多少の紋章や宝石が
どこかにあるべきなの。』
写真で確認した都佑の姿は、紺色のワンピース姿で、凝った衣装にみえるが
宝石があるとは言い切れなかった
『ゼロスの住んでいた地域と例えかけ離れていたとしても
そもそも魔法を扱う者がグローブを付けていないとか凄いわ。』
何もしたことがなさそうな手の白さを知る写真も残されていた
それを見る限り、農家でも魔法使いでも王族でもない。
「成る程、だから世界が違うと言えるのか。」
『全く何もしたことがなさそうな姿で、
かつこんな純粋な目で誰かを見れる
…余程良い暮らしをしていたことが分かるわ。』
「都佑、貴方って見る目があったのね…」
言い訳によっては私は怒った方がいいのかな?
そう手を握った都佑に、マァムが否定する
「とにかく都佑の世界から生贄としてダイが封印される可能性は?」
『なくはないと思う。でもミーネの祖先が
竜の騎士じゃないのは分かるけど
一体何の世界なのか私は見当もつかないわ。』
「本の内容は?」
「これと言って良い情報は…」
とにかく今日は夜遅い、また明日にしよう。
そう言って会議は終わって、食事に取り掛かろうとした
都佑はマァムの服を掴み、待ってと止めた
「何?都佑、どうかしたの?」
『あのー私も、料理したくて…』
「あら!じゃあ手伝って欲しい事があるの!」
『ほんと!あのね〜私も作りたいレシピ思い出したんだー!』
本に記していた内容かしら?
えー!そんなレシピ本あったの!?
そうマァムと都佑がワイワイと話しながら姿を消したリビングで
ポップとクロコダイルが遠くで笑ってみていた
「何はともあれ、良かったじゃないか。都佑も調子がよさそうだし。」
「ああ、にしても何百年も前に過ごしていたミーネと都佑に
よくあの部屋が維持されて、本の内容も俺達の知ってる文字が書かれていたよな?」
それに目を付けたポップにクロコダイルも不思議だと感じていたことで頷いた
「そうだな、少なくとも大昔ではないと見た。
つい最近まで使って居た可能性もあるんじゃないのか?」
「全く、俺達また恐ろしいことに足突っ込んでんじゃねぇーのか?」
「なははは!!それはポップ、前からではないのか?」
なっ!それどういうことだよー!!そう声を上げるポップに
そこ手伝ってーとマァムの声に、ポップが走り出した
「…遠くから見れば、昔と全く変わっていないじゃないか。都佑よ」
マァムとポップが軽く揉めてる中、都佑が嬉しそうに笑っている姿をみて
クロコダイルは微笑み、目を閉じた
写真で見た、ミーネとの姿を思い出して