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「そいじゃ、私は実家に帰って何か聞いてくるわ。」
「おう!頼んだぜー!また連絡するわ。」
『私達は一旦マトリフ師匠の所に帰ろうかー!』
本を元ある場所に片付けた一行は、二手にまた分かれることになった
マァムとメルルは各々の実家に帰り、神聖樹の噂を聞きまわるそうだ。
情報が集められそうになければ姫レオナの所に行くらしい。
ポップと都佑はマトリフ師匠の所に帰り、現状の説明と同時に
禁忌呪文で何かないかと調べに向かうらしい
それを戦闘か何か起こりそうならいつでも向かおうと
クロコダイルに送られ、一行は同時に分かれた
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「なんだ!?」
「ポップ!それに都佑じゃないか!!お主らどうして」
「詳しい話はこれから言うぜ、師匠ー」
「…そうか、都佑、お前は別世界の子だったのか。」
『まだ元の世界の記憶は思い出せないけどね。
多分思い出すと厄介な事になりそうな気がしてセーブしてる。』
「それがいい。そういう勘は大事にしろ。」
セーブできるもの?そうニセ勇者一行がぼそぼそ話すところに
マトリフがカツを入れた
「俺の事は思い出しているのか?」
『ええ!ご心配をおかけしました。』
昔から礼儀正しそうな子だとは思っていたがと言うマトリフに
ポップがまだ全部思い出してねぇだろ。と記憶が戻ったかのように
都佑を見るので訂正を入れさせた。
「ああ、ポップが要らん事してないか?」
「ちょ!?」
『ええ、それどころかとっても男らしくて、
何時も助けて貰って困ってます。』
もう少し力強ければ、何か役に立つのになーと言いながら
腕を組み縦にうなづく都佑に、ポップが明後日の方向をむいた
「それで、禁忌の呪文か。」
「ああ、何か知ってねぇか?」
「色々あり過ぎて困るが…神聖樹のご加護というのなら話は別だ。
おい、あの棚の白い本を取ってくれ。」
そう勇者一行の一人に指示を出すマトリフに、部屋の中を
ぶつぶつと言いながら漁りだした。
暫くアイテムを探していることに気付いた都佑だったが、
気付いた時にはマトリフが探していた物が手に入っていた
「ほれ、これが昔使っていた杖じゃ。ミーネと言ったかの」
『えぇ!?え!?何!?なんで!?』
「正確には親父さんから受け取っておったのだ。
ミーネではない、優しく真っすぐな子が来たら
時が満ちた時に渡してくれとな。」
ほれ、そう言われて手にした武器に都佑とポップが目を開いた
「こここれって!!」
前にロン・ベルクから受け取った武器の色違いだった
しかもこっちは金に近い色で赤い宝玉が施されており
持っていた武器を見てマトリフや見ていたニセ勇者たちも驚き目を開く
『…そう。ミーネ、きっと貴方もこの世界で歩くべきなのよ。』
「都佑、おめぇ」
『マトリフさん、私ね、ミーネに会って沢山話したいの!』
「…それがたとえ、俺やポップ達が嫌がってもか?」
深く頷いた都佑の目に一切の曇りがない事を知り
老いぼれをこき使う奴はポップとお前さん位で良いわと言って奥の部屋に行くマトリフに
ついてこいと言われ、都佑とポップが後を追った
「ここは」
「昔俺にも師匠が居たっつたろ、あれの部屋だ。
地下にしてくれと言われてな、
都佑お前さんがその衣装を着ているから此処を開ける。」
『私が?』
「ああ、それは神聖樹の加護を受ける者の正装じゃ。
お前さんの中に居るミーネのものであり、今のお前さんが
着て良い代物でもあるわ。そう怯えなさんな。」
一瞬私が着て良いものかと不安を見せたが
マトリフは何でもお見通しらしい。
くすりと笑った後、都佑は開けるぞと言ったマトリフに
大きな声で返事を返した。
「わしも手で数える位しか入っとらんからどこに何があるか分からん。」
「へぇ〜こりゃ全部魔導書か!?すげぇー!」
「これ!勝手に触ろうとすんじゃねぇ!!
ったくそこら辺もっと成長しとるかと思っておったが、
ちーっとも成長しとらんじゃねぇか。」
そういう印象を見せて、安心させたいのかもしれない。
そう思っていながらも都佑はポップとマトリフの師弟コンビを
軽い音楽として部屋の中をまじまじと見ていた
正面に椅子と横に長い机、そして前には地図と
いくつものメモを張り巡らせた資料か何かだった。
内容は詳しく分からないが、何かを探していそうな感じで
左右に何かの紋章と思われる記述と、
「こ、これダイの紋章じゃ!!」
竜の紋章まで見つかった
「…あやつ、なんて恐ろしいことを」
「師匠この文字分かるのか!?」
「古代文字に近いが、都佑お前さん今なら読めるんじゃねぇのか?」
『え?そんなまさか…読めるわ。』
そう言われてずっこけるポップに都佑は苦笑いで
頭をぼりぼりかきながらも何々と声を出して読み上げた
『大いなる精霊の加護の元、厄災を撃ち滅ぼす為に
それまで厄災なりかねぬ力を封じ込める。』
「お前さんが受けた呪文の話じゃな」
「師匠!!」
「都佑、お前さん、一体何処まで人に話せる?」
何を、そう両手を広げて困るポップを横目に都佑はマトリフの顔を見た
「記憶を失った?いいや嘘だな。
都佑、お前記憶を全部知っているだろ。」
『っ!!』
「…え?」
「此処に連れて来たのは、あくまでも暴走しないようにだ。
ミーネが出てくる可能性も考慮して
此処には一度だけ封じる呪文が部屋中に記されている。
大丈夫だ、正直に言うなら今言え。」
そう言ったマトリフに、都佑はくすりと笑った
困ったように、写真で見た、笑顔にそっくりで
『そうだよ、覚えてる。全く〜マトリフ師匠なら
きっととぼけてくれると思ってたんだけどな〜』
「な、ど、どういうことだよ!!」
「都佑は最後に言ったダイの住んでいた島で
記憶を全て取り戻したっつたんだよ。」
『ごめんね、ポップ。言うタイミング何処か着地点困っちゃっててー』
そう笑う都佑にポップがずっこける
何度もずっこけさせて申し訳ないという都佑だが
ポップがそんなことどうでもいいと言い切った
「な、何か起こるんじゃねぇのか!?」
『一応ザワザワした感じはあるけど、
ほらあの厄災って言っても18歳までって記されてたでしょ?』
そう数日前に見つけた本の内容を急に持ち出されて
ポップは何時の記憶かと思い出しつつ戸惑いつつ答える
『もう既に力の加護自体は引き継がれていた。
そして、引き継がれた後、異常が起きたから、私が封印の蓋になっていた。』
「…ミーネは?」
『多分中にいる。でも出る方法が分からなさそうなの。
私だって今の記憶と昔の記憶と混同しちゃってて困ってるし
それに元の世界に居たって言っても記憶曖昧だからさ…』
全部を思い出したと言っても、内容による。
元の世界から来たきっかけ自体は知らないらしく、
全部思い出したからと公に言うべきではないと悟ったらしい。
その勘は大事にしろ。そうマトリフが言ったのだ。
『まぁ魔法はミーネが体内にいる状態なら使えるから!』
「出てったらどう、なるんだ?」
『きっと何も出来ない。だって私はミーネとも貴方とも違う世界の人間だもの。』
「下手すりゃ元の世界に強制的に戻される可能性もあるな。」
そうマトリフが言った事に、都佑が名前を強く呼んだ
最終的に分かることじゃねぇかと言って
「お前さんそこまで言わないで帰ろうって言うなら
それこそポップが可哀想じゃねぇか?」
『それは…でも』
「成る程、確定しない事は言わねぇってか?
随分と甘く見られているもんだな!」
ポップ、そう困る都佑にポップがやめてくれと言った。
「すまん、ちょっと外でてく」
『ポップ!!』
そう声を出すも、足が動かない
『あれ、おかしいな?何時もなら、動いたのに…』
「…不器用な娘なこって。」
肩を叩いてマトリフはポップを追いかけるように部屋を出た
その後、都佑は膝をついて頭を抱えた
どうして?どうしてこんなにも悪い事を言ってしまうのだろうか?
おちゃらけて、人を突き放してでも守ろうとするポップとは違って
私は独りで抱えて、閉じこもって、
どうしようもなくなって皆に迷惑をかけている。
『…ミーネ、私ね、それでも魔法使いに憧れた。
だから私貴方の蓋になったの。』
ー都佑?将来何になりたいの?
そう温かい手を握り返して答えた
ー都佑ね?魔法使いになりたいの!!
パパとママを、沢山笑わせる位の!!
そう言って、火を扱う処かパパやママの間に入って
仲を裂いた記憶が滲み溢れてくる
嗚呼、認めたくないのだ。
認めたくなくて、逃げた。
いや逃げていなかった。
そうしなければいけなかった。
だから認めたくないのか。
『魔法使いに、成りたいって思わなかったら』
今は仲良く暮らしていたのかな?
そうか細い声で、呟いた
部屋の中は、酷い位静かだった。
どうせなら煩い位音があふれていてほしかった。
そうしたら、こんな苦しい気持ちだって気付かなかったのに。
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『…これが解き方か』
あれから少しして調べる方向にベクトルを変えた
ポップを追いかけて説得させるよりも、私は知識を得て
彼らの迷惑を少しでも削ぐ方に徹した方が良いと思ったからだ。
とにかく自分で調べられる内容は揃える。
幸いなことにミーネが体内に居ることで
ある程度の内容が手に取る様にわかる。
『暁の夜に竜の光が天を貫く時、
我が力共に大いなる災いを打ち破らん…ねぇ。』
丁度魔王バーンに打ち破った時のことだ。
だが、それの代償を書いていない。
どこ探してもない。
『私とミーネが離れる呪文は多分これだな…ねぇミーネ』
出れるよ。そう言って胸をさすった
きっとこれの通りに行けば、私とミーネは分裂する。
ミーネは最大限の力を発揮できるし、私は見守ることしかできないだろう。
それでも、きっといい。
いや、そうしなければいけない気がした。
『夢は、夢であるべきだし…もう、充分な位みたもんね?』
魔法を目の前で見て、自分で出せて、嬉しくて、
敵と戦って、勝って、多くの人に賞賛されて、
笑って、前を向いて、撃たれて、
痛くて、いたくて、居たくて…
『私だって、居たいよ…痛い、』
そう長く居なかった筈だ。
写真でみた感じだと、恐らくだが
ミーネと分かれていた時は一週間もないだろう。
分裂して大きな力を使っても
私が居なくなる可能性も高い。
そうしたら?私は?ポップは?
というか、ポップは一体どっちに恋をした?
『(何考えた、今)』
ミーネが好きなら、私は元の世界に帰ればいいのに。なんて
思いたくないこと、望んでしまった。
『(ダメ…でも)』
いつも手に取っては消えた温もり
きっとこの手は悪魔の手で、皆を悪い事に導いてしまうのだと。
ミーネが聖なる力を持つなら?私は悪魔でも充分あり得るのでは?
だからゼロスは私を見て笑った?
魔族の仲間に入れようと?
いいやそれはない。そんなことあってはいけない。
だってゼロスが居た世界にミーネの母がいたのだ。
私は、私は…私は違うのだ。
私は、小さな町の小さな家の一人娘だったから。
『ダメ、気を強く持たなきゃ。』
首を横に振って前を向いた。
そう、そうだよ。何が悪魔だ何が魔王だ。
私は私なのだ、間違ったら正していけばいい。
私は、人間だから、ミーネを抱きしめることが出来た。
ああでも、羨ましいと思ってしまうのだ。
なんでこの世界に産まれたのがミーネなんだろう?って