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あわいゆめ


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夢の微睡







あわいゆめ



Sub Title

「都佑は両親の事を妙に多く話すの。蓋になる時には
2人ともの記憶を共有することを私言い忘れててね?
最初の方にお互いを触れた時に、強く入ってきたの。」

ーねぇ、ママ、きっとこれが終わったら、また笑ってくれるよね。

「母を求める子の気持ちが、思いが…」

「なら、都佑はずっと元の世界に帰りたいって?」

「いや、それは難しいかも。」

「え?」

「都佑の記憶がもし正しければ、あの子帰ったら死ぬつもりよ。」

ー笑ってくれなければ、私は、別に生きている意味、ないから。

そう黒く目の底が光ったのを、ミーネは一番恐れていた。
都佑の暮らしていた環境が、酷い所だったと、感じていたのは
なにもミーネだけではなかった

「そうでしょうね、あの子はかなり自分で溜め込むタイプですから。」

「先生?気付いていたんですか?」

「ええ、何人の弟子を持って育てていたとお思いです?ポップ。
都佑さんは特に、自分のミスを深く追い込む悪い癖があります。
それもミスを大きく広げることに気付かないという質が悪い所まで。」

「だから私は記憶を消したの。
だって、あんな記憶をずっと維持して生き続けていくだなんて
そんなのあんまりよ…あんまりなのよ」

「ミーネ、」

そう泣きそうな声で首を横に振るミーネに、マァムが寄り添う
ここまでして感情を露わにしたミーネは初めてだ。

「この世界に居る時位は、ずっと笑って元気に過ごしてほしかった。」

「力を抑えるとは、都佑さんの感情をこれ以上放置しておきたくなかった。」

「ええ、でもあの子が望んだ。もう、大丈夫だって、もう戦えるんだって。」

「でもそんな親が酷い事をする訳」

「マァムさん、人間は良い親に恵まれて過ごす人が全員ではないんです。」

そう首を横に残念そうに振るアバンに、そんなの嘘よ!と言ってマァムが離れて行った

「無理もないわ、あんな優しい環境に恵まれて過ごしたんだもの。
私だって環境良かった方だし、だからこそ放って置けなかった。」

「ミーネ、お前、都佑が力を持ってる事全部見抜いて連れて来たのか?」

「いいや、連れて来たのはどちらかと言うと父上の方よ。
私は触れてから気付いただけだし、あの子も私を見て思ってた。」

疑問と、疑惑と、ほんの少しだけあった、希望の光を。
本当は見て欲しいそれだけでよかったのよ。
逃げて逃げて、追いかけてもらいたかった。
でも、離れていくだけで、誰も見てくれなくて、傍にも居なくて。

彼女の穴が大きく広がった時は既に遅かった

「都佑は優しい子よ、それでも笑って受け止めようともがいてる。
だから私も力になりたい。あの子は頑張って前を向ける力がある。
そうじゃないと、アバン先生だって男二人も連れて戦わせないでしょ?」

「おや、見抜いていましたか。」

「勿論、都佑が視覚以外に関して臆病で動くことが鈍いってこと位
私だって分かってるわよ。ま、そこの二人は分からなくてもいいけど?」

何を?そう腹を立てたポップにミーネが笑って傍を離れた
マァムったら〜そう言って追いかけるミーネの姿を見て、ヒュンケルはぼやく

「ポップ、都佑と戦った時、一瞬だけビビった時があったの、覚えているか?」

「あぁ!?あー、まぁ、確かに、ヒュンケルが都佑の身体を封じた時だったよな?」

「嗚呼、あの時胴体に蹴りを入れられて正直あえて隙を狙っていると思っていたが
計算されていないことにすぐ気づき、俺はちょっとなまぬるいと思っていた。」

だが、あの瞬間背中から大きな力、闘気が芽生えた
それは例えて言うなら、


「大きな羽、みてぇな」

「妖精の羽根に近いものを見ましたねぇ、
僕が見た中でもあんなに具現化できる人は今まで見た事がありません。」

「それを見た瞬間、キレが今までより良くなり
俺達と互角に動ける程まで力も上がった。
それだけじゃない、洞察力も、身体のレベルが一気に跳ね上がった。」

正直、アレをずっと維持されたら本気で武器を構える所だった。
そう困ったように言ったヒュンケルに、ポップがほーと声を上げた

「ヒュンケルがそこまで言うってこた、余程だな〜
ま、そんな俺も本当は焦ってたがな。
正直アレ以上続いてたらメラゾーマあたりをぶっ放してたよ」

月明りに紛れて見えた、おぞましい獣
その闘気と目力に、正直この先恐ろしい子に育たないかと
心配になりつつある兄弟子たちであったが、
そんな当の本人は兄弟子たちの心配をつゆ知らず。

先に寝ておきましょうと言われたメルルと一緒に目を閉じて眠りに入っていた。


++++++++++++++++

「都佑〜こっちおいで?」

温かい、陽だまりの中、空には雲一つない青が
ペンキで塗りたくった位に色が綺麗に塗られていた。

目の前には、黒髪の女性が私の名前を呼んでいた
背丈に近い草をかきわけつつ、軽い身体を跳ねさせ
女性の隣により、太ももに身体を預けた

良い子ね、そう頭を優しく撫でてくれるその手が
大きくて、どこか温かい感情を与えてくれた

「これはね、四葉のクローバーっていうの。
こっちはシロツメクサの花冠よ。作ったから貴方にあげるわ。」

綺麗な白い花と紫の花が入り混じる
緑の枝には四葉と三つ葉が混ぜ合わさった綺麗な丸い花冠
冠が頭に乗った瞬間、
優しい気持ちになった気がする。

お礼を言う前に、女性から声がかかる

「ここに一つ葉と七つ葉があるわ。」

都佑?貴方にピッタリな花言葉よ。
意味はねーそう言った声が濁る。

何?一体、貴方は何を言っているの?
大きな風が巻き起こり、ふわりとシャボン玉の匂いが消える
急に目の前が緑色の花畑が消えてなくなった

地面は、淡い緑色の床に、黒髪の女性が私を抱きしめてくれていた
ぐずぐずと音がする、ああ、なんだろう?この感じ、私は知っている。

私は、私は知っているんだ。
心の奥が、警告を警戒に鳴らしている。


「ごめんね、ごめん、許して…」

抱きしめてくれた身体が、冷えていく。
ああ、ちがう、そうしたかったんじゃない。
これは、私にはぴったりではない。

受け取れない。
こんな、花言葉、花冠。
私には受け取れる資格なんて、はなっからない。


「都佑、ごめんね」


目の奥がゆらりと落ちる


ふわりと浮かんだ身体に意識をゆだねた。
いや、委ねるべきではない。
そう気を切り替えた

意識をするんだ、強く、強く。
貴方が、笑って、笑って私と過ごしてくれた
あの時間が、どれ程私の心を生かしているのか。

私は、お礼を言わなければいけないのだ。


届いて、どうか、私は貴方に交わした約束を
今、果たそうと、懸命にあがいているのだから。


++++++++++++++++

突如大きな音がした、早朝5時半
その音にポップやマァム達が布団から飛び出した

「何事!?」

「いや、わかんねぇ!だが都佑がいねぇ!!」

「まずい!離れすぎて記憶戻しちゃった?!」

「嘘だろ!?そんなことしたらこの世が…!?」

空から光が零れ落ちて来た
それは、暖かく、どこか

「あれ、なんだろ、なんで?」

マァムの目から涙が急に零れ落ちた
それにポップが大丈夫か?と言うも、
マァムに触れたからか
あるいは光に触れたのが原因か、ポップも目から涙があふれて来た

「…都佑、その言葉は、貴方に似合ってるのよ。」

そう手を上げたミーネの方向を見るポップ達
その手の先には、嬉しそうに、涙を流して笑う都佑が飛んでいた
大きく妖精のような羽を生やして、花冠を、黒髪の女性から渡されていた

頬に触れた光に包まれていた手が都佑の頬に触れる
泣いている筈なのに、嬉しそうに笑う都佑に、涙があふれて止まらない
ポップはぐっと腕で涙を拭い去った

「これは、なんだ?だれだ、この女は」

「都佑の記憶よ、消しても忘れても、何度でも思い出しちゃう記憶。」

「何!?」

「都佑が魔法使いになりたかった、理由よ。」

綺麗な白と紫の花冠を両手で掴んで離さない。
ただ嬉しそうに、ただ泣いて笑っている。
女性もまた、嬉しそうに笑っていた。


「都佑、おかえり」

『…ただいま!ね!紹介するの!私の!!おかあ、さ…ん?』

今にでも消えそうな光に嫌だと声が震える
いなくならないで、そう言った感情がダイレクトに
ポップ達の心に響く

『いやだ、ゆめ、ゆめだよ、ねぇ』

首を横に振る女性に都佑もまた首を振った
嬉しそうに笑って、都佑の頬にキスを落として。

『大事に、するね?待ってて、ね?…ね?』

そう笑って返した都佑に、女性は嬉しそうに笑って頷いた。
そして消えていなくなり、都佑は地面を見た
落ちそうになった花冠を手で軽く握りしめて。

「都佑、それ…」

『ああ、これ?花冠だよ。作ってくれたの、なんで思い出したんだろうね?』

「(…私の力が増幅にされたか、長く蓋をしていた反動が此処出来たのか。)」

そう握った手に力が入るミーネ

『あのね?マァム、私の世界では花言葉なんて可愛いものがあるの。』

花には意味がある。それは、優しい気持ちにもなれる。

「ええ、なんて意味なの?」

『“約束”って意味だよ。』

私は、貴方に約束をした。
魔法使いになって、貴方に優しい気持ちになるように。
でも、私には魔法使いにならなくてもよかった。

最初から、貴方の魔法使いだったんだ。
私は、貴方に笑顔を見せる。それが一番の魔法だったんだって。

「良い言葉ね」

「あら?他にもあったんじゃなかったっけ〜?」

『ちょ、ミーネ!?』

ねぇ、もし、帰って貴方がまだ、私を見てくれるのなら
私こそ、貴方にクローバーを送りたいと思うの。
そうね、もし貴方にクローバーを送るとしたら…
三つ葉を送りたいなって。ああ出来るなら七つ葉も送り返したいなぁって。









Afterword



シロツメクサ(白)の花言葉
「私を思って」「約束」

シロツメクサ(紫)の花言葉
「勤勉」「実直」「豊かな愛」

一つ葉
「困難に打ち勝つ」「始まり」「開拓」「初恋」

三つ葉
「愛」「希望」「信頼」

七つ葉
「無限の幸福」



































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