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きゅうけい


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夢の微睡







きゅうけい



Sub Title

アメリアたちが向かった後
都佑達は数日間人間界の方で休息をとっていた

都佑はあの時の記憶を一切ないと言って首を横に振っていた
何か悪い事をしたのかと困っていた顔に、ミーネがシャキッとしなさいと
勢いよくポップの頭を叩いた

いってぇな!と怒鳴るポップに都佑はきょとんとしていたが
すぐに噴き出すように笑い出した

その笑顔に、釣られてミーネ達も笑った

「(そうよ、貴方はそうやって笑っていたらいいの。)」

私達神聖樹の呪いが、貴方を蝕んではいけないのだから。




昔、父が寂しそうに笑って言っていたのを思い出した
優しい父は、ただ鍛錬をしているように見えたが
何処か赤い羽根を使って自由に動いていた

ーミーネ、何時か貴方も一緒に戦うかもしれない。だから教えておくわ。

私の黄色のバンダナを、
そう言っておでこの上にリボンを作ってくれた
優しい、優しい時間。


ーミーネ、色には意味があるの。色だけじゃない、存在する全てに、意味があるのよ。

だから、貴方にも、生きている意味がある。
そう言った母上の名前を呼びながら、目が覚めた午前3時



「…あれから一日しか経ってないのか。」

いや下手したら一日も経ってないかもしれない。
嘘かもしれない。だって分からないのだ、一瞬の様な気がして
今夢をみていて、次の瞬間戻るかもしれない。

それ程、濃厚だった、都佑の暴走した時間。
そして、赤い羽根を羽ばたかせた父の姿

それは、呪い。神聖樹の加護を受け続けた、呪い。

芽生えたら、もう戻れなくなる。

次の継承者が決まれば、もう長くはーーー


「っ!なんで、?ねぇ…なんで?私じゃないの?」

都佑は普通の女の子だ、
ちょっと朝起きるのが苦手で、服を逆に着ていた時は
流石に恥ずかしくて赤面していた。

都佑は普通の女の子だ、
髪の毛を編んでそこら辺の森で花を愛でる
優して、ただ、暖かい。

傍に居れば、温もりを与えてくれる、忘れさせてくれる。


「…思い出して、お願い。いや考えなきゃ」

都佑が笑っていられたら、それでいい。
きっとどうなっても

「もしかして、都佑貴方…馬鹿ね、ほんとそれで出来たのなら。」

自分の命がどうなってもいいから、この人達を救って欲しい。
そう願った強い感情が、触れていた神聖樹の加護を強く反応させた
そして、とてつもない速度で増幅させた力が、暴走した。

つまり、感情を高ぶらせなければ、こんなことは起きないという事。


「…でも、まだ3つ塔がある。1つはまだ良いし、もう一つも
都佑をなるべく連れて行かないようにすれば、」

だがきっと彼女は私を連れて行けと言うだろう。
暴走した記憶がない以上、ポップ達とも話をした結果
何も言わないでおこうという話になった。

聞かれても、勘づかれても、きっと怒るかもしれない。
それでも、貴方が少しでも困った顔をしないように。
私は


「そうね、私も頑張らなきゃね。」

出来るのなら、加護を受ける者が、私でないと。
きっと温かい時間に触れていたあの子の母からお叱りを受けるわ。


++++++++++++++++

「ミーネ起きて来たか」

そう深夜に起きても寝たミーネが最後に起きるのも無理はない。
昨日の今日で戦いの傷がすぐに癒えるとも限らないからだ。
ヒュンケルが言ったことにミーネは首を傾げた

「なに?どうかしたの?」

「都佑の特訓としてメニューを俺達も考えたんだが…」

そう見て見ろと言わんばかりに首を外に向けたヒュンケルに
ミーネが朝日の眩しさに目をくらましつつも前にでた

「…あれは?」

そこには、胡坐をかいてポップの横で真似をする都佑がいた
ポップ自身は集中して闘気が出ているのだが、都佑はかなりぶれていた。

「闘気をとにかく薄く、かつ長時間出せるようにする特訓だ。
俺とラーハルトが都佑と実際戦って考えたんだ。
都佑の感情が爆発したのに、闘気の波があることにな。」

薄くなったから隙が出来てなんとかなったが
こうすれば普通に完成されたら手も足も出なくなるのでは?
そう思ったミーネに、追加でヒュンケルが説明する

「都佑の付き合いが長いゼルガディスに特訓を任せている。
ついでに剣の磨きも兼ねて、時々俺やラーハルトも手合わせしてもらってるのだ。」

「あー、ゼルなら確かに…まだ都佑は喧嘩吹っ掛けないからね。」

頭が上がらない。知識も経験も圧倒的に上だ。その上歳まで上ときたら
もう何にもいうことがない。

「確かに昔よりは闘気が維持されてきたね。」

「おお、ミーネか、はよ。」

そう朝の挨拶を入れるポップに都佑が目を開いた
持ち場を離れようとする都佑にまたんかとゼルが声をかけた
逃げれない状態を考慮して、ミーネは都佑の傍に駆け寄って行った


「おはよう、ポップ、都佑、ゼル。
都佑の調子はどう?ゼル」

「こいつか?まぁ昔と変わらずいう事は聞くが…
ポップの方がまだ才能はあるな。」

「っいやった!」

『むぅ!おこ!!』

そう頭から蒸気が出そうな勢いでふてくされる都佑に対して
ポップは普段誰からも中々褒められない為、上機嫌だ。

「剣技はヒュンケルやラーハルト達には劣るがな。」

そう得意げに言ったゼルに、都佑とポップは2人して
「えー」とブーイングを入れた

「ふふっ、調子がよさそうで何よりね。
都佑、貴方此処で私とアレしない?」

『んにゃ?アレ?…え?待って?あの、え?蓋する前の、あの儀式?』

そう赤くなったり青くなる都佑がポップやゼル達を見てきょろきょろをする
勿論、それとも二人っきりの方がいい?そう笑うミーネに都佑が更に顔を赤らめた

「ん?なんの話だ?」

「前に都佑と一つになる時に言ったかな?
感情を共有する特訓をしてるって。」

「ああ、確かそんな話も〜で?何でそんな照れる必要があるんだ?」

「ああ、そりゃ踊るからよ。」

そう言ったミーネにだあああと都佑が遅れて飛び掛かった

「はぁ!?おど、おどる!?なんで」

「二つの心を通わせるのに手っ取り早いからよ。
特にこうやって数日しかない時はやるのよ。
ほら都佑、しゃきっとする!!集中力あげてたんだから
すぐにできるわよー!!」

『なんでー!?百歩譲ってやるのはいいよ!?
ポップ達の前じゃなくてもよくない!?』

「んもー!なら二人っきりでやる?」

それも…今こう言ったら語弊が生まれそうで、何かやだ。
そう顔を真っ赤にさせ耐えきれなくなった都佑が
顔を手で覆い下を向いた所で、照れがゼルにも移りやめとけと言った

「そう茶化すな、こいつだって本調子じゃないだろう」

「その本調子かどうかが分かるからやろうって言ってんのよ。」

うにゅ、そう困る都佑の目にはヒュンケルやポップ達が見える
人の目がどうしても気になると言うので、とりあえず椅子に座ってからと
ミーネが部屋から椅子を取り出してきた

「ほら座って。横に置いて…」

『(あれ、この世界、見たことある)…ね、ミーネ一つ聞いて良い?』

なに?そう首を傾げて此方を向いた

『考えた事の景色って、私も此処に広げられるの?』

「あー…出来なくはないかな。シンクロがかなり高いと出来ると思う。
まぁ心の中が見られたくないなら本当にしないけど?」

いや、いい。そう言った都佑にミーネはそう?と言った

「大丈夫、世界が反映されても半径10m以内だから!」

「…それは俺達が見守っている範囲に入るのだが」

そうゼルがツッコミを入れるが、気にしないとミーネが無視をした。

「ほら、座って、私の動きを真似して?」

そう真似してと言わんばかりにミーネが動き出すので
手があたらないように移動すると、結構距離があくことになった。
まぁ最初はこれ位でいいかそうしょげるミーネに都佑は首を傾げた

「腕をこうーして、右、左、上〜」

『…あれ、ラジオ体操ちゃう?キノセイか?』

ぐるぐるーそう回されてうーんと唸る都佑にミーネが声をかける

「ーーーーーーーー」

『(あ、その歌私知ってあれ?)』

待って?その歌何で?
そう思う都佑だったが、続く声に歌いたくなる
元々音楽が好きだった

あれ?いつ音楽を好きになったんだっけ?


「ーーーーーーーーーーー」

それは、私のーーー?

『(これ、私がずっと聞いてた曲だ)』

高い音で、ただ、ぽっかり空いた穴を埋めてくれる。
とっても、暖かい曲、そう。
音が頭の中で鳴り響いて、身体が自然に動く。

もう一度、もう一度だけ、酔いしれたい。

『(右、下、腕を上げて、前でクロス)』

腕を動かすと同時に、身体も段々動いてきた
足がソワソワする、動きたい?違う違う
これは、動きたいんじゃない、身体が勝手に動くだけだ。

錆ついたような声は、こんなちっぽけな空間にすら届かない

『(しってる)』

始まった回りまわった世界の中
手と手が触れるようで、届かない空間の中
くるくると回って触れる所で弾かれるように離れる

二つがまた、一つになりそうだったその時
ふわりと脇に何かが触れた

「うーん!!調子いいじゃない!!」

そう笑って私を持ち上げるミーネ…ん?ミーネ?

『ちょっ!?わた、えっ!?』

「ふふ、私だって力持ちなんだよ?」

マァム程じゃないけどーそう笑っていうミーネに
末恐ろしい奴が此処にいたのかと都佑はちょっと感じた。

「にしても凄いな、急に魔法力が上がるなんぞ…」

あっやりたい?そう何処からともなくピンクの洋服を出して来た
ミーネの目が何か凄く光っているのに、危機感を察知したのか
ポップがいいです。と泣きそうな顔でそっぽを向いていた。

いつぞやのアメリアとリナの踊りを思い浮かべたゼルに
都佑は苦笑いで返した

「ミーネ、お前も俺やリナ達が使えていた魔法を使う事は出来ないのか?」

「私も都佑も一応そっちの人間から枠離れちゃったからねぇ。
別に私は頑張ったらいけるだろうけど、少なくとも都佑は無理かな。」

「そうか…リナみたいにアレをぶっ放す事がないということだな。」

ドラグスレイブ…そう都佑がぼやいたのにゼルが頷いた

「確か町1つ吹き飛ばす魔法だよな?
あんなもん師匠や俺達が普通に撃てたら
この世界終わってるわ…」

「賢者クラスとは言えども、使う機会もそうそうないだろうしな。」

『平面ではない世界だからねぇ〜
あ、ゼル―後でまた剣教えて〜!一応!!』

そう言って都佑がおやつを取りに駆けだした
最近食事にハマっているらしい。
流石に鍛錬中に食べるのはと困った顔をするポップだったが
ゼルが涙を急に流したことに驚いて数歩ヒュンケルの方に引いた

「うっ、あの、あの都佑が…食事を…
嫌がって数日食事をとらなかった都佑が…」

「ゼル…私でも都佑の食欲を高めること出来なくてごめんね…」

「と、とりあえず…大変だったんだな?」

そうヒュンケル並みのクールな剣士が
急に顔面顔からでるもの噴き出したら誰でも驚く。
いやクールじゃなくても驚くとは思うが。

オロオロするポップに、変わったんだったら良いんだと言って
涙をぬぐった。

「奴にも人間的な生活を暮らせるようになるとは驚いたが…」

「え?待って?あいつどんな暮らしを?」

「不機嫌になると三日は食事をとらないわ
魔力はリナと同等位なのに魔法を中々使わなかった。
おまけに逃げるのだけはぴか一だったな。」

「私が多少頑張ったから、後半は使い物になったでしょうけど
アレでも結構変わる事を毛嫌いしてたからねぇ〜」

「そう考えたらこうやって戦いに自ら参加しようとするだけでなく
食事まで自ら取ろうとすると考えると…うっ」

また涙腺が壊れそうらしい。どうやら余程大変なことがあったそうだ。
まぁ最初の方はマァムも「中々食べなくてちょっと心配してたんだけどね」
と言ってたものの、最後の方はガンガン食べていたらしい。

「そうだ、ポップお前もちょっと位は剣を習ってみるか?
俺でよければ魔法の扱いが分かればこちらの世界の魔法も
身に付けておきたいと思っていた所だ。」

「お?あ〜じゃあ一応プロから得る機会なんて早々ねぇし、いいぜ?」

その代わり、お互いお代はチャラな!
そう言って手を握った所で都佑がおやつを持って帰って来た

++++++++++++++++


『ふぃ、つがれだ…』

「今日は此処までにするか。まだ帰って来ない所を見て、夕食にするか。」

「あ、それなら皆で作る?ゼルの料理私も食べてみたいし」

「この世界に俺の知る物があるとは思えんが…
まぁ郷に入っては郷に従え、この世界の物でも
力になるなら手伝うぞ。」

そう各々がきりが良い所で帰宅をする中
都佑は一人寝っ転がって空を見上げていた

皆には後で起きていくとだけ言っておいた

『…駄目だ、これじゃあ。』

本当は、薄っすら記憶にあった。
悲しい時間、辛い時間、淡い時間。
ポップが傷ついて、皆傷ついて、辛かった。
私のせいでもあるのだ、みんなが困らなくていい。

私が、ただ強くなればいい。
幸いなことにミーネの力もある。
使えるものはなんだって使ってみたらいい。

どうせ、一つしかない命なのだから。
それなら、私は強くなる。

「おやおや、こんな所で良いんですか?」

『ゼロス!貴方』

「泳がせたのは貴方でしょう?
…あの男がそんなにも気がかりなんですか?」

それなら、消してしまえばいいのに。
そう耳元で言った言葉で距離を取った
あの時の血が手についた時間を思い出した

真っ暗な世界で、真っ赤な血の匂いに
身体が沁み込んで落ちていく時間

『ええ、とっても気がかりよ。』

この呪いが、沢山進んじゃって死んじゃう位には。
そう言い切った都佑の目を見て、ゼロスは嫌ですねぇと首を横に振って
宙の中足を胴に近づけた

「昔の方がよっぽと魔族に近かったのに
もう人間の方に戻っていくのが惜しい人材です。」

『…キルバーンと混ぜたら駄目絶対だったなこの二人』

「ーえぇ?僕が何だって?」

そう聞きたくもない声が背後からして都佑の背筋が一気に氷点下へGOした。
いや、固まって動けないとか物理的なものではなく、精神的に。








『キル、バーン…なんで』



月夜に悪魔がもう一匹





























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