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「おや、僕にそんな口を言えるのも君位だよ。都佑ちゃん?」
『っ!!』
「キルバーンさんそれ位にしておいてくださいよ〜?
一応コレは僕のなんですから。」
「あのバーン様だけでなく、ムードメーカー君に
ゼロス君まで目を付けるなんて〜君って本当に不思議だねぇ?」
そう逃げ切れない都佑の首に人差し指で顎をなぞっていく
ゾクゾクと背筋が凍るのと、目の輝きが衰えないのを見て
仮面の奥が光った気がする。気のせいだよね。キノセイ。
あと私は物か何かか。園児の物取りに近い争いが見えてるのだが。
『(攻撃するとゼロスが防御にも徹するし、
かと言って此処から横に逃げてもキルバーンが
上に逃げたらゼロスが捕まえるか…)』
どちらにせよ体力が少ない中逃げることは難しい。
諦めておいた方が良いと思った都佑は肩の力を抜いた
それにキルバーンの目が丸くなる
「おや、君は本当に賢いんだねぇ。逃げる選択肢を捨てるなんて。」
『だーって二人の力は既に私体験済みだし?
別に何もしないなら、逃げた方がこっち悪いから。』
申し訳ないという意味よりかは、私の死ぬレベルが跳ね上がるって意味で。
そうぼやいた心の中を読み解いたかのようにキルバーンが笑う
「ふふ、成る程確かに気に居る訳だ。
君の行動や反応は他の人間や魔族とまた違うねぇ。」
『…あれそれ私けなされてる?あれ!?けなされてます!?』
「全く、変わったかと思ったら昔と変わらないような反応なさって…
ま、そういう所なんですけどね」
そうおでこをつつかれる都佑は『むぅ』と声をうならせた。
彼女は例え相手が勝てない、恐ろしい人だろうが悪魔だろうが
平等に目をみて話そうとするのだ。とても澄んだ瞳で。
敵対の目は確かにするが、仲間がいる時だけであって。
こうやって仲間と離れるとポップ達と同じような目で見てくる。
その目を絶望に返させようとしても、
『敵なんだから絶望させようとして、
当たり前じゃない?』と言わんばかりに
目を此方に向けては笑わせる。
「今なら僕が連れ去ってその呪いに溺れることだってできるよ?」
どう?そうキルバーンが都佑の手を取り口元に寄せて此方を見る
それに良いやと都佑は答えた。
『だってあんな時間何度だって繰り返したから。』
「…?」
『ミーネのお父さんが私を選んでくれて、本当に良かった。
キルバーン、貴方とこうやって話せるなんてね!!』
「ふふ、参ったなぁ。この子、全く動じないんだけど。」
「そりゃあ、あのお方に気に入られる訳ですよ。」
じゃ、私は行くね。そう言って都佑が動き出す。
手が離れるのが正直ちょっと名残惜しいが、これ以上居ると
ポップ達に何か察せられる方が怖いのだ。
『マァム達を殺すなら、私だって君を殺そうとするからね?』
「おぉ、怖い怖い。」
『それじゃ!またねー!!』
ばいばーい!そう言って手を大きく振って帰っていく都佑を
キルバーンは眺めながらゼロスに言った。
「全く、死神に手を握らせて挙句の果てには
背中を向けて帰っていくとは、肝が据わっているねぇ。」
「僕達を殺すことなんて本当は出来たと思いますが…
都佑さんはそんなことをしない子なんですよ。
不思議ですよねぇ…」
「確かに、アレは泳がせた方が後が楽しみだ。」
そう数か月前にまで仕えていた主人のことを思いつつ。
キルバーンはゼロスと共に姿を消した
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『んまー!めちゃうま!!』
そう目をポップと輝かせながらガツガツと
勢いよく頬の中に溜め込む
その隣でヒュンケルが口元についていたゼル特製の
野菜スープの具を拭った手を軽く噛む
「こら!行儀悪い!!」
『ふぁっふぇおふぃんぐんぐ(だって美味しいもん)』
「まぁ先に食べておけ、お前は何時食欲が増えるか分からん。」
食べるか喋るかどちらかにしろ。と思いついたが
喋ると止まらなくなりそうなので、先に食べろとゼルが
ピンクのエプロン姿で項垂れた
食卓にはゼルの作った野菜スープに、
しゃっきりレタスをふんだんに使ったガーディアンサラダ
ライスフラワーにこくうまソースを少々で炒めた匠チャーハンや
バランスパスタ等、男勢が多い為かなりの量を作っていたのだが…
『おふぁあり!!』
「まだ食うのか…!」
「都佑は食べる時何処に入るのか分からん位食べるからな…」
バランスパスタをおかわりする都佑
丁度向かいに座っていたゼルが皿を取りパスタを盛る間に
サラダをガンガン口の中に入れていく。
「にしてもうめー!!コレ最高だな!!」
大きく頷く都佑は途中ゼルからおかわりを貰い
礼を言ってすぐに大きな口を開けて頬張る
喉に詰まりそうになった所で水を飲み一息ついた
『ふぃー!おいし!!』
「詰め込み過ぎじゃないか?大丈夫なのか…??」
『あっサラダおかわり!!』
「ヒュンケル、ダメよ。今彼女を止められるのは脳だけよ。」
胃袋にこれ以上入りませんと脳からの指示がない限り彼女はひたすら食べるだろう。
それもそうだ。昼間其処まで食べずに(と言ってもお菓子しか食べていないが)
夜までほぼ食事が無かった日だ。夕方帰ってきてからずっと『おなかすいてきた』しか
言わなかった。都佑は本当に空腹状態にしか言わない言葉で、急いで作ったのがこの量だった…が。
「俺達とそう変わらない量を食うな…末恐ろしい奴だ。」
そうサラダが近いラーハルトが都佑の皿を渡し
嬉しそうに頬張るのを見て胸焼けがしてきたのか、青白い顔をした。
「いや、リナとガウリィーの旦那との
食事に会うとお前ら胸焼け処ですまないぞ…」
「そこまで酷いのか…」
そう隣同士のゼルとラーハルトが青ざめる
その中ゼルの隣に座っていたミーネが「そうねぇ」と話の輪に入ってきた
「今食べてる都佑の4倍は食べてるからなー」
「よっ!?」
「ふぃ!!もーダメ!!俺食えねぇ〜!!」
『じゃあ私もちょっと食べよ…』
「お前は流石に食べ過ぎだ。」
また後でな。そう更にまだチャーハンを盛ろうとした都佑に
ヒュンケルがチャーハンの盛った皿と取って都佑が取れない位置に上げた
それに『えー!』とブーイングが起きる
「ああ、そう言えば都佑、貴方何か具合悪い所は?」
『…一時間後位になる予定はあるんだけど。』
「腹を壊す前提で食っていたのかお前は…」
そんなことを言っている都佑だったが、内心はちょっとハラハラしていた。
『(ちょっとまずいかな?まぁいずれ
バレるはバレるけど今はこれ位でいいよ。)』
呪いの魔法がかかるのに本を読んで分かる訳もないが
どうしようもしていられなかった都佑は
食後に家にあった一冊の本を読んでいた。
正確にはマトリフから貰った白い本の
最後の方に興味深い内容が書かれていた。
『(にしても私しか読めないとか…
本当に誰だコレ書いた奴…絶対日本人だろ。)』
はははと苦笑いを内心しつつ、近くに眠っていた
ヒュンケルやゼル達を横目に本を読むスピードを速めた。
こうやってあえて身内の前で読んだ方が割と騙しやすい。
いやー都佑ちゃんったら天才だよね。
『(契約者の呪い…これか)』
あった内容に読み進めていくが、どれもこれも契約者が能力を使いすぎて
呪われるケースばかりだった。今回は契約者の外部、つまり蓋をしていた
都佑の方が呪われたケースであって、どうやらかなりレアケースらしい。
通常であれば、呪われる量が羽の部分に出てくるらしい。
こればっかりは聞かないと意味がないのだが…
ちょっと下手をすれば覚えているのがバレてしまうが…まぁ何処かで聞いたらいい。
最初は羽が穴空き状態で赤い羽根であるらしいが
徐々に羽が完成されて最終的には大きな羽に頭に紋章が出るらしい。
ちなみに、その後は死ぬ以外呪いから解き放たれることはないらしく
呪われている状態は基本的に血が出て行く状態なので…大量出血で死ぬだけだとか。
まぁ回復呪文を改良したら血も増やせそうではあるが…
そんなことをしてまで長生きしたいとは思っていないので
呪われている時間は割と短い時間じゃないとまずいらしい。
血の量がどこまで出て行くかによるが…まぁ30分なんて持つわけないか。
持っても10分程度だろう。いや10分持ったら凄い方ではないのだろうか?
『(いずれにせよ呪われた状態は基本的にならない方が良いという事か。)』
これはおおよそ推察というか、もう確定なのではって思ったことであるが…
私がここ数日食べては空いてしまうのは、
数日前に戦った時の呪いの影響ではないかと考えている。
血がかなりとんだ為、帰った時には
ふらふらだったり、思うようにいかなくて、意識が朦朧として
急に倒れたりするのも、まぁ貧血などの症状で出る内容ではある。
それに血が無くなると血を作り出そうとして身体の中が割と活発になる為
その結果として栄養が足りず、栄養を必要とするあまりお腹が空いて
沢山食事をとろうとしているのだろう。
『(まだ血が完全に戻っていないのか、さっきもかなり量を食べたから…)』
少なくとも明後日の夜にはもう回復しているだろう。
やはり三日間交代にしておいて正解だった。
こう呪いが出たのは、ちょっとイレギュラーだったのだが…
それにしてもゼロス達も何で急に動き出したんだろうか?
まぁ皆にはゼロスを仲間とは言っているものの、ぶっちゃけ
私は仲間と思っていなかった。
だってあの魔族だからね…どこで糸を引いていると思ったら、
まさかの死んだと思っていたキルバーンと手を組んでいたとは…
やはり魔族、そう簡単に世界を滅ぼす気を消すのはないか。
まぁ今おおっぴろげに言ってしまうと、
まぁ、まだ「いっかー」的な感じで放置するが
オチなのがリナである。
アメリアは正義と愛の讃美歌で問い詰めるし、
加えてマァムが此方にいる為、多分…2倍、いや3倍になって
ゼロスにダメージを負うだろう…
…あれ、どうしようもない時は
マァムとアメリアさえくっつけておいた方がいいのでは??
『(ダメだ、何処にも呪いの解き方は書かれていない。)』
強いて言うなら呪いの緩和はあったが、
それも精神的なことで、物理的なことは何一つ書かれていなかった。
もうこれ例えて言うなら
パソコンの取扱説明書くらいどうでもいい内容書いてる。
私が必要としているのはパソコンでゲームしてダウンロードしたいけど
パソコンを起動してから先のインターネット接続後の話だ。
いやー応用が効く訳がないとは思っていたが、
取扱説明書があるとは思わなかった。
しかも日本語。
コレ書いた人一度で良いから会って殴りたいレベルだ。
『(さて、考えるしかないか。
…まず神聖樹の加護を受けたらどうなるか。)』
これはおさらいに近い。
まず神聖樹は神の聖なる木であり、神聖樹に選ばれた者は
神聖樹の加護を受けて、神聖樹付近なら身体の成長はほぼ止まった状態になる。
幼少期は別世界の人間を生贄として、別世界の人間が蓋になり
幼少期時一切外に出ることはないとのこと。
大人になるにつれて、本来なら蓋ごと倒して自分の身体にするのだとか。
…ミーネが知ったら大事になっていただろうな。
その神聖樹の加護を受けれる雫があり、
それがアバンのしるしに似た緑の雫型ネックレスだ。
ちなみに、これ神聖樹の近くにある泉で生成が可能であり、
加護を受けた者のみ作れることが可能である。
このネックレス、加護を受けた者以外が身に付けると
神聖樹の加護を一時的に受けると同時に
邪気を払ってくれるものになっている。
魔界みたいな邪気のバーゲンセールみたいな場所だと
人間の住んでいる山奥並みの空気が一時的に半径2mで出る。
それを使って此間からダイの捜索をしているのだ。
『(そして神聖樹の加護を最大限以上に使うと、呪われると。)』
それが神聖樹の加護を受けた者のみだと思っていたのだが…
少なくとも、本にはそう書いていて、私が経験したのは
神聖樹の加護を受けた者の蓋側
つまり別世界の人間が呪われる状態を知りたかったのだ。
そんなものが、あるわけがないと本には書かれていそうなくらいに
神聖樹の加護を受けた者の呪いを解く手段は書かれていない。
それも緩和できるとは書いているが、効果はあまり期待できなさそうだ。
呪いということもあり、一度発生してしまったからには
もう取れることはないらしい。死ぬ位でなんとか取れるとのこと。
『(これが俗に言う人間、諦めが肝心と言った所か。)』
大きなため息と同時に「どうかしたのか?」とヒュンケルから声をかけられた
寝そうになっていた感じがして、なんだか起こして申し訳ない。
『あ、いや…呪文書かれていて覚えるの苦労するなぁって…』
「そ、そうなのか?」
「いーや嘘だね。これ呪いの解き方か?」
そういつの間にか都佑の後ろに座っていたポップが都佑の前に足を広げて
股の間に都佑を入れる様に後ろから抱きしめたポップ
起き上がろうとしたらお腹に腕に引き寄せられてそのまま背中がぴったりくっついた
汗がダラダラと流れ出る。
あれお風呂入ったっけ〜???
後ろから嫌な音が聞こえてくる…
「ったく、本当に隠そうとするのはお前の方だったのか…」
もっと周りに助けを求めろよな?そう頭を撫でるポップに
都佑はそっぽをむいて『うん』と返した