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じゅもんのせいこうりつ


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夢の微睡







じゅもんのせいこうりつ



Sub Title

「よ、師匠ー」

「ああ?また来たのか、おお?お前さんは?」

「こいつはヒュンケル、アバンの一番弟子だよ。」

「ポップと都佑がいつもお世話になっています。」

そう堅苦しい礼をしたヒュンケルの隣から都佑とミーネが出てきた

++++++++++++++++

「ああ?なんで師匠の所にいかなきゃいけねぇんだ?」

『この魔法が第三者から見て判断された方が良いと思ったから。
多分これ、私の力を封じるヒントになるんじゃないかなって。』

「ええ!?解決策ってこと!?」

『ただ、一つ懸念があってねぇ?』


++++++++++++++++

「この字か?いんや、俺にゃ読めねぇな。」

『誰かこれを書いていたこととか、何か見たことない?』

「ふーむ記憶が正しければないな。
こんな歪な文字を見たら俺でも印象強くて覚えているぞ。」

『そうかーーーー』

都佑はあまりにも白い本が色々日本語として書かれていた為
都佑以外の日本人がいる可能性を考えていたのだ。

なんなら、ミーネの父が幼少期の頃に蓋になっていた人物
その人物こそ、人間であり、都佑の世界に住んでいた日本人ではないかと考えた。

だが、それだと色々辻褄があわなくなってきたのだ。

「ほぉーお前さんの親父さんつまり
俺の師匠が幼少期の頃に蓋となっていた人物が
お前さんの知り合いじゃないかってことか?」

『正確には日本人ね。知り合いだったら怖いわ。
それがちょっと不思議なんだよね。
同い年みたいな字の書き方してて…』

「女の子なんだから似たような字を書くんじゃねぇのか?」

『ノンノン、癖って言うのは字にも移る。
これは明らかに私の字に近すぎて逆に怖いんだって。』

「30年以上前に生活をしていたということか?」

そうなる。だが、それだと在り得ないことが幾つか出てくる。

まず、私が蓋になったのはつい最近らしい。
封印されていたとなれば話は別だが、魔王バーンと出会った日は
蓋に入ってからそう遠くない筈だ。

『それにこんな恐ろしい魔術を作っていたとは思えなくてね。』

性格的にも精神的にも、人を殺せる程の威力をもし知っていたら
マァム達に会った時、ぼけっとした態度はとらない筈だし、
何なら女の子として、自我を持って振舞っている筈なのだ。

ぽっかり空いた状態で、こんな情報を書けるなんておかしいのだ。
知識というか、情報量が圧倒的にない状態の子が
魔術でも禁忌に近い情報をかける訳がない。

それも、この世界の文字ではないもので。


『あの時は大魔王バーンに精神をごっそり持ってかれていたから
その時に日本語…まぁ別世界の文字だって彼が持っていたんだよね。』

「成る程、だからこの本は別の人間が書いている筈なのに
都佑が書いた文字と変わらないから恐ろしいと思ったのか。」

そういうことだ。
まぁ本題にそろそろ進もう。

『マトリフ師匠。今から扱うのは“神聖樹を一時的に封じる呪い”をかけます。』

「呪い?」

『ポップ、二つの呪文を同時に使えるって言ってたよね。』

「あ?ああ、まぁ俺はメラ系とヒャド系を合わせたりだけどよ…それがどうした?」

『神聖樹って神の聖なる樹って書くのね?文字の通りなら封じ込める位の強さを
ポップが炎と雷を融合させた物“メガデイン”を発動できないかなって思ってさ。』

樹は木であり、木には炎が圧倒的に弱い。
聖なるものなら悪をと思ったが、悪を封じ込める位の強さなら
炎に雷をぶち込んだら余計に身動き取れないかと思ったのだ。

『そしてヒュンケルはアバンストラッシュを撃ちこんで。』

「なっ!本気で言っているのか!?」

『あの時、どうやって私をねじ伏せようとした?
まさかとは思うけど、無傷で眠らせようとしたでしょ。』

そんなことでは間違いなくこの先ヒュンケルが死んでしまう。
そうなれば体制が一気に崩れてしまう。
チーム戦なら誰一人も欠けてはならない。

よく私だってゲームしていた時に、一人が死んだら
「あーあ」と嘆きながら再スタートボタンを押していた。
確実に死ぬ前に、元に戻してしまう。

それ位、気合がごっそり削れてしまうのだ。
真面目にコツコツ努力していたとしても、結果が望めなければ諦める。

『その審判をマトリフ師匠にお願いしたいと思ってるの。』

「随分とまぁ無理難題を言ってきたもんだ…出来ると思った根拠は?」

『神聖樹の呪いが発動しました。』

そう言った都佑にマトリフが目を見開き青ざめた

「なっ、ま、お前さんが、か?この譲さんじゃないのか」

『ええ。恐らく外の人間が対象になるのではと思います。
約束を破ったとでも言う罰なんでしょうね。きっと。』

「…それで?」

『黄色の色に反応が鈍って意識を失ったそうです。
それを聞いて、樹のダメージを与えつつ動きを停止させた方が良いと思い
デイン系(電撃)の攻撃を入れた方が効果があると思ったんです。』

「だがそれではアバンストラッシュの意味はないのではないか?」

「そうだよ!そんなに攻撃に攻撃を重ねて止まるとは…あ?待てよ?」

こくりと頷いた都佑に、ポップが青ざめた

「おいおいおい!そんなのって!!」

『地海空3つの技を撃ちだすことで、火と雷の5つが円となるように組む。
幸いにも五芒星の中なら正気で居られることが分かったからね。』

念には念を入れよと言うし、一応此方でも防げるような呪文を
作って置いた方が良いと思ったのだ。

『ダイが居ない今、ヒュンケルしかいないの!!
お願い〜!協力して〜!!』

「うぅむ、しかし、お前も威力を知っているだろう?
アバンストラッシュが強大なことを」

『そりゃ知ってるけど、下手に威力を弱めたら
君たちの事を傷つけそうで嫌な気持ちも分かってよ〜』

こないだは呪いが始まっただけで終ったからいいものの
完成に近づけば近づく程、収拾がつかない可能性が高くなってくる。

だからこそ、策は多めにと思っての行動だ。
その説明にミーネが大きなため息と同時に成長はした方だけどと嘆いた

「ま、確かに神聖樹の呪いを受けて生きている人の情報がない以上
軽く縛っておくだけでなく、最悪の状況も考えておくことは重要よね。」

「最悪?」

「都佑が死んだ時のことよ。」

もしくは、ミーネが死ぬか、あるいは二人ともか。
ミーネが左手を脇腹を軽く掴むように置く
もう片方の手を見せながら都佑に「どうするの?」と声をかけた

「ポップやヒュンケルが戦闘不能状態の時は?」

『自力で開放できるように、アバン先生にちょっと
魔法の筒を作れるかどうか話をしようと思ってる。
…3日で作れるかどうか』

「お前さん以上に鬼をみたこたぁねぇな。」

マトリフ師匠も充分鬼じゃないの?そう言った都佑に
マトリフは「お前もポップや俺に似てきたな…」と嘆いた
良い所を真似るとは限らないものだ。

『それ以外は…まぁ考えてるけど、ちょっと怖いからね。』

小さな子。私の小さな記憶。
ちっぽけな夢の箱を、想像してしまえば
今だって出てきてくれる筈なんだけど

『(“ここじゃだめ”…か。)』

ダイの剣と良い線行く位の場所を選ぶ子じゃないかと思う。
きっと一番重要な時に、きっと彼女は来てくれる。
私が、きっと望んだ時に。優しい彼女は。

「なぁ都佑〜こんなもんか?」

『んー?ああそんなもぉん!?』

そう振り返りながら聞かれた答えをすんなり返そうとした私が馬鹿でした。
そう思った位には、外に出て発動したポップの手の中には黄色の弓矢が創り出されていた
いやーにしても綺麗だなー???

現実逃避はさておいて、都佑は綺麗に出来たねぇと思いながら見る
流石に呪いを今発動するわけにもいかず
(マトリフとミーネ曰く、呪い状態になれば進行してしまうとのこと)
今回はアバンストラッシュとポップの攻撃が上手く合うようになるのに
一日が過ぎ去っていった




++++++++++++++++


『にしても頑張っ…あれ?アメリアもう帰ってき』

そう言いながら部屋にワイワイとしている所はいってきた中に
一人橙色の長髪の子が此方を向いた

「あ、あなた…」

『り、リナ?』

そう声が震えつつも、リナと呼ばれた女性は都佑!!と言って
都佑に飛びつき抱きしめた

「馬鹿!急にいなくなったから心配したのよ!!」

『…ごめんね。リナ』

「生きてるだけで許すに決まってんでしょ!!…で?そちらの団体さんが、今回の主役?」

『ああ、左からヒュンケル、ポップ、ミーネよ。
ミーネは私の分身というか、私がミーネを鎮めていたらしくてさ。』

「へぇー物理的な封じ込め呪文か何か?」

「この姿では初めましてかな?リナ=インバース。
つい最近までは都佑がお世話になりました。」

ああ、いえいえ。此方こそ沢山お世話になりました。
そう思わずリナがぺこりとおじぎをする中、奥からゼルが説明に割って入ってきた。

「ポップ、ヒュンケル。こいつはリナ=インバースで
ポップお前と同じようにこの世界でいう賢者レベルだろう。
回復魔法よりかは火炎系の攻撃魔法が得意だがな。」

「へぇ〜!俺と同じじゃねぇか!よろしく!リナさん!!」

「さん付けなんてよしてよ。リナでいいわ。」

じゃあ俺もポップでいいぜ!そう笑って握手を交わす姿を
横目にアメリアにこっそり近づいた

「リナさん、私達が見つけた時には疲弊してて一度倒れてるんです。」

『だからマントが無い状態なのね』

普段は黒いマントをかけているが、今日は赤と白の長袖シャツを着ているだけだった。
ところどころ傷をしているようにも見えて、今日はゆっくり休んでもらいたかった。

『今日は疲れたでしょ?ご飯にしてゆっくり休みましょ!!』

そう言って皆でワイワイと食事にすることにした
ミーネと会話しながらそこら辺にあった草木に力を込めた
すると私が見た事のあるトマトやキュウリなどの夏野菜に変化した

どうやら記憶の中にある食べ物と同じようなものが作ることが可能らしく
そこそこ魔力を食われるが、まぁ大人数での食事な為、流石に数日いると
食費が大変かさばるのだ。致し方がない。

『これ位の野菜あれば充分かな?』

「ああ、大丈夫だが、コレはリナ達が生活していた所の食べ物か?」

「いんや?あたしたちの世界でも見たことないわ。都佑の暮らしていた地域の食べ物?」

『そだよ〜栄養が偏りそうだなと思って、
これでサラダ作ったら多少栄養バランスいいかなーって
私サラダ作るから、切る係ヒュンケル借りていい?』

いいわよーそう言ったリナに、やはりこき使われているなと
目を付けられたヒュンケルに苦笑いで返して台所の奥に
大きな食卓を作っておいた。

その食卓の左に新しいキッチンを作り出し、部屋にレタスやキャベツなどの
野菜を運び込んだ

『よし!それじゃあ綺麗にしてるけど一応水で洗ってから切りましょうか〜』

「分かった。この台を使わせてもらうぞ」

『ええ、お願い〜』

「都佑〜こっち落ち着いたからアメリアと一緒に手伝いに来たわ!」

『マァムにアメリア〜!!ありがとー!それじゃアメリアはこれ切って頂戴!
マァムはこっち〜!』

そうアメリアには人参を、マァムにはレタスを渡した
私はキュウリやパプリカを切ることにして
ヒュンケルにはキャベツの千切りを任せることにして
軽い雑談が開始された

「この野菜何て言うんですか?」

『それは人参ね〜野菜の中では炭水化物が多くて、
免疫機構の維持や成長の促進になる栄養が沢山入ってるのよ〜!』

「へぇー!育ち盛りの私達にうってつけなんですね!」

「ねぇ都佑、それじゃあこれは?」

『そっちはレタスね。シャキシャキとした歯触りが美味しいだけで
基本的には栄養はないけど…でも食べたくなったから!!』

腸内環境の改善や免疫力向上、美肌効果等もあるが
水分量と比べるとかなり少ない為、ちょっと補足で付け足すと
物知りだなとヒュンケルから褒められた

『そんなことないよ、昔おばあちゃんが教えて…あれ?くれた、んだっけ?』

そう首を傾げて手を止めた
そんな気がしたけど、どうやって覚えたか、曖昧だった。

ーねぇ、都佑ちゃんなら、きっと食べれるようになるわよ。

ーほんと?怒られないかなぁ…

急に出てきた少女に、都佑は包丁を置いた
流石に怖くなって数歩あとずさりをした

「え?誰?危ないわよ?こんな所に迷い込んじゃ…」

そうマァムも手を止めて子供に目を向けた
それに都佑は青ざめて『見えるの?』と声をかけた

「え?見えるって、此処にいるじゃない。」

ー**は、きっと、**っちゃうよ、だって**のこと

そうノイズ音が入ったことに、都佑が頭を支えつつ膝を地面について痛がる
それに大丈夫かとヒュンケルが肩に手を置いて意識の確認を行う

ー**いだから。

『っち、が、いや、そう?だった?あっ、ぐ』

頭が非常に痛い。どうせなら意識失った方が割と楽なのかもしれない。
そう思う間に、意識が消えた


++++++++++++++++

『…あれ、私…』

「起きたか…身体は?」

そう目を開けた時には時間が過ぎているのか
カチャカチャと音が入ってきた

どうやら食事を始めたらしい。

いつから始めたかは知らないが、おおよそ30分程で目覚めたのだろう。

「まだ横になってろ、今ご飯とってくっから」

『ごめん…ありがと』

そう言った時には既にポップは居なかった
その返しに、何処か不安を感じた時には隣に少女が座っていた

『っ!!…君は、』

ー君じゃないよ、**だよ。

嗚呼、そうだった。でも今は言えない。
きっと勘があたっているけど、
君の名前はそうやすやすと使っていいわけではない。

『分かってる。でも許して?』

「…わかった。」

そうはっきり聞こえたことで少し落ち着いた
ポップが帰って来た時にはどれ位食べるか分からなかったらしく
ひとまず作ったものを皿に入れてマァムと一緒に来てくれた。

「都佑!その子!!」

『ん、呪いの影響だと思う。不安になったら急に出て来ちゃった。』

そう寂しそうに笑って答える都佑に、
不安ってとマァムが寂しそうにつぶやく


「皆、いなくなったらいいのに。」

『こら、そんなこと言わないの。マァム達はすっごく良い人達なのよ。』

「どうせ私達を離すよ。だって**も
**達を傍に居させてくれなかったじゃん。」

『…違うよ、あの人とは。』

「違わない。だって人間だもの。皆どうせ消えてなくなる。」

ねぇ。そう袖を引っ張る少女に都佑は頭をゆっくり撫でる

『確かに人間だし私達の前から消えたり裏切ったりするかもしれない。』

「都佑!?」

『でもね?私達が信じなかったら、ずっと裏切ったままになってしまうよ?
それは、相手にとっても私達にとっても、辛くて悲しいことなんだよ?』

分かるね?そう言う都佑に子供がこくりと頷いた

『だから大丈夫。今はまだ、大丈夫だからね?』

そう言うと、少女は消えていなくなった

「都佑、あの子は一体」

『私の住んでいた世界の、一番大事にしていた時期の記憶が具現化されたんだよ。
呪いの影響以外に考えられないんだけど…まったく酷いことするなぁ。』

「アレが?か」

「ちょっとポップ!!」

『…ポップと言えども、“アレ”なんて言われたら、
なんて返して良いか分からないなぁ。』

流石に抑えてはいるが、
すぐに少女が戻ってきてもおかしくない殺気を出した
少女は全てを知ってしまった状態である。

どうせ、人間は裏切るのだと。知ったあの状態なのである。

あの状態?アレは一体どうやってなったっけ?

ただ今分かるのは、とても気分が悪いこと。

『とにかく、あの子に関してはノーコメント。ほらご飯食べさせてよ。』

「…ああ、ほらこれ。」

ありがと。そう言えなかった言葉を飲み込んで諦めた。
どうせ分かってくれないんだからって。そう思ったのも含めて。





























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