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「それで?何がしたい訳?」
『…都佑』
そう名前を呼ぶ彼女の後ろからすぐ出てくる少女
なあに?という声が何処か恐怖心をあおってくる。
「どうしたの?都佑、貴方が私の名前を呼ぶなんて」
『バレちゃったからねぇ…名前、変えようか。』
そう言った都佑に少女の目の色が変わる
良いのか。そう言う目にこくりと頷いた
『君の名前は、芽生。芽生えた感情。…それでもいいかい?』
「いいよ。バレたなら、同じ名前だと少々厄介だろうし。」
それに、その名前も私は好きだよ。
そう言った少女に、都佑は寂しそうに笑った。
『呪いの段階は全部で5つ。』
1、記憶を呼び覚ます
2、魔法等の攻撃防御等が扱えるようになる
3、記憶が具現化する
4、覚醒が起きる
5、青い花が咲く
「青い花、ですか」
「咲くとどうなるんですか?」
「咲くと間違いなく死ぬと思うかな?」
そう言った少女芽生に皆の視線が集まる
本当かと言わんばかりに何人かがミーネや都佑の方を向く
『…本当よ。花弁が咲き誇る時、本体である神聖樹の加護が発揮され
生涯あらゆる分野で活躍が出来る超優れ者が誕生する。
その為の毒素を私が請け負っているって状態であって、青い花はその毒素部分ね。』
「それは外れることはねぇのか?」
「100無理ね。ザオリクとかで蘇生も無理よ。
魂と練り合わせてる状態だから、仮にやろうとしても
絡み合った部分だけを取り除くなんて芸当至難の域よ。」
「そんな…呪いの進行自体は止まらないんですか!?
こー使わなかったら止まるとか」
『それも無駄かな。第一神聖樹の加護の守る期間が未成年って状態。
仮に10歳から呪いを受けたとしても、中身の子が大人になれば…もう』
そんな、そう絶望するアメリアに、リナが背中をさする
「じゃあ一つ質問。あんたさっき芽生ちゃんだっけ?
その子と分離する話してたけど、そうしてもミーネが
成人したら死ぬんじゃないの?…まるで、生きれるみたいな話してたけど?」
『…まぁ、限りなく可能性が低いけどね』
いきる方法があるんですか!?そう急に喜ぶアメリアに
落ち着けとリナが首根っこを引っ張った。
『花を咲かせてもまだ永久に願う気持ちがあれば。』
一つだけだけ、望んでしまえば。
叶わない願い。叶ってしまってはいけない呪い。
本当は、叶って欲しくなかったのではないだろうか?
愛されないと、分かり切っていたのではないのだろうか?
気付かれなくて、夢を見せてくれていれば
それだけで、幸せではないのかと。
夕焼けの空を窓越しで見ていた時にふと思ったのだ。
ーこのまま、ずっと、夢を見続けられたら、それだけでいいのに。
なんて、思ったのは何歳だっただろうか。
「でもやめておいた方がいいのは確かだろうけどね」
そう言ったミーネに皆で頷いた
「青い花に関しては発動条件とかあるんですか?」
「いや、青い花になると生命時間が少ないのか記述が咲くだけで終ってるわ。」
「文字通り何が起こるか分からない、ということか。」
そう言ったゼルに皆の顔が俯いた
そこで芽生が大丈夫だよと笑ってみせた
寂しそうに悲しい気持ちになるのは、自分だけでいいのだと。
そう言う気持ちが何処か伝わってくるのは、私だけだろうか?
「青い花を咲かせないように頑張ってしまえばいいんだから!」
「そうですね、なるべく前線に出ないようにしてください。
相手方がどう動くか分かりませんし、本来は此処に留まるのが
最善策とは思いますが…」
『勿論行くからね?』
「…そういうと思いました。」
そういえば
『ミーネ、この場で聞く予定じゃなかったけど一応聞いておきたいことが』
「なに?」
『…神聖樹の加護は一体“いつから”行われていたの?』
そう深く顎を引いて聞く都佑にミーネは少し考えたあと答えた
「私の父よりもまだあったのと、神殿の感じからして
少なくとも100年以上は経ってそうな気がしたわ。」
『…そう』
「何か思い当たることがあるの?」
『いや、ちなみに今までこんなことになったことは?』
「間違いなくないって言えるかな」
『(ならばダイと同じ状況か…)』
ダイも竜騎士のイレギュラーとしての状態だった
竜騎士の子として生まれたダイ
神聖樹の加護として未成年の状態で分離している都佑
青い花が咲き誇る時、私はどんな世界を見ているのだろうか?
そして、どんな感情を抱いているのだろうか?
元の世界に、戻りたいと思っているのだろうか?
今は、考えなくていい。
そう言って、考えておいたほうが良かったと
後で後悔する。
人間はいつも、遅いのだ。
行動も、考えも、気付きさえも。
「大丈夫、私がいるよ?」
そうすり寄ってくる芽生に都佑は目を細めてそうだねと答えた。
嗚呼、ずっと母と父の間で笑っていられたら、どれ程良かっただろうか。
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『今いるメンバーのおさらいからしようか。』
現段階で動けるメンバーは
ポップ、マァム、ヒュンケル、アバン、クロコダイル
ヒム、チウ、ラーハルト、ゼルガディス、アメリア
リナ、ゼロス、ミーネ、都佑、そして芽生の15人だ。
丁度5人3チームで組める為ゼロスを召喚した。
リナがゼロスに対してプロレスをぶちかましている中
都佑は一人で編成を考えていた
「都佑さん、どうしますか?」
『魔法使いを平等に配分の方が良いな。
アメリア貴方前に使ってた魔法以外に取得はした?』
「いいえ、あれから時間は経っていませんので。」
『了解。リナとゼルも同じね?』
ええ、そう言ったリナと頷くゼルに都佑は頷いた
『じゃあゼル、アメリア、リナ、ゼロス、ミーネ
この五人がまず調査部隊ね。ミーネは私に指示出して。』
「了解」
『次に中に行くのはヒュンケル、ポップ、
マァム、ヒム、私が行くよ。ミーネの指示次第で
アバン先生チームと交代するかな。』
「おっけー!」
『アバン、チウ、ラーハルト、クロコダイル、芽生
この五人は此処で待機組。アバン先生は念のため
お姫様に連絡して連れてきてほしいかも。
クロコダイルとチウはこの島のモンスターの避難をお願い。
避難場所はこの地下にあるから後で説明するわ。』
「わかりました」
「うむ」
『明日の朝出発する予定にするわ。…ゼロスあとで外にきて』
わかりました。そう言ったと同時に解散命令をだした。
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「それで都佑さん、僕をお呼びしたのはどういった理由ですか?」
『とぼけないで。貴方、キルバーンと裏でつるんでるわね?
目的は…そうね、この世界の消滅と言った所?』
それとも、あの方を呼び出すこと?
そう言った都佑の目をみて、嫌ですねぇとゼロスが紫色の瞳で返す
「僕を疑っているんですか?第一あのお方が
気に入っているのは貴方じゃないんですか?」
『私よりも芽生やミーネだと思ってるけどねぇ。
青い花を咲かした時、どうなるか分からないから
あえて咲かせようと動こうだなんて考えてそうだったから。』
あと、永久に縛られる呪いを解き放った時の暴走を
見ていられるのは魔族として餌を待つでもないだろう。
「確かにキルバーンさんとは仲良くさせて頂いていますよ。現にそちらにいますし。」
「はぁーい?元気してた?都佑ちゃん?…ん?」
背後に感じる圧に、数日前までは負けていたが
「どうやらこの見ないうちに腹をくくったようだね。」
全く、この人達に負ける気がしない。
立ち尽くす都佑にキルバーンが目を細めて呟いた
「驚いたねぇ、こんなにも成長するだなんて…
神聖樹の加護の呪いのせいかな?
それとも、元々の性格?それとも?」
『どうせ分かり切っているくせに、貴方が此処に現れたのも
私を困らせて笑う為だけにしている行動だってことも
此方は分かり切ってるんだからさ。』
「おや冷たい」
『キルバーン、単刀直入に聞くけど、今から乗り込む所に
君の上司はいるかな?』
「何も作戦なんて聞いていないけど?」
『なるほど、いないときたか。』
「話きいてる?」
答えはイエスだが、まぁそんな返すことでもない。
だが普通に焦りも何もしていない状態ということは
まだ彼の身は安泰であることを意味する。
おおよそ3つの塔にいる魔物が邪魔者なのだろう。
新しく出来たタイプだと信じていたいし
ダイが最後の塔に居る事を願いたい。
嗚呼そうだ
『金髪の青年をみたことは?』
「…いいや?」
そう。そう言った都佑は薄々考えていた。
キルバーンの上司がガウリィーを捕えていたら?
もし、何らかの形でキルバーンの上司に渡していたとしよう。
ガウリィーを奪還するために乗り込んで行く
その中でキルバーンと合流したゼロスがタッグを組んで
弱っているリナ達を滅ぼすチャンスがある。
ゼロス達魔族にしては、リナという人間で最強の魔導士を潰しておきたいはずだ。
長くは生きれないかもしれないが、子孫を残そうとするまえに手折る予定は
考えてない筈等ない。
キルバーンとしても、ダイやポップ達の脅威は摘んでおきたいことであるし
ゼロスとキルバーンの敵になり得る神聖樹の加護を得ているという
新しい脅威を早めに摘んでおきたいと考えただろう。
しかも、青い花を咲かせるという話を彼はまだ、知らない筈だ。
この場で私をさらって皆の思考を拡散することだってできるし
逆に私の仲間になってバラバラにすることだって可能だ。
敵の敵は味方というが、今回は私の位置が彼らのどの位置になっているかによって
此方に味方してくれる…あくまでも限りなく低い可能性にかけているが。
「…何か色々と考える癖があるようだけど
僕はいたって単純な行動をしているよ?
一体何を警戒して、其処までして気を張り巡らしているんだい?」
それとも、この糸を切って楽になりたいと願っているのかい?
そうキルバーンが都佑の顔近くまで表情を覗いてきた
それに何でも。そう答えた。
『最後の詰めなんだから邪魔しないでってくぎを刺したかっただけだよ。』
「ふぅん、そういうことにしておくよ。
僕は今回の件特に動くことはないからねぇ…
君達は自分で自分の命を手折る気がするし。」
自分から摘む程でもない。そう呆れた声で首を横に振ってこたえた。
一応答えは出たので、そうとだけ言って話を進めた。
『仲間とはいかないけど、私達が形成上苦しかったら助太刀して欲しいと思って。』
「…ねぇ、君って人間でいう馬鹿っていう子だよね?」
『いや笛吹いて動けなくするのすげぇいいなぁって
キルバーンよりもその武器の方が欲しくなるわ。』
「あの…君さ、元敵に対して味方になれって?
現敵である可能性をどこにおいてやったんだい?」
『監視してもらう位ならこっちも報酬ほしいからさ。
ちゃんと生きてもらわないと困るだろう?
そっちだって無駄な処理は避けておきたいだろうし。』
そうニヤリと笑った都佑にキルバーンが成る程と答えた
「そういうことなら、賛成だね。」
そうこなくっちゃ。そう言って笑った都佑が手を出した。
一応握手ということで、キルバーンと握手をした。
キルバーンはとても困っていたが…知らない。
「にしても君の行動って本当に想像を超えていくんだよね。」
先程の話をどこまで聴いたかは知らないが、ぼそりとぼやいた。
『それに、青い花はどうせ咲いてしまうから。』
「青い花?」
「神聖樹の呪いらしくて、どうやら最後の命を振り絞る時に
身体の一部に青い花が咲き誇るらしいですよ。」
「へぇ…それは見物だねぇ。花見は嫌いじゃないよ。」
そう言って笑うキルバーンに都佑はそっぽを向いた。
どうせ、青い花は咲き誇ってしまう。
綺麗な花弁を一つ一つ見せつけるように。
呪いは生きている間ずっと続いていくのだから。
そうすれば、いずれ青い花は咲いてしまう。
長く生きようとすればするほど、咲いてしまうだろう。
その先に、何処か焦がれている自分がいる。
皆させないようにしている中、自分は恋焦がれている。
青い花は一体どんな花を咲かせているのだろうかと。
そして、その時、皆の表情は私の感情は
一体どんなものをみせているのだろうか。
『(これも咲かせて死なすように企む神聖樹の思惑だったらいいのに。)』
そうしたら、私は悪くないと言い逃れできるのかもしれない。
『じゃ、そう言う事だけだったから』
「長生きしてねぇ〜」
そう言って分かれたキルバーンとゼロスに対して都佑は一人
夜闇の中森の中へと足を進めた。
どうせこれが最後になる。そんな気がしたから。
月夜の明かりに照らされて、ただふかふかの土の下に身体を下ろした
蚊がいない時期だったか忘れたのだが、居ないことを願う。
足が綺麗だったら蚊に刺されないって何処かで聞いたのを思い出しながら。
『…咲き誇ったら、忘れちゃうのかなぁ』
夢から醒めてしまうものだったら
私は地獄だと思ってしまうだろう。
そう、其処は地獄だ。
皆が得られる愛を得られるなんて。
そんなの、
生き延びる物扱い?そんなもの最初から無かった?
幻想?空想?
そんな物呼ばわりにさせたくないのだ。
違う、そんなレッテルの中に私は入れたくないのだ。
青い花が見て見たくなるのは、きっと在り得ないと思ってしまう心が何処かにあるから。
手に入れた時、私はきっと、絶望しているのだろう。
嗚呼、願いが叶ってしまったのだと。
人は願う時、叶って欲しいと思って祈りを込めて努力をする。
私だって昔はそうやって生き延びてきたんだ。
だから、今回だってやれるはずなんだ。
やれるはず、なんだけど
『(夢は夢のままで、いいんだ)』
花が咲く事で、元の世界に戻れるかもしれない。
それは、嬉しいことになるかもしれない
一瞬だけ、夢の続きを自分で歩めるのだから。
でも、この世界に居たいと思ったのは、
ポップと一緒になる訳じゃないのではないかと思った。
母と一緒に居れない夢のままで固定されるから
安心を得たくてこの世界に残ろうとしているのではないかと。
もしそうなら、私はとても悪い子なのだ。
罰を与える為に、呪いがかけられ、青い花を咲かせて死んでしまう。
人が見たら、とても悲しい出来事になるだろう。
誰もが得られる愛さえも受け取る事も出来ずに生涯を終える少女として。
嗚呼、そう言われて終れるならどれ程いいだろう。
悲しむだけなら人間簡単にできる行動なのだから。
同情という名はとても奥深くて、本当に同情をするなら
心を何度傷付けさせても構わない子に対して私は怒るだろう。
まぁ、悲しい出来事という裏の現実は、
本当に愛情を得たかったわけではないというものだから。
『(気付かなくて、良かった)』
貴方が気付いていれば、今頃私はこの世界にいなかったし
仮に気付いてこの世界に来ていたとしても、
芽生という存在は貴方が気付かなかったから生まれた者なのだ。
会えなかった人や感情を抱けるのは、得をしていると思って
この何処にもぶつけられない感情をすり替える。
青い花を咲かせても、私は
嗚呼、願わくば、どうか、そうであってほしい。
『(うそつき)』
きっと私は悪い子だから、青い花は咲くだろう。
だからさっさと咲かせて終わらせて欲しい。
そう言えば、前に母が好きな花があると話していた。
嗚呼、一体なんだったかな。
その花を咲かせてしまえば、私は
貴方に振り向いてもらえるのだろうか?