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「にしても深い所ね…こんなところにガウリィーさんがいたら大変よ!!」
急いで救出しましょう!そうマァムが意気込む中、都佑は
元気に『おー!』と言って前を走っていた
「もうちょいスピードダウンな。焦んなよ」
そう頭をポンポンと触れながらポップが浮遊して前に出た
それに対して都佑はしょげながら一言返事をしてスピードを遅めた
「(…ん?なんか変なのあったけど、きのせいか)」
そうポップが頭を撫でたというよりかは触れた位で
都佑の頭の中に何かしこりというか尖ったものというか
膨れたものが手に触った感触があった。
だが、都佑は下にお団子をしている為尖ったものが触るとしたら
昨日大きな音を立てて壁にぶつかっていたのでそのたんこぶかと
思って、ポップは何も気に留めなかった。
塔に入ってから一時間程経ったくらいだろうか
ミーネからの連絡により、あと3階程上がったら
最上階に到着してしまうらしい。
というのも、今の今まで殆ど戦闘というものは無かったのだ。
強いて言うなら、崩れてきた瓦礫をヒュンケルやマァムが叩き落した位で
ほぼ移動に近かった。
『(おかしい、前はこんな簡単じゃなかった。)』
いくらなんでも何も会わないというのは流石におかしい。
魔界というのもあり、魔の者がわんさかといるイメージなのだが
『(ーミーネ、そっちモンスターいる?こっちは殆ど見ないんだけど)』
ー嘘、こっちは出てるわよ?あーでも前よりかは少ない気がするけど…
何かが動いている気がした。何だろう、そう頭が急に痒くなって
リボンと一緒にゴムを外して手櫛で髪を整えながら足を進めている中
コリ、と何か大きな物が左上に当たった。
一瞬で思い当たることを思い浮かべて血の気が失せる
嗚呼、幾らなんでも早すぎやしないか?
これはイレギュラーになったための物か?
咲く前につぼみが出ることなんて勿論花なんだからあり得るのだが…
「…どうした?都佑進むスピードが遅い気がするが」
「都佑?あらやだ!具合悪いの?凄い顔色悪いわよ…?」
どうしたの?そう顔を覗き込むマァムに都佑は口を開けるが
声に出せずに何も言わず口を閉じて首を横に振った。
なんでもない。
そう思っていたが、此間マァムとした約束を思い出して勇気を振り絞った
『あ、のね』
「うん」
声がどうして枯れているのかわからないが
とりあえず思った事をいう
『私の頭、ちょっと見て欲しい…どう、なってる?』
「え?えっと、とりあえずあそこで休憩しましょうか。」
++++++++++++++++
そう階段から登ってこの階は安全だということを
ヒュンケルやヒムが周りを確認している間
ポップとマァムが傍について熱を測ったり
何かできないかと話をしていた頃に確認に行っていた二人が帰って来た
「ここの階は異常なさそうだ」
「そう、ありがとね」
「いやなに構わん…それより、容態は?」
「…やばいかもしんねぇ、な」
そう覗き込んできたポップに都佑はそっぽを向いた
右を向くことで、髪の毛を分けなくてもその姿が綺麗にみえた
「…おい、それ」
「嗚呼、昨日話していた花の蕾だろうな」
「ポップ、此処は俺達に任せて先に帰っておけ。
向こうから何人かこっちに移動してきてもらう。」
分かった。そう言っている話をぼーっと聞いているだけの都佑でも無かった。
『…いい、いける』
「馬鹿な真似はよせ都佑。その状態で何ができるというんだ」
ーお前には何もできない。
そう誰かが言っていた記憶が触れる
滲みでたものは落ちる場所まで真っ逆さまだ。
『まだ蕾だし、咲く感じはない…それに、時間がないのは目に見えているし、ね?』
「…都佑、でも」
『ミーネとテレパシーで会話してたんだけどさ
あっちの方もモンスターいないって言ってたから
多分神聖樹の力が強くなってきているんだと思う。
…それと同時に、私の呪いの力も強くなってきてる。』
そうしたら、聖なる力で小さなモンスターは軽くひねり潰されて
中級のモンスターもいたとしても弱い状態で倒せるという状況なのだろう。
もしそうなら、ほとんどのモンスターが居ないという状況も頷ける。
『それに、今までは青い花が咲いてる状態だったけど
私ほら、イレギュラーでしょ?ミーネと分離した状態だし
なんなら芽生だしたまま放置しちゃってるしさ』
「…足手まといになる可能性を考えねぇのか?」
「ヒム!!」
『どういう意味?』
「てめぇを庇って動く人間を編成して良いのかって事だ。
動きやすいのはお前だけで、他はかなり負担している。」
ーなんで私ばっか面倒みなきゃいけないのよ!!
「倒せるなら話は別だが、俺にはどうもそうは見えねぇ。
弱いのを必死で取り繕ってる鼠とかわりゃしねぇぞ。」
「ちょっとヒム!!そんなこと言わないでよ!!」
仲間割れは、良く私が居たら起きていた。
そう言えば、何でこんな簡単な事に気付かなかったんだろう。
『…倒せたら、それで満足するの?』
別に血に濡れたって、この身体は良い気がするんだ。
どうせ呪いにかかっている時点で、私は悪い子なのだから。
それなら、その通りに進んでしまえばいい。
ぽつりと、透明な地面に水の様な波紋が広がっていく気がした。
「まぁ戦力が多い分代わりねぇからな」
『顔色が悪いのは、これに生命力を奪われてるだけで
特にしんどいわけでもなかったんだよ。マァム…ごめんね?』
「ううん、私こそごめんね」
そう気遣ってくれた人に謝罪をして先に進もうと立ち上がる
うん。大丈夫。触った所は心なしかさっきより大きくなってる気がする。
予想以上にスピードアップしないと不味いらしい。
『…別に見てるだけでもいいから』
「あ?」
『前に出てくる敵を消し去れば満足なんでしょ?』
それなら、ちょっと試したい事がある。
++++++++++++++++
気持ちを少し切り替えてみた次の階、
普通にモンスターがわんさかと湧いていた。
そこで都佑は察した
感情によって、この環境が形成されていることに。
どうかたまたまであってほしい。
そう思いつつ、殴ってくる敵を横目で見つつ手で触れる
すると何にも力を入れずに左へ受け流すことが出来た。
余程の力があるか魔力がなければ受け流す芸当など難しい。
力があったとしても、そうそう力を流すなんてすぐには出来ない。
『…(これでも、私は)』
感情を高ぶらせてみて、前を見る。
するとモンスターにダメージが入り、消えていなくなってしまった
「…なんだ、これは」
「都佑!!後ろ!!!」
そう暗くなった地面を見ながら地面から浮遊した
想像力で、あの人に会ったとしても
それは、夢のままで、現実ではない。
このままで、良かったのだろうか。
本当に、本当に、本当に?
『…夢をみせてよ』
心の中でふわりと大きな風を思い浮かばせた
両手で頭を抱えて上がってから、暗いままの地面が
すぐに明るくなってしまった。
振り返ると、全く何も残っていなくて
確かにそこに大きな物があった気がしたのに。
「都佑!凄いじゃない!!あれ魔法!?」
『んお?』
「こー風をびゅびゅんって吹かせたじゃない!!」
「敵を寄せ付けて一気に片付ける作戦だったのか」
あ、すっごい勘違いしたままになってる。
まぁ、特に気に留めなくて良いかと思い、でしょーとその流れに乗って笑った。
心なしか、蕾はさっき触ったものよりも5p程大きくなっていた気がした。
++++++++++++++++
「どこにもガウリィーさんいませんでした…」
「そう、そう気に病む事ないわ。あんの馬鹿クラゲのことよ!
死ぬわけないわ!!運だけはいいんだものあいつ!!」
最後の塔自体にも全くおらず、そのまま飛んで帰還したポップ達に
報告ということでリナやアメリア達に仲間の話をしていた。
「…都佑、お花」
『大丈夫だって、ちょっと時間が無いだけ。』
「それ、今にも咲きそうですね…」
「アメリア!!」
ごめんなさぁい。そう言って泣くアメリアに対して
都佑はいいのよと苦笑いで返した。
…そうでもしないとアメリアの命が危ない気がして。
『蕾が出てもすぐに花咲かさなかったりするでしょ?
なんなら咲かないようにリボンかゴムか縛り付けてみる?』
「…都佑、無理しなくていいわ。不安な時は吐き出しとくべきよ」
『…リナにはかなわないなぁ、そら不安はあるよ。
でもなんでだろうね、少しだけ待ち遠しくなってる自分がいるの。』
「んー」
そう横に座って背伸びする芽生に都佑はぼそりとぼやく
『それに、これ本に書いてあった内容と違う時点で色々と変わりそうだし。』
「どういうこと?」
『花が咲いてから色々起こる可能性があるってこと。
全く、私普通のどこにでもいる人間なんだけどなぁ〜。』
でも、いつからだろう、普通という枠組みが曖昧になってしまったのは。
この世界に降りてミーネと会ったとき?
芽生と出会った瞬間?
それとも?
『(あんまり考えたくないけど)』
この呪い、じつは叶って欲しくなければない程
願いが叶ってしまうものではないだろうか?
先程も強く願ったのだ。
このままでいいと、この時間がいいのだと。
そのふくらみが広がった時、どうせなら獣に倒されてもいいや。
なんて言葉が出てきた。
突如綺麗に暗がりは開けて明るくなって
皆が笑ってくれるようになった。
逆に、皆が笑って欲しいと願えば願う程
皆がぎくしゃくし始めてしまう。
それは、本当に偶然なのだろうか?
『(いやどうか嘘であってほしい)』
嘘。本当であってほしいなんてねがってしまう。
そうやって表と裏をひっくり返してゼロにしてきたのを
君はいつもそうやって流して終わらせるんだろう?
何処かから声が聞こえる。
違う違う。これは自分で言い聞かせているだけだ。
「ま別に大したことじゃなければ話す程でもないだろ」
現に強さが勝っている。
そうゼルが言った事にリナも同意した。
『(気付くなって思っていても、気付いて欲しいだなんて思うから?)』
私を選んだ人は本当に見る目があるのかもしれない。
思い浮かんだことをすぐに肯定から否定に返す。
そうやって呪いの現状を分からないようにさせている。
嗚呼、そうやって生きて来たのか。
一体何人が犠牲になってしまったのだろうか?
一体何人が笑って朽ち果てていってしまったのだろうか?
神聖樹の呪いに打ち勝ってハッピーエンド?
いいや、違う。ハッピーエンドを望んじゃいない。
それをどうして貴方は分かってくれないの?
「ここら辺が気になってね…」
そう地図を出して話すリナの言葉を頷きながら少しだけ
考え事を同時進行で進めていく。
『(恐らく今、感じてみたらいい…例えば、自然そうな
マァムとポップが仲良くなってほしい。だなんて。)』
考えてみると、マァムの意見にポップが食いついた
それに対して「そんなこと言わなくてもいいじゃない!」という。
揉めそうになった時に、都佑は辛くなり
仲良くならないでと願ってみた。
すると二人ともどうして突っかかったのか分からず困惑しつつも
仲直りをして、都佑はこの呪いが恐ろしい所にあることを知った。
『(これは知らせない方が良い)』
間違いなく、何者かが私を騙して現状を壊そうとする可能性が高い。
攫われて思考を強制的に返させてみろ。恐ろしい結末しか思いつかない…ああでも
『(怖いだなんて恐怖を覚えている時点で、皆幸せになっているだなんて。)』
私は幸せになって欲しいと願うことすら、許されない人になってしまったのだろうか?
気付いて、欲しいだなんて思ってしまう。
そうすればするほど、誰も気づかないのだ。
嗚呼、とても恐ろしい呪いだ。
助けなんて自分で手折る力を秘めているだなんて。馬鹿ね。
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『(浮遊して、感情を得て)』
一人で最近移動しているきがする。
いやーこそこそと活動するのは楽しいですね。
…若干名に見られている気がするけど、知らないです。
『(気付いて、気付いて)』
浮遊したまま空に背を向けたのをくるっと身体を空に向けて手を伸ばす
ゆっくりと伸ばしたまま、感情を込めて息を吐いてみる
『(いない、いない…あなたは)』
一番大好きな貴方を願ってみる。きっと叶わない。だからこそ
強くふわりと真っ黒な髪の毛の女性が紡がれて手を取ろうとする。
月の光に照らされて、まるで夢の中にいるような錯覚を感じてしまう。
だが、ここは現実なのだ。ここは、夢でもなんでもない。
これは、試しているだけなのだ。
これは、私が
「ー都佑、大好きよ。」
嘘を付いていることを、知る現実なのだ。
『ーっ、違う!!!』
何処までが本当か分からない。
それでも、これだけは分かった。
私は、貴方に会いたくもないし、愛されたくもないという事実が。
その現実に、私は何をしたらいいのか分からなくなる。
嗚呼、違う、私は貴方に褒めて欲しかった。
本当は、本当は、貴方に、会いたくなかった。
会いたくない現実を、否定したかった。
お母さんなんだから、産んでくれたんだから。
そういう外の声がして、とても不愉快だ。
両手で目の上を頭を抱える様に高く身体をあげた
丸まって膝が近くなっていることにやっと気づいた
うそつき
『うそつき』
違う、私は。
「ーねぇ、どっちがいい?」
首元に触れたひんやりとした手の温度に、ヒュッと声が上がった