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これでだいじょうぶ


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夢の微睡







これでだいじょうぶ



Sub Title

ヒュッと心臓が縮まる思いをした都佑は
真っ白な世界を望んだ。真っ暗な世界が見えて来た。

『…嫌いだ、嫌いだ』

手の中に魔力が高ぶっていく
嗚呼、本当に天邪鬼という呪いにかかったようだ。

心なしか、頭の上が少しだけ青く光っている気がする。


「ー私は大好きだよ。」

『っ!!』

ねぇ、それなら、どうして?

どうして貴方はあの時、私を抱きしめてくれたの?


++++++++++++++++

メルル視点

最近とても感情の起伏が激しいとミーネさんからお話を聞いて
現在心配で後を追ってきた私以外に、意外な人を見つけて驚いた

「ーヒュンケルさん?」

「メルルか」

「どうして」

「都佑のことが心配になってな、
俺達を庇うような顔色を必死で隠しているのが空気で何となく分かった。
俺も都佑の気持ちが良く分かる。親を失う気持ちは、とても辛いものだからな。」

ヒュンケルもまた、父親を失っていた。
都佑が罪悪感にさいなまれていないか
心配になって追ってきたのだ。

メルルもまた、同じ気持ちであった。
両親がいない状態な為、彼女のことが気がかりになったのだ。
自分のせいで誰かが傷つくのを人一倍嫌う彼女だからこそ。

「…都佑さんとても優しい人だって私すぐに見抜いたんです。
でもそれはミーネさんだったのかなって思った時もありました。」

「メルル、」

「ですが、彼女が、都佑さんが一番優しいって感じました。
リナさん達と話しているときや、私達と話している時声のトーンが
変わってたりするんですよ?私達の心境を読んで答えているんです。」

それが、酷すぎる程に優しいということを、彼女は知っているのだろうか?
恐らく知らないというか、知れない程まで周りが見えない状況なのだろう。
少なくとも前はメルル位の気に勘づいていたのに、今は浮遊し始めて
魔法力が上がっていくばかりだ。不安が押し寄せてくる。

「…昨日は無かったのが頭の上に大きな蕾としてありました。
その時に、私見たんです、青々と咲く花を見せつけるように
大きなモンスターに対して滅ぼしていく都佑さんを」

そして、その瞳には光がなかったことも。

もし悩み事があるのなら、私でも力になる。
そう思って言おうとした時にはいつもいなくなっている。

「優しい人ほど、心の中にとどめたがるんです。…ポップさんみたいに。」

「だからと言って声をかけるのも…という所か。」

お互い、悩ましいな。そう下を向いたヒュンケルに
メルルはそうですねと返した。

その時、都佑が森の中開けた場所からくるりと身体を空に向けた
手を伸ばした先に、真っ黒な髪の長い女性が都佑の手を触れようとした

突如手を引っ込めた都佑が頭を抱えて首を大きく横に振った
膝を抱える様に丸まっていく都佑の頭には
今にも咲かそうと言わんばかりに蕾が大きくなって



「ー私は大好きだよ。」

そう女性でもアルトトーンだろうか?
少し落ち着いた声色を聞いた途端
都佑の魔法力が爆発した。

なんでなんでそう言っていた動きがぴたりと止まった。


丸まっていた姿を元にもどし、浮遊し続ける都佑の頭には
綺麗な青々とした花が花弁を開かせていた
高さの違う雄蕊が二つ黄色く光らせつつあるも
周りの花弁が空色よりはくすんだ青が印象に残った

月夜に照らされたのもあるのか、たまたま月の光が強くなっただけなのか
ただ、目を奪われる、青い花と憂いの目に青い光が灯された
瞬きすらもゆっくりに見えて、ボケっと見ていたのがバレたのか声を掛けられた


『…いいよ、メルル。こそこそしてないで皆出てきたら?』

そう言った都佑に対して隠れているのも無駄かと言ったヒュンケルが動き出した
他の方にポップやマァム、どうやら皆考えていたことは一緒だったようだ。


『全く、皆の心配をかけちゃって困った人だねぇ私ってば』

「そんなことないわよ…ただ、」

『この瞳が怖い?それとも人にはない綺麗な花が?
それとも…私が二度と戻って来そうにない気がした?』

そう言った都佑に、マァムが大きく頷いた。
それにふむと声を上げて首を傾げる。
一体どうしたのだろうか?

『まぁいいや。当たったって私すごいねぇ〜』

「都佑、死んじゃわない?って思って…わたっ私」

『大丈夫、私は死なないよ…死ねないんだよ。』

そう憂いた目を細めてマァムを抱きしめる
ぽんぽんと背中をたたきつつもふわふわと浮遊したままだ

「此間と随分違う印象だな」

『…どういう?』

「人間離れというか、ダイと同じじゃねぇか」

そう言ったポップに芽生がびくりと動揺する。
ポップとヒュンケルが制を入れるもいう事を聞かない

「そうなったら次はどうなんだ?花が枯れたら勝手に死ぬ?
ダイはどうすんだよ、お前の力で何とかなんねぇのかよ!!」

「ポップ!!!」

ハッとした顔で顔を上げたポップにふわりと風で二歩程後ろにふらついた

『…できたら、ダイはどうなるのよ』

「え?」

『大きな敵を倒していたら?あとちょっとで逃しちゃったら敵が強くなる。
ダイが飛ばされる気持ちも考えてみたらどうって言ってるのよ。』

青い目が揺れ動く、感情が高ぶっている証拠だ

「それなら尚更だ!!使えるもんは使ってみろってもんだろ!!」

『…もなの?』

そう小さな声で聞こえた声に何だと声を上げた


『気付かなければよかった』

そう言って空高く飛び上がって行った
それに芽生がミーネにせがんで浮遊させて追尾すると言う
一体何事なのかと見ると、身体から大量の血を流し続けていた

「ちょ!その傷で行くなんて無茶よ!!」

メルルとマァムが急いで回復魔法をかけるも
全く聞かないから良いよとはっきり言った。
何時もは笑ってばかりで、何も言わなかった少女が
この時ははっきり言葉を言った。


「これは、都佑の痛みだよ。
できるようで、できな、い気持ちを抑えつけたけっぐっ」

「芽生!!」

「だめ、いかな、きゃ、おねが、」

「…わかった。」

「ミーネ!?正気!?」

「どちらにせよ飛び上がった都佑の方が危険よ。
今あの子がどういう状況だか本当に分かって言ってる?
蓋となる鍵が外れて、心の声が駄々洩れになってて、
隠したいのに隠せなくて申し訳ない罪悪感に駆られて
今芽生がこうした状態になっているの。」

「おまけに聞いていた内容と全く違う速度で花が咲いた。
残り少ない命かもしれないと思って振り切ろうとした、
それを貴方は…、いや言うのも時間の無駄ね。芽生いけるね?」

こくりと頷くもぐったりしたままの芽生をメルルが離さない
ダメです!そう強く言うメルルにうるさいと一声大きく叱った。

「…都佑が生きている以上芽生は死なないって言ったでしょ。
痛みを伴うのは百も承知であの子はこの世界に、芽生だって出てきた。」

「それを痛みを緩和させて?痛みが止まったらまた痛みが出る。
その繰り返しで時間稼ぎになると思ってるの?」

「ミーネ、言い過ぎだ」

「…ごめん、とにかく今は放って置いて。」

そう言って空を飛んだミーネに芽生がありがとう
と言って抱きかかえられたまま空の方に飛んで行った


「…俺だって、こうしないといけねぇなんて、」

「ポップさん、」

「分かってんだ、あいつが今言われたくねぇって言葉
でも今言わねぇと何か、もう二度と帰ってこねぇ気がした。」

青い何処までも透き通る青。空色ともまた違う青に飲まれる気がした。
その光を灯した憂いの瞳は、一体何処を見ているのだろうか?

「あいつの髪の毛、段々白くなってんの分かるよな?
多分呪いの効果か何かだろうけどよ
…なんで、なんでこの世界じゃない奴を出すんだよ。」

生贄として、生涯を縛られても尚、生きようともがき苦しむ。
そうしてもしなくても、結果が決まっている。

そんな人生、この代で終らせてしまえば良い。

「あのちっこいのが都佑の心なら、あいつ目死んでなかったの分かったか?」

芽生は苦しむ様子を出していたが、目の色は前に見たよりも強く見えた。
それは意志を持ったような、何かに見えて

「もし都佑の心をそのままうつしているのなら、すぐにでも戻ってくるさ。
沢山傷ついても、死なねぇっつただろ?大丈夫だって!…それに」

こうでもしないと、会えなくて悲しくなるのは、都佑の方じゃねぇのか?
そう言ったポップは月明りに照らされて何処か大人にみえた


++++++++++++++++

助けたい。ただ、助けたい。
そう思った芽生の身体は血の色もべたべたとした感触も無くなっていた。
どうやら上空で苦しんでいるのか繰り出す爆破音で気持ちの整理を行っているらしい。
にしても…

「空に行かないと感情の整理が出来ないだなんて…本当に厄介な呪いにかかったのね。」

「ねぇ、都佑が死んだら、どうなるの?」

「…君たちがどういう理論で分かれているか分からないけど
恐らく君も死んじゃうし、私だって切り離していても完全じゃない。」

恐らく二人とも居なくなるだろう。
それに芽生はもう一つ質問をする

「ねぇそれなら、この神聖樹の力だって衰えるんじゃないの?」

「…それは難しいかも。ダイっていう竜騎士の子いるでしょ?
アレと似たようなもので、神聖樹の力が衰える訳もないよ。
というか今までは血筋が関係していたから強くなったけど、下手したら次はもう、」

「そんな、ねぇまた一からってことになるの?」

何千年という時間を繰り返したのだろうか?
その時間が無駄になりかねない時期でもあるのだ。
衰退したとしても、産まないという意思は持たない筈だ。

魔の力が存在する限り、守れる程の強さはもって置かねばならない。
その力を、本来は神聖樹の加護を持つ者が最大限に発揮するはずだった。

する筈だったのだ。

「基本的には私の方が力を得る筈だったんだけど…これって
別世界の良い奴捕まえてくる私達の方が蓋だったんだなって。」

「どういうこと?」

「蓋をするのはこっち側だったってこと。外の脅威をわざわざ殺す為に
未成年という短い時間蓋をして命を消し去る事でこの世界が維持されていた。」

「それって」

「貴方が悪いんじゃないのよ都佑…悪いのは私たちの種族なだけ。
ごめんね、芽生。貴方にも悪いことを」

「そんなことないよ」

そう首を横に振って違うと意思表示を示す

「だってミーネに会って自分で話せた。
都佑が好きなポップともお話出来た。
マァムや皆とっても優しくていい人だと分かった。」

「芽生…貴方、本当に、子供なの?」

「子供なのに子供として生きれなかった。
だから私達は選ばれてしまったの。
…分かり切っていたのは、私だけだったのかなぁ。」

「芽生…ごめんなさい」

「謝らないで。元々は私達が望んだのがきっかけ。
…そのきっかけを打ち切るのが、今になっただけ。
それも長い夢を見させてくれて寧ろありがとうって
感謝すべきなのよ?」

そうこてんと首をかしげて笑う

「だって貴方に出会えたんだから」

呪われていても
例えその身が一つの者に縛られ続けるものだとしても。
それでも、彼女は、この子は、笑って言うのだろう。
大丈夫なのだと、私は歩めるのだと。

「…本当に、ありがとう」

「ううん、だから大丈夫。
都佑は私は、死ぬ事なんて許されないんだから。」

「うん…ここで待ちましょう。君にも魔法をかけているから
これで浮遊できると思うよ。」

そう浮遊させてみると芽生がふわふわとコントロールをしているのに
昔から想像力は高かったんだなとミーネは思っていた。


「ここで聞くのもアレだけどさ」

「うん」

「前の世界では、どんな世界だったの?」

「…自分で考えたもので自由に動ける世界だった。
それも、決めたものが思い通りにならない世界。」

「それは、しんどいね」

「うん。でも大丈夫って言ってくれたのは都佑なの。
叶わない願いがある位なんだから、これでいいんだって。」

「…そう」

「あの子は、何度だって躓いて何度だって起き上がるよ。
…現にほら、みて」

雲の上、キラキラと光る髪の毛は真っ白で、
青い花が空の色に混じっているようにもみえた


此方を見て、何処か笑っている気がした。































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