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「で、あたしたちは放置って訳」
「暇ですねぇ」
そう見ていると、クレアに呼ばれた為にリナやアメリアが動き出す
「此処からは貴方達の世界も含むから話しておくわ。」
「何々?」
「この世界の理の話よ」
「ことわり?」
「貴方達の世界はこの世界と違う。それは分かってる?」
「ええ、あたしたちの世界は平面世界で、
かつ外にはとんでもない魔族がいるとか。」
「そうそう。この世界と貴方達の世界が金色の魔王の管轄になったのは
私が原因だったというか、神聖樹が出来たことが原因なのよ。」
「へぇ」
「ちょっとドジ踏んじゃって、私が水竜王さんを連れて来ちゃってさー
いやーアレはマジでビビっちゃったわ〜。」
「そんな友達のように言うなんて…」
「その水竜王さんと話していると、目付けられちゃって、こっちの神々が
余りにも管轄が不十分だったからってことで、一時的に見てもらうようになった。」
「分かった。都佑が狙われたのもクレア、あんたのせいってことね!!」
「まぁそうですけども…共通点は同じですし…」
『そうだ!私のこの髪の毛もそうだけど、この花って意味あるの!?』
その言葉に、クレアの顔から表情が消えた
「都佑、貴方…そう、まだそこにはいかないのね。
いや気付いては忘れてを繰り返すのが苦でないなら在り得るか。」
『んお?』
「一応分かってるけど、貴方何処まで知ってる?」
『えーブーケンビリアが情熱って意味くら』
とぼけないでそう真剣そうな顔に都佑は面食らった
見透かされているのがバレているなら言わなくてもいいのにと。
『そうね…魂の花、という異名位の話は知ってるけど?』
「分かってるじゃない、その勘正しいわよ。」
えええええと頭を抱える都佑、かなり早口なったので
多分愚痴だろう放置でいいわよとさらりとかわすクレアに
軽くリナは引いていた
「ああ言っておくけど、髪の色が花に吸われるってのもあってるし、
感情を繰り返すが故に花が活性化するのもあってるし、
何なら命が少ないのだってあってるわよ。」
『ぜんぶあっでんじゃぁあああああ』
元気ねぇそう和むクレアに、現実に居たらどんなことをするんだろう。
そう心なしかぞっとする想像をリナは考えていた。
「此処から此処の呪文はこれね〜
あっ分からない?数T位わかるでしょ?」
『えっ学校何処行ってたんですかぃクレアさん
…おねぇさん名前からして外人ですかね。日本ちゃいます?』
「何関西弁になってんのよ。これでも日本人よ。
あと偽名に決まってるでしょ。この世界に縛られない程度で
良いと思って言ったのよ…ってあれまさか都佑ってあれ本名?」
頷く都佑に、なんでえええと全力で肩を前後に振る
「あんた何してんのよおお!!名で身体を縛られるのよ
命令を忠実に聞くプログラムじゃないのよこちとら!!
ってそんなに賢いのに何でそこでミスするのよおおおお」
落ち着けとバーンが言うのに、ぜいぜいと息を吐くクレアだが
都佑は軽く泡を吹いていた…一応息はしているので大丈夫だろう。
「まぁいいわ。芽生が出られたのもそういう所よ。」
『あれミーネは?』
「あの子孫は元々蓋の意味で通ってるからぶっちゃけ役職の名前に近いわよ。
日本人が英語のように女の子を「ガール」って言うのと一緒。
元々本名は別にあるし、神聖樹の近くでは特に言わないようにさせてるはずよ。」
「徹底してたのねぇー」
「まぁ記憶操作ができるのは神聖樹の方だし、最初にドジ踏むのは
なんというか親戚じゃないとは思うけど、似た者同士をこうも
ぽんぽんと手を出す神聖樹も神聖樹よ…」
「それにしても本当に最後が都佑みたいな子で良かったわ。」
どういうこと?そう言ったのはリナだった
「都佑の代で終わらせるようにするからね。
リナ貴方達が帰ったらこの場所は消し炭にさせる予定よ。」
「ええ!?そんなーじゃあ二度と会えなくなっちゃうんですか?」
「アメリア、仕方がないわよ。元々私達がこの世界に
移動出来てる時点でアウトなのよア・ウ・ト!」
「ですけどもー」
「寂しくなるのは分かるけどね〜
一応そっちにミーネ連れてく予定だから安心して?
だって元々ミーネはそっちの人間だったんだからねぇ〜」
「ええ!?」
「記憶操作してこの世界に生まれたってしているけど
元々はミーネそっちの世界なのも、都佑は封じられていたとしても
そっちの世界では何も不自由しなかっただろうし。」
「まぁ確かに、魔法を覚えるのやけに早かった時あったから…」
「切り離しても活動できるようにしている途中だからね。
というか元々別世界に移動出来るポートがあるのが駄目なのよ。
私は別にこの場所に居るし死なないしいいけどね。」
『ほえーー、そっかー皆とお別れになっちゃうのか…』
「元々会えないで当たり前の人達だったからねぇ。
寂しくなるのも分からなくはないわ。
貴方は何処にも行けなくなってるから意味ないけどね。」
ごめんってーと泣く都佑に、クレアはくすりと笑った
「都佑、貴方は優しい子なのね。こういうのもアレだけど
本当に、貴方が来てくれてよかった。」
『クレア…』
「人が傷つかないようにするばかりに、自分を見失って暴走する。
バーン、貴方がこの場を焼き尽くさなかったのは、私との思い出を
消したくなかったからでしょう?」
そう都佑の手を取って話すクレアにそっぽを向いたバーンを見て
都佑は首を大きく傾げた
「にしても貴方、私だけじゃなくて都佑にまで拾われるって…
本当におかしい人ね!」
「煩い!!あの時はまだ力が無かっただけで」
「あーら、そう言うなら、都佑に
拾われた時はどう言い訳するんですかねぇ?」
「…ぬぅ」
言い負けしてる…そうおどおどするアメリアや都佑に対して
クレアがクスクスと笑う。
「本当に…生きてるみたい。」
「生きればよかろう、お主に命を宿す事などたやすかろうに」
「それはダメよ。神聖樹の加護が二つに重なる時、
とてつもないことが起きるなんて、貴方知ってるでしょう?」
『昔、あったのね…そんなことが』
神聖樹の加護を得た者が二人、かつてのダイとバランのように。
こくりと頷いたクレアが話を続ける。
「ええ、私もびっくりして驚いたものよ?
まぁ私がこうやっているのはまだ置いておいて。
ほら、こっちおいで。」
そうこいこいと手を振るクレアに、都佑は近く寄る
クレアの手の中に、キラキラした光が宿り始めた
『…ねぇ、クレアって日本語で意味があるの、貴方は知ってる?』
「いいえ?特に考えてなかったけど…もしかして悪い事だった?」
いいや、その逆だ。
『ううん。とってもいい名前だなって名付けた人天才だなって思っただけよ』
明るくて、透き通ったような髪の色に、真っすぐと見つめるその瞳
名前の通りで、少しいやかなり嬉しかった。
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『これで終わりね』
「おーい!都佑!そっちも終わったのか?」
『ポップ達も?』
嗚呼そう言って帰って来たポップ達にクレアはそろそろね。と言った
「ミーネ、貴方がこの子を守るのよ。」
「勿論、承知の上ですよ…クレア様」
「止めてちょうだい、その呼び方はもう過ぎたものよ。」
「あの子は、都佑は…本当に貴方に似ています。生まれ変わりかと思いましたもの…」
「そりゃ私も見た時は驚いたわよ。バーンが見間違えるのも無理ないわ
あんな無垢でまっすぐ歩こうとしてるのにドジ踏む馬鹿は。」
「…いや流石にそのように思ってるわけでは」
そうミーネとバーンが軽く引くも、冗談だとクレアは言った。
「都佑、その力は強大だけど貴方が使うことに素直に受け入れてくれるわ。
きっと貴方ならダイさんって子を見つけられるし、ガウリィーさんを見つけて
ちゃちゃっとリナさん達を元の世界に戻してきんしゃい!!」
そう背中を叩かれた都佑は「いっだ」と言って痛がるのに
クレアは大きく笑っていた
「都佑」
『ん?』
風が大きく吹き、髪の毛が横に流れる
草木が木漏れ日になり光のカーテンが見えた
「私みたいにならないでね?」
『…うん、頑張ってみるね。』
永久の者にならないように。そうぼやいた都佑は後ろを向いて歩きだした
先を見据えて、ただ歩き始めたのだ。それに続いてポップ達も歩き出す
「…バーン、貴方も生きなさい。」
「だが…お前は」
「良いっつたでしょ?それに、あの子が全てを崩してくれるのなら
私だっていつか貴方に出会えるかもしれないじゃない?
…さっさと死んで、貴方に迎えに来てもらわないと。」
「…そうだな、そう言うならもう少しだけ足掻いてみせるわ」
ええ、そうして。そう言って背中を押したクレアを少しだけ
心残りを残しつつ、バーンは前を向いて歩きだした
居なくなった、時
クレアはぼそりと手を下ろしてぼやいた
「…おねがい、どうか変わって。」
優しい貴方なら、道理が狂ったこの状況を
きっとこの世界の理さえも塗り替えてくれると信じてる。
もう、願うことしか出来なくなった身体を呪いつつ
知識全てを覚えさせてクレアは身体を地面に委ねたのだった
++++++++++++++++
『よし、これでいいか』
「都佑さん、ちょっといいですか?」
最終確認と言わんばかりに素振りをしていた都佑に
アバンが声をかけた
汗を手の甲で拭った都佑が何?と声を上げる
「いや、何を知ったのかちょっと聞いておきたくてですねぇ」
『…教えないよ』
「それは力を使える可能性が高いと判断をしても?」
そっぽを向いた都佑に、さようですかと言いながら近くにあった岩に腰をかけた
「クレアさんを生き返らせるおつもりなら、やめた方がいいですよ。」
『何故?』
「彼女が言うように、死者をそれも千年以上も昔の者を生き返らせてみなさい。
貴方にどのようなダメージが及ぶか想像を超えることが起こる可能性が高い。
命を引き換えに生き返らせたとしても、クレアさんはそれを知っていれば、
優しい貴方なら、もう私の言いたい事は分かるでしょう?」
『…いじわる』
「それでとどまる位なら、なんとでも言ってくれて構いませんよ。」
『バーン、目の色が光っていたの、分かった?』
「…」
『嬉しそうだった、ただ、暗がりの世界にしか居なかったのに
一筋の光を、時間を得ていたからこそ、この世界を崩壊させたかったら
一人の生贄で終るならってほんの少しだけ思ってた。』
「都佑さん、」
『だけど、きっと誰かはそうやってしてるだろうし、
ただ普通に話しかけた私に対してクレア凄く嬉しそうだった。
私と一緒に話すっていうのが嬉しそうだったから、
私の命を捧げてしまったら、
悲しむのなんてなんとなくでも分かってしまうよ。』
でも、もしそれで誰かが救われるのなら、
自分の命は軽く摘んで捧げてしまうのだろう。
…昔の自分であれば。
『違う道で何かあればとは思ってるから、其処まで心配しなくてもいいよ。』
「そうなら、良いんですが…一応私は忠告しましたからね?」
『ありがと、せんせ』
いいえ。そう言ってアバンは微笑んだ
「そう言えば最近ポップと話していませんが、避けているんですか?」
『んーそういう訳じゃないけど、心が不安定な状態で
彼に傷を負って自分が傷つきたくない。自分の保身の為に
動いている自分が嫌で逃げてるだけ…かな?』
「ポップはそんなこと気にしないとは思いますが
…まぁそれも、分かっていての行動でしょう?」
そう言ったアバンに頷く都佑に大きく息を吐いた
「全く、似た者同士がくっつくとろくなことがないんですがねぇ〜」
『ん?』
「いえ、気にしないで下さい。
ただの独り言です。それよりも、ごはんにしましょう。」
ー都佑、ご飯できたわよ〜
そう言われた気がして、後ろを振り返った。
頭に少し暖かな手のぬくもりが伝わる
「…行きましょう」
『うん』
私は、ずっと囚われて今も生きている。
貴方と一緒に生きていたのが、今も恋しいと
思えてしまう程に、時間が過ぎ去ってしまったというのに。
「あー!やっときたー!!腹ペコなのよおおお」
「すいません、ちょっと遅れてしまって」
『ごめんてー』
手が触れて繋いだ感覚も、頭を優しく撫でてくれた感触も
目と目が合って笑った時間も、何が出来て嬉しかった達成感も
「そういえばこのサラダ何方が考えたんですか?」
『私とポップが共同で作ったんだー』
「へぇ〜それは是非とも教えて頂きたい物ですねぇ〜」
貴方がたとえ忙しない時間に呑まれて忘れていたとしても
私は、私はずっとこの場所で息をひそめて待ち続けていようと思っていた。
思っていたんだ。
「んん!!!!」
「リナさーん人の物取るなんて大人げないですって〜まだありますよ!!」
「すまない、食事に関しては殺気だってな…これは礼だ」
「ああいや、別に構わないけど…貴方も大変ね」
「分かってくれるか、マァムよ…」
だから時間を止めてまでしても、成長を遅くして、そしてぴたりと止めていた。
成長を止めた代償を払って欲しいわけでも無くて、私が望んだだけだし。
でも、何処かドアを開けて「ただいま」と言って帰ってきてほしかった。
それだけでも、許されないと思った気がして。
私は酷く心を揺らしてしまった。
だからこれは罪なのだと、そう思い込んでいた。
でも、リナやポップ達に出会ってから変わって行った
少しでも、貴方に認めて欲しくて行動していただけなんだと
誰にでもある、行動だったのだと。
「ヒュンケルさん達、大丈夫ですかね…
あとポップさん、心の声もう少し抑えてもらえませんか?」
「あいつらに関してはタフだし大丈夫だろ。
って聞くなよメルル!!恥ずかしいじゃねぇか!!」
「いや頭の中に勝手に入ってくるんですよ…仕方がないじゃないですか!」
「どんなこと言うんだ?」
「いやそれは…」
「あーーー」
「なんだよマァムにヒムも!!俺が何したってんだよおおお」
これは、塞がなくても大丈夫。
母のことを願っていたのも、小さな友達を持ちたかったのも
全部叶ってしまっただけなのだと。もう、終わりが近いことなのだと。
そうだ、終わるのが、怖かったから、到着地点が分からなかったから。
だから今まで永久に願ってしまっただけなのだ。
「仕方がないだろ、こうなったもんはぶっつけ本番でなんとかする!」
「計画性が無さ過ぎて心配にならんのか、アバンよ」
「いやいやなるに決まってるじゃないですか。」
「まぁポップらしいちゃらしいけどね〜」
これが終わったら、旅をしてみたいのかもしれない。
日本に似たような世界なのなら、前見た世界と似たような場所や
環境になっていないか気になったし、パプニカ王国も気になっている。
そうだ、まだ、諦める訳にもいかないのだ。
どうせ職業なんて適当に言っていればいいし、バレないように
動いてしまえば良いんだから、旅でいいや。
あの時暮らしていた時よりも、ずっと自由なのに
自分で縛り続けているだけで、苦しかった。
少しだけでも、今はただ、貴方にあえて良かったという現実に浸らせてほしい。
『(クレア、私も貴方にあえて良かった。)』
優しいのは貴方もよ。そう思いながら、近くにあったサラダを一口頬張った
嗚呼、シャキシャキとしたみずみずしさが口の中に広がっていく。
昔はタレを飲み物かと言わんばかりにかけないと食べれなかったのに、
今はもう、成長したんだ。足踏みをしているわけにはいけない。
前に進まなければ、いけないのだ。
『(…君の力を、最大限に発揮しよう。)』
君がこの場所に生きていけるようにも。
私は、この力を使わなければいけない。
そう、何処かの鍵が、かちりとはまった気がして。