Novel - Paola | Kerry

it's just you


いえない感情

20/09/15
10



幸いなことに今日は休日ぼけーっとする時間に
何もしないのは悪いと思った。


そうしたメルの言葉は
携帯のメールでかき消されることになった。




『お待たせしました〜!』

「お、ごめんね!!休日なのに…」

『いえ…寧ろお待たせしましたよね?
ごめんなさい』


そう真っ黒のワンピース姿で走ってきたメルは
息を切らして膝に手を置いて
はぁはぁと漏らす息を整える


それに構わないと言って
何時もは髪の毛を上げていた悪魔が
下したままフードを被っていた


ことの発端はその一時間前




メールに来た文章をみたと
同時に電話がかかってきた。




ーあ、メルちゃん今暇?

ーはい。一応…どうしました?

ーいやすんごい申し訳ないんだけどさ
うちん所でちょっと聞きたい事できて

ーん?何でしょう私でも力になれるのなら。

ーとりあえず教師宿舎に来れる?
あとオペラさん連れてきてもいいから!!


ってか連れてきて!!そう言って
切られた電話に首を傾げつつ、
メルはオペラを呼び
入間とサリバンには内容を伝えて来たのが教師宿舎。




「いやいや申し訳ないマジで」


『どどどうされたんですか?
オペラ先輩もうきっと大丈夫です!
お迎えの際は電話しますので!!』


「メル様?教師宿舎とは言え度男性です。
メル様がいくら強かれど貴方は女性ですよ。
こんな狼さんが沢山居る中に一人置いて帰れません。」


「狼さん」


そうオペラの言葉に精神医学のツムルが
聞いた言葉を復唱する。


『あう!でででも!
狼さんでもほら!
オリアス先生いるし!!』


「メル様お伝えしていましたよね?
オリアス先生も男性です。狼さんです。
あとオリアス先生を狼さんから
除外されたらオリアス先生泣いてしまいます。」


そうですね。
それは流石に男として見られない
って言うのもプライドが泣いてしまいますね。

そう思いながらオリアスは苦笑いしつつ、
助けられない事には仕方がないと思った。




『あう!!』

「ですが、まぁ内容によりけりで
私は帰ります。それで要件は?」


「それが…うちの奴が悪周期に入って
それで女子の好みを女子に聞かないと嫌だと駄々捏ねて…」

『このみ』

「一応抑えては居るんだけど全く効果なくてね〜
かれこれ二時間ぶっ通しだし、これ以上の被害出したくないから」

そう言ったダリにメルは
壊れたビデオテープの様に好みと復唱する。



「私は帰りますねメル様それでは」


『待て待て待て待て待て!!!!お座り!!!!』


「俺達が女子寮に聞くのも悪いし、
誰に相談して来てくれるかってなったら
メルちゃんしか頼れなくて!!!」


『う゛ぐっ!!!』


頼れなくて。
と言われて困り固まるメルに、
オペラは大丈夫ですと言った



「皆さま…もしメル様に
何かあれば…分かりますよね?」


「ーーっ!!はい、肝に銘じておきます。」

そう威嚇したランクの高さに
ぞっとしたのはオリアスだけでなく
寮に居た全員が感じ取ったものだった。


「それでは、メル様行ってらっしゃいませ。」


『あはは』


+++++++++++++++++++++++++++



という訳で、悪周期に入った悪魔教師の一人の為に
女子である私が、悪魔女子の好みを教えることになった。


いや何故私ぃ…???

しかも私人間だよ?悪魔じゃないよ?

というか愚痴を聞いてあげると言う事である。
本来ならば男子寮なので男子だけで無理矢理口を紡ぐのだが
如何せんかなりのストレスをためていた為、暴れられると困る。


それ程の威力を一度で思い知り、
かと言って女性に聞くには申し訳ない。

それに悪魔女性だと襲いかねない。

魅了にならず話を聞いてすんなり
上手く行きそうな女性を
全員で考えた挙句の果て、

オリアスと仲のいい
メルが抜擢されたのだ。


ちなみに、オリアスは最初大反対した。
それも今まで見たことない程のブチ切れを。

それもそうだ。
メルは人間でそれも女性だ。

恋をして結婚して幸せになる世界を
今現在出来る様にも、
オリアス自らメルがとりあえず生物としても
好き嫌いを見分けつけることから教えている位だ。


そんな大事にしている人間の彼女を
そうホイホイと悪魔の
しかも悪周期真っただ中の奴の為に
お願いするわけにはいかなかった。


だが、メルは悪魔ではなく人間なのだ。


悪魔ではない管轄外になる事を閃いた自分が悔しいが、
このまま放置して崩壊されるのは困る。


その為メルちゃんに
メールをしたうえで電話をして、
オペラさんに一度電話で事情を説明した。


勿論隅々まで香水をぶっかけて
人間の匂いすら消した状態で、
俺の占星ラッキーハッピー
常時発動させた状態で許可を得たのだ。




全くうちの悪魔が申し訳ない。


今度何か男子寮全員で
奢らなければいけないものだ。



『あの、その…オリアス先生
ちょっと近い…』


「駄目。これ以上離れたら。」


そう手を握って彼女の肩を軽く掴んで警戒する。

フードを外して、彼女が
不幸に巻き込まれないように集中する。

下手すれば俺の命だけでなく
全教員の命まで刈り取られる。

勿論目の前の悪周期じゃなくて
オペラさんにだが。




警戒するオリアスに、
メルはおどおどしつつ、
何のコトだと問う。


「モテないんです!
女子はどんなのが好みなんですか!!!」

『…よし、帰るか。』

その言葉に待て待て待て待てと
赤髪を一つに束ねているツムルと
白髪の髪の毛を降ろしていたイチョウが
声を上げメルの肩を掴んだ。

メルが真顔でオリアスの傍から
離れようとしたのに
何人かがいやいやいやいやと首を横に振った。

『あーこれ多分発散させた方が早いですよ。
何をとは言いませんが。』


「いや何を!?ってかメルちゃん
俺達の命かかってんだって!!!」


『まさか掘られる訳でも…あっ成る程!?』


「ちょっと誰!!
この子に変な事吹き込んだ奴!!!」


そうとんでもない勘違い
いやそうでもあるのだが、

他の悪魔が言った事に
オリアスは俺違うからな!と
心の声で変な事は吹き込んでいないと答えた。


『んーそうですねぇ
…好きな子は居ますか?』


「い、る…でもそっぽ向かれて、
欲しいものも上げたのに嫌って」


『あちゃーそりゃ困りましたよね。
折角欲しいもの渡したのに
何でなんだよ!!ってなりますよね。』



あれ?



「そうなんだよ!!!
なのにあいつったら
俺のこと弄んで」


『そう思いますよね。
私もそうだと思います。』


「だから殺したくなって」


『でもそうしたら
二度と彼女に会えなくなりますよ?』


そう言ったメルの声が
高い声から低くなった


『良いんですか?
声も顔も分からなくなって
貴方の記憶から
彼女という存在が消されてしまう。』


「そんなこと、やだ…」


『なら心の中で発散して、
ダメなら周りにもっと言って下さい。

彼女の写真は見せてくれますか?
きっと貴方がまだ彼女が
見て欲しいって所があると思うんです。』


そう言ったメルに、
落ち着いた悪魔が、のそのそと返ってったと思えば、
一枚の写真を持って来てくれた

それにメルの前に手渡して
メルがありがとうと
嬉しそう笑って答えた


最早過保護というか、
抱きかかえたメルに、
オリアスが覗き込んだ


『あら、優しそうな彼女さんじゃないですか!
いいなぁ羨ましいなぁ〜』


そう言ったメルに悪魔がピクリと動いた



「そうなんだよ、彼女、凄い優しくて、
何時も俺なんかの為に時間割いてくれる。」


『ふふ、そんな感じしました。
でも服的に何あげたんですか?
アッひょっとして香水とかあげちゃいました?』


「な、なんで」


『女性でも香水とか匂いはシビアなんですよ。
最初はシャンプーに近いの
渡したりとか良いですよ?』


「でも子供って…思ったり」


『いいえ?案外喜ばれますよ。
下手にかっこつけてダサく見えるよりも
一生懸命考えて、この結果に来たって見せつけちゃった方が
きっと貴方の事を考えた彼女なんで、喜んでくれると思います。』


そう嬉しそうにはいと答えてメルが写真を返した。


『あ!そうだ!料理得意ですか?』


「うん…」


『じゃあ彼女さんの好きな食べ物とか
作って持っていくとか!
お家デートってやつ良いと思うんですよ!!』


「そう…なのか?」


『好きな食べ物とか
貴方の方が沢山知ってると思うんです。
きっと彼女さんはありのままを
伝えてくれる貴方が好きになったと思います。

自分の物として見られたりして
怒ったりとかしますので。』


嫌ですよね?そう言ったメルに、
頷く悪魔の周りが徐々に落ち着いていく



『大丈夫です。もし間違えて怒られちゃったら
また挑戦してみればいいです。
だって怒るって、
貴方の事を見て比べて怒ってるだけなので。

きっと前の方が大好きだったって。
でも成長したいんでしょう?』


「そう!!まえに、すすみたい
…でも、モテなかったからどうしていいか」


『なるほど。でしたら
女性用の本も買ってみることおすすめですよ!
ほら今からでも遅くないです!
目の前で電話しても構いませんよ?』


そう言ったメルに、ううむと言いながら、
電話する彼にメルはニコニコしたままだ。
冷や汗をたらしつつ、半目でオリアスが彼を見る


ーうん、ああと言いながらごめんと言い、
怒りの声が聞こえたと思えば
優しい声が漏れてきた。


これはひと段落付いたと思った。




「ありがとう。ちょっと頑張ってみるよ。」


『ええ!ゆっくり休んで下さいね?
テストは無事終わりましたし!!
採点とかあれば私も手伝いますよ?』


「いや大丈夫だよ。頑張ってみる。」


ありがとうそう言って
ドアが閉まったと同時に
周りから一気に歓声が飛び交った。



「凄いよ!!メルちゃん!!!
あの子前から困ってて悩みは
聞いてたらしいんだけど
中々うまくいかなくて。」


「得意魔術も物理的だったから、
前に崩壊したことあってさ。
いやほんとありがとう…」


『はえ〜〜』


そう言って驚くメルに全員がじっと見る。
オリアスの腕を両手で掴みながらこくこくと頷いて自然に居る。
もう流石に大丈夫じゃない?とマルバスが声を掛けた


「いやでも…」


『マルバス先生構いません〜
オペラ先輩からのお伝えで男性寮入ってる時は
このままを維持したままが条件でして…』


「過保護だなぁーー」


いやいや、そんなこと多分無いですよ。
そう言ったメルに
ほんとごめんねとオリアスが言う。


「嫁入り前の女性を抱きしめるってー
オリアス先生ったらー」


そう言ったロビンに、
そうだったと思わんばかりにごめんと言って
メルから離れる。

それにメルは状況を理解したのか、顔を段々赤らめた。


『いいいいいいやだだだだ大丈夫ですよ!?
手ほら繋いでたら近いですし!!』


「いやでも、嫁入り前の女性を
抱きしめたままずっと
…いやほんと覚悟するから。」


『待って何の!?
オリアス先生オペラ先輩に何か脅されました!?
私から強く言っておきますよ!?』


「はいはいそこまで!二人とも落ち着いて。
メルちゃん、今日はほんとありがとう。
お詫びなんだけど、何か俺達に出来ることあれば言って?」


というかこのままさようならは
流石に俺達申し訳なくて全員悪周期入りそう。

そう苦笑いしたダリ先生に
流石にそれはダメですねぇと
メルが笑う。



『んーって言っても…あ!
なら、ちょっと我儘でもいいですかね?』


「我儘どころかじゃんじゃん言って!!!」


そう言った誰かに、
メルは笑ってそれではと言った。



+++++++++++++++++++++++++++



「ねぇメル先生マジで可愛くない?惚れそう惚れた。」


「怖かっただろうに、
俺達と一緒にご飯食べたいだけとか…
…天使か。」

「いや悪魔だよ」

そう白い目で見るオリアスに、メルは苦笑いした。

お手伝いさせて欲しいとメルから言ったのだが
流石に今日のヒーロー救いの女神に
そこまでやらせるわけにはいかないということで、
ロビンにオリアス先生と話しててよと言われて
席に座らされたのだ。



少し早い時間だが、
ご飯を食べてちょっと遊んでから帰ると
オペラに連絡を入れて許可を得たばかりだった。


『にしても誰の入れ知恵ですか?
彼の話聞いてると明らか
誰かの言葉っぽそうな感じしましたが…』


「俺達です…」

そう手を上げた者にメルはくるりと身体を向ける。
先程の笑顔はスンと消えてただ目も口も表情を消した。
明らかに怒っているのは目に見えて分かって
見ていた全員がぎょっとした。

貴方達ですかと言う声の低さにひぃと悪魔が引き下がる。
要らない情報を与えて拗らせた馬鹿はと言うメルの肩を
まぁまぁ落ち着いてとマルバスがなだめる。


『罰として今月の女性誌見といてください。
確か今回女性目線で良い線ついてるものだったので。』

鵜吞みはしないように。そう言ってははーと言う声で
吹きそうになったメルはぐっとこらえた。

「にしても予定あっただろうにごめんね」


『いいですってばー。お返しは皆さんが
私の頭撫でてくれたらチャラです。』


「……ねぇ、オリアス先生。
どう教育したらこうなるの?
メルちゃん何なの天使?」


「…やめて下さい。」


一瞬俺もそう見えたんで。
そうは口が裂けても言えないが。

そう頭を抱えるというか顔を見せない様に
フードを全被りしていたオリアスに

ダリが目の前に座って笑っていた
そういや、それ私服ー?と
ダリが言うのに、メルだけでなく
オリアスも顔を上げた


『嗚呼、そうですよ。
最近これ好きで着てるんです。』


「可愛いねぇ〜いやー
男性寮だから紅一点居ると違うね〜」


『いや私なんて紅一点にすらなりませんって〜!』


それに私人間だから紅一点どころか好一点では!?
そう美味しいという意味合いを込めて思ったツッコミに
心の声でツッコミを返されることは無かった。


「でも一事はどうなるかと思ったけど、良かったよ。
オリアス君も悪周期入る手前だったし」


『えっ?』


「ちょ、やめて下さい。」


具合悪いんですか?何処?
そう覗き込むメルに、
大丈夫だからと照れた顔を
何とか隠そうとフードを深くかぶり、そっぽを向いた


それに面白いなぁと言ったダリに、
メルは余計に首を傾げた。


「どうせならそのデートってやつしたら?」


『ぴっ!!』


お?そうニコニコ笑うダリに、
メルが顔を茹でダコかと思う位に赤くした


『でででデートなんて!
だだダリ先生!!
冗談きついですってー!!』


「え?デートって、何?」


『その…、日時や場所を決めて会うことで…』


なんだぁと皆がホッとしていたのに、
メルが更に言う



『交際中、又は互いに
恋愛的な展開を期待している前提で
行くものでして…』


恥ずかしいと言わんばかりに
顔を赤くしたメルが小さな手で自分の顔を隠す

口元や一部目等見え隠れして、
殆ど隠せてないのではと思うのだが


『おおおオリアス先生に悪いですよ!
全く〜!あ!!料理来ましたね!!』


そう嬉しそうに笑うメルに
オリアスは照れつつ、嗚呼と返した。

彼女が傍でずっと笑ってくれるというのが、
付き合って結婚するというのなら。


一番嬉しいと思ってしまった自分の心に、
何処かまだ気付きたくなかった。


頬張る彼女に、水飲みなよと言うオリアス
首を横に振って更に口に物を入れて少し胸を叩いたのに
食事を止めてオリアスが背中を軽く叩いてやる


呑み込めたのか、ごめんごめんと笑うメルに
オリアスが冷や冷やさせんなと言った。


「イチャイチャすんなぁ〜可愛いなぁおい!!」


そう誰かが言ったのに、
驚いたメルが椅子から一瞬浮いた


『にしても美味しいですね!
いいなぁこれ位料理上手くなりたいなぁ』


「え?料理してないんですか?意外…」


『うちにはオペラ先輩居ますから…
ちょくちょく教えて貰うんですが
中々難しくて…』


「へぇー何作るの?」


『んーそうですねぇ。
最近だとハン…いや魔ポリタンを』




あっぶねーーー!!!!


アブねぇ!!


普通に日本の食事と勘違いしてた!!!

此処魔界!

しかも隣だけ人間知ってるの!!

日本の食文化知らない!!



危うく大好きなハンバーグの話をしようとしてた。


私意外と外の料理の名前知らないし、
あってるか分からないから魔付けれる物何でもと思って
とりあえずナポリタンならぬ魔ポリタンに切り替えた。


それにみんなが成る程ーと言って
話を盛り上げてくれるので結構楽だ。



確かにナポリタンも好きだが…



『(親が買ってきてくれた唯一の料理だった)』



何時もは自分から金をせびる親だったが、
唯一親が私の為にと買ってくれた。


そのナポリタンが凄く美味しくて、只嬉しかったから。



今では寂しくなった時に食べるのが癖になっている。


そんなこと今までずっと忘れていた。
だからか、何処か怖くなった。




彼に言った様に、私も忘れていたのだと。





「メルちゃん?どした?お腹痛い?」


『あ、いや…段々お腹はって
苦しくなってきただけで。』


そう言ったメルに残してもいいからね!?
と言われた言葉に申し訳ないと言った。
まぁ、実際はお腹まだ空いているのだが
ナイーブな感情をばらしたくない必死の嘘だった。


綺麗に平らげた後、オペラさんに電話をかけた。


ゲームは今度遊びに来た時にでもしようと約束したのだ。

流石にテスト明けは悪いからな。

そうごちそうさまでしたーと言って帰るメルに、
オリアスが待ってと手を取った


「…メルちゃん、お腹まだ空いてるでしょ。」


『っえ!?何で!!あっ!』


どうして気付いたのか、
使い魔と言ってメルは思い出した。

主人の心の声が聞こえてくると
何処かで聞いたことを思い出したのだ。




「全く、あんな気持ち何時も
俺達と会話する時も持ってんの?」


『…気悪くしちゃいました?』


「いや、寧ろもっと自信もって良いよって思ったさ。
ほらおすすめのポテコ。」


そう売店に入ってメルに
手渡したのはお気に入りのお菓子だった
前にメルは甘いものは好きだが
クリームが苦手だと言っていたのを
オリアスは思い出した。



「生クリーム嫌なら
これとかどうかなと思って…」


『ポテチだぁ!!!うわぁ!
ポテコってあったような?
いや良いや!!』


そうキラキラしてみるメルに
オリアスはくすりと笑った。


嗚呼、そうやって笑うメルが
可愛らしいのだと。



ポカポカと温かい気持ちになる。



「買うなら俺に持たせてよ」


『えっ!いやでも僕』


「何?お礼もさせてくれないの?」


『うっ…ありがとうございます、です。』



いいえ此方こそ。
そう言ってメルが選んだお菓子と一緒に購入した。



袋を抱きしめて嬉しそうに笑うメルに、オリアスは呟いた



「それで満足するの?」


そう言ったオリアスに、メルが駄目?と答えた
しまったと思ったオリアスは思わず口を手で隠した


『誰かを助けて、誰かと一緒に居て、
そうやって満足するのは、間違ってますかね?』


「いや、成長してるよ。えらいえらい。」


そう言ってメルの頭を優しく撫でた後
今度ちゃんとした物を渡そうと思ったオリアスだった。




+++++++++++++++++++++++++++



「では私達はこれで」


『お世話になりましたぁ〜』


「「此方こそ大変お世話になりました…」」


そう嬉しそうに笑うメルに対して、
懺悔でもするのかと言う位
土下座の勢いでお礼をした男子寮の方に、

メルは苦笑いして
その場を去ったのだった。


「おや、そちらはどうされたんですか?」


『え?ああお礼にって
オリアス先生が奢ってくれたんです!』


「おやおや…それはそれは。」


『とっても優しい狼さんでしたよ?』


そうにこりと笑ったメルに、
オペラは目を丸くした。


彼女がそう笑って話すなんて
手で数える位しかなかったからだ。



何時もは無表情か作り笑顔で
此方の様子を無意識的に見ていた。


大丈夫か、

何も悪い事はいっていないか、

そういう気持ちが見えた。



なのに、最近オリアス先生の話題になると
聞いて聞いてと言わんばかりに嬉しそうに話す。




「それは良かったですね。」


『ご飯もう少し食べたいけど、
これはちょっともったいないから
置いときたいなぁ。』


「食べて差し上げたらどうですか?
そうでもしないと
後で食べてないのか聞かれますよ?」


そんなことないよーそう言って、
大事に取っていたメルのポテコを
おなかをすかせた入間が無断で食べてしまい、
悪周期になりかけたのはまた別のお話である。



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