Novel - Paola | Kerry

it's just you


見て覚えるな2

20/09/15
101

扉の先には長い卓が直線状にあり
その奥先に一人の男性が腰をかけて此方を見ていた


「…ようこそ、魔女集会へ」



『(…圧が尋常じゃない)』

その威圧感は人一人が出すものではない
明らかな威圧にメルが生唾を飲みこむ
それに気づいたのかやめなぁいと奥の女性が言った

「彼女怖がってるわよ?
折角の期待の新人潰しちゃ魔女も廃れるわ?」

「其処まで威圧はしていない筈なんだがな
…ちょっと期待してな。」

どうぞ座ってそう手を前に出したのに、
オリアスとメルは頷いて
席の前にある二つに座ったそれに
よく来ていただいたと声を出す者に目を向けた


「私の名前はチェリオと言う。
こっちはファルファレロ」

ファルと呼んでくれて構わないそう言った男性に
メルはぺこりとおじぎをする
ちょこんと座って膝を揃えて背筋を伸ばす
帽子を外しているのに気付いてメルもまた帽子を外した

「急に来て頂いて申し訳ない。
本来ならばもう少し様子をみて
魔女の指示をと出す予定だったが…
君の行動がどうも気になってねぇ?」

『っ(こいつ多分過去に来たこと分かってるな)』

「ご名答。確かに私には分かるよ、
君が未来から来ている事も…そして」

君が未来を破壊した神の生まれ変わりということも
ソレの言葉にオリアスがバッとメルの方を見る
メルの目はスッと細まりチェリオを睨みつけていた

ぐっと手に力が入り服がよれる


『…証拠は?』

「君の心がそう言っている。
嘘を付いても無駄だ、
君は正直者だからすぐに分かる。」

心も読めそうだしな。

「そうだ心が読める。
まぁと言っても私が読めるのは
魔女のみだが…それは良い」

本題に入ろう。そう言ったチェリオがメルに言う



「君は深淵なる古から伝わる
“永久の魔女”になって欲しい。」


++++++++++++++++++++++

魔女と悪魔の願い事は等価交換
魔女が永久を望むなら、
悪魔にその対価を差し出さねばいけない
永久に勝るほどの力があればそれを渡す。

魔女は悪魔に魂を売り、
ひとならざる者に変わる者である。
それは天使の生まれ変わりや
悪魔の生まれ変わりも含まれている。


『永久の魔女…とは一体どういう者ですか?』

「永久の魔女、それは天使や神々
悪魔ですら恐れる究極の魔女。」

「(恐れる…?)それは危険になると言うことですか?」

「いや、まぁ狙われる標的になりはするが、
永久の魔女になればもう狙われても
そんなもの蚊が刺してくる位のものになるさ。」

それ程までの威力があるというのは…?

『はい質問です』

「なんだね」

『永久の魔女は…強いですか?』

「ちょっと?」

「うん、めっっちゃつよい」

「ちょっと!?」

そう真剣そうにメルが聞いた言葉が
余りにも砕けておりオリアスがツッコむ

それに乗ったのか、
チェリオもまた砕けて返したのに
ツッコまざるを得なかった


「永久の魔女は原則3つある。
1つ人間の魂であること
2つ魔力が維持できること
3つ永久を望み止まない心があること。」


これがあればぶっちゃけ誰でもなれる
そう言ったチェリオにメルはへぇと頷く

「君は未来で世界を壊して、
怖くてこの過去に来た…訳ではないな?
君も過去に来てはいけないこと位
分かっていた筈だ。何故来た?」

『っ…それ、は』

オリアスの隣で言うのか?
そう目を配るメルにオリアスが首を傾げる

『…悪魔を、いや悪魔と仲良くしたかったから。です』

「…っくくく」

その言葉で大きく笑いが
ドンと出てメルは拍子抜けする

「そうか、悪魔と、そうか
…成る程!!っははははっ!!」

ああごめんごめんと謝り頷く

「うし!やっぱ私もこの子推薦するわ!!
こんだけ素直な子を寧ろ放置して天使や
悪魔の野郎共に渡したくはないわ!!!」

「落ち着いて下さい魔術師様
…そのようにされては示しが…」

そう机に脚を乗せる長である
チェリオに隣に座っていた者が慌てふためく


『待って下さい!永久の魔女って、
この森に住みつくって事ですか!』

「いや、正確には魔女の究極の形と言ったところだ。
君が一度唱えている“神威斬ラグナ・ブレード”アレもかなりの高魔法でな
唱えて不完全でも使えるなんてものはそうそうできない」

えそうなの

「魔女の魔法は素直さが重視。それも悪魔と…悪魔っぐふっ」

悪魔と仲良しするのがそんなにも笑いのネタになるの!?
顔を赤らめるメルにすまないと笑いつつも元のトーンに戻す


「魔女になって初めてだろうから説明しておこう。
魔女は基本的に服装は自由になる。
まぁ肌の露出が高い程威力も出やすいが消費も大きい。」

ランクは印の色で変化するのはもう聞いたな

「青い光を纏いし者 白き翼を包み大いなる加護をもたらさん。
魔女であったミレイユ様が言い残した置手紙にそう書かれておった。」

『っええ!?ミレイユがいたんですか!?ここに!?』

「嗚呼、君はミレイユの継承者…で間違いないな?」

そう言ったのにメルが固まる
バレてはまずいと思ったからだ。
死ぬのかなと思っていると、いやいやと首を横に振った


「知られて死ぬような呪いは
存在しないし合っても防げることが可能だ。
それにミレイユ様から一人活きのいい
人間連れてくるから来たら保護して
等と恐ろしいことが来たもんだから、
サリバン様にお伝えしたのも私だ。」

「えぇ…」

『あ、待って下さい!それなら寿命は…!』

そう言ったのにぴたりと周りの動きが止まる
それにえ?と言いかけるのに時間がかかった

「君の判断の通りだ。
魔女の魔力は魂から来ている。
感情の要素の元は魂だ。
感情の表現がそのまま魔力に直結する。
その分…消費をすれば早くいくのは当然だ。」

『では…ミレイユは』

「彼女は長い時を暮らしていたよ。
なにせ、永久の魔女であったからな」

そう言ったのに目を丸くしたメル
頭を殴られたみたいな気分だ
ミレイユが永久の魔女だった?


そんなじゃあ彼女は




何故あの人は私を相応しいと言ったのだろうか?


「…永久の魔女は名前の通り永久に生き続けるという者だ。
君の最悪がずっと続いていたのと同じような現象になる。」

『…っ』

「ミレイユ様は永久の魔女になり永遠の命を取った
だが…あの方はお優しい心を持っていたからこそ、
自らの手で殺めた」

ーメル、貴方は、相応しいから

そう言ったミレイユの涙が未だに忘れられない

「魔女は短命だ。力を使えば使う程寿命は縮まる。
だが君の様な者が永久の魔女になれば
そこの悪魔とずっと居られる。
それこそそこの悪魔が死んでも尚…残り続ける。」

『っ!!それは!!!!』

ーどうして悪魔がいないの?

そう聞いたメルの言葉に
ミレイユは寂しそうに内緒と笑って居た

アレはもう遠い時間に
悪魔が死んでいたと言うことだったのだ。


どうしてそんなつらい言葉をかけてしまったんだろうか。



「君は覚えていないのか…悪魔に殺された記憶を」



そう言った言葉にメルは固まる
一体何を言ったのだろうか?



「君の前世は、天使であった彼は悪魔に殺された。
だから君は悪魔に魂を全ての時間を捧げて天使を救った。
天使は許せなくて君を手放す位ならと魂ごと自分を練り込んだ」




『なにを…』

「君はもう魔女だ、隣に居る子を見れることなど造作もないだろ?」



そう言った彼の言葉にふわりと羽が見えた
後ろを振り返ると其処には六枚の翼を広げて浮遊する
白い服を着た男性がメルを見ていた

++++++++++++++++++++++

『貴方は…ひょっとして!!』

「あーやっと気づいてくれた…長かったぁ」

へ?そうきょとんとするメルの身体をすくいあげる
何々何々!?と慌てるメルを取れずに
オリアスの腕が宙を切る



「ちょ!こらおい!!」


「全く記憶を見させてやっと気づいたかと思ったから
どうしようか考えてたけどまさか魔女に助けられるとは…」


「ふぉっふぉっ、まぁ良いだろう?」


「まぁ礼は言っておこう。それにしてもメル、君体重軽いね?
前と同じ位の姿にはなっているとは言えども軽いよ?」


『〜〜〜っ!!煩い!離して!!!』


ぱっと離したのに高さが明らか高過ぎる
急に離したので顔を青ざめて落ちるメルにオリアスが
翼を広げてメルを受け止める

何とかなってほっと二人で息を吐く

「っあぶねぇだろ!!」

「君が取ると思ったからね、ほら取れたでしょ」

取れなくてもどうせ君家系魔術使っただろうし
そう言ったのにえ?とオリアスがきょとんとしたが
言葉を挟まれてそちらに顔が向いた

「メルよ、君は永久の魔女になりたいか?」


『…急に言われても、困りますが、天使から
オズたちを守れるのがただそれだけなら』


未来の記憶を遡り崩壊した世界を思い出す
あんな場所になったのはただこんな場所も無かった
これで現実が変わっていくのであれば






『私は永久の魔女になります』





永久に願い手を伸ばそう
例えそこに誰も居なくても。



「…そう言ってくれると思っていた。」

そう言って何かの呪文を唱えた彼に
身構えていたが一冊の赤本がメルの目の前に現れる

『これは』

「君が愛用している赤本の新書だ。
中身が正確だからそちらを見ていくと良い。」

『ありがとうございます!!!』

「ついでに食事も食べて行ってくれ。
今日は君に会ってどんな人かが知りたかっただけだ。
また魔女集会は開くだろうからその時にまたおいで」

そう微笑んだのを見て、メルはオリアスと共にその場を後にした



「…良いのですか?あの小娘に」

「ミレイユ様がふさわしいと言ったからな。
仮にあの子を殺そうとしても、もう殺せないと思うぞ?」

隣にいたオリアスの目をチラチラと見ていたが
かなり警戒した腹のしれない悪魔に目を細めた

「あの子は悪魔に魅了されて逃げ出したいと言っても無駄だろう。
引き取りたくはなったが、此処の継承者としては
器が大きすぎて逆に不釣り合いだ。
それなら彼女の友人を引き寄せた方がまだ好都合と言った所。」

「…左様ですか」

「まぁ魔女の寿命は短いが、その分人数も多い。
メルちゃんが短命で死ぬって
聞いてあの悪魔の目凄い開いたの分かっただろ?」

数年で死ぬのが永久になる。
そう言ったのに、
オリアスの目が一番揺れていたのがその言葉だった


どうやらメルは寿命の事を
一切言っていなかったらしい。
後で問い詰められてるのが想像出来た


「…魔女として認められるのが、
死亡の遺言を付けたこととは。皮肉なものよ。
未来では滅ぼしたが、今回はどうなるかねぇ」

「彼女はきっと成し遂げますよ」

過去に来てまで必死に努力する姿が見えていますから
そうテレビの様な画面が彼らの周りに広がる
都佑が一人でこっそり練習しているのも
ばっちり録画されていたのだ

オリアス達と笑って遊んだり
授業の相談を真剣に取り組む姿に
目を細めてそっくりだなぁと呟いた


「ミレイユ様が気に入るわけだ…
まぁ彼女も途中で嫌がるだろうが」

永久に命が続く程、残酷な世界はないのだから。


++++++++++++++++++++++

「ねぇ俺聞いてなかったんだけど」

そう言ったオリアスにメルは
言いたくなかったもんと答える




「っ、魔女になったら寿命が縮まる位なら、契約しなかった!!!」





まずい、そう思ったオリアスがバッとメルの顔を見る
メルは普通に笑っていた。

ごめんねと声にせずただ口を開けて言ったのに
オリアスはメルが消える前に
動いて自分の身体に引き寄せた


「…ごめん、言い過ぎた」

『いいよ、大丈夫。』

早く帰ろう?そう言ったメルに
コクリとオリアスはうなづいた

箒にまたがり同じように帰る


『僕ね、悪魔に魂を売った時凄い気分良かったんだ。
嗚呼これで人生終わるんだって思ったけど、
何より天使の子を救えたから。』

「…」

『生まれ変わって魔女にならなかったら
今頃幸せに暮らしている自信なかったし
…だから、そんなことは言わないで欲しかった。』

「ごめん」

『うん。最初短命だって聞いて驚いたでしょ』

「…うん」

『永久の魔女はもっと辛い。
ミレイユを傍で見て感じて思ったもの…
嗚呼この人は世界が何故憎いと思わないんだろうって。』


浮遊しながら霧の中に突っ込む
ぎゅっとメルを抱きしめる腕の力が強まるのに
メルは箒に掴んでいた手を再度握りしめた


『きっとミレイユはね、
契約した悪魔と仲がとても良くて
その時間を忘れたくなくて
永久の魔女になったのかなって。』



だったら、自分だってきっとずっと貴方といたいと思う。

例え貴方が嫌になって離れて行ったとしても
死んだとしても、それでもまた会いたいと思える。

『それに薬草作って売ったら金にはなるし
ミレイユだってそうやってただろうし!!』

「…それで、良いのか」

『オズは、聞いていて嫌だった?』

そう聞いたメルに少しと言って頷いた

「悪魔を使うって言う理由もなんとなく分かったけど
ミレイユ様と君がおかしいって事は
大体あの場を見て分かったよ。」

悪魔を物として扱っている風な空気に
正直オリアスはイラついたことが何度かあった
なのにそれでもメルは笑って
ただ嬉しそうに周りを見ていた

その姿がどれ程悪魔にとって嬉しいことか
想像できない程楽になったことか、分からないだろう。



「君が俺の相棒で良かった。それだけは思ったさ」

『…へへっ!まさに占星ラッキーハッピー!!』


嬉しそうに笑ってリンを和ませていたのも
リオンが気を張りつめていたのを
邪魔が入ってから助けた時すぐに目を開いて
意外だと思ったのはオリアスは気付いていた

その後の和みは尋常じゃなかった
光らせていた目は落ち着いてただ保護者とした
同伴の姿に主に危害があるかどうか分かったら
落ち着く姿。主を大事にしているのだと知った。

あの底知れぬリオンがすぐに落ち着く位
メルは周りを和ませ助け前に進んだのだ
頂点に君臨する程の力は充分にある。


「(…自分が死ぬその時からも)」

ミレイユと一緒に居た悪魔は
一体どんな気持ちだったのだろうか

それでも彼女と一緒に居て
最後亡くなった?それとも契約を破棄した?

だが契約を破棄すると
魔女は魔女でなくなると言ってもいた。

ではミレイユはどうやってメルに力を渡したのだろう?
死んだ悪魔の力は、
死ねば破棄されるわけではなかったのか?


『…あ!つくよーーー!!!』

そう言ったメルに、
オリアスは考えるのを止めることにした

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