Novel - Paola | Kerry

it's just you


いえない感情3

20/09/15
12

「へ?お、おれ?」

「やはり貴方が」

違う違う違う違うと首を全力で横に振る
それにメルがしょげるのに
うっと低い声で首を横に振るのを止めた


『…オズ?じゃないの?』


「へ?いや、確かに俺だけど…」


『オズワルドじゃない?』


そう言った彼女にオリアスはオズワールねと言った
それに嗚呼違う悪魔?と聞いたのだ


「メルちゃんその悪魔は
オリアス・オズワールだよ?」


『違うよ眼鏡の悪魔さん。
オリアス・オズワルドって言葉だったですよ?
悪魔さんとお願いしたのです。
ずっと傍に居てくれるって。』


そんな話は聞いたことが無いと
思っていたオリアスだったが

いきなり大きな声を出したので
メルがサリバンの後ろに下がった


「嗚呼、確かに…俺の祖父が
オズワルド…だけど、」


『っ!その人、手袋してたです!?』


「っえ?あ、嗚呼確かに
…これも俺の癖だし」


『あとあと、甘いもの好き?
えと口癖は“ないしょ”』


「嗚呼…確かに…って、えっ?」


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ちょこんと座るメルの姿は淡い緑色の髪色を持つ少女
入間と同年代に近い気がする。
首を左右に揺らしながらきょろきょろする

「つまり、メルちゃんは昔
オリアス君のお爺さんオズワルドさんと
契約したってこと?」

『そうです!眼鏡のおじさん!』


そう言ったのに、サ・リ・バ・ン!!
と泣きながら叫ぶのを笑ってみている
メルの会話は三回目だ


「にしてもオリアス家に
そんなことがあったとはねぇ」


「はぁ…まぁ言い伝え交じりに聞かされてましたよ。
“異郷の華左手に黄金(ソロモン)の指輪を宿す者
大いなる加護の元永久に続く契り交わせし者”とか」


「そ・れ・だ・よ」


「いやにしても分かる訳ないじゃないですか!
異郷が人間界に行ったデルキラ様の
ご令嬢と契り交わしてたなんて!!!」


普通にバレたらおしまいである。
そんな大事なことを
口酸っぱく言っているわけではなかった。

にしても何故彼女が
こんなにも戻ったのか分からない



『お爺ちゃんなったの!オズワルド!』

「まぁね…」

『あ…オズワルド…死んじゃった?』

そう言ったメルに、どうして?と聞いた

『その、寂しそうな目、したから…』

「ごめんね、一昨年亡くなって
…でも君宛かな、ちゃんと言伝貰ってるよ。」


ーオリアス、頼む。

そう言って最期に言っていた言葉を思い出した。

今なら爺ちゃんが言った事何となく分かる気がする。


きっと寂しそうにしていた
この子の気持ちを安らかに
見続けて居たかったのだろう。



「“今日も良い一日になりますように”って」



そう言ったオリアスに、
メルがぽろぽろと涙を流し始めた
それにどうしたとオロオロした
オリアスに違うのと涙を手の甲ですくう


『ぼく、わかって、た…すごく、
悪いお願い、して…』


「うん」


『でも、オズワルド、最後まで、
僕っ、代償、望まなくて』


そりゃデルキラ様のご令嬢に代償望めるなら
とんでもない馬鹿以外ほかにはいないだろう。



『だからっ、わたっ、悪い、こ、だかっ』


「いや違うよ。君は、最初俺の祖父…
いやオズワルドにどうやって出会ったんだい?」



そう言ったオリアスに、メルの涙が引っ込む


ぐずるメルがあのねと言った。


これは、嬉しそうに笑う彼女と少し悲しいお話。




+++++++++++++++++++++++++++





当時10歳まだ元気でやんちゃな筈の年齢だったが
何も食べず何も感じず毎日を生きていた。



父の名前も母の名前も分からないまま
毎日悪夢から目を醒ます


そんな毎日にうんざりしていた中、
山の中で死んでしまおうとしていた時



昨日土砂崩れが起きていた場所で、悲鳴が聞こえた
そこには木に挟まったフクロウがいたのだ



『だいじょぉぶ?』



そうゆっくり優しく言って、血に濡れてる
小フクロウを大事そうに抱きかかえて走る
辺りはもう暗くなってきており、
野宿するしかないと近くの廃病院に入って行った


かなり新しい為、まだ虫も寄り付かない。

人も来ない状態の為野宿にはうってつけ、
いやフクロウの傷を癒すにもうってつけだった。


絆創膏だと痛いよねと言いつつ、
メルは手当たり次第に楽になりそうな物を探し、
何とか小さなガーゼで止血だけすることにした


『ごえんね?あっごめんね?
…これ位しか。できな、いの』



そう口がたどたどしい私に、
小フクロウが大丈夫と言いたそうにホウと鳴いた

それに嬉しそうに笑うメルに
小フクロウの尻尾も左右に揺れた


『ほら、こ、やって。
ぎゅ、するとね、
ぽかぽかさんに、なるの』



そう抱きしめてとんとんするメルに、
小フクロウは驚いたが、次第に眠くなる

ふと目を醒ました小フクロウ唸り声に
近い音を聞いたためすぐにメルを見つめる


やだやだと言う彼女に、
小フクロウが大丈夫だと言い聞かせた。




ずっと、いっしょに、いて。

その言葉に、小フクロウは決意をした




ー汝、よ。癒せし者よ



『…ふぇ、あ!わん、ちゃん!』


「我の名はオズワルド。
オリアス・オズワルドだ」


『じゃあオズオズ?まほーつ。
きゃいのおーず!』


「…オズワルドだ、まぁ良い数日間世話になった。
お礼に何か渡したいものだが」


『じゃあ、ずっと傍に居てくれる?』


それは契りの様な者。
それに流石に悪いと
オズワルドは首を横に振るも
少女の目の淀みにぎょっとした



「…呪いが欠けられている」


『のろい?』


「最近悪い夢を見るだろう」


『うん。あでもやさ、しいよ?』


「何故だ?誰かが消えて
居なくなるのだろう?」


『でも、一緒に居てくれる』


一瞬だけでも、傍に居てくれる。

だから優しいのだと。


目を醒ませば
何処にもいない人達のことを


何を言わせるのだオズワルドと
自分の過ちを押し殺した



「我、いやこの先ずっと契りを交わそう」


『ふぇ?』


「お前の傍に居てやろう。
お前の心の傍にだ。
良い一日になれますようにと。
願いを添えてな。」


そうすれば悪夢から醒めても
楽になるだろう?


そう言ったオズワルドに
うんと嬉しそうに笑って頷いた


それに、オズワルドは
そうと決まればやるぞと言って
身体を光らせた



金色の髪の毛を揺らし
肩よりも下にある髪の毛に帽子を被る




『あ〜!おず、わー!』


「オズワルド…だ。」


『おずわーる?』


「オズワールじゃない。
オズワルド…もう良い。
汝の契りだ。」


そう言って、オズワルドは優しく
メルの頬に手を差し伸べた

両手で掴んで嬉しくなって頬を摺り寄せ
それに嬉しそうに微笑んだオズワルドに
メルは嬉しそうに笑って返したのだ。



それから目を覚ましても醒ましても
メルの悪夢は無くなった。


それに嬉しくなって
今日も一日良い日になるよ!
と言ってはしゃぐ

もうお別れだと言って
オズワルドが言うのになんでと返した。



「我は人間界に来すぎた。帰る」


『帰る場所があるんだね』


「お前もさっさと帰れ。
居場所があるだろう。」


『…うん。ねぇまた会える?』


「会えずとも夢の中ならずっと会えるだろう?」



そう言ったオズワルドにメルは嬉しそうに笑った。


そう言えばと言って
オズワルドがこれをやろうと手渡した


「エメラルド色の小石だ。
人間界で拾ったものだが
綺麗だが魔界に持ち帰れんのでお前にやる。」


『きれ!』


「元気でな」


そう言って、オズワルドは姿を消したのだった。





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「…そんなことが」

『それから殆ど目を醒ましたら思い出してたのです。
“今日も良い一日になりますように”って。
でも、オズワルドそっか…死んじゃったのですか…』



「祖父、いやオズワルド爺さんも
凄く寂しそうだった。参ったな。
とんでもねぇ子供を置いて来たって言ってたよ。」


だから見つけたらおめぇらで育てろ。

とも言っていたのは避けて置く。


そうか、この子が…祖父の言っていた少女。


優しく何処までも無垢な
純粋の欲の底知れぬ者。



確かに華の様に咲く笑顔は間違いない。

って言うかエメラルド色の小石って




『小石、本当はゲームセンターの景品で
人間がそこら辺に捨てたものです。
でも僕にとっては大事な宝物で
…でもいなくなってから怖くて』



だから忘れるようにしたのだという。

このまま怖い時間を過ごす位なら、いっそのこと忘れて
夢の中だけで生き続けていればいいと。



無事メルは保護され、
養子として家庭に入って学生を謳歌出来たとのこと。


ちなみに今の年齢は10と思っていたが18だという…おぉ…マジか。




『そっか。僕もう23歳なのですか』


「嗚呼、俺の後輩でな。」


『ご迷惑を大変おかけしております』


「いやいや、とんでもないです…」


まさかデルキラ様のご令嬢とは、
祖父も後でオロオロしたことだろう。


だが、逆に言えばデルキラ様のご令嬢を
生涯ずっと守っていたと思えば
誇らしいというものである。



「あれ、じゃあメルちゃんの中に入れたのは?」


『多分オズワルドと勘違いしたから。』


「成る程〜!だからかぁ」


『あとオズワルドがつけた魔法が
貴方にも効果あるんだと。』



どうして記憶が無いのか分からないけど。
そう言って首をかしげるメルにオリアスは頷いた


「成る程、道理で君と使い魔契約した時も
拒否されなかったわけだ。」


『はわ!嘘!オズワルドのお孫さんと契約したの!?』




凄いじゃん!そうキラキラ光るメルの目に、
オリアスはそっぽを向いた。

オズワルドと言う名前なのに
オズワールと言い続けてきたのか
孫の名前はオズワールで決まりと言ったのは
間違いなくこの子のせいである。



いやというのも




「あの人、ひょっとして…
君が泣かないように
俺の名前を付けてくれたのかもな。」


『んえ?』


「オズワールって言い間違えてたって聞いてたからな」


『むぅ!違うもん!
オズワルドだったもん!』

「ふふっ、はいはい。
そうでしたね。」



やっぱりオズワルド!?
そう驚くメルに、
オリアスは違いますと答えた。


「にしてもメルちゃんが
無事でよかった。
元に戻るってことは」


『多分また契約契ったら解ける?
きっと悪夢また続いてたんでしょ?』


「嗚呼…そうか、あれ?
ちょっと待って?
メルちゃん二年前から?」


そう先程の話だとメルの呪いを
緩和していたのが祖父のオズワルド。


その祖父が死んでしまったのが
一昨年であればメルが魔界に来て一年目で
暴走したことがあると、オペラが言っていた。



もしそうなら、祖父から二年間一体どうやって。
そう言ったオリアスにメルがああそうかと笑った



『悪夢をずっと勘違いして生きてたんだね』


「え?」


『ほら、楽しい夢って思わせることだよ!
二年間ずっとそう生きて来た。
でもそのトリガーが切れた。』


「何かで?」


『多分きっと誰かを好きになったんだろうね。』


え、とオリアスだけでなくサリバンが顔を青ざめた


『だって優しい時間は好きで埋め尽くされたから。』


悪夢を好きになっていたから
脳をバグらせてそのまま
ずっと二年間生きていたというのか?



ならでも、


『オリアス先生だっけ?
オズワルドも先生だったの?』


「へ?ああ、確か…」


『へへ!じゃあまた会えたですね!!』


また会えた。

そう彼女が言っていたのを思い出す。



嗚呼、君もそう、覚えていたのだろうか?



教育係で初めて会ったとき、
君が固まってわなわなとしていたのも

教育実習から教師になった時、
君が俺に喧嘩を売っていたのも…

全部オズワルド(祖父)に
出来なかったことだったのだろう。



嗚呼…我が祖父ながら、妬いてしまう。



「ええ、また会えましたね。
…メル様?」


『っ!違うもん!』


「え?じゃあなんて呼んでたの?」


『メルかメルちゃん!』


あのクソ爺。

鼻の下伸ばしてやがったな。

前言撤回やっぱり殺したくなる。

まぁ死んだんだが。



「どうする?やらせる?」

「私は賛成です。
メル様がこれ以上泣くのを
見ていられませんし。」


入間君そうお爺ちゃんに言われた入間は
メルに声をかけた

「メル、お姉ちゃん…って
言っても分からないと思うけど。
僕貴方の弟、みたいなものです。」


『…うん。』


「メルお姉ちゃんが怖い夢を見ていたのなら、
すぐにでも無くした方が良いと思った。
でもメルお姉ちゃんは
ずっと待ちに待ってたんじゃないの?」


え?と声を上げた


「だってメルお姉ちゃん
ずっと会いたかったんでしょう?
その悪夢にしか出てこない人と、ずっと。」


そうだメルの呪いは
永久に続く誰かが居なくなる夢を見る呪い。


だがその悪夢から目を醒ましても
居なくならなければいい。



オズワルドは傍に居られないから
せめて悪夢を見せないようにした。



確かにメルの生命維持をする為には丁度良かった。

だがそれなら二年前に直接
オリアス家に出向いても良かった筈。



なのに行かなかったのは、

居なくなった二度と会えない
オズワルドに会いたかったのだろう。



「だからメルお姉ちゃんが決めて。
僕はずっとそれを応援する。」



そう言った入間に、塵っと炎が起きた



『…全く、入間君ったら、
一体どんな殺し文句つけたんだか。』



そう言ったメルが髪を手ですくいあげる。

緑髪は水色に変化し
三つ編み姿に戻っていく。


身体も一回り大きくなり

パチンと指を鳴らして

バビルスの姿に戻った。




『…ただいま』




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『で?誰のご令嬢だって?さーーりばんちゃぁん?』

ひぃひぃ泣き叫ぶサリバンに
メルがにやりと笑う



どうやらサリバンのことや
一部始終記憶を残していたらしい


オズワルドが最後にかけた魔法で
絶望して自害する瞬間

身体を数年前に戻して
徐々に体を元に戻すようにしていたらしい。



流石我が祖父ながら完璧な魔術を使っていたのだろう。


頭も上がらない。




「だだだだってぇ…サリバン様から内緒って…」

『ったくまぁご令嬢って分かったら皆しゃがむだろうし
次の魔王ってなるだろうけど…私はごめんだからね。』




それにこのまま内緒のままでいこう。
そう言ったメルに
それが良いとサリバンが言った。…え?




「えええええいいの!?」


『私ずっとオズワルドから頭撫でられてた。』


「え?何急に」


『大丈夫。もう大丈夫だよ。
そう言ってくれたの忘れてた。
そんな大事なことされて忘れる者が上にたてない。』



それに



階級が上過ぎたら恋もできないし。



そう言って笑うメルに
オリアスは首を傾げた



が、その意味を理解し一瞬で顔を赤らめた


『へへ、サリバンお爺ちゃん!
ねね、オリアス先生と契約
今度交わしていい?』

「えっ!?いやまぁ…
確かにメルちゃんが良いなら良いけど…」



きっとラッキーハッピーな星の導きは
彼女の悪夢を一時的に溶かした。



だが最近は晴れて嬉しそうに笑う
メルの時間が契約でなくても
大丈夫だと思っていたのだ。

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