Novel - Paola | Kerry

it's just you


いえない感情4

20/09/15
13


「ったく、一時はどうなるかと思った…」

『まぁね!でも驚いた〜まさか
エメラルド色の小石と
また同じ人に出会えるとは!』


「それはこっちのセリフ。
運命にも程があるだろ…」


そう帽子を深く被り、
何事もなくそのまま解散となった。


メルはそのままオリアスと
一緒に仮眠室で眠る事に。


サリバン曰く、一番
今日は君の傍の方が安心するだろうからとのこと。



まぁ帰らせようと思ったが、理由が理由だ。


まさか自分の祖父が溺愛した子が
魔王の娘だとは思いもしないだろう。




『へへ…』


「そういやメルちゃん
オズワールって何で言ってたんだい?」


『え?あー確かオズワルドって言うのが
照れくさくて伸ばしてたんだと思います。』


「ふぅーんかっこよかった?」


『まぁ…とってもかっこよかったですよ?
そりゃ守ってくれたりしたので運命の人みたいで』


そう言ったメルに、
オリアスがメルの頭の隣にねぇと言って見下ろす
メルは横になって寝転がっていた為、
目を開けて上に見えるオリアスを見るだけだった


「…俺を、見てよ。
爺さんばっかの話して、さ」



『…えっ』



えっ?そうメルの心は暴走
顔は真っ赤になった


『私が、死ぬってなったらどうしました?』


「正直、止めてた。
例え家系魔術で救えなくても意地でも助けてた。」


おおう


「居なくなった時、
叫び声が頭に入った時
もう居ても立っても居られなくなって
扉空けた先に何時もの景色じゃねぇし

…お前は泣きそうな顔すらしないで」


少女が死んでいく瞬間
自分の心も無くなっていく感じがした。

このまま死んでしまえば良い。

そう思ったのに、
助けに来てくれたのは天使でも親でもなく
昔助けてくれた悪魔の家系だった。



「目覚めた時、俺の名前言ってくれて正直嬉しかった。
皆忘れても俺だけ言ってくれたの、すげぇ嬉しかったんだ。」



たとえそれが祖父の名前だとしても、
聞き間違いかと思っても
嬉しかった。


そういうオリアスにメルは名前を呼んだ



「最初は笑ってすげぇ可愛いなって
…思うだけだった。
でも段々放っておけなくなって
過保護かなって心配する位で。」


『…うん、知ってた。凄く、嬉しかった。』


「少しずつ自然に笑って、
嗚呼このまま羽ばたいて行ったらいいのかと思って。
何かモヤってなって、バラム先生や他の先生と
話しているの見てモヤモヤして」



ん?



「っ、俺、いつの間にか
お前の星しか見えなくなってた。」



そう言ったオリアスに
好きだと言われた気がした。



メルはえっと
と言いながら距離を取るべく下に

正確には足元の方に
身体をずらそうとしたらダメだと言わんばかりに
股に膝を入れられた。



「こんな誘い文句言って
逃げるなんて
…こたぁねぇよな?」


『っ!あっ、ちょ、まって』


「待たねぇ。…な?
分かってるんだろ?
もう気付いてるんだろ?」


そう言うオリアスに
メルは目を丸くしてそっぽを向いた。


へぇと言って
はっきり言わないと駄目かと言い
私の名前を呼んだから





私は振り返ってしまった






「メル、好きだ」





その二言で、私は彼の顔をずっと見ることしかできなかった







最初気になっただけだった。

小さな小フクロウが出て来た時はとても安心した
褒めてくれた時は、とても嬉しくなった。



頭を撫でてくれた時、少し寂しくなった。

全部貴方がくれた場所だから。


だから僕は嬉しくなった。



これがオズワルドだったら
きっと恋の芽をちぎっている。



『っ、僕…最初にあった時、嬉しかった。』





貴方に会えて、多分夢が僕に知らせていた。
その日オズワルドに久しぶりに会ったの。
でもあの人はずっと遠くに行く。

『だから僕ずっと知らないふりしてた』

目を醒ましたらオズワルドがサヨナラと言って消えるのだ。
手を伸ばしても伸ばしても届かない。
それなら恋をしてしまえば

『自分の感情なんて無ければ何も奪われることなんてないって』



でもそれをぶち壊したのは貴方だった


守ってくれて、消えて居なくなって悲しくなった

それを気付かせてくれたのは


オズワール貴方なのだ。





『でも貴方が、教えてくれた
…知って喜ぶ感情を』



守って生き延びることの大事さを、彼から教えて貰って
その先に幸せがある事の大事さを、貴方が教えてくれた



そんな恩人に、僕がこれ以上望んではいけないとさえ思う。
だからオリアス先生が好きな人いると聞いた時は
引かなければいけないと思った。



このまま消して居なくなってしまえば。
忘れさせて消えてしまえば。


そう思ったのに、
悪魔として代償を捧げていない事に困って
僕はつい先走ってしまっただけだったのだ。




『僕で、良ければ…
ずっと傍に居てくれませんか?』





願わくば、あの続きを。いや

新しい世界を、見せて欲しい。

そう思ってオリアスの手を取った。
頬に寄せて涙を流した


「よろこんで」




その言葉で唇から息が漏れた


+++++++++++++++++++++++++++




『あの、えっと…近い、です』 


「え?やっと恋人同士になれたのに?
ずっと我慢してた俺放置して寝るの?」


ごめんなさい
ならよろしい。そう言われた現在。
メルはオリアスの胸の中で身体を横にしていた
普通に抱きしめられながら息を吐く

「まさか俺の恋人が
魔王様のご令嬢って
…ラッキーすぎんだろ」


『あはは、呪い付きだけどね』


「そんな呪い吹き飛ばしてやるさ」


そうおでこにキスをしてやったオリアスに
メルが顔を赤らめて距離を取ろうとする
それに気づいたオリアスが
何処へいくの?と耳元で声をかけた


腰元に両手で抱き着いていた為、
ぐっと力を入れるだけでもぞもぞするだけで
何処にも逃げることはできない。


ひぁっ、と甘い声が漏れたのに
ひょっとしてと思い耳元に息を吹きかけた。
と同時に甘い声が漏れ驚いたのか
メルが口を紡ごうと
手を使いだしたので片手で手を掴んだ



「だぁめ」

『っだっ、ひぁああっ』


そう耳下の筋を舐める
それだけで甘い声を出す彼女に

盗聴防止の魔術を使っていてよかったと
心の底から思った



「へぇここ、弱いんだ」

『っな!よわくな、んふぁぁあ』


強がるくせして、耳裏を責めると
ずっと声が抑えきれないのか
甘い声が続いて鳴り響く。


赤らんだ顔に歯止めが効かなくなる。



「いやなら抗っていいから」


そう言ったオリアスに、
メルは答える前に口をふさがれた

息をしずらいのに、何とか鼻で息をする
少し長めだったかと思い口づけを放すと
メルが涙目で息を乱し
此方をとろんとした顔で見ていた



「〜〜〜っ!!そんな顔
誰にもすんなよほんと…!!」


『ふぇ?』


嗚呼こいつ本当に犯したろうか
と思ったが、流石に今日は疲れただろう


それに恋人になって数時間で
ヤッたとなれば色々と大変なことになる。


ましてや祖父から大事にされてきた魔王様のご令嬢だ。



大事なバビルスで性的な行為をするのもよろしくない。



流石に今日はここまでにしておこうと思った
オリアスは深いため息を吐いて
メルの首元に抱き着いた


『あぅ、オリアス、せんせ?』


「オズでいい」


『あえ?でででも』


「二人きりなら、メルって呼んでも?」


そう言った声にメルは戸惑ったが
ゆっくりといいよ?
と言われて自分の息子が
荒ぶるのに元気だなと思った。


分かった。

後で慰めるから今は落ち着け。




『ふふっ、なんだかなぁ』

「ん?どうした?メル」

『え?最初はね。オ、リアス「オズ」
おり「オズだって」おっ…ふぇ
おっオズ…が女子生徒に告白されてて驚いただけで』


「えっ!?あそこ見られてたの!?いつ!!」


『壁ドンした時位』



嗚呼あの壁に手ついてしまった時か、
またタイミングが悪いと思った。


最近オリアスの恋人かと疑われて新聞に
載っていたがまぁ噂で終るだろうと思っていたのだ。



それをメルがたまたま見つけて、
そのまま感情を揺さぶってあの状態になったらしい。



…それって、つまり



「俺のこと、好きだから
失恋したと思って
暴走したってこと?」


『ふぇっ!?あああいやその…』


はぁーーーと息を吐いて
オリアスは自分の頭を片手で抱えた

何でこんなにも可愛らしい子なのだろうか。


新聞の記事に載る位なら消し去りたいほどだ。



好きになって自覚して、
失恋してそのまま死にたくなる程強い感情を抱いた。


それは家族からの愛情を得られなかった彼女が
かけられた呪い以上の威力。


その効果に俺の祖父
オズワルドがかけた魔術が
作動したということだ。



全く、そこまで好かれていて
何故気付かなかった俺。




「え?ってことは何時から俺のこと好きで?」


『ふぇっ、えとさっ、き?』


「はい嘘。絶対嘘。答えて。」


『ふえっ!?ええ…と
その抱きしめてくれた、時位?』


「嗚呼、あんときか」


男子寮に土下座覚悟で連れて来た時だ。


彼女曰く抱きしめて
自分のことを守っていた目を見て自覚をしたらしい。


体温が高いと思っていたが

どうやら照れていたからだとのこと。




「へぇ〜?男として見てくれてたんだ?」


『〜〜っ!そそそそんな、こと…』


「狼さんだもんな?」


流石に違うって言われたら
正直その日泣いてた。


『も!オズは!?
僕より前なの後なの!?』


「話逸らすねぇ〜、
まぁ…もっと前、かな?」


『えっ』


「何なら…下手したら
教育係受けた時位?か?」


わぁそうドン引くメルに待て待て待てと言った
殆ど一目惚れに近かったというのだ。


まぁ彼女も何処か見たことあると言っていた為
誰かと思っていたら
俺の祖父だっただけだと思っていた。



『そんな前から…あ、
じゃあ翼の時って』



「肝冷えた。
あんときの俺すげぇ怒ったよな?」


『ひぃっ』



事件当日、メルがオリアスを庇ったのだ。

背中を刃物で切り付けられて
一部の生徒教師が一気に悪周期に入った
それにサリバン理事長もかけつけて、
メルはオリアスに向けて大丈夫だと言っていた。





ーっ!メルちゃん!!どうして!!!


ーらっ、き、はっぴ、でしょ?


ーっ!馬鹿!!喋んな!!っ、


ーにげ、て?だめっ、しんじゃ


ーっるせぇ!!誰が逃げるか!!!


ーだい、じょぶ、です、くっ、あ


ーっなにが、大丈夫だよ…メルちゃん?


笑ってホッとした後ただ息を吐いた
その瞬間一気に頭の血が冷えた気がしたのだ


ーおい、嘘だろ、返事しろメルちゃ…メルっ!!


そう言った後、メルは嬉しそうに笑って涙を流した
その後背中に翼が無い事は知ってメルに言ったのだが
記憶を消されていたということだ。

「ってことは15回位記憶消してたって事は…
俺ひょっとして何度も告白しようとしてた?」

『ひいっ』

「メルちゃぁん?」

『なんのことでしょう!!!』

そう涙目で逃げる彼女に寝ろと言って
布団に引き戻した
まぁ寝かせるつもりないのだが。

「まぁ何もしないからなにも」

『獣!獣みたいな目してる!!』

「いやぁ心外だなぁあ悪魔だよ悪魔。」

『知ってます存じておりますって!!!』

「二度と守られるのはごめんだからな…あんな守り方。」

『…ごめん』

分かればいい。
そう言って抱きしめた
まだ心臓はトクトクと音を鳴らしている。



この身体も心も魂すらも、全て俺の物だ。




「もう雑にすんな…
お前は俺のだ…だからもう泣くな」


『うん…えへへ』


そうぽろぽろと涙を流す。
もう安心してホッとしたのだろう。
涙を片手で拭い去ってやる


「今までよく耐えたな。
もうずっと傍に居てやる。」


『ーっ、』


彼女が笑って居られるのなら、
ずっと傍に居てやる事造作もない。
ただ優しく頭を撫でて流す涙に、
オリアスはやっと落ち着いたと思って
目を閉じたのだった














  • ">
  • ">
- 13 -
*前次#
/utakata3/novel/67/?index=1泡沫の白昼夢