昼休憩後。
食事が胃の中にあって眠くなるのは
どうやら人間だけでなく悪魔もそうらしい。
周りが眠いというのにメルは
目がぱっちり覚めているので苦笑いするしかない。
「さっきの場所は使えないから、次こっちね」
そう言って開放されたのは広い中庭だった
生徒がみたら大丈夫だろうかと思うが、
まぁ良いらしい。
それに次の授業的に中だと普通に熱射病で死ぬ。
『イフリート先生は…あ来た来た』
「お待たせ〜、あれ?
マルバス先生とツムル先生は?」
「授業と、ツムル先生は一度寮に帰るって」
そう指さしで答えたオリアスに成る程ー
とイフリートは頷いた
じゃ、やりますかと言って
イフリートは教師の上着を軽く外して
身を軽くする。
メルも上着を外して身体を軽くすることにした。
『(君の名前が…知れたら
私は一体どうするのだろうか?)』
君の名前が知りたい。
君を知れば、私は知れるだろうか?
私は一体何者なのだろうか?
人間か?悪魔か?それとも紛い物か?
イフリート先生の前に立ち、
顎を引いて身体を斜めにする
腰を低くし、始めの合図を待つ
今度は目をずっと閉じ続けよう。
君の名前を知ったその時、
目を開けたら君に会える気がした。
「ーはじめ」
その言葉で目を閉じて周りを作り上げる
午前中に行った時以上に鮮明な世界に、
筋が良いと褒めてくれた
イフリート先生の言葉を思い出した。
此方に向かって動き出したイフリート先生に、
自分も同じように作り出した
ーイフリート、ジン?魔人!!炎が!!!熱い!!!!
その言葉に目を開けそうになるが、ぐっとこらえる。
灼熱の音が耳を掠める。
恐らく攻撃を仕掛けて来たのだろう
避けて体勢を整えようとするが、声が聞こえる
「さっきから目閉じて!ほら!
開けないと傷付いちゃうよ!?」
『ちょっ!!(待って!集中して!!)』
身体が力む、そのせいで一瞬世界が歪むが、
すぐに体勢を整える。
危なかった…普通に元に戻る状態だった。
シャンプーの香りが少し強まった。
嗚呼君が来たのかと安心する。
ー上から来る。下に潜ってしゃわー作って
『りょう、かい!!』
そう言って勢いよく下に入り込み
地面に背を向けて上に向かって
手首を合わせ開いた状態で水を作り出す。
そこからシャワーの様に水を飛ばし、
じゅわっと音がするのに
全く同じ情景が起きてるんだなと感じた。
目を閉じた方がキレが良いのが悲しい限りだが…
すぐに降りて来たイフリートに向かって走り出した
ーまっすぐ行って、右、左、上、背後
『おっけー!』
そうにやりと笑い、
メルは低い体勢で距離を詰めたのに
驚いたイフリートに気付かず拳を入れる
間一髪と言った所か、イフリートの黒髪が
ぎりぎりメルの手に触れない所に当たる
「いいっ!?ちょ、うおっ」
『(背後!から、とんだな)』
そう感じたメルは
更に後ろに飛び距離を取った
オリアスと同じ位置に居る事に
気付いたのは声でだったが。
「ちょ!メルちゃん!?」
『…君の名前は教えてくれないの?』
そう言ったメルに、少女がびくりと反応した。
嫌われるとでも思ったのだろうか?そんな訳がない。
私は貴方を知って嫌いに成るほど腐ってはいない。
それとも貴方が私の記憶を奪ったというのか?
私が傷つくから?
私が貴方を傷つけた事があるから?
もし後者ならどうか謝らせて欲しい。
もし前者なら、私はそんなことをしないと言いたい。
例え記憶が戻ったとしても…私は受け止める。
そうでもしないと、貴方に二度と会えない気がして。
ーきらわない?
『馬鹿、誰が嫌うか。攻撃する?』
ーうん。右前3m、左に動いて
『…わかった。君がそう言うなら、私は』
そう言ってメルは低く体勢を取った後走り出した
炎が右へ左へと此方に向かって飛んでくるたびに
声が聞こえる。
まるで一緒に戦っている感じだ。
ー前!下にいる!!
「そうはさせないよ!!」
『っ!!』
そう言ったイフリートが炎を作り上げた
紫色の炎に風が巻き上がる。
自分で作ったとは言えど空高く飛んだな
ふわりと重力が浮かび上がる
突如少女の姿が前にでた
というか肩に居た子がくるりと
一回転して前に出てしまったと言うべきか
投げ出された少女はくるりと
地面の方に身体を向けて
此方を見て笑った
ダメだ!!そのまま落ちたら貴方は
最悪の事が頭をよぎる。
そんなことはいけない
手を伸ばすメルに、
少女が手を伸ばしたあと
そっと手を引いた
やめろ…伸ばし続けろ、
どうして、そこで笑う
その場所は貴方にとって地獄でしかないのに。
『っ!駄目!!!』
ゆっくりと身体を縮こませ
手を胸に置いたまま笑う
そのまま殻に閉じこもっていいのか!!
君はその殻の中でしか誰にも見られないのに
ー貴方が幸せなら、それだけでいいの。
嗚呼!!そんなことを言って!君は
怒りから背中に炎が巻き上がる
風と炎が組み合わさり少し膨れ上がる
ただ、そう言った少女にメルは目を向けた
ー手を繋いでいたかったなぁ
その瞬間、私は貴方の名前を呼べただろうか?
声にもならない声を口に出して、
少女が目を見開いた。
嗚呼、なんて顔をするのだろうか、
泣きそうな顔で、
そのまま涙を流しながら笑った
泣くな泣くな泣くな泣くな!!!
貴方の笑顔が、
貴方が笑ってくれた時間が
何よりも自分の心が躍るというのに…
手を伸ばす出来る限り伸ばすのに、
場所が悪い
下から熱が出るのを邪魔だと感じた
『邪魔だ!!どけぇえええ!!!』
勢いよく水を放ち
炎と当たり同じ温度で音が鳴らないまま
霧が爆速で世界を飲み込んだ
少女が手を伸ばしながら
此方を見て笑い落ちていく
やめろ、届け、嗚呼
伸ばしけれないなら
もっとはやく
腕が引きちぎれんばかりに伸ばすのに、
全く届かないまま世界は白に染まったあと、
君に会うことはなかった。
『…名前が、知りたかっただけなのに。』
ぼそりと呟いた言葉は、
誰にも知られることはなかった。
五分後オリアス先生と
後から来た教員に怒られた。
その後イフリート先生が凄いって言って
私を買ってくれたが
私はただ苦笑いをするだけだった。
「いやーにしてもあんな炎使えるとは
思わなかったよ!!
どうやってやったの?」
『いやあのだからですね?
目閉じたら出来たんですって』
「今できる!?」
『いや無理ぃ…』
味を占めたのか、イフリート先生が
目を輝かせて此方に乗り込んでくる
戦った時とてもすがすがしかったらしい。
なんだその戦いにしか生きれない病みたいな感じ。
次も戦いたいって言ったが、
ちょっとやめたい。
あの子また同じように落ちたら
私の心臓が持たない。
まだ13日もあると言うのに、
オリアス先生と教員のお小言で
その日は幕を閉じたのだった。
+++++++++++++++++++++++++++
「それでは俺はこれで。
スージー先生メルちゃん頼みました。」
「ふぃ〜分かりました。
メルさん、此方ですよ〜」
『はぁい!』
「迷惑かけんなよ!
あと歯みがけよ!
朝寝坊すんなよ」
『ちょ、まっおかんか!!』
そうツッコんだメルに、
じゃあねと手を軽く振り
ウインクしたオリアスが消える
全くと言ってため息を吐いた
メルにスージー先生が声をかけた
「今日は大変だったとお聞きしてますよ〜
なんでもイフリート先生と戦って
暫く霧がはれなかったとか」
『すいません…反省文ものなのに
書かされないのが奇跡です。』
うちの作り出したオリアスが
そう思う位には
反省文にならなかったのは幸いなのだが。
その瞬間作った覚えがない為、
ひょっとしたら
オリアス先生が使ったのかもしれない。
どちらにせよ明日から恐ろしい。
「ふふ、でも強くなって来てて
ヤバいって男性陣慌ててましたよ?」
『え?私なんか強くないですって…
皆さんの方がとってもかっこよくて
強くて素敵なんですもん…』
もっと見習わなきゃそう言って意気込むメルに
そこがまた可愛らしいんですがねぇと言う
スージー先生の言葉をメルは聞き逃した。
「あ、所で食堂どちらです?
私オペラ先輩からの荷物に
食材混じってて」
「ああ既に此方で仕分け済みですよ〜
メルさんのお部屋は三階の部屋です。
ふぃっ」
三階に上がったスージーとメル。
320といった看板が見える。
部屋の中はかなり広く、
ベットもあるが真ん中に自分の荷物が箱として
6つ程詰まれていたのはちょっと驚いた。
家変えるんか私は。
「中身は明日でも構いませんよ。
一応オリアス先生から明日お休み
とっても良いからねと言われてますので。」
『えっ!!あっ…そうですね。そうします、』
流石に明日やると悪化しかねない。
少女の名前も知れなかったままだが
仕方がない。
悪周期に入っても困ると判断したのだろう。
少し落胆したが、
明後日あたりにダリ先生の仕事手伝いに行くと考えたら
まぁ今はゆっくりとした方がいいだろう。
部屋のドアを閉めて
とりあえず風呂の準備をする
リュックの中身を取り出して机に置いた後
フラクタルを使い荷物を取ろうとしたが、
上手くかからなかった
どうやら魔力不足のようだ。
そりゃそうだあんなに動き回って
魔力が底をつかない訳がない。
軽くどけて荷物を取り出して風呂に入ることにした。
女風呂は一階にあるらしく、
私も其処に入る事…
にしようとしたが階段途中でやめた。
『あっっっっぶないないないないないない!!!!!!』
急いで部屋に戻って鍵を閉めた
危ない!!
私馬鹿か死人を増やす気か!!
私は人間なのだ、
そこら辺の浴場で入ったらアウトだ。
何なら女性寮どころか男性寮まで
匂い飛ぶかもしれない。
もう大迷惑で死刑にして欲しくなる
レベルになるところだった。
この部屋には一応
簡易トイレと風呂がある。
それが一番の救いだ。
なければ勝手に家に帰ってる。
香水の匂いに包まれたくなるが、
急いで風呂に入り身体を洗って
とにかく泡を消し去る。
汗だくの身体には水は気持ちがいい。
ゆっくり入りたいが、
それは二週間が過ぎてからにしよう。
此処では悪魔の部屋が近すぎる。
悪周期近い奴の迷惑にだけはなりたくない。
基本的に実家に帰ると言われて
殆どが離れているらしい。
ちなみにスージー先生も
5日後くらいには帰るとか。
その前に手合わせしたい所だ。
私はそう思いつつ、
今日の事を忘れて風呂で
身体を綺麗に洗えたと知り
急いで身体の水分を拭きとり
香水を身体に付けた
『…よし』
ひとまず風呂から出て服を着替える。
誰も入ってくるこたないだろう。
そう思って裸で風呂場から出て
適当な服に着替える。
下着をつけて、ひとまずパジャマの姿でと
紺色のフード付きパーカーを羽織り、
中は白のシャツを着ている。
ズボンはとりあえず
腰と背中さえ隠れていたらバレないので
短パンでも良いかなと思い、
膝よりも15pは高い白と紺色の
シマシマ短パン部屋着を着て
部屋を後にした
髪の毛をわしゃわしゃとタオルで水分を取る
そう言えば頭皮に香水付けたけど
消えるくない?大丈夫?
思っている矢先に声をかけられる
「メルさん…?ちょっと?」
『ひぃっ!!』
+++++++++++++++++++++++++++
「もぅ!どうしてそんな
お姿で部屋から出るんですか!」
髪の毛ちゃんと乾かして下さい!
そう言いながらモモノキに怒られる
メルはごめんねぇと半泣きの声で答える。
ソファーに座り、火炎呪文と風呪文の応用で
一度に水分を飛ばしてもらう
そういやこの呪文忘れてたなと、
何時もオペラに髪の毛を乾かして
もらっていたことを忘れていた。
『次からやるやるー』
「もーそういう時はやらないでしょ!」
『えへへ、ばれた?』
「まったく」
「あれ?メルちゃん
もうお風呂あがったの?」
『んあ?おお!イフリート先生と
マルバス先生じゃないですか!
どうしたんですか?』
「君呼びに来たんだ、よ…って
その恰好だと無理かな。
着替えてきなさい。」
そう軽くしっしとイフリート先生に
あしらわれるメルは首を大きく傾げた
んん?変な格好してるか?
私。何時もと同じだぞ???
そう思っていると、
モモノキ先生から声を掛けられた
「恐らく足を出してるからじゃないですか?
ほら行くところ男性寮ですから。」
『…はっ!私…いや〜
おこちゃまにしか見れないから〜』
いけるかなって!そう言ったのだが、
ダメだしを食らったので
仕方がなく部屋に戻って少し整えてくることにした。
どうやらモモノキ先生達も
男性寮に用があるらしく、
ついていくことに。
流石にTシャツを変えるのは嫌なので、
下のズボンを長めの紺色ズボンに変えた。
僕紺色が大好きなのです。
+++++++++++++++++++++++++++
連れてきたよ〜そう言って
マルバスとイフリートの後ろから
女性陣がわらわらと入ってきた。
今日はどうやら軽い打ち上げらしい。
此間飲み会いってきたよな?
そう言ったのだが、どうやらスージー先生が
「オペラさんからお酒頂いてるのですが、
男性寮でも飲みますか?」
と声を掛けたらしい。
なるほどそれなら女性寮より男性寮で飲んで
軽く帰った方が好都合だ。
女性寮で飲んだくれが寝るのはまずいからな。
「華があっていいねぇ〜
もういっそのこと共同にしない?」
「ふふ、たまにするのがいいんですよぉ〜ふぃっ」
『凄い和む〜スージー先生
やっぱ可愛い…』
「メルさんスージー先生のこと
好きですもんね。」
そう微笑むモモにメルは
うんと嬉しそうに笑って頷いた
だって可愛らしいんだもの。
そりゃ好きですよ。
にしても風呂上がりなのは
自分だけではないらしい。
女性陣殆どが風呂上がりらしく、
パジャマよりは余所行きの姿に
男性陣の一部が制服とまた違っていいねぇと
言ったのに同意した。
可愛い。
スージー先生は若草色のワンピース姿で、
襟元がレースになっている。可愛い。
モモノキ先生は薄い水色より
少し暗めの色合いのパジャマの上に
白い長そでを被っている。
長袖の襟部分は無く、
楕円を半分に切ったみたいな形だ。
裾に一つ白い線が入っているのが
どこか教師の服を思い出させる。
私は私で上は紺色パーカーをフードごと被り、
下はちゃんと七分丈ではあるが
紺色のズボンをはいて来た。
ああ見た感じだぼだぼなので
スカートにみえなくもない。
このだらしなさが良いのだ。
「にしてもまた意外ですね
…offのオリアス」
「そりゃ…毎日あんなんじゃないですよ」
そうフードを被ってそっぽを向くオリアスに
メルは苦笑いした
フード被って似た者同士だと言われてるが、
全く気にしない。
あれ恥ずかしがっているのは
オリアス先生だけ?
嘘気にしなくてよくない?
「それよりもモモちゃん!
隣座って〜!」
「いいですよ〜どうしました?」
そう言うモモにメルは
わーいと笑って男子寮の食堂に腰掛ける
それと同時に元気だねぇと言って
オリアスがメルの前、モモの前に
ダリが座った。
『そりゃ元気になりますよ!
だってうちのモモちゃんなので!!』
「ちょ!」
「うちって…なに付き合ってんの?」
『ううん!うちのお友達!!』
おとも、?そう首を傾げる男性陣に
モモが説明する。
「はい!血肉を共にする契約をかわし」
『おいおいおいおい待て待て待て待て!!!』
違う違う違うと突っ込んだ。
そりゃそうだ。
誰がそんな恐ろしいことするってかした。
何時だよいつ。
それに違いますか?
聞いたのと同じな筈なんですがと
困り首を傾げる。
傾げたいのは私の方だ。
誰だ言ってみろ。
どうせアスモデウスだろう。
それみろ。
『友達って言うのは、学校あるいは志などを共にしていて、
同等の相手として互いに受け止めている関わりのことです。
まぁ友人という意味あいですね。』
「へぇー」
『ちなみに心から理解している友人を親友って言います。
まぁ空想生物学の人間界での呼び方らしいですがね〜』
らしいを付けると
さも知っているように聞こえる。
良い響き。
バラム先生から教えて貰ったんですよーと言って
心の中で後で教えておこうと思った。
まぁ入間君辺りが教えているだろうが、どちらにせよ
入間軍と呼ばれる入間・アスモデウス・ウァラクの三人から
モモノキ先生も聞いたのだろう。
「じゃあ俺も友達?」
『いや、流石に同僚ですって…そんな
ダリ先生、軽く友達呼ばわりとか恐れ多いです。』
あー昔の私ならお友達だよ!
って言って笑うんだろうなぁ。
流石にしないわ。
そんなこと。
大人になりましたので。
「えー残念」
『はいはいどうぞ
残念がって下さい』
「扱い…」
『ダリ先生これ位で良いって
スージー先生から聞いてるので。』
「スージー先生〜!何
可愛いメルちゃんに
酷い事教えてるんですかーー!!」
そう遠くにいるスージー先生に
文句を言うダリ先生。
いやそこから立って言うでない。
お前酔ってるのか?
酔ってないだろ。
スージー先生が遠くから
「当たり前のこと言ったまでですよー」
と声が聞こえる。
「何何?何話してるの!?」
そうお待たせと言わんばかりに食堂に食べ物が入る。
どうやらこの話している間に
ロビンがおつまみを作ってくれていたらしい。
申し訳ないと思った私と
モモノキ先生が席を立つが
今日は無礼講ってことで、
そうウインクしたダリに
二人で苦笑いして席に戻った
『それにしてもこれ美味しいですね。』
「あ、チーズと魔スケットのバジル添え?」
『何その高い店で出てくる名前』
「美味しいよねー
ビールと合うんだよね!これ!」
乾杯をした後で笑って食べるダリ。
それに対してモモが
そう言えばと声を出す
「メルさん空想生物学
お詳しいって聞いたんですが
人間界にサボテンってあるんですか?」
「え?いや流石に『あるよ』まじで!?」
そう驚いたのはオリアスの横に
座ってきたツムル先生だった
どうやら絡んでいた
イフリート先生やイチョウ先生は
別の所に行ったらしい。
また後でくるだろう。
『サボテン種類ありますよ。
まぁ…此処みたいに手持ってったら食って
殺そうとする盛んな子はいないでしょうけど。』
あったら普通に国絡みで管理される。
普通に処罰ものだろう。
というかありそうでこわい。
毒を持つものもあるから
何とも言えないが。
基本触らないでの注意喚起で終わるだろうな。
「へぇーどのような植物ですか!?」
『嗚呼…あれ、どうだったかな?
確か場所に寄りますが食用でもありますよ。
入間君に此間話したら凄い
くいかかって来ましたけどね。』
食い物には目が無いからなあ
そういうメルに一同が
入間のくいっぷり良いよねぇ
との話題に頷いた。
「まーたカルエゴ先生絡みですか?」
「まっ!!かかかカルエゴ先生は
たたたただの恩師で!!」
『まぁ彼チョコとか甘い物苦手そうですし
誕生日に人間界のサボテンとか面白そう…
渡すならモモちゃん私作るよ?』
「ええ!?」
『ほら種は別としても魔術で
見様見真似で』
その話はまた今度聞きますと言われたので
多分誕生日近くになったら話来るなと思った。
普通にそうなったら笑うんだけど。
…いやフラグかな。回収乙?
「にしてもほんと空想生物学
詳しいよねぇ〜空想なのに」
『いますよ…きっと。
必ずどこかで。』
「人間界が?」
ええとだけ言って飲み物を飲み込んだ。
オリアス先生の目付が
少し細くなった。
怒ってるな。
話を切り替えてあげようかと
思っていたら切り替えてくれた
「それより、今日のこと話したの?」
『え?ああ…まぁ話題には
なってるっぽかったですよ?』
「あの霧のこと?
いや戦い見たかったなぁ」
「って言いながらダリ先生
抜け出して見てましたよね?」
そう言ったモモにダリはバレたー?
と言って笑うダリに
ジト目で睨んでいた。
面白そうだからと言うのがオチだろう。
「でも悪魔を作り出して
動かすだけだと思ったのに、
どうやら違ってそうだね。」
『いいや?多分そこは合ってます。ただ』
少女が私の姿なのに、
凄く違和感を抱いただけだ。
おかっぱよりはかなり乱雑な髪の毛。
多分左右に髪の毛くくれる位の量はあるだろう。
そんな子が泣きそうな顔で笑う姿を
思い出して心が痛くなった。
音にするならツキンと棘が刺さったみたいな。
それこそサボテンの針だろうか、
あれも痛いからな。
『名前教えてくれなかったのが
ちょっと寂しいですがね』
きっと私の名前ではない。
きっと身体も全部違う。
私の姿をしているのは私が作り出したから。
その中身は違うモノで、
私は異常だと判断していた。
だが異常ではない。
あの子が私に警告を鳴らしている気がしてならない。
今日の報道見た?
と言ったダリにメルは首を傾げた
「ウォルターパークで事件発生して
入間君大活躍したってさ!」
+++++++++++++++++++++++++++
『…はい、はい分かってます。
はい、ああもう知ってます。
それで入間君は?
…はい、ええ大丈夫です。
問題ありません。
では切りますね。
ええ、はーいおやすみなさい。
はい。』
「どう?大丈夫そう?」
そう言って男子寮の片隅で
電話を真剣なまなざしでかけていたメルは
電話を切った後
深いため息と共に声を掛けられたことに気付いた
オリアスがフードを外して此方にやってきたのだ
『ええ、入間君凄い人気らしくて、
どうやら今あの馬鹿理事長が入間くんのこと
テレビで報道しちゃったとかで目覚めた後
大変な事になっていると思います。』
「あちゃー」
『家には報道陣で押しかける可能性がある為、
もう二学期入るまで寮に居て下さいって。
ちなみに理事長からは許可取ってるらしいです。』
荷物まだくるのかぁああと言うメルに対して
少々どう接していいか分からなかったオリアスが
自動販売機の前にある椅子に座った
メルはその隣に座り一息つくために
オリアスから貰ったお茶
否魔茶を貰って落ち着いた
「で?これからどうするの?」
『え?これから』
「悪周期」
『ーーははあああっっっ!!!』
そう生理期間。
すっかり忘れていた。
二学期入る前に一週間は来る。
ちなみに前回は少なかったため、
今回は確実に血が多い。
恐らく期間も長くなるし、
痛みもその分大きいだろう。
ベットから出れないのは間違いない。
そんな状態が一週間続いてみろ。
阿鼻叫喚だぞ。
かと言って家には帰れないし、
避難場所としてウァラクの家に
行くとかの話は聞いているが
それに同行したとして
魔獣に襲われる所に行くことになるし、
休息は無理だ。
「もう絶対俺にも連絡して。
ってかなんならどっちか連絡出来なかったら
誰でもいいから魔通信して…」
此間みたいに倒れられてたら困る。
そう言ったオリアスにメルは
そうだねと思いながら了解と首を縦に振った
『二学期の準備もしなきゃいけませんし
どちらにせよ二週間後に来る予定ですから
当分まだ先だと思われます。』
「なら良いけど…今日どしたの?」
顔色悪いよ。そう言われて
メルが驚き嘘と声を上げて顔を触るが
嘘って言われてわなわなと身体を振るわせる
「ごめんって!…でも、半分本当。
君一瞬だけ表情がこわばってたよ?
独り言も途中多くなったし。」
『え嘘アレ聞こえてたの!?』
昼間に戦ったメンバーから聞いたらしく
どうやら叫ぶ時は叫んでいたらしい。
イフリートとマルバス先生が心配してたよ。
そう言ったオリアスにメルはしょげる
今度お詫びにご飯作ってやろう。
『彼女がどういう状態かが分かりませんが
…ただ少女の感情に対して
私が怒りを感じた時、背中が熱くなりました。』
燃える様な気持ちに、
背中も実際炎が起こっていたとか。
それに頷いているオリアスを見つつ、
話しを進める。
『でも何処かであの子の名前を、
私付けた気がするんです。』
ー貴方の名前はね!*****!
この本に書かれているの!
そう言っている記憶が何処か浮かび上がる
顔がクレヨンで塗りつぶされていて見えないが、
何かに対して言っていたのは事実として覚えている。
それが本当に少女のことだとは知らないが。
『記憶があやふやなので
本当のことが分かった時が怖いですし…』
「その子と感情が一致した時の威力が怖い?」
そう。一番怖いのはそこなのだ。
先程イフリート先生と対戦した時、
ふと世界から音が消えた時があった。
綺麗な肌で嬉しそうに
笑って居るようにしてるのだろうか?
なのに見えるのは苦しそうに笑って
泣きながら落ちていく少女
伸ばすのをやめて一人でただ落ちていく少女は
年齢にしてかなり若くて、
まだ愛情を受けて育っていなければいけない程。
それ程やせ細っている
少女の姿が目に焼き付いてたまらない。
伸ばした手を掴もうとしてもつかめなくて
もどかしくて怒りが焦りが勢いに乗った。
その力は、少し強めに出したイフリート先生の
火炎と互角というのがまた怖いのだ。
だって此方は感情でいう
まだ3位しか出してなかったのだから。
『(君は恐ろしい力に恐怖して私と分かれたの?)』
だから君は恐ろしい力を
ずっと独りで閉じ込めているの?
何時から?何年前から?
いや何十年?それは
それは私が守りたかった人ではないのか?
『(…いや憶測にすぎない。
これは考えるのやめておこう。)』
今は周りにまだバレていないが、
好きな彼の前で居たい。
だが…いつか話さなければいけないのだろう。
きっと私が何かだということも。
君の名前や君の存在全てを。
…今は嫌だから、言わない。
でもいつかきっと。
「メルちゃん?」
『うん?どうした?』
「いや、それよりもうお開きらしいから帰る?」
なんでもない。
今は貴方を見て置く。
だから額縁のままで居て欲しい。
どうかその時間を
動かさないで
止めていて。
『ええ、それならモモちゃん
連れて帰りますね』
貴方に今凄く会いたい。
そう思っているのは、少女の方かあるいは