Novel - Paola | Kerry

it's just you


夢の中だと思わせて5

20/09/15
22

林の中、霧雨が振る午後8時か。
辺りが暗い筈なのに一つだけ灯りがほのかに照らされている
その場所に、嬉しそうに眠っている女性が居た

ーミレイユ、貴方の事は、大事にする。

そう言って握った少女が頷いた。こうしてはいられないと
とにかくこの身体を安静な場所にと思ったが、
身体を動かすのはやめようと思った。それよりも

ールアラ、おいで。

そう言って黒猫に手を差し伸べる少女
髪の毛は黒くおかっぱで、
黒猫が肩に乗ると嬉しそうに笑う

ーへへっ、じゃあ。ミレイユ…
貴方が守ってきた者全て私受け継ぐね。


貴方みたいに出来るか分からないけど。
そう笑う少女が黒猫ルアラに笑いかけた
何処かルアラも笑っている気がした。


ーふさわしいのは貴方の方だったのに、
私もふさわしい人に魔女になるね。


だから優しく見ていて。貴方の大事な悪魔を。
とりあえずオズワルドって言う悪魔さがそっか!!
そう言って笑って走り出した少女は、
林の中から消えて行った所で目が覚めた


『…そうか、やはり魔女の引継ぎ、
オズワルドはミレイユさんのお友達だったのかな。』


というか、何処か私の名前に似ているな。
ミレイユ…ミレイユ…あれ?
ひょっとして私最初と最後の名前取られてる?

もし、もしそれが本当なら貴方の名前は?

いや、良いか。今は。そう思いながら午前六時
昨日と同じ時間から私は絵を描いて時間をつぶし、
モモちゃんとご飯を食べた後
ダリ先生の居る男性寮に向かう事にしたのだった。


+++++++++++++++++++++++++++


「お疲れ様!」

『お疲れ様です』

「ほんと急に頼んでごめんね!!
めっっっちゃ助かった!!!」

あはは、それは何よりだ。
何時もはお茶らけたダリだったが、今回ばかりは
人手ならぬ悪魔手が足りなかったらしい。

両手を合わせてありがとうと言っているのは珍しいものだ。

「お礼に何かするよ〜今度授業手伝おうか?」

『いや充分お世話かけてるのでもうチャラでもいいですって…』

「あ、それならこれ」

そう言って職員室の自分のデスクから取り出したのは二枚の切符
いやなんだこれと思って見ていたら
それプラネタリウムチケットと言われた。いやわかる。ん?

「オリアス先生と行って来たら?」

『…何故そこでオリアス先生入るんですか』

「え?だってオリアス先生のこと好きじゃないの?」

『っな!!!』

そう耳元で囁かれた言葉に距離を取った
わなわな震えるメルに、アタリじゃん〜と言う
ダリの表情は何時も通りになった。
なんだ今のは、大人怖いわ。私も大人だが。

「ふふ、じゃお返しは面白い話ね!」

期待してるよ!そう言われてチケット貰ったまま置いてかれたメルは
ちょっと!待ってのちの字も聞かれずに置いてかれた状態で
とりあえず席に戻る事にした。幸いなことに今はオリアス先生不在だ。

『…どうしよ、チケット。』

プラネタリウム、私は星を見るというか覚えるのが苦手なのだ。
オリアス先生は得意だろうから勉強ついでに覚えろって感じがする。
勿論楽しみの一つになるし、凄い言いたい。

…でも、こんな状況下で言うのも悪い。
それにこのチケットどうやら今年の夏まで使えるらしい。
なんだこの無駄に期限の長いチケット。

まぁ夏の間に行けたら、行こう。
そう思って鞄に入れていた
自分の財布の中にしまったのだ。


『…好き、ね』


彼は人間の私を好きだと言ってくれた。
それはとても嬉しかったし、
私だって彼のことを好きだ。
だがどうしても少女の誘惑に勝てなくなる。


甘い恋に溺れていた方が、まだ世界は平和なのかもしれない。
少女との記憶に、少し不安を覚えつつ、私は部屋に戻る事にした。
どうせこのまま待っていても仕方がないし。

それに職員室で渡してみろ。まぁニュースになる。
絶対渡したくない渡すなら…まって渡すのいつだ!?

付き合って数週間の私達に、バレずに付き合えてるなんて
多分私一番驚いた方が良いと思う。
あれってかダリ先生好きって言ってたけど、何でこんな

おいあいつまさか知ってるな?
そう勘が鋭いことにダリは気付いていないのかどうか
それはダリの心のみぞ知る


+++++++++++++++++++++++++++

『ひとまずこれで休憩入れるか…んー!』

部屋に帰って、生物学の勉強をしていたらもう時間が過ぎた
そう言えばゲームしてねぇなと思いつつ、明日あたり
オリアス先生辺りを見つけるとしようと思い、部屋を後にする
一応風呂まだだなと思いながら時間をみたら気付けばもう11時だった

げっと思い、食堂に向かうと料理とメモがあった

“メルさんへ、集中していそうだったので
食事はお誘いしませんでした。
もしお腹空いていたら食べて下さい。”



それにモモちゃん、と
ため息交じりに彼女の優しさに笑う

どうやらチャーハンらしい美味しそうだ。

口に入れつつ、自分の状況下を整理する。




『(ん)…ルアちゃん出て来れる?』

「なに?」

『ルアラって黒猫、君?』

そう言ったメルの前に
大きな口を開けてルアちゃんが威嚇を表現した
とんでもない魔力量に、
少々驚いたが、なんのこっちゃない。




「“何故その名を知っている”」

『夢で見た。君は、ミレイユの魔法使いの黒猫。
ルアラ、ずっとミレイユさんから
お願いされてたんでしょう?
私をお願いって…ねぇ?』



「“…そうだよ”…
もう隠し事は無しにしようか。」



そう言ってルアちゃんこと
ルアラが黒い子猫に変わる


テトでも驚く位の一瞬の魔力で
女子寮が騒ぎ出すが
私は平然と前を向いた



『ルアラ…ごめんね』


「何故?貴方が謝る」


『守れなくて…
貴方の、あなっ…っ』



痛む、横たわる女性、
降りやまない霧雨に体温が奪われる

死んでいく体温なのか、
雨に奪われた体温なのか分からない

なのに死んでいく体温だと
言いたくなくて、首を横に振った



あの少女の泣き顔が、
イフリート先生と手合わせした時の少女が
手を放した時の顔に似ていて


「…いい、彼女はあの方はそう願った。
だから私はお前を守っている。」


『ルアラ…って、よんでいい?
あとその姿好き。』


「嗚呼。ありがとう。
この姿で良いなら、いつだって。」


「何事!?メルちゃん!?
あれ…その魔猫は?」


そう言って飛び出してきたモモちゃんに
メルは嬉しそうに笑って答えた



ルアラちゃん!私の子猫よ!
そう、少女が笑ったように真似て。


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「昨日の魔力はこの子だったのかー」


『お騒がせしてすいませんー!!』


軽くニュースになりかけていたのを
ひねりつぶしたらしい。

サリバンが職員室にいた
メルに飛び掛かってきたのは驚いた。

「メルが何時も世話になっている」


「「「「「きゃーーしゃべったーーーーー!!!!」」」」」



『ごめんね、ルアラ。やじゃない?』


「いや、此方の猫とは違う形だから
驚いてるんだろう。」



嗚呼そう言えば此方の猫だと二つの尻尾がある。


対して確かにルアラも尻尾はあるが一応一つだ。


魔女の猫は二つの尻尾と
記述されていたのだが


恐らくミレイユが変えたのだろうか?
まさか捨て猫を…いやあり得そうで怖い。


「その子ルアラちゃんって言うんだ。」


『ええ、私の…えっっっと、幼少期?
でお世話になった悪魔が居まして、
その方の引継ぎです、』


嘘言ってない。嘘言ってないよ!!!


そう言いながら、
心臓を落ち着かせる。


ふぅうん?と言いながら眼を開ける
サリバンにルアラが威嚇する


『っ!!駄目!!!』


そう言ったメルに、
とんでもない魔力を
急に風船がしぼむかの様に消し去り

メルの肩に乗り、頬にすり寄った


「成る程、メルちゃんを
殺そうとしたら威嚇すると」


えっ!そんなことしたの!!
そう思いながらも同じことを
隣で聞いていたロビンが声を出した


「ええ!そんなことしたんですか!!」


「守ってくれるってことね。」


「無論、あの方の継承者であるからには
誰一人も傷付けさせない。」


もう二度と。

そう言って威嚇する猫にメルは
大丈夫と言葉をかけた


頭を撫でて、優しく、少女にいう様に。


『この人達は敵じゃない』


「…分かっている。
お前の元に何年居るつもりだ。
全部見てきたからな。」


『あはは』


「モフモフは勘弁だ」


そう言って後ろから
モフモフしたそうなバラム先生に対して言った
ルアラにバラム先生が後ろでしょげている。



可哀そうに…


「にしても意外だな、お前が
私の力を使えるとは驚いたぞ。」


『え?なんで?』


「お前ケト以上じゃないか?
だって元主はヨドだったぞ。」



その言葉に職員室中が
叫ぶことになるとは思いもよらず

後から来たカルエゴに
叱られることになった。





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「メルちゃんヨドなの!?」

「元主が私をこの姿にしたからな。」


『あっちょっまっまって
待って待って待って
たんまたんまただってああっ』


「おちつけ」


そう頭に板が落とされる。

カルエゴの軽い制裁というか
落ち着かせ方にオリアスは苦笑いしつつ
事情を知らなかったカルエゴと
理事長に説明をしたのだ


勿論理事長の部屋に呼び出されて。
カルエゴは家に帰ると言って部屋を出て行ったので
知る者は限られる。


「はぁ…メルちゃんのことを
知るのが君達で良かった。」


そう安心したかのように
ため息を吐いたサリバンに此方も安堵が漏れる
だが、とサリバンがメルの方を向いて言う

「メルちゃん、僕にいや皆に
“まだ伝えていないこと”あるよね?」



その言葉にメルはぎょっとした

恐らく夢の話だろう。


今日も夢をみた。


何故悪夢ではなく記憶の夢を
見始めたのか分からない。



ただ物語は進んでいる事を
意味しているのは間違いなかった



「メル様…???」

『分かった分かった分かった!!
言います言いますから
オペラ先輩ほらそれしまって!!!』



殺気です!!なんのことです?
なんていわれたらそりゃ言うよ。
背後から殺気が出て思わずルアラが威嚇したわ。




『…夢を最近見るんです。
悪夢とは違って物語的な』



「ほう」


『丁度私の髪の毛の色みたいな女性が
少女に向かって何か言ってました。

それから少女は走って、
オズワルドを探すと言って
走り出したあたりです。』



「…は?」


「へぇー」


『その女性の名は、ミレイユ。
魔法使いだと、思います。』



その言葉にサリバンが動いて
オペラが目を見開いた


見たことない顔に、
此方も驚いて目を見開いてしまった



「…今、なん、て?」


『え、と…ミレイユ…です。』


「あの?…オペラ」


「ちゃんと保護してますよ。理事長。
ですから過剰にかけないで下さい。」



防音だろうか?盗聴防止だろうか?


いやなんにせよとんでもなく驚いた後


そうか、いや…まさか、
あーやりそうだなぁと声が漏れるのに
一体何事かとバラムが問う



「うぅーん、いや…
メルちゃんと
二人きりにして欲しいな。」


そう言った理事長は、
「いつも通りで接したげてね」とだけ
教員に言って席を外させた。


パタンとドアが閉まったのに、
メルは前を向いた



「君、ミレイユ様の力を継承してたんだね」


『…ええ』


「どんな方か…知ってる?」


『いえ、夢で見そうな気がして…まだ』


「そっか…なら夢の方が良い。きっと。」


なんだろう?凄く不安そうな顔になったのに、
きっと訳があるだろうに。


『おじいちゃん』


そう言ったらサリバンがうん?
と顔を上げて此方をみた


『きっと少女の名前は私分かる。
でも言わない今は。』


「…うん、その方が良い。
大事な名前なんだ。
取っておいてあげなさい。ただ」


もし、そう人差し指を口元に置いて言う


「危険になった時、その名前を呼んで
会いたかったと言ってあげなさい。」


お爺ちゃんとのないしょね。

そう言って笑うサリバンは
何時もの入間やメルが見る
サリバンお爺ちゃんだった。



『分かりました。』


「よし、ルアラと言ったね」


「ああ」


「…ミレイユ様をよく守ってくれたね。
ありがとう」


「いや、私は何も出来なかった…
だからこうやってメルを守っている。」


彼女が大事そうに守った子供だからな。
そう言った黒猫に
そっかとサリバンが微笑んだ


「メルちゃん、
その力どうする?封じる?」


『いえ、いい方向に使いたい為
特訓しようと思います。』


「僕の力、いる?」


『いずれは…でもまだ
先生方とやりたいです。』


「そっか!大丈夫。
ミレイユ様が望んだなら
きっと君は使いこなせる。」


何かあったら言ってね。

君は一人じゃないんだから。


そう言ってくれた言葉に、
胸がジワリと響く。


ありがとうございます
そう言ってメルは
部屋から出て行った。




「サリバン様」


「分かっている…一応様子は見ておこう。
オペラ、準備を始めてくれるかな?」


「かしこまりました。」


そう言って一つ返事で動き出すオペラに
メルは気付くのに時間がかかることだろう。




+++++++++++++++++++++++++++


『にしてもミレイユかぁ。
悪魔いたっけなぁそんなぁ』


ーいないかな。何処にも載ってない。古の者。


なら載っていて当然では?
古い人なら載れよ。

ってか時間軸がおかしくないか?

ふと思い出す。



一応これでも人間界の
しかも日本の勉強をしていた筈だ。


なのに何故ミレイユさんからの魔力を受け継いだ?


しかも魔女なら魔女狩りで処罰されている筈だ。



白魔女とは間違いなく言えなかった。
射殺のような跡にもみえず、
ただ血を流していたし



死ぬ原因は何にせよ、
引き継いだ継承者という器が何故ある?






人間ということに代わりがないのは???



まぁそこら辺も夢できっと分かる事だろう。
今は、ただ、夜を待つばかりだ。


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