ーふふっきっと大丈夫よ。
ーできない!!なんでミレイユさんそんな得意なの?私全然だよ!
ほらキラキラも出せない!そう言って困る少女に
笑う女性、水色の髪の毛をハーフで三つ編み上に編んでいた
髪の毛はメルの今よりも長く、肩よりもずっと下にあった
ー貴方ならきっと大丈夫よ。私が見込んだ人だもの。
ーえぇ〜悪魔でもよかったんじゃないの?私だって違う子だよ?
ーいいえ。私の産みの子と変わらないわ。
ほらできたそう言って
ミレイユさんと同じ髪の形にしてくれる
それに嬉しそうに笑ってジャンプをする所、
自分の幼少期さながらだった
ーぱぱさんは来ないのです?
ーええ、仕事で忙しそうだから。
ー寂しくないですか?
ーいいえ、貴方とこの子がいるから
ー黒猫さん!!かわいいー!
ーねぇ、どうして貴方は悪魔を怖がらないの?
命を落とされると思っても。
そう言った女性に、私も少し不思議だった。
確かにオリアス達と合っても怖いとは思わなかった。
勿論命を刈り取られる瞬間ならきっと怖くなるだろうが…
言葉にそっけない態度で少女は言ったのだ
ーどうしてですか?
寿命が長い悪魔さんなら
私を置いて行かないじゃないですか。
だから、僕は悪魔を怖がらない。
ずっと傍に居てくれるから。
そう言って笑った少女に胸が痛んだ。
嗚呼どうして。
ーそう、強い子なのね。
ー悪い子だよ…お母さん、
僕を殴るのです。出来損ないって。
それに女性が目を見開いた
寂しそうにする少女に、
メルは胸にあった服を
ぐっと握りつぶす勢いで鷲掴んだ
ーだから、好きも、全部、感情は要らない
ー…いいのよ、貴方は、愛されるべきなの。
ーお母さんに愛されないということは、
愛される権利なんてない。
でも貴方は僕に教えてくれた。
もし貴方が悪魔と言って周りが避難しても
私だけは貴方を天使だというわ。
ーだって貴方は僕を救ってくれたもの。
ー…っ、
ーこの名前と同じような貴方と会えて、
僕嬉しいです。ね!この花を贈りたかったの!
そういって本に指を指した。
昔近所に居たお爺さんが
咲かせていたのを覚えているらしい。
それならと言って女性が
メルの手を後ろから握ってやる。
ーこの花を咲かせてみましょう。
ーええ!さっきやったですよ!?無理ですって!!
ー大丈夫。ほら私に贈って?それとも大事な人に
そう言って彼女は唱えたのだ。
クワンクワン
+++++++++++++++++++++++++++
『おおい!!それ魔術の呪文ーーー!!!!』
って朝だ。
また六時か…僕は健康的で良いなおい。
そう思いつつ、頭をぼりぼりとかきむしった
昨日と違うのは隣にルアラがいること。
どうやら指輪に戻れないらしい。
暫くは隣に寝ている。
「どうした、また見たか。」
『…お花咲かせる夢みた』
「…嗚呼、あの時か。」
覚えているのか。
そう言ったメルにそりゃあなと言った。
「お前の嬉しそうに笑って大量に咲かせた華を
あの方の顔面に投げ飛ばした姿は度肝を抜いたがな。」
あとがあったのか!!!
くっそ!!!
もっと深く見たかった!!!
そう思いつつ、
部屋着から衣装を私服に着替える。
「どうするんだ?」
『今日は、ロビン先生とこ』
そう言って職員室、ではなく
男子寮にいるオリアスに連絡を取った
きっとこの時間も
オリアスはゲームしているか寝ている。
まぁ後者だろう。
『あ、ごめんね朝早くに。
ちょっと後でそっち行ってもいい?』
+++++++++++++++++++++++++++
『おはようございます
オリアス先生〜ロビン先生います?』
「おはよ〜、こっち。
俺の部屋ん中だよ」
今特訓中そう言って
後を追うメルにルアラが声を上げる
「ん?特訓って?
あの弓矢使いのどこがだ?」
「どうやら二学期に入って
アブノーマルクラスの特訓に
抜擢されちゃってね。」
『えっ!聞いてないんですけど!!!』
「いやさっき俺も初めて聞いたから
多分昨日夜に決まったんでしょ。」
理事長に嫌味妬み言ってたよ。
そう言ったオリアスがドアを開けた
そこには多少散らかっているがゲームの残骸と、
ひたすら画面を見ているロビンだった
「ちょっとロビン先生!
メルちゃん来たよ!!」
あ、おはよ!!
そう言って朝食まだ?と言われたが
流石に終わっている為、ご飯は断った。
「オリアス先生の集中力と
どっちが強いかなー」
「いや絶対ロビン先生でしょ」
『私も流石に…いやロビン先生も
オリアス先生もどれ位できます?』
ゲームの難易度にもよるけど、
まぁ日が変わっても出来る
と言ったオリアスと、今特訓中!
と元気に言ったロビンにメルは苦笑いした。
『んー記憶が正しければ、26時間は…』
「え、トイレとか風呂は?」
『秒』
「待って食事は?」
『ほぼ無し飲み物のみ。
何なら今からやる?』
「駄目駄目駄目駄目駄目!!!!」
本気だったらねーと言ったメルに
本気にさせると女子寮でも
ストッパーが必要になるだろうが
モモノキというストッパーがいることを思い出した
オリアスは後で一言
言っておこうと思った。
『でも何でまたゲーム』
「いやー入間君とリードちゃんを
ロビン先生が教えるらしくてさ。」
『いや二人はきついでしょ』
「大丈夫!お姉ちゃんに任せるから!」
おねぇ?ロビン先生、親戚に一人居るんだって。
と言ったオリアスの助けに成る程と思い出した。
確か少女が違うって言っていたが、
本家の方だろう。
バルバトスと呟いたら少女が
そうだよと声を掛けてくれた。
何がそうだよだ。
「メル先輩手伝ってー!!」
『このゲーム三人でなら行けるんか』
「ある程度遊んでるから良いだろ?
休憩がてら」
『んまぁーある程度なら』
そう言ったオリアスとロビンは
後で後悔する事になるとは
思いもよらなかった。
+++++++++++++++++++++++++++
『へぇー此処がこれ出来て、
此処で発動条件ね。』
「ねぇーまだ?」
『ロビン先生食事行ってきて
私これやるわ』
「待ってメルちゃん
それだけ書くんだよね?
まさか全部?」
『全部』
うそぉ、それ辞書並みにならない?
そう言ったオリアスに
メルは分からない
知らないとだけ伝えて
ひたすらメモする。
ノートとペンはオリアスから借りたが、
これは後で買いに行った方が良い。
そう思ったメルは後で
下に買い物に行くことに
予定を頭の中に記録する。
『よしこんくらいにしとくか。』
「やっと終わった?
っておおぅ…すげぇ量」
『これ位はまだ序の口でしょ』
「メルちゃんってさ、
一度ハマったらとことんまで
追求するタイプでしょ。」
『え?違うよ?
これ初期知識じゃないの?』
「うっわしかも無自覚かよ
…マジか。」
しかも集中力半端なくない?
ノンストップで
三時間軽く過ぎたよ?
そう言ったオリアスに
メルは全く問題ないと言った。
しかもこの子
水分を一度も取っておらず
軽く心配になるレベルである。
「料理出来たよ!!!」
「食堂!はい!!
いくよ!!!」
『やだーーー!!!
これから整理するためにげーむ!!!』
「駄目!ご飯食べてから!!!」
何時もはオリアスが
ロビンに説教をされるのだが、
今回はオリアスがメルにしている。
不思議に思いつつ、
食堂に行ってご飯を獣の様に食べる。
ゆっくりちゃんとかめと言う
オリアスにメルが口に物を入れながら
喋る為、何を言っているのか分からない
「食べるか喋るかどっちかにしろって」
『…ん!』
「ほらまたそうなる…ほら水」
飲み干したコップを机に置いてぷはー
と言うメルに
お前は中年のおっさんかとルアラがツッコんだ
「いつもこんな感じ?」
「まぁ食事はな。
私と共にする時からだったから
恐らく幼少期だろうな。」
『私食べる時急かされてたから。
早く食べないと怒られて殴られてたし。』
そうサラッと言ったメルだったが、
ざわついていた周りがしんと静まった
一体なんだろうと思いつつ、
メルは食べ物を飲み込んだ。
「…メルちゃん、
此処は急かさなくても
誰も怒らないから。」
『いや大丈夫ですよ。
早く食べた方が食器片づけてゲーム出来るし。』
「いや胃に悪いから、ほらこれなら」
「諦めろ。メルはもう慣れてる。」
胃も全てな。
そう諦める様に言うルアラに
色々何かあったんだろうなと
オリアスは察した
「にしても多少はマシになったな」
「えっこれで?」
「丸のみで入間程まで
いっていたと言えば良いか?」
「いやごめんなさいもう聞きません」
多分聞いたら食堂に居る全員の胃が膨れるだろう。
そう考えたら噛むようになって
食事の量も減ってきたとか。
入間並みの食事食ってた
というのにも驚きは隠せないんだが…
「そういやメル、
お前の力本気を見た事ないが
…この夏やれよ」
『んぐ!?んんぁんんふぇ!
んーふぉおあんんあんー!!!』
「そんなん無理じゃないやるんだよつかやれ。
お前あのお方のお示しされたんだからな…」
「えぇ…メルちゃん本気出すって…俺達敵う?」
「まぁ束になってもまず無理だな。
サリバンの力と一緒にしたら
まぁ多分いけるだろうが
…ああまぁこいつが無垢な時は大丈夫さ。」
そうふてくされたように
猫は丸くなって食堂の机で目を閉じた
「(お前が人間で、
それも優しい子で良かった)」
悪魔にも優しく、手を差し伸べる子で。
だからあのお方も、
ミレイユ様もお前を気に入ったのだろう。
嬉しそうに笑っている姿は、
少女は…誰かを気にしつつ
ひとまずメルのご飯が終わるまで
寝ることにしたルアラなのだった
『ルアラ寝ちゃった』
「そのままにする?
あっ連れて帰るのね」
何か怒ってない?
そういうオリアスにメルは
全く気にしないでオリアスの部屋に向かう
てとてとと足音を立てて
『…』
「気になることか?」
『ううん、きっと大丈夫。』
メルはふと思い出した。
食事中本来味がしなかった。
急いで食べないと腹を膨らませないと。
きっと怒るから。
殴られて身体から出されたりしたことも。
それは流石にオリアス達に言うには気が引けたのだ。
だって食事中だし、
それに殴られたとか言った後
周りの引いた感じで思ったのだ
『(この人達は優しく見守ってくれるから
…だから迷惑かけたくない。)』
これ以上。
こんな世界をずっと守りたい。
そうサリバンの前で言ってくれた
オリアスに対してメルはそう願ったのだ。
何故ミレイユが人間界に居て、
何故メルに宿したのか。
メルと似た少女は一体だれなのか。
色々と不安は多いが
ただ忘れている時よりも、
とても安堵している。
落ち着いている心に、少し寂しさを抱いて。
夏の音が、恋しいだなんて。
私は、本当に地獄が好きだったのだなと思った。
+++++++++++++++++++++++++++
『これ位にしときますか』
「…あもう夕ご飯!?食べてく!?」
『いや流石に良いよ。
私モモちゃんと食べるから〜』
「そう?なら」
『それじゃお二人とも今日は
大変お世話になりました!
あ、ロビン先生
後でメール送っておくね!ゲーム!!』
リード君の嫌がりそうな奴ー!
そう笑って女子寮に帰っていくメルに、
悪魔らしい笑みだなぁとオリアスは
苦笑いしつつ手を振って見送った
「ね、オリアス先生」
「ん?何」
「メル先輩、
凄い不安そうだったね」
「っ…気付いてたか」
「でも僕達と一緒に遊ぶ時
凄い嬉しそうだった」
ずっとそうだったらいいのに。
そう言ったロビンにオリアスは
きっといつかそうなるさとだけ答え
久しぶりにロビンの食堂で一緒に
晩御飯の手伝いをすることにした。
+++++++++++++++++++++
その帰宅したメルの方はというと
『…まずいな、こんなの』
「どうした」
部屋の中で腰をかけたメルに、
ルアラが声を掛けた
ぽたぽたと涙を流すメルに、寄り添う
『っ…(嗚呼怖いんだ、笑ってそのままいなくなるのが)』
人間ではない。
母親でもないのだ。
彼らは悪魔なのだから、きっと離さない。
なのに人間と似たような姿で、
どうしても離れていくのではと感じる時がある。
『(嗚呼大丈夫、大丈夫だよ…)』
涙を流すのを、首を絞める様に
手を首にあて身体を丸めた
楽し過ぎて、一人になると
孤独に感じる様になってきたのが怖いのだ。
幼少期、少しだけだが覚えている。
冷たい廊下に冷めたご飯。
味はあった気がするが、
甘いかどうかも後から分からなくなった。
怒鳴り声が入る世界の中、
うずくまり夢の中でしか生きれなかったあの時間。
あの世界にまた戻ってしまわないかと思う位に、
この世界は幸せになりつつある。
『(怖い…大丈夫…ああでも)』
嬉しそうに笑って居る姿を見て、
ただ嬉しかったのは事実だ。
だから明日も明後日も笑って居たい。
居続けたい。
出来ることなら彼ら位
長生きをしてみたいとさえ思う。
…傲慢だ。
それは、きっと罪深き私が
望んでしまってはいけない。
だからこれは抑えつけなければいけない。
だけど、約束したから。
この気持ちも、
一緒に抱きしめて
前を向いてみようと思う。
だからお願い。
どうか、どうかまだ笑わせて欲しい。
まだ、この夢を醒めない夢を、
そのまま醒めないで欲しい。
「…大丈夫さ、お前は強い。
何度も死にそうになる心を生かした。
お前は選ばれた人間なのだから」
『っ…ほんと、は…
ふつうの、ひと、に…ただ』
普通に憧れた。
オシャレして、私可愛い?
そういう子が両親に可愛いよと言って貰って
何処かにお出かけして
笑い続けて居るそんな時間に僕も入りたかった。
その世界は僕にとって
夢の世界でしか得られなくて、
いや夢も悲惨だった。
幸せな世界を見ては
現実の世界に戻って絶望したあの時間。
それに戻りたくないと思いつつも、
何処か恋焦がれてしまう。
そんな僕が、選ばれたなんて恐れ多いのだ。
何故、僕を選んだのだろう?
『…でも、今はただ、前を向かないと、』
「…嗚呼、だから、どうか泣き止め」
泣いてないよ。
そう言ってメルは笑ってみせた
嗚呼きっと少女もこんな気持ちだったのだろうか。
相手が泣きそうな顔になって
不安そうな姿を見たくなくて
自分が無理矢理笑って取り繕ってしまって。
残酷なほどに、
現実から目を背けないと
生きれない程の世界なんて。
もう無いと言うのに、
がんじがらめになって
ほどけないというのだ。
嗚呼寝るのが少し怖い。
幼少期の記憶が出て来なければいいのに。
そうすれば、
僕はずっと貴方と笑って居る記憶で
居続けれるというのに。