ーミレイユ?
ーそうよ。私はミレイユ。貴方は魔法使い好きかしら?
そう言って現れたのは青髪の女性だった
髪の毛は肩程の女性で、ふわりと月夜に出て来た
真っ白というよりかはかなり茶色に変色した
水に入れたら汚れが浮き出る程にみすぼらしい少女
やせ細って骨が浮き出ている姿が、酷く…哀れだった。
ーうん、魔法使い好きだよ
ー一つ何でも魔法が使えるとしたら
どんな魔法が良いかしら?
ーそれは決まってるよ!私ね。
雑音が入った後、ミレイユの顔が酷く歪んだ
泣きそうな顔で少女の身体を抱きしめた。
貴方の名前は?そう聞いたミレイユに少女は言ったのだ
ー都佑だよ!都佑岡本!!
ーその魔法は使えない…と知ったら貴方はどうする?
ーいいよ…だって二度と叶わないって分かっているから。
ー…そう、分かったわ。此処から出て行きましょう。
あと、その名前だと駄目よ。そう言われて首を傾げるのに
じゃあ別の苗字と名前を作って言ってくれる?と言われる。
うーんと考えて、前にソシャゲで遊んでいた子を思い出した。
魔女になった健気で可愛らしい女の子。
あの子のような感じになりたくはないが
それでもあの子みたいに誰かの周りで笑って居たい。
そう思って、私はそのままあの子の名前をぼやいた
ーメル、安名メル。
ー良い名前じゃない。それで話しましょう。良いわね?
絶対に悪魔に本当の名前を教えちゃ駄目よ。
それは最期の時に呼ばせなさい。
そう言った女性に、メルは
首を傾げたが鵜吞みすることにした。
大丈夫。後は私が受け止めるわ。
そう言って女性がその冷たい部屋から
瞬間的に森の中にメルと同時に飛ばした
ーここは?
ー貴方の母も父も居ない場所。
此処には魔法使いが住む場所。
ー二人に会えない?
ー二度と
ー…いいよ。夢の中なら、会えるから…
ー…っ、分かったわ…もう、大丈夫よ。
そう抱きしめてくれたのに、
少女メルは笑った。
泣きそうな笑顔で、胸が酷く痛くなった。
それから女性が
人間界の全てを教えてくれたのだ。
授業は嬉しそうに笑って過ごしていた。
食べ物も早く食べているのに
一度も怒らなかった。
ただ、辺りが暗くなってきたとき、
一度メルが外を飛び出した。
ウサギに夢中になって外に出て行ってしまったのだ。
ー誰だ!!
そう言われた音でメルはマッチの炎に驚いた。
魔女だ、そう言われて逃げるメル。
身体はまだ弱く、やせ細っている為に
長く走る事は出来なかった
そこに水色髪の女性が舞い降りて来た
人間がメルを捕えて元の場所に
帰そうとしているのは分かったのだ。
だから離してメルを捕まえて距離を取った
ー人間の子を返せ!魔女め!!!
ーちがっ!この人は!!
そう言った少女の口を
魔女と呼ばれた女性がそっと手を置いた
顔はとても穏やかな顔をしていた。
まるでもう手放しても大丈夫かの様に。
ーこの子に危害は加えないで。
それだけ約束してくれたら。
そう言った途端、女性の胸が
赤く花が咲くかのように胸に光が零れた
ぽつぽつと雨が降り出したのに
気付かない訳が無い
ーっ!やめて!!なんで!!!
ーその子はどうする?
ー始末しろとのお達しだ。
ーいやだ…なんで…なんで…
首を横に振って女性の傍から離れない。
少女に名前を呼んだ。
ーメル…お願い、言う事、きいて?
ーいや、いやだ…
手を上げる女性に、少女は両手で手を取った
黒猫の名前と、黒猫に少女の事を頼んだと。
あとサボテンには定期的に水あげろだの
ご飯は噛んで食べろだの、無駄な事ばかり言う。
此方に銃を放った音が聞こえる
おいてかないで。
その感情に花が咲き誇るかのように
少女の目が銀色に光り輝き辺り一面を燃やし尽くした
ーっやだ…なんで…ねぇ
ーオズワルドに、あっ、て、はな、して?
ーおずわ、る?
ーあと、さり、ばんに、ごめんなさ、いと…おぺー、にも
ー分かった。分かったから!もう
ー都佑、大好きよ。
貴方の人生がずっと幸せでありますように。
そう言った後、
彼女から握り返してくれることは無かった。
+++++++++++++++++++++++++++
『…偉大なる魔女、ミレイユ。』
その姿は水色の髪の毛に、
今の自分の姿と瓜二つだった。
自分で姿を変えたのだろう。
一つ魔法を使った?
いや違う。
あれは使ったのだ。
彼女の埋葬で。
淡い緑の髪色に戻ることはもう無いだろう。
これからはメルと名乗るのだ。
きっと、緑の髪色で名乗る時もあるだろうが
…その時はその時だ。
どちらにせよもう名前は呼ばれることはない。
僕はミレイユを優しく青い炎で焼いて消した。
跡形もない方が
本当は良いと言っていた
ミレイユの言葉に沿ったのだ。
青色が好きだった彼女のことが
好きで好きで…自分も髪の毛を染めたいと
言っていたのに、ミレイユは嬉しそうだった。
『…同じ色なら、貴方とっ
…家族って、言えると、思って』
ねぇだからこれは二つ目の魔法なの。
貴方の様な偉大な魔女に、
私もなりたい。
だからこの感情を抑えつけた。
こんな人間の感情なんて、
魔女には必要ないと思ったから。
でも貴方はそんな私の全てを買ってくれた。
だから私は髪の毛を染めた。
貴方とミレイユと家族だと言いたくて。
でも本当は分かっている、
こんな髪の毛を染めた所で貴方の家族だって。
人間の感情を取り戻して、私は貴方の…
貴方の力で貴方以上の存在になりたい。
優しく夢の母みたいに触れてくれた貴方。
私が心を開いたのは、
貴方が死んでからだと気付いているのだろうか?
夢の中でずっと一緒に居た女性は、
貴方だったのだ
嬉しそうに笑って暮らしてくれた、青い、
いや水色の瞳その色がとても綺麗で、
魔法を使った時に銀色になる理由も教えてくれた。
ーこれはダメなのよ。これはね、
魔法を沢山使った時に出るものなの。
そう言っていた彼女だったが、きっと違う。
恐らく禁忌呪文を唱えたのだ。
なら私の呪いは?
ずっと悪夢を見る見続ける呪いは
まさか。
『…貴方が、私に?』
悪夢ではない。
それは幸せの呪い。
ずっと私が泣かない様に、私にかけてくれた。
なのに勘違いした私が
オズワルドに出会って、
呪いを本格的にかけてしまった。
きっとオズワルドも
顔を青ざめたのはそのことだろう。
いや悪い事をさせてしまった。
『…貴方に、会いたい。』
ミレイユ、貴方の力は巨大すぎた。
だから私は二つに分けていた。
貴方の名前に似ていたから。
だから二つにした。
そう、全てはあの欲を叶えるために。
「…メル?」
『…思い出したよ。全部全部』
ごめんね。
そう言って抱きしめる。
きっと寂しい思いをしただろう。
ミレイユがそう言ってくれた様に、
同じように触れると抱きしめたルアラが
ミレイユ様?と首を傾げた。
ああ貴方に似ているのなら、貴方の様に振舞えたら。
貴方の世界が少しでも見れたら…私は良いのに。
私が世界に光を見れたのは、貴方が来てくれたから。
例え私が魔法使いになれなかった
紛い物だったとしても。
貴方は私を魔法使いにしてくれた。
ーメル、
貴方は感情がとても豊かなの。
人が知れない程に。
ーだからその力を私は買ったのよ!
ええ、魔術はイメージが全て。
貴方が言ってくれたことだ。
人間界の知識も、
少しだけ魔界の知識を入れてくれたのも貴方は、
私が魔界に行って住めるようにしただけ。
ならばこの場所が貴方の生きていた世界。
この場所を守り、そして維持する。
青い炎の温かさで、安らかに眠っていた
嬉しそうな笑顔を思い出して涙が零れ落ちる
嗚呼
貴方と少しだけでも幸せな時間が生きれたことが
私にとってどれほどの救いになったことか。
「…メル」
『ミレイユ…貴方は、
私の大事な人よ。
悪魔じゃない。』
貴方は人間だった。
人間の子が言う程、温かく優しく、
酷く…儚い人だった。
+++++++++++++++++++++++++++
ミレイユが着ていただろうものを思い出しつつ
絵を描いた。きっとこれを作った方が良い。
んでもって二学期から着て行こう。そうだそうしよう。
そう思いつつ、メルはご飯を作る。
その内容にルアラが驚き毛をたてた。
「おい!オリアス!!こっの金髪悪魔!!」
「ええ!?ちょ、
メルちゃんの子猫!?
どうしたの急に!!」
「大変だ!メルが!!」
メルが記憶を取り戻した!!
その言葉でオリアスがすっ飛んで行ったのは
中庭に居た入間が桜を作り出したふもとだった
『…綺麗ね、貴方も見てくれている?』
嗚呼でもいないよね。
そうぼやいているメルに、
オリアスは声を掛けようと
名前を呼んだが届いていない。
『…貴方の世界は、優しくて。』
クワンクワン
そう言って作り出した青い風車の花々
手から綺麗な青と茎の若草色にメルは微笑む
目の色が何処か遠くを見ている。
どうか、貴方と一緒に。
そう言ってメルは目を閉じて作り上げる
貴方と一緒に居た、ログハウスと湖のほとり
そして青い空に、作り出してくれた花畑
『目を開けても…貴方と出会える』
「…メル」
その声に、私は首を横に振って飛びついた
「嗚呼、貴方はなんて人なの…
こんな大きな魔法を使える様になってしまって」
『ミレイユ…ミレイユ…!!』
そう泣き叫ぶメルに、
オリアスとルアラが眺めている間に
後ろから何事かと何人かがやってきた
「んなっ!!!」
「…ミレイユ様!!!」
「誰?」
「あの方は魔王デルキラ様の奥方様だよ。」
そう言ったサリバンに懐かしい音が聞こえてねと言って
ミレイユの前にひれ伏した
『ミレイユ?』
「…サリバン、貴方には
ご迷惑をおかけしております。」
「とんでもありません。
この身に有り余る幸せです。」
「あの子は…私の友のオズワルドは!!」
そう言ったミレイユにあのねと声をかけた。
メルの声はとても幼く、
かつミレイユを見て言う
『オズワルド…寿命で死んじゃった…ごめん』
「寿命ですか…そうですか、なら良かった。」
だから貴方がこんな魔法を使えるようになったのね。
あんな冗談まともに受けたのね。
と笑うミレイユにメルは首を傾げている。
「メル、今貴方の瞳
何色になっていると思う?」
『青!!』
「銀色よ…メル、
貴方って子は…本当に凄い子よ。」
そう言ってミレイユはメルの身体を抱きしめた。
そのぬくもりが、ただ暖かくて、
嬉しくてメルは涙をぽろぽろ流す
嗚呼、ああ、
もうこのまま居なくならないで欲しい。
どうかずっとこのまま居て欲しい。
でも貴方は、分かっている。
貴方は死んでいるから。
そんなことは願ってはいけないのだと。
これは私が作り出したものでしかないと。
「違うわ…私はミレイユよ。」
『え?』
「全くあの馬鹿、私の冗談を本気にしたのよ。
…魔界一の幸運を貴方に焚きつけて」
どういうこと?
そう震えるメルに、
サリバンとミレイユが声をあげた
部屋を通して頂戴。
そう言って歩いていく
ミレイユにメルは首を傾げた
「あ、そうだわメル、
貴方が夢で見せてくれた彼はどちら?」
『えっどちら様でしょう』
金髪のと言った途端声が出る。
『こちらです!!』
「ちょ!!」
「あら…貴方…ひょっとしてオズワルド?」
「恐れ入りますが違います!!!
申し遅れました、
私オリアス・オズワールと申します。」
「ふふ、メルのこと、
沢山教えて導いてくれたのね。
ありがとう。貴方が居てくれたから、
この子もこうやって
生きてくれているのね。」
「っ!…勿体なきお言葉」
そう深くおじぎするオリアスに対して
サリバンの声を上げた
メルが夢にまで見る所に
行きたいと言ったのだ。
+++++++++++++++++++++++++++
「顔をお上げください…!」
「ですが、貴方方に
とてもお世話になって。」
『ミレイユ!僕ね
とってもお世話になってる!!』
「馬鹿!!それ以上言うと
もっと頭下げられるだろ!!!」
職員室はほぼ地獄絵図だった。
ミレイユが急に現れて、
サリバンの「魔王の奥方様」との一言で
急に膝を立てて翼を広げて顔を下げたのだ。
えっ?えっ?と
メルが右を左を見ている
まだ理解が追い付かないらしい。
「メル…貴方のその無邪気さが
好きだから選んだのよ。」
『んにゃ!ミレイユ大好きー!!』
そう言って飛び込んだメルに
一部の悪魔が泡を吹きそうになる位青ざめるが
ただ嬉しそうに笑っているミレイユに、
サリバンは声を掛けた
「ご令嬢と一緒におられて何よりです。」
「ええ、貴方も孫が出来たようね。」
「とても可愛らしい孫です。」
嬉しそうに笑ってでしょうね。
とミレイユが言う。
サリバンとは深い仲だったらしく、
酒も何度か行った事があったそうだ。
「オペラは元気かしら」
「ええ、それはとても」
『オペラ先輩に料理ご馳走になってるのです!
あ!ミレイユミレイユあのねあのね!!』
聞いて下さいよ!!そう言って
嬉しそうに笑って
子供の様に無邪気に喋るメルに
うんうんと頷いて笑うミレイユ
ご飯を沢山食べれて、
ちゃんと歯も磨けているよ。
そう言って、歯切れが悪くなる
「大丈夫よ、また会えるわ。」
『…っ、ずっと、じゃ、ないの?』
「…そうなれば貴方の命に関わってしまうわ。
大丈夫、貴方が強くなればなるほど、
ずっと傍に居られる。」
でも僕は。
そう言ってぽろぽろと
涙を出し始めるメルに困った子ね
と笑ってミレイユが頭を撫でて慰める
昔と全く一緒だ。
場所が職員室なだけで。
貴方が目の前にいる。
それだけで私は。
「…メル、とても頼もしい
仲間の中で生きているのね。」
『…うん!!皆とっても強くて、優しくて
…かっこいい悪魔達なのです!!!』
「ええ、ええそうでしょう。
貴方の心がそう言っているのだから。」
純粋な子が前を向いて歩きだしたのだ
そりゃあ親としたら
とても気持ちがいいだろう。
「なら…メル、一応伝えておくわね。」
『ん?』
「この魔法は名前は付けていない。
貴方と私だけが使用できる魔法よ。
感情によって左右され、
目で閉じた世界と現実をリンクをするだけ。
時間は一時間だけにしなさい。
もし一時間以上使ったら…その時は」
『その時は?』
「…私の様な末路になるわ。」
そう困って笑うミレイユに、
メルはそっかと答えた。
貴方が嫌がるのなら、
私はなるべくしない様にしなければいけない。
きっとミレイユの言う末路は、
恐らく継承者を
無理やり作らないといけない。
私の様な人間が
一人増えると思ったらとても嫌だ。
だってこんな何度も悪夢を見る時間を
何年も過ごせるわけがない。
だから約束は破らない。
ああでも少し破った。
『ミレイユ、僕もっと強くなるですよ。
貴方を超える位の魔女に、僕はなってやるです!』
「!!…ええ!楽しみにしているわ。
そうだ、サリバン。」
「はっ」
「この子に後で私の家を教えて頂戴。
きっと役に立つ物がある筈よ。」
それではそう言って消えかける
ミレイユにメルが止める
嫌だ行かないで。
その感情が声にでかける。
理解したのかミレイユがメルを抱きしめた。
「…貴方の好きな時間は、
貴方が守るのよ。メル」
勿論。私が守り抜いてみせる。
そう言った目にミレイユは
笑って消えてしまった。
「…いなく、なったの、?」
「文字通り消えられた。
恐らくメルちゃんと…
オズワルド君が作った幸運が
呼び起こしたことだね。」
どんな冗談かは聞いてないけど。
そう言ったサリバンに
メルがサリバンと呼んだ。
『僕…強くなる。
あの人と、いやあの人以上に。』
優しく笑ってくれたあの人が、
せめて次の来世で生きれる位。
それ程に、力が沸き上がってくる。
きっと少女と仲良くしたら、
それ位余裕で超えるだろう。
それでも、私は一人でやってみたいとさえ思ってしまった。
貴方の魔力を私だけが強めたら、
どれ程までの威力になるだろう?
「…ああ、あのお方にもお任せされたらね。」
「…ミレイユ様に褒められたの俺達」
「滅茶苦茶ありがたい位には。」
強くなろ。
そう言った一言に
皆がそうだなぁと言った。
「メルちゃんが
あんなに強くて優しくてかっこいいって
言ってくれたんだから
それ相応の力持たないとねぇ?」
『えっ!既に皆かっこいいですよ!!!』
「いや君も充分凄いからね?流石に
ミレイユ様のご令嬢だとは思わなかったよ…」
『あっ敬語使ったら私
ミレイユに言いつけるから。』
「何そのきつい奴!!!」
そう言って場が和んだ後、
そのままサリバンや
メルはそっと席を外す。
+++++++++++++++++++++++++++
「メルちゃん…
君って子はすんごい子だね」
『そう?ちょっと強く感じただけだよ?』
あー幼い声治んない〜
そう言うメルに、サリバンが笑う
「そんな感じでミレイユ様と
一緒に居てくれたんだね。」
『うん!だってとっても嬉しそうに笑ってくれるから…
だからミレイユと一緒に居る時はこうやっていたのです!
こっちがありのままの僕…ずっとこうやっていたいけど』
流石に笑顔ばらまきすぎるとしんどいから。
そう笑って手に顔を当てる
手を放すと元の顔に戻る。
いつものメルだ。
銀色の目の色は消えていた
「そっか。にしても魔女とは
また凄い異名だね。」
『魔法使いメルちゃんって
呼んでくれても構わないよ!!』
「ふふ、あのお方もさぞかし喜んでるよ。」
『…今度ミレイユのお家、連れてってね。』
「何なら今から行く?」
えっ?