Novel - Paola | Kerry

it's just you


月並みの愛情2

20/09/15
26


メルが女子寮に泊まりに来てから
早くも10日が経過した頃。



魔力の全回復が決定されて
早速動き出したのだ。



『よっ!ほっ!!』


今はスージー先生の植物園で
バラム先生と一緒に遊んでいた。

ツタが自由に動き出すのを
見ながらメルは走りまくっている。



身体の動きを軽くするために、
一度試そうと思いチェルーシルで
昔着ていた短パンと半そでのシャツに着替えていた

靴も走りやすいシューズにしていたのだが、

鬱陶しいというメルの意見で
自分で作ったのに
自分で脱ぎ捨てて走りまくっている。



「素晴らしい反応速度ですねぇ…」

「最早野生動物そのものに近そうですが
…メルちゃん!降りておいで〜」


そのバラムの言葉でメルが若干動きが鈍る
気付いたらしく、ツタを避けつつ
こちら側に向かって壁や動かなさそうな木を使って
地面に降りた。



浮遊はこんなものかと
ぶつぶつ呟きながら何でしょうと言って
バラムの方を見た

「うん本当に全回復処か
かなり動き良くなってない?」


『身体凄い軽くて…へへつい!』


「ふいっ、私の子供たちと
遊んでくれて嬉しいですよ。」



ツタが?そう思いつつメルは
いえいえと笑って返した。

+++++++++++++++++++++++++++

メルが眠っている間に
実はサリバンと一部の教員で集まり会議を行った。



一番の問題はメルの
本来の力がまだ底知れぬということ。



「君達に集まってもらったのは
言うまでもなく此間来られたミレイユ様の件だ。

ちょっと彼女からのお達しでね、
協力してもらいたい事がある。」


「それはそれは…王女様のご命令とあらばなんだって」


「ってことで、メルちゃんの特訓に二学期から
付き合って欲しいんだよね!オリアス君!」


そう言ったサリバンにオリアスが驚いて目を丸めた
にしても周りの悪魔を置いて何故自分だけなのか。


それなら周りの悪魔は必要ないのではと思ったが、
どうやらそういう訳でもないらしい。


「君にはメルちゃんを
“本物の魔女”にしてもらう。」


「…一体どういうことですか?」



そう言いだしたのはカルエゴだった。


まさか職員室に休暇届を出そうとしていたら
王女様が来るわ
ご令嬢がメルだったとは
思いもよらないハプニングで
彼の胃はいたまるばかりだった。


「うん。彼女は元々ミレイユ様から
継承された者でね」



「ですが彼女のメルさんの意志は?」



「目がそう言ってたからね。
…もう大丈夫って」



そうサリバンに言っていたことだ。
職員室、ミレイユが居なくなった後
メルはサリバンに
強くなりたいと願って言った。


サリバンのその目に、狂いはないと思ったのだ。


もう彼女なら、何があっても大丈夫だと。



心強い仲間もいることだし。


「だからと言ってどうすれば良いんですか?
俺の占星ラッキーハッピー
其処までラッキーではありませんよ?」

「導くのは得意でしょ?君は彼女を導くヒントを出すだけで良い。
物理攻撃はうちのオペラと、時々バラム君教えてくれる?」

「分かりました。彼女用のを作っておきます。」

「それと…一応先に言っておくけど。
ミレイユ様の力をそのまま継承していたとしたら、
ぶっちゃけ僕でも太刀打ちできない。」

その一言で聞いていた周りが驚き目を丸めた


あのサリバンが太刀打ちできないのであれば
カルエゴやバラムも太刀打ちできないのはおろか
教職員が束になってもかなわないということは明白



「でも、彼女は大丈夫
…君達が彼女をメルちゃんとして
見続けてくれるなら。」


これは約束、いやお願いだよ。
そう言ってサリバンが言葉を続ける


「どんなことが起きても
…彼女を守ってくれるかな?」



ミレイユが言った言葉をサリバンは思い出していた
メルが力を使っている間
“私と同じ末路になってしまう”


そう言ったミレイユの泣きそうな顔に、

あの時顔をしかめた。



魔王の側近であり、彼女のお友達
という位置にあったサリバンは

彼女が魔王から人間界に
飛ばされていることを知るのは
一日経った後だった


流石に無鉄砲だと怒ったが、
それよりも現状そうするしかない
という魔王の怒りに気付いた。


魔界から追放されても、
一人孤独に死にゆくことを許されない。


継承者を作り、その魔力を全て
見ず知らずの者に全て託してしまう。


他人に自分の痛みを同じように
受け継ぐその痛みは計り知れない。



それをサリバンは一番彼女の傍で聞いていた。


自分に似たような名前を持つ者に、
ふさわしい力だと。



でも本当は引き継ぎたくなかっただろうが…

メルを引き取った後、すぐに悟った。


嗚呼本当に良い子に出会えてよかったと
同時に、貴方はこの世から
もう居なくなったのだという現実に
サリバンは涙も流せなかった。

現実ではないと思ったから。


「…そりゃ、ねぇ?」

「言われなくてもからかいはしますが、
そんなの当たり前ですよ。」

「ってかメルちゃん
俺と戦った時3位って言ってたよね?

それメルちゃん単体で
10戦わせたらどうなるのかな?」


「いや彼女のことなんで、
幾ら何でも力出さないんじゃないですか?」


「そこを引き出すのが
教師の役目でしょー!」



そうワイワイとし始める教員にサリバンは目を細めた



嗚呼、ミレイユ様。


貴方はなんて人を連れて来たのでしょう。


何も出来なくてうずくまって泣いていた幼子は
もう殻から出て大きな翼を広げて飛び立ったのだ。


「メルちゃん恐怖に弱いからなぁ〜
拷問するのは気が引けるけど」


「程々にしたげて下さいよ…
彼女ホラーも苦手そうですし」


「分かってるって〜」


「基本的にもし対戦したい
って言うなら教員3人はつけること。

力をフルにして戦うというなら
僕かオペラを呼んで目の前でやること。
それを条件にしたら戦っても良いよ。」


そう言う事だから。

そう言ってサリバンは周りを解散させた。


アブノーマルクラスの特訓と同時に
メルの力も最大限に引き出せるようにする。

生徒だけでなく教師もだなんて
面白いこと思いつくなとダリは思いつつ
解散命令の元、部屋を後にしたのだった。




+++++++++++++++++++++++++++



所戻り、スージー先生とバラム先生の特訓中。
と言っても軽い雑談である。



スージーが前にメルが
青い花を咲かせたことを知り
花の名前とどんな意味かを
問いただしたかったのだ。



ああと言ってメルが説明を始めた
植物園の中で三人は円卓の前に座り
お茶会を始めていた



『矢車草って名前の花です。
私が幼い頃近所のおじさんが育てていた花で、
とても綺麗な姿で一目惚れしたんですよ。』

「へぇー綺麗な色だね。青だけなの?」


『いいえ?確か白色ピンク、
紫色もあった筈ですよ
…でも私は青が好きです。』


あの人の、目の色にそっくりだったから。
だから私はこの色が…いや良い。


『ああ花言葉は…
「繊細」「優美」「教育」「信頼」』


「綺麗な言葉だね」


『はい…ミレイユにぴったりだと思いました。
彼女は私にぴったりって言ってくれましたけどね。』


そう言ったメルに
その通りだとバラムとスージーが頷いた

メルは否定するかのように首を横に振っていた



「かわいらしい花だね」


『ええ…あ!これ花冠作ったら可愛いんですよ〜!
昔ミレイユに作ってあげたんです!
そしたら彼女ルアラにもって
同じもの作って三人で写真撮ってくれたんですよ!
あとこれ薬草にもなってですね?』


「へぇ〜確かに可愛らしいもんね
って今作るの?」


言い出したらついそう言って
メルがクワンクワンを唱えて
矢車草を作りだして花冠を作り出した


昔の記憶がある今なら、
きっと上手く花冠を作れるはずだ。


メルはオリーブの枝も作り出して
オリーブの葉と共に矢車草の花冠を制作しつつ、話を続けた



『そう言えば私が居ない間に何をしていたんですか?
ってかスージー先生帰ってくるのはやないです?』


「ふぃっ、私3日位しか帰ってませんでしたよ。
まぁ一週間またお休みしますが。」


はえーならまた遊べるねぇと言ったメルに
今から楽しみですねぇとスージーが言う。


「そう言えば薬草ってどんな効果なの?」


『あーそこは詳しく知らないですね。
人間界の花なので、薬草の効果は
人間にあっても悪魔にきくかどうか…』


というか効かないに一票入れたい。


人間の血一滴で絶大な効果を得られるという話は
入間から前に話を聞いているから分かっている。



ということは逆に悪魔には効果を期待するなら
かなりの量を投下しなければいけないだろう。



「へぇ…そりゃ残念…」

『ごめんなさいご期待に沿えず…』

「いやいや良いんだよ。」

『あ!そう言えば私こんな服作りたくて…
バラム先生とスージー先生と三人で作りたくて!』


そう言って話を切り替えたメルが取り出したのは一枚の絵

前から制服を切り替えたいとは思っていたのだ。

正確には戦闘用の服に近いが、
チェルーシルで着替える用にもしたい。


それにあの植物の繊維が良いですねぇ
と言ったスージー先生に
じゃあそれ頂きますねと言ったバラムが
メルにこれに意味あるの?
と指をさしたのは帽子の部分だった


とんがりの三角帽子
それにメルは勿論と嬉しそう笑って言った


なんたって魔女と言えば、とんがり帽子なのだから。


バッジもひたすらポケットに入れていたのがようやく
隠せる場所が出来るから良かったと思う。



『(貴方が使っていたように、私だって着飾りたい
…そう思えるようにまで私は欲に正直になった。)』

もし、貴方を生き返らせることが出来たら
貴方は私に叱ってくれるかな?
命の代償には命は必須なのだから…

『(嗚呼きっと叱ってくれる。)』

そう思いながら私は目の前の面白い事に目を向けた
開始から一時間、バラムがこれくらいかなと言ったのに対し
どれ位で出来ますかねとメルが首を傾げながら聞いた

「んー多分材料あるから2日あればできるよ。」

『そんな急がなくても…』

「いや面白いし、こういうのは先にやっとかないとね。」

それじゃそう言ってお茶会は幕を閉じた。
何もないなぁと思いながらメルは
とぼとぼとスージー先生と一緒に
職員室に戻って行く最中だった

花びらがひらりと肩に止まって花弁を手に取った
綺麗な桜色の葉に、夏を感じさせない気分だと思った。
嗚呼、あの日も確か夏の暑い日だった…

私はこのまま前に進み続けて良い…筈だ。
そう言い聞かせて、私は前を歩いているスージー先生の隣に入った

+++++++++++++++++++++++++++

前を向く、目を閉じて世界が変わる。
一辺した世界の空、赤い世界。手に血の色
ツンと香る世界の下で、私は手を真っ赤に染め…

『っ!!あぶな!!』

そうよそ見をしていたメルはぱっと意識を取り戻す
最近と言っても3日寝ていた時以降少々ボケっとするようになった。
前からそういう所はあったのだが、最近特に頻繁に起きる。

前は月に二度くらいだったが、今は一日に3回はありそうだ。
というかもっとないか?いや集中力途切れて困るのだが。
でも毎回そのボケっとした内容を忘れる
…はて一体何を考えていたのか。

「メルちゃん大丈夫?」

そう言われて気付いたのは教師4人態勢の+オペラ先輩が居る中だった。
今日は初めて自分の力をフルにしての状態。
睡眠はばっちり。意識もばっちりと言っていた早朝の今だ。
流石に眠いかな?と慌てだしたのは此間から心配してくれているツムル先生。
彼は本当に優しい…ボケっとしていた内容を思い出せない私が悪い。

大丈夫ですよーと声を掛けているとそんなことでどうすると言って突っかかって来たのは
カルエゴ先生だった。理事長命令ということで、今回参加することになったのだ。

「いつ寝首を搔かれるか分からないのに、
そのざまだとすぐに首を掻っ切られるぞ」

「かっ!!!」

『あはは…ご忠告どうも。』

あれから少女と一度も出会っていないのに不思議に思う。
目を閉じて集中すれば身体が軽く動けているのが恐ろしい。
そう思いつつ、説明しますよとオペラから声がかかる


「メル様はこれから4人の悪魔と戦ってもらいます。
制限時間は一時間。
その間メル様はずっと力を維持した状態で行って下さい。
学校の崩壊は気にしないで下さい。
理事長が保護魔術をかけておりますので
大抵の攻撃では壊れません。」

ほらそう言って間違いなく
壁三つは壊れそうな勢いで
オペラが壁に足で蹴り上げたが
ヒビ一つ入らないのに周りの教職員が顔を青ざめる


あんな蹴りを直で受けて見ろ。

普通に首が吹っ飛ぶ


「家系魔術全て可能にします。
どんなことを使っても構いません。
メル様は思う存分暴れ狂って貰って構いません。
皆様はメル様を確実に意識を失わせるように努めて下さい。」


『暴れ狂って…うぅん…』


悩むメルに大丈夫だよ!
とイフリートが声をかける

こんだけ完璧な体制で
一気に崩落するなんてことはないと思っていた。

そんなことよりイフリートの方がメルより緊張していた


なによりカルエゴ先生との共闘なのだ。
そりゃ自分のランクより高い
彼と戦うなんてそうそうない機会だ。

ワクワクもするだろう。


『いやでも…』


「いざとなれば救護係もおりますので」


『ちょ!ブエル先生にオリアス先生!?』


「死なない程度なら回復は可能だ。」


「よ!死にそうなら俺の家系魔術使えばラクショ―だろ!」


そうウインクしてこっちに話しかけたのに
メルはそこなの!?と驚きつつ、
オペラの話を引き続き聞く


「メル様手加減をしようものなら…
ミレイユ様からお仕置きの件を引き継いでおりますので」


その言葉で一気にメルの顔が
見たことない程に青ざめた



『ひいいいっ!!!!
えっ!!嘘嘘嘘嘘嘘うそ!!!!
何で何でなんで!?
やだやだやだやだやだ!!!!』


「…お覚悟をおきめください。」


『えぇ、アレ?アレだよね?』


「そうです。アレです。」


『…やります。
殺ります。絶対殺す。
お前ら絶対殺す。』


「…何のお仕置きされたことあるんだ」


聞かないでやった方が良いのだろう。

痛みや苦痛に多少なりとも
経験があるメルは

拷問学やホラーでも
そこまで青ざめたり距離を取ったりしない。


なのにミレイユ様からの
お仕置きという言葉で一気に顔を青ざめた


それ程効果が抜群なのだろう。

とっておきの時だけ使えと言われていたらしい。

ちなみに情報源はサリバンへの手紙だった。

つい先ほど知ったらしいオペラが言う


「まさかメル様があのようなお仕置きで泣き叫ぶとは…」


『…え?私この悪魔達ひねり潰したら
それお仕置き無し?ねぇ無しだよね?』


「カルエゴ君でしたら
三回捻りつぶしても構いませんよ」


「おおい!!
俺の意志なく許可だすな!!」


『OK』


「許可を認めるなぁああ!!!」


そう言ったメルにカルエゴが否定として
突っ込むが一切カルエゴの方を見ない。

肝が据わっているなぁと
オリアスは傍観者として
そっと見守っていた。




「メル様、恐怖等持たなくて構いません」


『分かった…ルアラ
オリアス先生とこ行っといて。』


「承知」


そう言って何時も肩に乗っているルアラが
地面に降りてオリアスの足元まで歩いて行き、

腕を出せと言わんばかりに首を振ると、
オリアスが分かったと言ってしゃがみ腕を出した



腕に足をかけて勢いよく肩に乗ったのを
確認したオリアスはそのまま身体をおこした


『…本当に、良いんだよね?』


「ええ。思う存分に楽しんで下さい。」


『…本当の本当に任せて良いんだよね?』


「そんなに信用ならんか?」


そう言ったカルエゴに
いやそんなことはと言った
メルに嘘だなと突いた


『傷付けるのが、怖いだけ
…でも、やる。』


「ふん、さっさと始めろ」


ーメル、この魔法はね、
貴方が本当に強くなりたい
って思った時に使うのよ。



メルは昔言われていたことを思い出す。
嗚呼、ミレイユ、貴方が恋しい。


けど私は貴方より強くなりたいと思ってしまった。



だからごめんなさい、どうか許して下さい。

この感情をずっとずっと前から、抱き続けて。

きっと貴方も私をみて泣いたことでしょう。

だから私は誰にも見せなかった
誰にも知られたくなかった。



でも、もう…大丈夫。


ナベリウス・カルエゴ
イフリート・ジン・エイト
イポス・イチョウ
モラクス・モモノキ


四名の前に、メルは立ち向かっていた
目を開けて、じっと前を向いて。

じっと、じっと…ずっと?
嗚呼、とニヤリ笑って首を横に振った
貴方は何処にもいないのに。


『…嗚呼、居ない居ない居ない居ない!!!』

そう叫びだしたメルにモモノキがびくりと驚く
それにカルエゴが気を引き締めて下さいと忠告した。



アレは敵だと。




『ねぇどうして?貴方はその場に居ないの?』

そう言ってメルが笑う

Xを描くように足を交差して、
胸に手を置いて嬉しそうに笑う
嗚呼!もう大丈夫。
そう言って片手で指をはじいた



教師とメルの間に突如少女が出て来た
一瞬だった。ほんの一瞬で真っ白な肌の少女が出て来た
それは髪の毛が淡い緑色で、ぼさぼさで
手入れのされていないことがすぐに目で見て分かる。

その子に向かってメルは言う


『嗚呼どうして、君は生まれているのでしょう?』



少女が首を横に振る



『嗚呼どうして君は何もしないの?
嗚呼何も出来なかった?
違う、お前が殺したのだ
…お前が皆を殺した!』


聞きたくないかのように
首を強く横に振って
耳に手を置いた


『言う事なんて聞かないお前は
悪魔でも人間でもない
ただのガラクタ…』



そうにやりと笑うメルの顔は、
今まで見た事のない程に崩れていた
怪しく光った目の先は、
教師ではなく少女に向けて。



『だから、もう楽になっていいんだよ?』



そう嬉しそうに笑ってメルが少女の元に歩み寄る
だからもう寂しい思いなんてしなくていい!と言う




『そうだ!こんな辛い世界なら、
一番の幸せな世界に連れて行きましょう!』



青い空、白い雲、
おとぎ話に出て来そうな世界!!


そう指を鳴らして世界が変わる。
メルの目は、まだ青いままだ。



『貴方の大好きなお父さんとお母さん!
手を繋いで優しく微笑んでくれる!!』



そう少女の元に両親と言えるのか、
黒髪の男女が待っていた
女性の手に少女が触れるその瞬間、
ふわりと重力が地面の方に向く




『あれ?どうして?
そりゃそうだ
…ソレは“幻”なのだから!!』




メルの目が姿が変化する。


髪の色が少し青くなった。


『お前は誰にも愛されない』


そう言って少女の胸元をナイフで刺した

少女が教師の方を向いて痛そうに何か言っている
やめろ!と言ったイフリートの声が全く聞こえていない




オペラはまだ開始の合図を言わない。


少女の身体から力が抜けた頃、
モモノキが見ていられず顔を背けた
その間、やっぱりとメルの
ぼそりと言った声に
一同が不思議そうに顔を向けた


死んだ筈の少女がメルの横に立っていたのだ
あり得ない、先程死んでいた少女は、
無表情で涙を流していた。


『嗚呼…お前は私の傍から離れない!!』

そう言ってメルが走り出す
切りかかったのに避ける少女

メルがイフリート達と戦った時以上に
キレよく動き続ける

何をしてもかまわないという
オペラの言葉を聞いているのだろうか?



『…これは夢』


そう言って少女を切った後、体制を整えた。


オペラの耳が上がったのを
カルエゴは見落とさなかった



『嗚呼、夢、夢、夢!!!!
…ねぇなら、どうして?』



そう涙をこぼしたメルの目は




銀色に光り輝いていた





笑って言ったメルが宙に浮いた力を
作り出していく中
オペラがはじめと合図を出した。










『貴方に会えないの?』







その言葉は、誰が聞こえただろう?



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