ドアノブを開いたオリアスが前に足を運んだ
場所はメルが使用している資料庫の中に入っており
時間はどれ位かかっているかまだ判断できない。
ひとまず香水を振りかけておきなと言われて
資料庫にも補完していた香水を手に取り身体に吹きかけた
『これで大丈夫かな…ん?』
「メル〜!金髪悪魔!!元気か!!!」
そう胸に飛び込んで来たのは先程心配していたルアラだった
私は大丈夫だけどいや正確には大丈夫ではない。主に腰が痛い。
そんなことは流石に言えず、とりあえずベットに腰掛けている。
立っている方が辛いのだ。
『まぁ元気だけど、どしたの?
えっひょっとして時間経過し過ぎてる!?』
「いや?あれから6時間ちょっとだぞ。今はもう夜の10時頃だ。」
『げっ!もうそんなに経ってるの!?オリアス先生!男性寮連絡!!』
「ああ…っげ、めっちゃ電話かかってる…
あっかかってきた!はいもしもしオリアスです。はい」
電話出れなくてすいませんちょっと急用で。はい
そう仕事の声に戻って距離を取ったオリアスに
少し寂しさを感じる。
あんな声で呼びかけて欲しいとか思ってしまうのは我儘だろうか?
いや、今はそんなことよりもルアラに幾つか聞きたい事があった。
『ルアラ、完璧な魔女になる方法教えて』
「っ!!お前!!!」
そう言った声に、オリアスが此方を向いて指を口の前でたてた
申し訳なく頭を身体ごと前に倒して謝罪を身体で表現した
「…すまん」
『後で謝ろ。それで?』
「まぁ、無事清められたのは何よりだ。」
『え?』
「ん?せっく『だーーーはいはいはいダメダメだめ駄目!!』」
ピッとオリアスの携帯から音が鳴る
どうやら通話が終わったらしい。全くと言って此方に歩いてくる
「なに騒いでんの、向こうまで心配してたよ。」
『ごめんなさぁい』
「それで?何の話?ある程度聞いてたけど」
「ああこの金髪悪魔とりあえず表出ろ」
そう言ったルアラが毛を逆立てる
それになんの話?と言ったオリアスがにやりと笑う
「メルを清めて良いとは考えたが、
まさか最後までやるとは思っていない。」
「ふぅん?でももうこの子は俺のだから」
そう言ってオリアスがメルの肩を抱きしめて自分の胸元に寄せた
それにルアラが警戒し始めるのに、メルは慌てふためいた
『ひぇっ!あわわ、ちょちょオリアス先生!!!』
「へぇ?おじゅってあんなに可愛く言ってくれたのに?」
『〜〜っ!』
「…はぁ、まぁ良い。それでメル、
完璧な魔女になりたいと言っていたな。」
あ、そうだそうだ。いけない本題を忘れ去ろうとしていた。
メルは前を向いてそうそう!と首を縦に振った
黒猫の姿のルアラがそっと腰を降ろして床にお座りの状態で
メルの方を向いて答える
「まず魔女は魔法が使えなければいけない」
『はい!』
「魔法はイメージだ。
魔術を操作するのと変わらない。」
『うん』
「ただ魔女になるには2パターンある」
『うん』
「一つは血の継承者だ。まぁ言ってしまえば家系と言う事だ。血筋だな
もう一つは悪魔とまぐわうことで魔女になれる印が作られる。
もしきちんと清められていたら、お前の身体の何処かに印がある筈だ。」
その言葉に、そう言えばとオリアスが言った
どうやら風呂に入った時に気付いたらしい。
首裏に印が刻まれていたことを鏡を見ながら確認できた
「ふむ、確かに。魔女の見習い候補として成立するな。」
『え゛っ…まだ見習いなの?』
「当たり前だ。今まではあくまでも知識としての関わりだったからな。
しかもミレイユ様の力を魔力を引き継いだそのままをまき散らす形だ。
今回からその力を自在に操れるように出来る。」
まぁお前が思い描いていた魔女と同じようにすればいい。
そう言ったルアラにメルが首を傾げる。
はて、思い描いていた魔女等一体あっただろうか?
「話の続きだ。魔女にはレベルはないがただ魔力の保有量が限られる。
それは人間の感情だ。絶望する歓喜する喜怒哀楽全ての感情が
何らかの刺激が生じ、エネルギーを放出する。」
・魔女になるには細かく言うと3つの方法がある。
一つが血筋、一つが悪魔からのまぐわい
最後に、継承の契りを交わすことだ。
死にかけている魔女が別の生物に
全てを引き継いでもらうことで
これは魔女の最終手段と言っても過言ではないらしい。
・血筋なら15歳、まぐわいならその時から。
継承の契りは受け継ぐ者が良ければ何歳でも構わないとか。
ただ他人からの引継ぎは全てまぐわないといけない。
悪魔の魔力を体内に維持しなければ魔力を使用できないかららしい。
・魔女のランクは無し
ただ魔力の保有量は人それぞれ。
使い方は感情の操作で決まるとか。
メモに書きあげるメルにルアラがうんうんと首を縦に振る
「清めるって言ってたが、具体的にはどういうことだ?」
「体内の感情を一つにするということだ。人間は雑念が多い。
一つに振り絞るのに効果的なのが快楽に身をゆだねることだ。
まぁ手っ取り早いって言うのもあるのだが。」
『はぇ…』
「中に魔力をぶち込みさえすりゃぶっちゃけ何でもいい」
「つまり指で中に入れて、そのまま魔力を入れたげても良かったと」
「なんなら口だけで良かったんだが…まぁいい」
あっはいそう少し顔を赤らめたオリアスに黒猫が咳払いする
成る程、だから最後までやるとは聞いていないと怒ったのか。
だってお題がお題だったから…まさかとは思うがあの中を
ミレイユが作ったと仮説を立てたとしよう。
ミレイユ、勘違いしてセックスしないと魔女になれないって
思っていたとかなら…いや彼女のことだ、本当にあり得そうだ。
メルが唸るのに、オリアスは無視してルアラに説明を進めた
「感情の起伏が激しいのは紋章の光で分かる。
強く光り輝けば激しいし、逆に何も感じなければ光らない。
その代わり魔女は何処かの痛みを失ってしまう。」
「…え?」
「代償は付き物だ。それにメルは最初に聞いていたからな。」
やっと決意が固まったか、遅い方だ。そう言ったルアラに
オリアスは息が止まった。
痛みを失う?それは人それぞれなのか?
「ちょ、ちょっと待って!その痛みを失うって身体の何処か?肉体?」
「人それぞれだ。まぁ例外はあるだろうが…それがどうした?」
「…メルちゃんは良かったの?」
『この身体は元々死にゆく運命だった。
それをミレイユが救ってくれた。
だから私に残された道は魔女以外何も要らなかった。』
だから魔女になった。
きっと普通の人生を送っていれば魔女なんてならなかった。
だが、ミレイユに会って、触れて、知って
全てが色鮮やかに見えた。
その時間を、どうか誰かにも見せてあげたい。
だから魔女になった。
決意は最初から固まっていたが、行動が遅かったのだ。
「…そう」
「メル、まだ痛みが失われているか分からないか?」
『憶測は付いてるけど不確定』
「どこ」
『感情』
身体と言っても肉体だけではない。
それにルアラとオリアスの目が見開いた。
でも、メルは嬉しそうに笑って胸元を触る
『…これで大丈夫。』
「そうか…まぁ身体の一部の可能性もあるからな。続けるぞ。
魔女にも種類がある。悪魔のように家系魔術という特殊な能力を
宿す位だ。魔女だって得意な分野というものもある。」
「へぇ」
「ミレイユ様は全ての魔術を使えた…
ただ、一番得意だったのは幻影だ」
『…幻影』
ずっと世界を作り続けてきたあの時間あの場所
それを見つけて、彼女はどう思ったのだろうか?
可哀想と思ったのか、やっと見つけたと思ったのか。
何にせよ、見つけて嬉しそうに笑ってくれたのは…救いだったのだが
「人を悪魔を自分の感情に引きずり込み惑わす能力だ。
お前もつい数日前に使っていたアレだ。ミレイユ様の力を
そのまま使っていたから暴走気味になっていたが。」
流石に魔女の見習いになった以上そうそう暴走するのは暫くない。
正式に入ったからには、ビシバシ鍛えないとな。
そう背後から悪魔の香りがする。
何処かカルエゴ先生を思い出してしまうのは気のせいだろうか?
「まぁ薬草の調合は苦手にしろお前の想像力でなら
魔法呪文は楽勝だろうから、気長に二学期鍛えてもらえ。」
『え?何どういうこと?』
「メルちゃんアブノーマルクラスが二学期から特別訓練するって知ってるよね?」
『ああはい。ロビン先生が言ってたやつですよねそれがどうしました?』
「その特別訓練に俺も教師として抜擢されてね」
『ええ!凄いじゃないですか!!生徒は!!誰ですか!?』
いいなぁーと言って笑うメルにオリアスは指を指した
ないしょ。そう言ったオリアスにメルはえーと否定を漏らした。