Novel - Paola | Kerry

it's just you


唯一の味方でいるということ4

20/09/15
36

『へぇ悪魔の本、本当にあるね。あーこっち妖怪だわ。』

「妖怪?」

『人間の作り話主に悪魔はヨーロッパ方面の作り話とされていて
日本人のまぁ実際中国系の話だったかな。』

そう言いながらパラパラと書物をめくっては戻しめくっては戻す
その作業をするメルを遠目に、
ルアラがバラムの膝の上で寝転がる

客人用ではないが、
研究用の大きな四角い机の周りに
バラムとオリアスは腰掛けていた


『ふむ、歴史はやっぱ2025年で止まってるね。
私が死んだのが25年だろうな。
えーっと家系図は〜流石にないかー
この苗字どっちの名前かと思ったが、
まぁ十中八九前世の名前だろうな。』


「凄いペラペラしゃべるねぇ」


「ミレイユは同じ感じであれば
だれでも良いとは言ってたが…
まさかこう性格から何から何まで
一緒にしなくてもいいだろうに…」


確かに力を維持するには自分と同じ人であれば
維持するのも安心するだろうが
タイムトラベルをしてまで連れて来た者など
ミレイユのご先祖であれば
良いのだがそうでなければ頭が痛い話だ。


何せミレイユが何人もいたという事になるからな。
まぁ都佑の様な人材がミレイユの
魔法通りの操作で
一人しかいなかったから良いのだが…


そうでもしないとミレイユが
大量に子供を盗んで来たら大変だ。

それが同じと言ったらもう
その場に行かなくても大変な事は思いつく。

どこでも無い所で身体をぶつけたりこけたりするわ
記述ミスで間違えて禁忌呪文を作り上げるわ…
そんな奴が一人でも多く居て見ろ。ゾッとするわ。



「それにしてもこの場所にどうして来たんだ?」

「主に2つ理由がある。
一つはメルに全てを知って貰いたかった。
まぁお前はある程度知っていたっぽいがな。」


勘が良い奴程、そこら辺の頭は鈍い筈なんだが
そうふてくされる黒猫のルアラに
メルはきょとんとした顔で
5冊程の本を思いっきり机に置いた


「もう一つはメルが完璧な魔女になるには
ここにある書物での特訓が必須だからだ。
メル、お前その書物はどけておけ。
今から言う本を取って来い」


『あいよ!!』


そう言ってメルがどこ!と言いながら薬草側の方に向かった
それにルアラが左から一つの下から5段目右から9つ目の緑の本
あと右の上から2段目左の4つ目の青の本と、

ペラペラいうルアラにメルは待てと叫びつつ
ルアラの言う通りの本を手に取って来た。
本は全部で3冊だ。

「オリアスに渡せ」

『はい』

「さんきゅ」

そう言われたのでメルはオリアスの方を向いて本を渡した
重いよ?そう言いつつ大丈夫だってとオリアスが笑って受け取る
メルから受け取った本を机に置き、一冊ずつ並べると
ルアラがバラムの膝上から起き上がり音を立てて机に登って来た

「左から魔法・知力兼薬術・物理の基礎本だ。叩き込ませろ。」

「これ悪魔語じゃないんだけど…」

「本を反対にして、メル詠唱。」

『えっ!え?何だったっけ?』

そう言ったメルに阿呆と黒猫のパンチがメルの頭に入る

「お前なぁ!!ミレイユ様から
あんだけテストされて覚えてねぇのか!!!」

『あう!だだだって!…てへ?』

「とぼけて濁すな!ほらこれお前のノート」


そう言ってルアラが預かっていたと言って
飛ばして来たのは青い一冊のノート

ページをめくると日本語と
多少英語だろうか?たどたどしい言葉で記載されている。


『えーっと
“闇夜に蔓延はびこる無数の星々よ
我の元彼にこの一筋の光を捧げ 戒め解き放たれよ”!』

そう言った途端オリアスの手にしていた本が光る
日本語だった文字が消えて悪魔文字に切り替わった
ついでにこれも言っとけとメモを受け取り言い放つ

『“魔女本ル・シエラ”』

本が薄っすらだが光り輝き、
本を開いたページ下に薄っすらマークが施された。

「それはオリアスお前しか見れない本になった。
そのマークは人間がお前らオリアス家を呼び出すマークだ。
メル、ちなみに言っとくがお前全部書けるよな?」

そう言ったルアラにメルがびくりと驚く

まさかとは思うがと言った
ルアラにメルは大丈夫と声を上げた!!
8割は書ける。
後2割かけないので勿論ブザーが鳴る。


「ったく、ノート見つつ復習しろ。
あと赤本の内容も一応叩き込め。
アレはお前を守る唯一の手段だ。
いいな?危険な時以外は絶対に放つな。」


お前はこれでもミレイユ様から受け継いだ力なのだ
蔑ろにしたら私が許さんときつく言うルアラにメルは答えた

『…わかった』

「期限は一か月だ。メルあと2冊詠唱しろ、んで金髪悪魔。
お前はそれを明後日まで叩き込め。」


楽勝そう言って少し読んでいた本を閉じて言うオリアス
少々分厚いが教師生活上暗記系は付き物だ。


「ああそうだ一応バラムにも見せれるよう
緑の本だけ記述しろ…
なんなら言葉じゃなくていいんだぞ?」

『言います言います伝えますから!!』

そう焦るメルに、
今度自分の紋章を伝えておこうかと思ったバラムだった


+++++++++++++++++++++++++++

「じゃあこっちの本借りるね」

「ええ後の二冊は読んでおきます。」

『ふぇー二学期こわいーーー』

そう一同帰って来たのはバビルスの職員室だ
メルが元の場所に帰れる可能性が低そうで怖い
と言ったのでバラムの準備室ではなく
良く向かう職場の方が良いと思ったのだ。

急に入ってきた悪魔に職員室に居た者達が驚いた

「うわああっ!びっくりしたぁ!!」

「え!?バラム先生!?メルちゃんにオリアス先生まで!!」

「え!メル先輩可愛い恰好してる!!!」

そうー?そう言って嬉しそうにくるくる回るメル
二学期からの衣装着てみたの!そう言ったメルに
ロビンがいいなぁと嬉しそうに笑って返した

「皆さんどちらに行かれてたんですか?」

『ああ本当はバラム先生に用事だったんだけど
オリアス先生は犠牲になりました。』

「ねぇ俺生きてるんだけど」

帰らぬ人みたいに言わないで?
そういうオリアスにメルは冗談だってーと言って笑う。
そこは帰らぬ悪魔では?と思ったのは内緒である。

「理事長に言われていた通りの準備ですよ。
そいじゃメルちゃんまたね〜俺は帰るわ。」

『今日はお世話になりましたー!また会いましょ〜!』

「僕も準備室に戻るね。それじゃこれ借りてくね。」

「私はこの金髪悪魔の世話をする。
それじゃあ今日はしっかり寝るんだぞ。」


そう言って二人とルアラが居なくなるのに、
私も行くかぁと言ってメルが笑って歩き出した。
職員室に向かったのも瞬間移動なだけである。
特に用事も何もなかったのだ。

ガラガラと音を立てて扉を閉めた
メルはそのまま廊下を歩いて徒歩で女子寮に向かう


『…馬鹿』


そう頭を撫でてくれた青い髪の毛の女性を思い出す
それだけで涙が止まらなくて、頬を伝って零れ落ちる
ずっと堪えていた。ずっと泣き喚こうと思っていた。

部屋の中で泣こうとしていたのに、
つい涙が止まらなくなった。



ー三つの禁忌呪文を使ったから、
もう二度と生として生き返る事は不可能だ。



その言葉に涙が止まらなくて困ってしまう。
嗚呼、泣き虫なのは昔からなのだ。
本当は心が弱くて、泣き叫ぶ。

なのにミレイユは強い子だと言って手を取ってくれた
それは貴方が罪を作ったからと嘆いたから?
いや違う、私がそんな人だったから、
貴方の目に止まってしまった。


だからこれは貴方の罪ではない。私の罪なのだ。
罪は必ず償わなければいけない。代償はすぐに。

『(暗くて怖かった、あの時間、戻った記憶に何度嫌になったか!!)』

記憶を取り戻したのは5歳の頃
言葉を日本語を話して忌み嫌われてしまってから
悪魔の子供と言われて虐待ばかり受けた

日本語を喋ると不味いと思いすぐに言わなかったが
時折歌いたくなって歌っている所を聞かれて殴られていた。
感情がぽろぽろと落ちていくのに時間は然程かからなかった。

途中から色を失って何も感じなくなった。
真っ白よりもグレーな世界。
何処までも色が無く、何も知らない知りたくない世界。

嗚呼このまま私は死ぬのだろう。私は私を殺して。
そう思っていると、月夜の中、暗がりが落ちた。
上を見上げると黒装束の女性が此方を見て涙をこらえていた
嗚呼、どうして?貴方が泣きそうにするの?

私は泣く存在ですら許されない筈なのに。
記憶がある言葉に、親から聞いた言葉が違うことに
私は首を横に振っていた。

魔法使いにならない?
そう笑ってくれて差し伸べてくれた。
悪魔の子と言われる位なら、
いっそのことそうなってしまおう。
でも、どうせなら人を救える悪魔に。
魔法使いになりたい。


だから、私は願ったのだ。たった一つ。
ただそれだけで私はあの日の願いと一致する。
願いを、紡いだというのに。

彼女はきっと気付かない。


だからこういった


ーお願い。どうか私に夢を優しい悪夢を永遠に見させて。


彼女の目から涙が止まらず抱きしめてくれたのが温かくて
私はそっと月を見た日を、私は忘れていない。



青い月夜の世界
貴方は私に空を教えてくれた。
泣きじゃくる私の涙は悲しみでも憎しみでもなく
ただ優しく温かい気持ちに喜ぶだけの涙を。

これは罰だ。彼女を巻き込んだ罰。
ただ本当にちょっとだけ自分を殺したかっただけだ。

悪い子だから愛されないから、
だから償う為に自分を殺したかった。
何度殺しても死なない自分の感情に、
恐ろしさを抱いた。

だからそれならいっそのこと、
悪夢をみていれば良いと思った。


これが悪夢なら、きっと私は自分の感情を捨てられるだろう。
やっと眠れない夜でも寝れるようになるのだろう。
醒めない悪夢を望んだのは、私自らなのを、彼女は嘆いたのかな。

『(感情を捨て去りたい程まで、永久に巡るこの映像を)』

もし止められないのなら、いっそのこと止めずに回せばいい。
そうして誰かの救いになるのなら、私はそれでいい。
何度も何度も貴方に会えるから。

優しい悪夢も全て愛せたら、
何処に行ったって幸福だ。
昔自分で言い聞かせた言葉が、
此処まで救うとは思っていなかった。


『…どうかずっと、良い一日で。』


誰が貴方を呪うというのか。
誰が貴方を貶すというのか。

真実を知っても尚、
僕は嬉しいと思った僕を貴方が貶しても良いと言うのに。
きっと貴方は、僕を抱きしめて泣いてくれるのだろう。

ごめんなさい。たった一言で、僕を抱きしめてくれる。

嗚呼強いて言うなら今とても怖いのは
貴方から沢山の愛情を受け取ってしまって
自分の情が消え去るのが怖いと思っていることだ。

こんなはずじゃなかった
こんなことになったら
僕は僕は僕を殺せないじゃないか。

『ふふっ、契約、違反じゃん』

私は僕を殺したかった。
自分の心を。
握りつぶしたかった。

誰かに殺されるのなら、私が自ら殺したかった。
嘘、本当は誰かに愛されたかった。
守り続けたかった。

だから叶ってしまった。
ああ天邪鬼な言い訳。
貴方は僕が天邪鬼であると
一発で見抜いたから恐ろしい。

殺してほしかったんじゃない。


『ー僕をもう一度、愛してくれる世界に連れてって。だなんて馬鹿な願い』



貴方は馬鹿正直に受け取ってくれたのだから
僕よりも貴方は馬鹿だろう。
そう思いながら、メルは前を歩いた

涙を引っ込めて、前を




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