Novel - Paola | Kerry

it's just you


唯一の味方でいるということ5

20/09/15
37

ー廻り巡る終焉

ー何を願う

手を前に出して唱えた

『ふぁいああああいっぱあああああつ!!!』



+++++++++++++++++++++++++++



メルの頭にゲンコツが1つピカピカと点滅する
つい勢いよく火炎を出してしまった。
軽く森が100m程燃えてしまったのだ。

メルの首には「反省中」の文字が書かれた板をかけていた
季節は夏が終わる頃、蝉もミンミン落ちていく頃だろう。

生理が未だに来なくてちょっと焦っているメルだったが
無事に今日生理がやってきていた。ちなみに外にでている。
目の前で怒っているのは鬼の形相のオリアスだった。

鬼というか最早真顔。
敵に対して見る程の目の奥が細くなっている。

というのも特訓開始から二週間過ぎた今日。


そろそろ生理来るだろうと思っていたメルは薬を飲んでいたが
血が出ているにも関わらず外に出たくなって出てしまい
挙句の果てには思い立ったが吉日とまでに
ちょっとマッチ一本の火を呼び出しただけなのだ。

そしたら火炎で一時校舎裏が燃え盛ってしまい大惨事。

ちなみにその後メルが火炎を使う
前の様に植物を元に戻せたことで
一応お怒りだけで終っている。
普通に始末書ものだ。

生理が始まったことは一応バラムに伝えた後だったが
まさか血が出ているだけでこんな動けるとは思わなかったのだ。

ただやり切ったので後悔は一切ない。
悔いなし一生であった。

にしても魔女見習い大変だな。マッチ一本火事の元だ。
ちょっとボッと思ったのが
ゲームのアレと勘違いしたらこれだよこれ。
まぁ私が悪いんですけど。

そんな訳で怒られながらも
私は前と後ろに「私は森を焼き尽くしました」
と反省文の札を首から垂らして正座していた。


「ったく、お前って奴はーー」

『まぁ戻ったからいいじゃん』

「…メル?」

『大変ご迷惑をお掛けしまして申し訳ありませんでした。』

「よろしい」

まだ名前を呼んでくれるだけでありがたいと思え。
にしても感情操作でこれ程までの威力があるとは驚いた。
ちょっと気持ち切り替えてこれだから制御用の薬を
本格的に貰った方が良いのではと思うばかりだ。

「もう、何してるのー!!」

「反省させるためにも二学期こき使うんで大丈夫ですよ」

あーこれ駄目だな多分キスしても無理だな決定事項だな
やはり昔から自分の首を絞めるのが嬉しいらしい。悪魔か。
いや悪魔との契約みたいなことはしたから間違っていないか。

自分で自分を納得させつつ、とりあえずと身体を起こした
生理に入っても何もない。

何なら一度半分だけ香水を振りかけずに
バラムに鼻で匂いを嗅いでもらったが(最初超拒絶した何故かな)
全く問題ないというか凄い濁されて香水は付ける様にと言われた。


人間の匂いが付いていないなら問題ないのでは?
ううむなんでだろう?
よくわからない事は考えない方が良い気がする。


「…お前やはり私が制御装置になっていないか?」

『えへへ、そうっぽい?』


ルアラが居ない時に限って暴走するそう気づいた教員が
極力傍に居るように先程小言を頂いていた。
ちなみに先程ルアラから距離を離されて攻撃魔法を使った時と
ルアラが首元に居る時との攻撃魔法が段違いであった。

火力的には半径50m燃やし尽くす威力とマッチ一本の差である。
そりゃあ其処まで威力が抑えられるなら小言も言いたくなる。
今まで指輪として維持していたのもメルの制御をしていたからだとか。

成る程、だから感情がモヤついても何も起こらなかったのか。

「とりあえず来週まで外出たら駄目だからね!?」

『はぁーい』

「伸ばさない!!」

『あい』

全く面倒だ。まぁ外出たら駄目って言うんだから外に出なければいい。

+++++++++++++++++++++++++++

「…居ないと思ってルアラに言って来てみれば、此処に居たのか」

そう姿を消して部屋に居なかったのをモモノキが気付いて
急いでオリアスがバラムと一緒にルアラを探してきた所は
此間メルの許可が降りたログハウスの地下室だった。

大量の用紙がメルの周りに散りばめられており
何かを書いた後もある。円だろうか?
魔術の様式かと思ったがどうやら違うらしい。


『いやー出れないならもう閉じこもって
勉強したらいいかと思って。
どうせ痛みほぼないし』

そう言ってメルがまた机の上にある
ノートに視線を落とした
本を見比べて何かを書きつつ、
成る程と声を上げぶつくさ言っている
ひとまず何処に居るのかが分かったので
オリアスはモモノキに連絡を入れた


「…モモノキ先生オリアスです。居ました、
はい。んー詳しくは言えませんが
ちょっと離れた所に、はい、ええ、分かりました。
そのように伝えておきます。はい。失礼しました。」

そう言って魔通信で会話をする。
メル曰く魔通信だけは可能らしく
その仕組みはミレイユしか知らないとのことで現在解明中だ。


『モモちゃんなんて』

「探しました、あとで付き合って下さいだとよ。
ほんとお前は…」

『だって此処モモちゃん連れてくるのやだもん』

「…なんで?」

『とりあえず禁書とあとあの写真見せたくない』

そう言ったのはメルが数日前に見せたあの本だ
メルがこの場所に来た全てがある意味分かる本
モモノキに全ては明かしたくないということだ。


「でも写真はいいんじゃないの?」

『…欠如してる目までは知ったら、怖がりそうだから』

「嗚呼、成る程」

俺達は良いんだそう言ったオリアスにメルは
どうせ家系魔術でバレるから二人。
そうぶっきらぼうに言って本のページをめくった
メルの手をずっと見ていた


オリアスはラッキーハッピーで
自分が見たいと思えばメルのことを見れるし探せる
今だって来ているのは家系魔術を使用したからだ。

まぁ家系魔術なしでも大体居場所は分かっていたが
場所が場所なので安全策から来たのだ。

バラムはバラムで嘘を付いたらブザーが鳴る。
本音を知っていれば向こうのブザーが鳴ったとしても
周りに伝えるかどうかは彼の意思で決まる。

ならばこちら側に巻き込んでいて
正解だと思ったらしい。

いやある意味策士であるとは思ったが、
では何故他の教員に言わないのか。


『カルエゴ先生は犬、嗅ぎ付けても
自分の縄張り以外は特に気にしないのでパス
ダリ先生は多分知ってても言わないから
こっちも言わないのでパス』

「今何してんの?」

『生理の血で悪魔呼び出せるかなって』

「やめて???」

悪魔を何だと思っているんだ
血を使って出てくるのは良いとしても
身体の体外に放出する側の物を使ったと知れば
普通に誰でも青ざめるし気分は悪い。

言わなければどうってことないとサラッと言うメルに
ふと頬に手を寄せた。目の鋭さが急に和らいだのを安心し
休憩しろと軽く言うと、メルはしゃーないとだけ言って
身体を後ろに伸ばした

ボキボキと音が鳴るのに何時間ぶっ通しで書いていたのか分からないが
とりあえずお茶と言った彼女にはいはいとだけ言って上にある
キッチンでお茶を作ってくることにしたオリアスは地下室から席を外した

ルアラはメルの傍に寄り添い丸くなる


「…状況は」

『順調ーっ、ああ…一応感情の抑制用の書類が見つかった。
ほらコレ。魔術だけでなくしびれ薬とかもある。』

実験にちょっと作ろうとしているけど本物を見たことが無いし
何なら私の得意なのは幻影だ。
身体に取り込めるものを作れるわけではない。

例えばウァラク・クララのように
見たものをポケットから取り出す能力ではない。
アレは物体であれば何でも可能と聞いたことはあるが
メルは感情で人を作り上げることが可能なだけだ。

勿論集中すれば触れられはするが幻は幻。
消えて居なくなるのは勿論、
食べ物を食べても脳を惑わすだけで実際食べていないのだ。

それにメルは食べ物系を作り上げるのがとても苦手だ
実際に作るのはまぁ出来るが、
幻として作り上げれるのはメルがあくまでも好きだから。

好きであればあるほど、正確になる。
その分本物か偽物かの見分けがつかなくなってしまう。
便利な分不便な事にもなり得る。
使いたいのに使い過ぎると厄介という、
如何せんもどかしい所だ


「もう其処まで進んだのか。
開始し始めてまだ2日しか経ってないだろう?」

『生理舐めんなよ一応10冊目標だけど30冊読む予定だから。』

「過集中だな…あの弓悪魔と良い勝負だ。」

『…それに、早くミレイユの世界を見てみたい。』

オリアスが居ない今だから、本音がちょっと零れる。
きっと彼なら怒ってしまうことだから。

「…ミレイユ様の?」

『あの人がどんな世界をみて笑って居たのか、
触れたいしそのままになれればいいって。』

昔は思っていた。だが今は変わって行っている。
毎日のように、変化し続けるこの日が最悪なのに
最高な日々なのが、脳を混乱させる。

『本当にあの人私を選んで凄いよ…
まさか願いをああいややめておこう。』

口に出してしまっては効果が薄れる。ミレイユが言っていた。
そう口に出したメルにその通りだとルアラが言う

「本名も本当は悪魔に告げてはいけないんだからな」

『…あ』

「ん?どうしたメル」

『ねぇひょっとしてさ、本名言ったらさ全て思いのままだよね?』

「嗚呼、契約を交わしている者なら
悪魔は死ねと念じればそいつは死ぬぞ。
それがどうした。」

『…オズワルドとオズに私本名言ったかもしんない。』

「…メル?お前はなぁ???」

ごめんごめんごめん!!!つい!!と言ったメルに
ルアラがついで済む問題かぁと声を上げたのに苦笑いした

『いやーまさか本名だと思わないし?
ってかオズワルドが私をちゃんと
元の時間軸に戻せたのってそういうことじゃん?』

「最早奇跡だな。馬鹿が天才に何言っても
どうとでもなるのがもう手本の様だ。
だがあの金髪悪魔に言ったのは聞いてないぞ?」

『え?ああほらお清めとかさアレじゃないの?』

「あーそれとはまた違う。
本名を授けるのだから思いのままだ。
まぁオズワルドとの契約は解除されている筈。」

『ってか悪魔の体液とか身体に入れたらさ
その悪魔の力使えたりしてー!「できるぞ」な訳…な?』

そう笑って居た顔が真顔になるメルに
ルアラがコクリと縦に頷いた

『待ってどれ位の期間?』

「量にも寄るが、まぁ長くても1日だろう。
体内に入っていればいる程効果は続く。
魔力は其処から吸われる為、一回きりだがな。」

おっとこれは良い事を聞いたかもしれない。
だがあのラッキーハッピーかれのとくいぶんや
使う事は出来なかったし
次やるときは次の日テストだったり
大事な日の方が良いと言う事だ。

だが流石に
この話は知らなかった事にさせておこう。

誰にも言ってはいけない内緒の話。
オリアスには内緒ね。そう指を立てて
ウインクしていうメルにルアラはそのオリアスが
聞いていては元も子もないのではとため息を吐いた。


「何々何の話?」

そう一応ノックして入ってきたオリアスに
メルとルアラは何でもないと答えた

「ん?」

「メルにしても生物学の授業はどうするつもりだ?
バラムと会話するとか言ってなかったか?」

『あああ!忘れてたバラム先生呼ばないと!!!』

こっちの地下室の方が正しいので。
そう言いながらメルが左耳のくぼみを
少し押して会話を始めた


『ーああ!バラム先生お忙しい所
すいませんちょっと今構いませんか?
…ええ、いやいやいやとんでもないですごめんなさい
此方がすっかり忘れていたので。
あのですね、二学期初日から』


次の週の予定で、はい。ええそうです。
3年のそうそうそう言って声を上げながら
資料を手に取り話し出すメルが
そっと本を浮遊させて席を外す。

メルの背中を追う様にペンと紙、
本やお茶までもがふわふわと
浮かびながら列をなしていく

ばたんとドアが閉まった後、
オリアスはふぅとため息を吐いた

「メルちゃん勉強熱心だねぇ、俺流石に無理だわ」

「そう言いながら満点取れたじゃないか。
アレほど出来れば申し分ない。」

「はは、そりゃどうも」


占星ラッキーハッピーを使わずとも、
オリアスはルアラが問題を出した
その全てを解いて正解を導き出したのだ。

流石は教師である。

何故その答えなのかも説明できるようにしていた。


そのためほんの少しだけ見直したルアラが
金髪悪魔からオリアスと家系名を呼ぶようになった
極々稀だが。ちなみに一度しか呼んでいない。


どうやら金髪悪魔が気に入っているらしい。
他の悪魔が居たらどういうのだろうか少し興味が沸いた
オリアスだったが、話の話題に頭の中を切り替えた。


「メルに問題は出したのか?」

「いや二学期から出す予定で今作成中。」

「まぁアレほど出来れば良い。
言っとくがメルは馬鹿だからな。」

「否定したげたいけど、出来ないのがなぁー」


右と思って移動したのが左の方に向いていくのを
襟元掴んで違うと姿勢を正した回数は数えきれない。

テストは満点取れるかと思いきや、
彼女の場合は感覚重視。

あの集中力では誰にも負けないロビンと同じなのだ。


多少の間違いはあるものの、
性格が素直な為に
一度覚えさせるとある程度は
直されるのが救い処と言った所だ。



「それにしても君は良いの?」

「何がだ」

「メルちゃん魔女になって…
本当は記憶を消して
人間界に飛ばしたかったんじゃない?」

そう目を細めて言うオリアスにルアラは
目を丸めてた後不敵に笑い嗚呼と答えた

「最初は何処からそんな泥猫拾ってきたと言ったさ。
だがあのお方は“この子じゃないと駄目な気がして”って言ってさ
魔法をかけて世話をしているのに嫌がるんだあいつ。」

「え…」

「最初は全てが嫌そうだった。
何も自分を理解しないだろう?
なら自分だけが自分を作れば良い。
そして自分だけが自分を殺せばいい。
…そう言いたそうな顔だった。」

写真、見ただろう?そう言ったルアラに
オリアスはふと数日前に見てしまった写真を思い出した
目の奥が何処を見ているのか恐ろしくなったあの写真を


「メルは自分の感情を回すのが天才的に上手い。
それでいて殺せる時に殺さない。あいつは悪魔だ。」

相手に対して天使であり、
自分に対して悪魔である。
そんな者は誰一人としていなかった。

魔女に生まれるべくして
生まれたと言っても過言ではない程
逸脱した者だった。

から、ミレイユの目に止まってよかったと
昔ミレイユは言っていたし、
途中でルアラはそう思ったのだ。

「あいつは一つだけ掴もうとして
掴めずに望むようになった幼子だ。
掴めたものを、諦めもせずに
望んでしまったが故に今に居る。」

「…何の話だ」

「私はな、オリアス。
メルがお前と出会えて良かったと思っている。」

「ルアラ…?」

「最初は金髪キラキラ悪魔で
面白がりつつお前を最大限に警戒していた。
幸運は時に不幸を巻き起こす。
お前の幸運が彼女の不幸を巻き起こしかねないと。」

その言葉がオリアスの心に刺さる
自分の幸運はあくまでも自分の優位に引き寄せるものであり
それは自分が良ければ必ず悪い運があって当然


「だがメルは感情が欠如していた。
いや違う不幸を愛そうとした末路だ。」

「不幸を?いや幸運で
ラッキーだから幸せとかなら分かるけど」

「そうしないと息が出来なかった。
人間はなオリアス、酷く脆い者だ。
たった一言一突きすれば壊れて死んでしまう。
あの子はその時間をあ『はぁい其処まで…ルアラ?』」

そう言いかけた途端メルが浮遊してルアラの口を閉ざした
虚ろうその目は、一体誰を見ているのか。分からない程に
暗く座っている。

『それ以上はいけない。分かった?』

「…主の言う通りに」

人差し指を指して彼女はメルは微笑んだ
気付くなと触れるなと壊れるから?無くなるから?
いいや違う、オリアスは感じた。

その時間を知って、傷付いた人を彼女は見たくないのだ。
傍に居て笑ってくれるその時間が余りにも優し過ぎて
二度と醒めない悪夢であれば、それは

『あ、お茶美味しかったよオリアスせんせ!
私もう眠いから、
薬飲んで寝るねぇ〜ほらルアラ連れてったげて』

「は?何で私が『ルアラ?』
…ついてこい。」

そう言われて声を掛けられたオリアスは
メルが背中を押しつつ前に進む足に
これ以上の模索は不要かと感じ、
その場から消えることにした

消えて花びらが散る場所に、メルは目を開いた
にこやかではなく、真っ黒な瞳の奥には
一体誰を思い描くのか。

誰も知られぬ世界が幕を開ける

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