収穫祭当日
「始まりましたねぇー」
そう言ってぼやいたのはツムル先生だった
リタイアに向けて一応待機している教師陣が
生徒の状況を把握していた
『(ひとまず始業式前までの記憶はごっそり消えてるな)』
そう思いつつ、魔界の収穫祭
ど真ん中の森にやって来たメル
何人かの悪魔と会話をしたが、
メルのバッチが3で止まっている所
明らかに皆の記憶を
綺麗に受け取っているのが分かった。
『(また同じ場所に居るのは…寂しいけど)』
仕方がない。
急に仲良くなって
あんな大人数に人間という事がバレたのだ。
流石にミレイユとの思い出の場所から
出て行くと同時に記憶を改ざんした。
皆消すなと言っていたが、
勿論私は消した。
何故か?
周りの悪魔をこれ以上
沼に突っ込みたくないからだ。
というのが大前提なのだが、
実はもう一つ理由があった。
耳元から業務連絡が入ってくる。
ー此方捜索班4班。生徒5名確保。どうぞ
ー異常なし。どうぞ
そう言った声が耳元で鳴り響く
ああちゃんと仕事してるなぁと
思いながらメルもまた仕事をしていた。
これでも昔は魔術を駆使していたのだ。
毎年この森の地面には足を付けたくない。
『うへぇ…リタイア多そう』
そう言ったのは捜索班7班から抜けたメル
トイレと同時に救護の方の様子も見に行くと言って
職員から許可を貰って抜け出したのだ。
いやー私も悪い事をするようになったなぁと思う。
だが、それも良い判断だと思ったのだ。
『(確実に居るな。一つ怪しい気配がするが、
そっちはロビン先生が射貫くだろう。)』
私はもう一人の気配に近づくとするか。
そうもう一つの理由は魔法力の件だ。
赤本10ページ2行目
左側に書かれていたもので
魔女にも得意不得意分野がある。
私の力は幻影を作り出して
今が夢か現実か分からないように出来る。
だがこの魔力はミレイユとしてではなく、
今はオリアスとの契約になっている。
その為魔力としての力はオリアスとしての
効果が強いわけであって
私の手は
宿っていると言っても過言ではない。
『ー2班の方。4時の方向生徒3名居ます。
至急応援お願いします。』
ー了解。
そう声がしたのと同時に
メルもまた空を低飛行で飛んだ
4時の方向に居た魔物に
食われそうな生徒の魔物に炎を叩き込む
一応生徒や教師にはラファイアとして
判断されるだろう。
全くこの炎が味方で良かったと心から思う。
「ありがとうございます!!!」
『良いから。
あ教師来たよ』
そう出て来たのはツムル先生組だった
『おー疲れ様です。
通信通りの子達です』
「ありがとうございます!
大丈夫かー?」
そう笑ってお礼を言われて
少し目を丸めてしまった
前の様に笑ってくれた気がして
…胸が痛くなったのを
無理矢理閉じ込めた。
駄目だ。これは契約上の行動だ。
失敗は許されない。
彼らに危害を加えるのは私が許さない。
「ん?どうしましたそんな殺気だして…」
『え?ああ…なんか6時の方向に何か感じて』
生徒かな?
え大丈夫かなそう首を傾げるメルに
嘘でしょ!?とツムルが言う。
まぁ嘘ではない。
現に2名泣きそうな声がしているのだ。
にしても本当にラッキーなんだけど。
かれこれ20名程の悪魔を救っている。
いやー…これ勘で済まされる?駄目?ヤバない?
冷や汗が少し頬を垂れる
流石におとなしくしておくかと思い
男の子たちの件はツムル先生に任せよう。
『私は元の班に戻りつつ移動しますね』
「え!ちょ単独行動してるんですか!?
一人じゃ危ないですよ!!!」
「ツムル先生大丈夫だって!
メル先生単独行動基本だから!!」
『そ。じゃ』
そう言って私は翼を作り出して空を飛び移動した
どうやらこの暗さなら翼も偽物だとバレないらしい。
非常に良い場所だ。
どうせなら毎日これでもいいぞ。
移動している中、
何人か助けたい子が居たが
まぁこれ以上救うと何か狙われそうなのでやめておく。
気付かない振りをするのも酷なものだ。
ほんと。
ため息交じりに空を飛び続けて居たが、
結局中央に戻ってきてしまった。
いやはやこれまた広い森だこと。
魔獣を詰め込んで恐ろしい世界だ。
あまり自分のことは
誰に聞かれているかどうか分からない。
その為ルアラには
今回指輪の中に入ってもらう事にした。
いやぁ今まで入れれないと思っていたら、
まさか呪文があったとは思わなかった。
ちゃんと勉強しておいてよかったよね!
…さて、一度魔通信を切らせてもらおう。
『…何しにこの森に入ってきた。
愚か者よ。』
そう目を細めて声に出す。
いやぁ私だって学校の教職員だ。
学び子に攻撃するなら
制裁の5つや6つするぞ。
「流石バレるとは、思わなかったなぁ…」
『(っ、こいつ強いな)』
左手に光る緑色の紋章。
何処の紋章かが分からない。
とりあえず魔女という事だけは分かった。
何故魔界にこんなに人間が居るのか
本当におかしい話だが。
人のことは言えないものだ。
「此処には悪魔が沢山居て
狩りが出来ると聞いてなぁ」
『んなこと誰がさせるか』
教師の助けを一応求められるのだが、
場合が場合だ。
人間の匂い等此方が嗅ぎつかれては困るのだ。
だって記憶かなり持ってるからね。
大人数の悪魔の記憶だから大事に保管している。
何時か来る厄災で救う、
その時の為に。
「あれ、悪魔は狩るものだって
教えられていないの?」
『無造作に攻撃するお前の教育者に
一度会ってみたいものだ、なっ!!』
そう火柱が二つ程光る
剣を抜いて来たのだろう。
此方も光の剣を作り出して攻撃を受け流す
距離を取って喋る魔女に眉間にしわがよる。
「へぇ!悪魔の肩を持つ魔女が
こんな所に居るとは…お前が都佑か」
『その名を来易く呼ぶな外道が。』
あと私の名前はメルだ。
一昨日来やがれ。
いやどうせなら一生来なくていい。
会いたくない。
迫りくる攻撃を受け流しつつ、
周りの状況を把握する
一応生徒が居る所にも
入っていない事にラッキーだと思う。
星の中に埋もれた身体は、
本当に元の場所に戻れるのだろうか?
嗚呼、考えている場合ではないな。
そう思って距離を取っているのに
苛立つ魔女に鼻で笑った
「何がおかしい!!!」
『悪魔の一匹も殺さないとは、
お前弱いんじゃないのか?
それとも怖いのか』
悪魔に血を吸われるのが。
そう笑うメルに魔女が怒り
此方に攻撃を仕掛けて来た。
魔女は一度契約をした悪魔とは
別の悪魔と契約は基本不可能。
二つ以上の能力を受け継ぐ
と言う事は出来ないのだ。
普通に四肢がはじけ飛ぶとか。
血液の巡りがパニックを起こす
って昔ミレイユが話していた。
血を吸われても契約が
成立してしまうのが怖い所だ。
まぁ生き血に限るのだが…
「っ!」
『失せろ。どうせなら殺しても良いが、
お前の匂いで周りに迷惑をかけたくない。』
人間の血の匂いは悪魔にとって極上の餌だ。
魔女とは言えど人間。
血なんてこの森で流してみろ
たちまち魔獣が生徒が教師が悪周期入るぞ。
だからこうやって受け身を取りつつ
攻撃を仕掛けるしかない。
もうこういうのしかないのだ。
気を失わせる以外ほかない。
血を出させれば出血多量で
勝手に死ぬから楽なのだが…
そんなことも言ってられない。
メルは手で氷を作り出して攻撃する
触れると身体が凍って
身動きが取れなくなるように
勿論魔女も頭が悪くはない
メルの方に当たるよう避けるが
すぐに炎で溶かした
「へぇ…魔法使えるんだ」
『お前も使えるじゃないか。
惜しいなぁそんな力あれば
生徒の30人位救って欲しいなぁ。』
私の仕事が減る。
普通に今軽く20人救ってしまって
びくびくしているのに、
私大丈夫なのだろうか?
まぁ前から勘だけは良い方だったので
行ってはいけない場所とか
大丈夫とか分かったから、
それが故意的なのか偶然なのかの違いだ。
「な、誰が!!こんな悪魔ども
消えて無くなればいい!!!!」
そんな悪魔に家族殺された
みたいな気持ち持たれても…
まぁ、私も似たようなものか。
ミレイユは人間に殺されてしまった。
だから人間が憎くて仕方がない。
でも、悪い人間ばかりではないのは、
私は知っている。
人間のことが好きだった自分だから。
嫌という感情に気付きたくない
自分よりかはある意味
この魔女は素直で可愛らしいのかもしれない。
まぁ邪魔をするなら制裁だ。
刺客は殺した方が良いのだが、
如何せん血みどろ縛りしているから駄目。
「お前を殺せばあのお方に
褒められるというもの!!」
『…お前本当に刺客なんだよな?
ねぇ、それ此間捕まえた奴逃がしてるって
自分からばらしてるの分かってる?』
そう言ったメルに、
魔女がハッと反応する。
今頃気付いたのか…
私もこういう所あると思いたくない。
馬鹿だこいつも結構馬鹿だ。
「な!何故…!!」
『君本当に刺客向いてないって
…人間界帰りな、お家維持した方が
まだマシだと思う。』
「そ、そんなことはできない!!」
いやぁーーー純粋無垢な
魔女を処分したくねぇーーーー
心の中で叫ぶが、まぁ気にしない。
と言ってもこれ以上
魔通信を聞かないのも不味い。
ロビンが此方に気付かないわけでもなー
そう思っていたらメルと
魔女の間に一本の弓矢が地面に刺さる
『っげ!!』
魔通信を繋げると
耳が壊れるばかりに叫ばれる
ー魔通信を切るとはお前馬鹿か!!!!
『ーすいません今
立て込んでおっ!りまし、てっ!!!』
そう右耳に手を当てて左手で
攻撃を交わしつつ交戦する
敵はと聞かれたが一人です
と答えるだけ優しいと思え。
魔女じゃ人間じゃないの
言ってないの優しいだろ私。
敵に情けをかけてまでするか…
ー今新人が向かっている。応戦しろ
『ーっええ!?ちょ!!聞いてませんよ!?』
ー煩い!聞いてなかったお前が悪い!!!
そうですけど!このままこのおバカな
魔女に会わせるわけにはいかない。
流石に記憶消したのがパーになるではないか!!
煩い声を聞きたくなくて通信を切り、気配を消す
致し方が無い。作り出すか。
そう思い、意識を手を伸ばす
指を鳴らして半径5mの場所だけ
同じような場所を作り出す。
『…さて、魔女さんや。
私をどうするつもりで来たの?殺しに?』
「いや、情報を確認しに来ただけだ。
お前の事情が把握できないもんでな。」
おおい!!!どうなってんだそっちの上司は!!!!
この魔女本当に刺客か!?怖いんだけど!!!ねぇ!!
「あの方の力を使えるのか!!」
『いっっや…まぁ、』
かなり集中しないと出来ないが、
まぁ出来る。
全くできない訳ではない。
一応ね。
一応こっちが元だから。
「…なら、良い。」
『え?』
いや意味が分からない。
急に悪魔殺しに来たと思ったら
まさかの引くってどういうことだ。
ってかお前ちょっと記憶消させろ。
攻撃を仕掛けたが、
姿を晦まされて逃げられた。
『…ちっ』
指を鳴らし、魔法を解除する。
魔通信も戻り、
すぐそこまでロビンが来ていたのか秒で会えた
「メル先輩っ!あれ?!敵は!?」
『逃げられました…
あーやっぱ応援呼ぶべきでしたわ』
そう本音を漏らしつつ、
私は救護班のいや本部の上司の元に
報告しに行くことになった。
「焦って魔通信を切ってしまい、
挙句の果てには逃がしてしまった、と…」
ふぁあい。
そう泣くメルに周りは助けの手を出さない。
いやー自業自得である。
まぁこれが一番最善策だ。
私が単純に馬鹿したからーって事にした方が良い。
「罰として教育係のオリアス先生と行動すること」
罰として二日目一人追加で動けとか
だるくないですかね。
え?
待って?
今何て?
『っええええええ!?
待って待って待って待って!?
ダリ先生何でですか!?』
「え?いやー教育が足りなかったかなって思って!
ね、良いですよね?カルエゴ先生。」
不味い不味い不味いってそれは!!!
嫌がるメルにカルエゴは
効果抜群と判断し
ダリからの返事に頷いた。
「ああ、精々また鍛えて貰え。」
『ふぇええ』
罰とは言えど、
二日目どうなるんだ…
全生徒助けられるんじゃないのか…?
そう思ったが、まぁそこじゃない。
本部に疲れ果てたオリアス達が
かえって来てダリに呼ばれる
「はい、何ですか?」
「オリアス先生明日メル先生と一緒に
生徒捜索に行ってくれない?
さっき侵入者何もせずに見逃しちゃってさー」
「え!?ちょ何やってんの!!!」
『ふぇ〜ごめんなさぁい〜〜』
とりあえず泣き真似は任せろ。
いやー別にどうでもいいんだ。
バレなければ。
「罰として一から教育してもらえ。」
「慣れて来たからって避けてたもんねぇー」
『な゛っ!ちょ!!
(いや合ってる!
そうだけど別の意味も含めてね!?)』
主に
私の悪い方向に向かわないようにだ。
まぁバレたらまた記憶を取ってしまえば良い。
仕方がない、
此処は腹をくくるしかない。
「わかりました…
とりあえずこいつ借りますね。」
そう言われて席を外すオリアスに
メルはとぼとぼと歩いて外に出た
「おまえな〜何してんだよ」
『それが、侵入者と暗闇で目の前で出会って驚いて
耳に取り付けていた魔通信をOFFにしてしまい。
挙句の果てにはOFFに気付かず途中でONにしている途中で
逃げられたという痛恨のミスをしでかしましてね…』
「もーほんと何してんの…」
『もう面目なくて明日生きていけない』
「分かったとりあえず明日
ハードスケジュールだから
ついてきてね。」
はぁいそう言って私は
オリアス先生と別れて女子寮に戻る。
ああ、一応理事長と話して
家からより寮に住むことにしたのだ。
泣いていたが、親離れ子離れしてくださいと
オペラが強力してくれた。
ありがとうオペラ。
君のことは忘れないよ。
ドアを閉めて身体の自由を
魔法を使用して服を脱がす
「で?どうすんだ?」
『あの魔女がまた来るのは流石に
…ないと言いたい。』
バレない様に、息をひそめる。
部屋から持ってきた一冊のノート。
マル秘の魔女ノートだ。
ペラりページをめくる
ー魔女は3か月に一度、
大事な人達から魔女の記憶を無くす。
その綴りに、指をなぞる
魔女としての効果を発揮してしまったので
夏休みから前の3か月が自動的に消されたのだ。
自分に言い聞かせる。
『…私が魔法で奪った。それだけ』
そうでも言わないと、運命に逆らっても逆らっても
無駄な足搔きという現実を知る事になる。
感情を露わにしてはいけない。
三つ編みしていた髪の毛は、もう編むことはないだろう。