Novel - Paola | Kerry

it's just you


識って留めた言葉3

20/09/15
46

「容態は」

「意識を失っただけですね。肩に傷があっただけで
そのほかは特に問題ありません。」

「何だったんだあの威力は…」

そうメルが眠っている周りには
オリアスやツムル、ロビンが話をしていた
中継で1つだけ取っており、
カルエゴやダリも確認出来ていた。


「赤い炎に黒い剣…
どれも見た事のないものでしたね。」


「家系魔術か?」


「だとしても片方おかしくないですか?
火炎はまだしも
あの黒い剣はどう説明するんですか。」



「(あーあバレたなこりゃ完っっ全に)」



お前地獄見るぞ。
そうルアラはオリアスの腕の中で
優しく抱かれて状況を把握していた。



一応指輪の中に入ろうとはしたが、
オリアスに見つかり
「お前ちょっとメルちゃんが意識取り戻すまで出とけ」
とくぎを刺されている。

かと言って自分が言うのも違う為、口を閉じていた。


「にしてもそっちは?寝子ですか?」

「ええ彼女の傍にというか
指輪から出て来たものです」

「に、にゃぁーん」

「…喋れるの分かってるからな?」

そう汗ダラダラで猫の真似をしてみたが、
流石にバレるらしい。


大きく息を吐いて
もうダメだなと思い口を開けた。



「…はあ、全く。仕方がない奴らめ」


「しゃ、しゃべったああああああああ」


「煩い」


「粛に!おい貴様は何者だ答えろ。」



場合に寄りけりで処罰する。
そう言ったカルエゴにルアラは
敵だったらどれ程良いか。
とぼやいた。



「…僕はルアラ。メルの“使い魔”だ。
彼女が使ったのは僕と契約をしたからだ。」


一応嘘は言っていない。

魔女の使い魔は黒猫と
決まっているのは合っている。

まぁ少し前まで使い魔は別の悪魔だったが、
それは記憶が消えた為に
効果は期待できないだろう。


彼女の攻撃の威力は
自分が離れれば威力は増す。

なにせ自分が制御の一部だからだ。

シチロウと言ったカルエゴに
バラムが嘘ついていないと答えた



「ではルアラよ。
こいつの家系魔術は一体なんだ。」


「僕は答えられない。
それに彼女も嫌がるだろう。
見ていただろうが、
酷く嫌がっていたのは分かっているだろう?
なぁオリアス先生?」




そう言ったルアラに
オリアスが驚き嗚呼、と答えた。

何故だろう?
少し疑問を持っているのか。


嗚呼、一人称は「僕」ではないし、
オリアス先生とは呼ばない。

だがいつものように言えるわけがない。

何故なら記憶は
消えてしまっているのだから。


なのにびくりと反応した
…まさかとは思うが。



「…そうなんですか?オリアス先生」


「嗚呼、そうですよ。
この子が言う通り最初メルちゃんが
攻撃をする時凄く嫌そうでした。

…まるで隠していたのに、
バラしてしまうと言いたそうに。」




そこから攻撃は早かった。

炎の弓矢を作って攻撃し、
幾つかのまるで魔法を使っているようだった。

だが魔術としても存在するものも見えた。
まぁオリアス達の事を考慮して詠唱ありで
確実に魔術を繰り出す方法だったが。

「あんな攻撃できるなら、
もっと出せばよかったのに。
何で隠していたんだろう…」

「(それは…魔女と知られたくないからだ)」

お前達を守るために、
この子は手を振り下ろした。


そっと、守ると言って約束を破った。



笑ってお前達の世界を守るだけに。





自分の感情を押し殺しているというのに…





もどかしいが、
これ以上は言えないのは事実だ。


私は命令されていないし、
言ってこの子が泣くのは嫌だ。


それに、一番きついのは
今眠っているこの子だ。

周りの悪魔が
自分とのかかわりを忘れられて
最初酷く傷付いた筈だろうに


…この子は


ただの悪夢を見ているだけだと
首を絞めるだけで落ち着かせた。


それがどれ程の苦痛だろうか、
どれ程抑え込んでいることか。
こいつらは何も分からないのだろう。



嗚呼…苛立つ気持ちを少し抑える。

何なら今すぐ
オリアスの腕から逃げたい。



「では目を覚まし次第報告して下さい」


「僕達は戻るね」


「ああ、ありがとな!
助かった!!」


そうツムル達に
オリアスは礼を言って席に座った
メルがずっと眠っているのを見ていた


「…なぁ、お前ルアラ、
って言ったっけ」



「ああ」


「お前さ、俺と何処かで話したことある?」



は?と声が出そうになったが
喉の奥で止まっていた。

人型だったら驚いた顔を
悟られるところだった。



「…いや、そんなことはない。
初対面だ。」



嘘だ。だがお前には気付いて欲しくない。

…もう、この子が傷付くのを見たくない。

ミレイユ様もそうだったが、
もう良いじゃないか。


何故記憶を奪われないといけないのだろうか。
何も悪い事はしてないというのに…



「そっ、か…ごめんな。
いやー前に何か
金髪悪魔って呼ばれて
ちょっと気になってさ。」



誰かに呼ばれた気がして。
そう言ったオリアスに
ルアラは嘘を付いた。



「…お前とは初対面だし、
金髪悪魔とは言った事がねぇよ。
ただの聞き間違いだろ。」

ばーか。

そう思って、
これからのことを考えつつ、
オリアスの太ももの上で丸まった



眠くはないが、これ以上
話してばらしても不味い。


瞼を閉じる。

だがルアラは気付いていなかった
ルアラが答えた言葉を、
バラムが聞いていたことなど



+++++++++++++++++++++++++++


「(…あの寝子、
嘘を付いていたな)」

最初はカルエゴ君や
オリアス先生達が居た時は一切反応しなかった



気になると言ってちょっと残っていたが、
正解だったようだ。



オリアス先生と
二人っきりになった途端
全てうそをついた。




「(初対面ではないし、
金髪悪魔と呼んでいたか…)」




何故嘘を付いた?
というか今まで何故
嘘が見破れなかった?



まるで自分の家系能力を知っているかのように



「…いやいや、流石に考え過ぎか。」



寝子が流石に、
使い魔がそんなに頭良いとは
…まぁあり得そうだが
ただ聞かれたことが
嘘偽りなかっただけだろう。



ああ、でもあやしいブザーはあったな。

メルの“使い魔”だ。
そう言った時、
ほんの少しブザーが鳴った。




恐らく半分正解で半分不正解なのだろう。



では不正解だとしたら、
使い魔ではなくてどうしている?

「今は」使い魔なのか?

では「前は」?


怪しい事が沢山ありすぎて、
今度メル先生に聞いてみないと
分からないなぁ。



そっと自分の口元の金具をさすって。

塗りつぶされた水色髪の女性が
記憶に浮かんだバラムは気付かなかった。




その記憶の女性がメルであることも。






ルアラが嘘をついた事実であることも。


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