Novel - Paola | Kerry

it's just you


記憶も想いも関係も忘れたままでいてください

20/09/15
48







ずっと、貴方と笑って居られたら
どれ程良いだろうか。
触れる手に頬を摺り寄せる。

ーメル



嗚呼、貴方の声が聞こえて
貴方の嬉しそうに笑う笑顔も見える。







…そうなのね。








ああ僕は






目を覚ました

場所はログハウスの中、
自分の二階の自室だった。


優しい悪夢だったのにどうしてだろう。
身体が汗だくで、目からも汗が出ていた。



収穫祭が終わってすぐに退職届を出した。


何も言わずに荷物を小さくして席を外したし
一応自分の記憶が薄れる様にも魔法を唱えている。


寮の荷物も綺麗にして、
サリバン宅の荷物も
ルアラがまとめてくれた。





あの子ならそっちの魔術は
得意なのだから任せて正解だろう。

そうして魔界には図書館の奥しかなくなった。


これでいい。


メルは
呪文を塗り替えて更に警戒して
意識を飛ばせるように強めの呪文を唱えた。



此処までしたらこの中に
入ってくることはまずない。


あと荷物は小さくして、
全てログハウスの中に詰めてしまおう。


とさり、資料が落ちて手を取る。
そこはオリアス先生達と遊んだ際に
ゲームで順番を変えたり
お絵描きをしたものだった。







名前や絵が書かれていて、
皆の個性がまとまっている。
それを見て、もうこの時間は
続かないのだと知り零れ落ちる。




これでいいのだ。



これじゃないといけないのだ。



そうでないと、
厄災はどういう勢いで来るか分からない。
アレで序の口なら、
私は間違いなく死んでしまう。

守れない守られるなら守れる位まで
強くならなければいけない。
もう何いわれても言う事聞かないんだから。


荷物を綺麗にして、円を描いた
流石に何もなさ過ぎるのは怖いからだ。
一応誰のものか分からないように
匂いも消して、私はぼそり呟いた。



『…さよなら、できるなら、ずっといたかったなぁ』









そう言って、涙を一つ零して。
僕は世界を手放した。



あの時間がどうしても夢に出てくる。
嗚呼面倒だなと思いつつ、今日も食事を作る。



一応一通りは作れるし、
植物の種も買っているので
成長させる呪文の練習とか出来るし、
種複製の練習もできるから
まぁ自給自足で一応何年も生きれる。

それに湖の水は沸騰させたら
普通に飲める位綺麗なのだ。


あの湖が無くなるとは一体何年後だろう?



とりあえず自分が生きている時間に
無くなる事はないだろう。



静かな時間だったが、
食事を口にして零す。





『…味しないな』




どうやら感情というかストレスがMAXらしい。

最近ずっと首元が光って煩い位だ。

これが維持されると
身体にも悪影響を及ぼすと
昨日本で読んだ。


その為一応感じないようにはしている。




なるべくだ。





とにかく食事を平らげ、
何とか身体を起こし地下に入る
今日も午前中は勉強して、
午後死ぬ気で自分の力を底上げする。




幻影を作り出して魔法を練り上げ
攻撃をひたすら繰り返す
それをじっとルアラが見てくれていた。


何も言わずに。


そっと私を見届けていたのには
ありがたくて感謝しか出ない。



こうなったのに、
申し訳ないと思う。
だがまだだ。



二度、三度、身体が倒れるも
無理矢理起こす
前を向いてただ突き進む。




魔力が切れたらそのまま意識を手放す。




目覚めたらベットに眠っている。
その繰り返しが更に4日経った。
流石にやめろとルアラが声を上げた。



「身体が悲鳴を上げている。
もう充分だろう。
紋章だって加速して
血をにじませているじゃないか」



『…もっと頑張る。』



「そうなる位なら今すぐ
あの金髪馬鹿悪魔の所に行って助けを求める。」


『…何が言いたいの』


「…戻らないのか?もう、あの場所に。
助けを求めるんじゃなかったのか?」


『…』


そうしたい。私だって、
閉じこもってばかりでは
いけないと分かっている。
だがこれ以上の得策が思いつかないのだ。




「確かに一週間前よりかは
とてつもない速度で力は強まっている。

だがそれを続けているとお前の身体が持たない。
本番何時起きるかも分からない…

お前外の世界がどうなってるか分かってないだろ。
今お前を必死に皆探しているぞ。」



『っえ!?嘘!!!何で!?
魔法は完璧にかけて!!!』


「あの金髪馬鹿悪魔が解いた。
それで皆気付いてお前を探している。
今あの図書館で呪文を
入間と一緒に考えている所だ。」





お前は、何がしたい。
そういうルアラにメルはたじろいだ




「あんな退職届、納得していないぞ。
記憶は戻っていないが、お前の努力ぶりを考えて
皆何かに言われて消えたと思っている。
まぁ正しいんだがな。」

『…そのままでいい。私は』

「ミレイユ様と同じようになるのか。そのまま」

『っ!!!煩い!!!!』

だって、
貴方に助けを求めても、
貴方はきっと困る。


私は貴方の傍で
ただ手を繋いで笑って居たかっただけだ。




なのに世界はそれを受け入れてくれない。





オリアスが傷付いた時、
私は嫌だと思った。


こんな世界を見たくない
それならいっそのこと。





嗚呼、違う見たくなくて
逃げているだけじゃないか。




私はずっと貴方から、


逃げて。



私は。










『でてって』


「…メル」


『いいから!!
もう二度と私の前に現れないで!!!』


「…わかった、それが望みなら…
だが助けを求める時はいつでもいく。」




だから、それまで待っている。



そう言ってルアラは消えて行った
もう、この場所には一人もいない。



ただ、居るのは私の身体だけだ。





嗚呼、煩い、煩い煩い煩い。
寝ても覚めても悪夢悪夢悪夢。




貴方に会って笑ってただ追いかけて
手を伸ばして触れられなくて
叫び目を覚ます。



その繰り返しに頭が痛くなる。


意識を出来る限り維持して、
泥のように眠っても、同じ夢を見る。




嫌だ、もう…私は。






『会いたい、っ、会いたいのに…』





触れた貴方に会いたい。


記憶の無くなる前の貴方に。


微笑んで私に言った欲しい。


好きだと、
そう言ってくれたら

私は貴方の名前を
素直に呼べるというのに。




レイに会って、
身体を身をゆだねる以外にないと言うのか。
他の方法で、何かないのか。





歯車が変わる方法は…嗚呼そうか。






私の命が、亡くなればーーーー



『…ご飯食べよう』




必死に今は生きるしかない。
どうせ午後も鍛錬で身体に
傷が出来るのだ。





心臓を一刺ししても、
私は生き続けてしまうだろう。


貴方を好きで、
生きたいと思い続けて居る限り。



私は、何度だって、
うまれるのだろう。


出来るのなら、
助けて欲しいさ。


だが、どうしようもできない。

この呪いを解けるのなら、

何処かに逃げれるのなら。





もう何も考えずに逃げてしまえばいい。




管理していた記憶が
浮遊して此方に頬に触れる
浮かび上がる笑い声と姿に、
また涙を流すしかない。






…っああ、どうして。

この感情を餌にするというのだろう。





感情の魔力を、
昨日作った薬に吸収させる。

これは魔力が使えなくなった時用のとっておきだ。


前から作ろうとはしていたが、
極度の魔力消費で身体が悲鳴を上げるだろうから
なるべく使わないようにしていたのだ。


だが、誰も居なくなった
何でもできるというものだ。
メルは手を出し、呪文を唱える。





+++++++++++++++++++++++++++





多分行方不明にして二週間は経った筈だ。

流石に忘れているだろう。




ちなみにルアラが消えた後
そっと帰って来れないように防いでいる。

これで本当に一人だけに
なっているという事だ。





まぁもしあり得るとしたら、

誰かが天才的な発明をして

私の世界に殴り込んでくる

馬鹿野郎が居るということ位だ。




一応二日程体力を回復して、
何とか食事もまぁ食べる様になった。

流石に外の世界を見れていないのは悪い。
だからと言って
急に出て行ってバレない訳が無い。




一応準備は整えておいて損はない。
今回の出る目的として、
一番はバビルスに被害が無いかどうか。


定期的に出て確認して
すぐに消えても構わないだろう。




一応認識阻害用の魔術も使って
首元に光っても防ぐように
チョーカーを付けた。


感情の制御がルアラが
居なくても出来る様に作ったのだ。

ちなみに赤本ではなく普通に
魔具として本に載っていたものを使用した。

さて、この場所から
一度離れるのは少々怖いが、
これはある意味戦争だ。
ひとまず髪の毛を姿を変えておこう。




チェルーシルそう言って
メルの髪の毛は淡い緑色に変わる
どうせなら目も青い色にしちまえ。


そう思い色を変えた表情も性格も
ちょっと変えておこう。
ぱっちりしていた目を
手で覆い隠し、手放す。


目は半目というかぱっちりには
間違いなくなっていないことを
鏡で確認した後、
髪の毛をかなり伸ばし、
一つの三つ編みにする。



服装も一応生徒の姿にした方が
バレないだろう。
そう思い、女子生徒の
一年生当たりの服装に着替える。




『ポケットに緊急用の赤薬と
状態異常回復用の緑の薬と…よし』



後は透明のカプセルに入れた
自分の力が入ったものだ。
此処まで用意周到なら大丈夫だろう。



『決めておこうか、
オリアス先生に会ったら即消える戻る。
一応マルバス先生や
教師に気付かれたら瞬間移動。』



よし。そう意気込み、私はぼやいた。



『レイが居たら、私は…そっちにいく。』



きっと、それが一番良い。
貴方に、貴方の傍に勿論居たいけど。

何度も消えて無くなるくらいなら、私は。
貴方達を守る場所に、息をひそめて居たいんだ。

どうか許して。どうか私を見つけないで。





幕が開ける



メルは目の色を一瞬変えた
銀色の色に、
そしてログハウスから姿を消したのだった




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