Novel - Paola | Kerry

it's just you


記憶も想いも関係も忘れたままでいてください2

20/09/15
49





飛んできた場所は、最後の部屋。
一応外に人が居る気配はない。
ほっとし、中に誰かが入っていたかの形跡を魔法で探るが
今の所ないというのは安堵した。

ひとまずこの場所に入れない用には出来ているようだ。
とりあえず外に出るのはいいのだが、
問題は待ち構えているかどうか
流石に居ないだろうとふみ、呪文を唱える。


開いた場所には誰もおらず、ほっと安堵する。







認識阻害もしているから、だいじょうー






「ーーやっとみつけた」





『っ!!!!』




不味い!占星ラッキーハッピーを発動して
すぐに捕まえられないように
間一髪で避けれたのは本当に
反射神経良くなったと思う。


今の時間は夜に近いらしい。
生徒が居ないのに何故教師が
こんな所に居るんだろうか。



イフリート・ジン・エイト



…その名をこの夜に近い時に居ない訳がない。




「ーメルちゃん居ました。
今図書館で確認です。はい。了解」


『っな!!!』



そう魔通信で話すイフリートに
メルは大きく驚いた
いかん、これでは応援がくる。

本当にそれこそ問題だ。

かと言ってすぐに元の場所に戻れるわけではない。

・一時間の時間を空けること
・集中できる環境であること

この二点が重なり
ようやく場所を移動できるのだ。

なのでこのまま一時間鬼ごっこが
開始されるということだ。

メルは浮遊して空から逃走を図る.

それに気づいたのか
イフリートが手を前に出した


『っ!(撒くか!!)』

「させるか!!!」

そう言って炎を作り出して
メルの前を塞いだのは
使い魔のイフリートだった

唯一のドアを塞がれて
メルはきょろきょろとあたりを見回した。

落ち着け、そう言ってチョーカーに手を伸ばした。
外すと勢いよく光が解き放たれ、
首元から金色の小さな翼が広がった

流石に体力は維持したいが、如何せん緊急事態。


「じっとしてくれればいいのに」

『っ!!(避けるばかりじゃまずい!)』

そう思いつつも彼が近くに来た瞬間避ける
占星ラッキーハッピーを常時発動させるのは
体力の消耗が激しくて難しいが
間違いなくこいつに触れたら即刻アウトだ。

指を鳴らして髪の毛の色を戻した
どうせこいつらには色変えた所でバレるだろう。
それなら通常の色に落とせばまだ体力も幾分かマシだ。

イフリートが此方を見て笑っている

「……そう、そのまま。
手荒な真似はしたくないんでね。」


手を掴まれてしまえば
そのまま羽交い絞めだろう。


私はこの場所が
まだ攻撃されていなければそれだけが
確認出来れば良いと思って
出て来ただけなのだ。



何故私を攻撃すると、
いや違う捕まえようとするのだろう。





「おとなしくっ、してろ!」


『っや!!!』


幻霧招散スァイトフラング
そう叫んだメルの周りを突如霧が包み込む
伸ばしていた使い魔が固まり
目を閉じた瞬間イフリートもまた
メルを見失った


ドアを勢いよく開けて
左に曲がって真っすぐ
浮遊して突き進む

あぶねぇそう思っていた矢先、
前を向いて急に止めた
前から三人程教師が見えたのだ。
ああもう今日は厄日か!!!



『ああ、くそっ!!』


「っ!!居たぞ!!!」


そう言ったのはツムル。
イチョウとマルバスが目の前にいる。
手荒な真似はしたくないが…


『…其処をどいてもらおうか』


「いやだと言ったら?」


『ならばどかすまで!!!』


全ての命を育みし母なりしこの無限の大地よ
我が意に従い我が手に集いて力となれ
地撃衝雷ダグ・ハウト


そう身体を逸らせて手を上げて振り下ろす
本来は屋外用なのだが、場合が場合だ。
地面をえぐらせて数発岩をつくり攻撃する。

ツムル達は攻撃を避け、イチョウが叫ぶ


「“招集ウィンチ”!!」

パチンと音が鳴るとメルがイチョウの真ん前に飛ばされる

それに目を丸めて急いで

『っ!!!封気結界呪ウィンディ・シールド!!!!』

そう叫び自分の半径1mを強い風の結界を包む
イチョウたちが手を触れようとすると
結界が邪魔をする為
怖そうと離れていくのを見ながら呟いていると
突如結界が崩壊する


勢いよく出ると直線でツムルに当たりそうになり
引こうとしたがツムルの方が早く
メルに抱き着き身体の身動きを防ぐ


「っ!なんで!!攻撃する!!!」

『っどかないからだろうが!!
こっの馬鹿!!
霊縛符ラファス・シード

そう言った途端ツムルが意識を失いかける
それにイチョウたちがツムルを呼ぶが
そんなもの今構っている暇はない


『“翔封界レイ・ウイング”』

そう唱えて飛び出したメル

「ーすいません!此方イポス
標的と当たりましたが捕獲する前に
逃げられました!!はい、
図書館出て左突き当りです!!」


その声を聞いていないわけもない
メルは大きく舌打ちをした

『ちっ(まずいな、仕方がない)』


身体を作り出して攻撃する、
いっぺんに食らった三人を横目にメルは
下から上へと動き何とか前を進むことが出来た


右に曲がり、そのまま移動しようとしたが、
背後からツルが伸びて来たので思わずそれた


「あら、避けるとは驚きましたねぇふぃっ」

「スージー先生夜目で見えないんです?」

『えぇえ…嘘でしょ、貴方達までいんのぉ?』



そう会いたくなかった。
出来ればそのコンビで。
そう思ったメルの後ろに居たのは
スージー&ダリのコンビだ。




この二人が組むと大体ヤバい。





「当たり前じゃん。
何週間引きこもってたの?」


『っ!私退職届出しましたよねっ!!』


「え?これのこと?」


そう言ったダリの手には
メルが確かに届けた退職届




が、目の前で燃やされた




『あ゛あ゛あ゛あ゛』



もう笑うしかないんだけど
私はもう笑いながら
悲痛な叫びをあげた



だって!こっの!!!



『この悪魔!悪魔悪魔悪魔ああああ』


「だって悪魔だもん」


いやそんな可愛く言われたって、
退職届燃やしてまで拒否されてもなぁ


「退職したとしても、
どうしてここに戻ってきたのかな?」


『(あ、これ怒ってる奴だ)』



目を開けたその瞳の奥が揺れている。


別に攻撃を仕掛けに来たわけでは
ないのは分かっている筈だ。



だからと言ってこのままではいけない。



私は風を纏い、
刃を両手でXを描くように
手を上から下に振り下ろした
風が作られ、スージー先生の元に行くのに
ダリが驚き目を開けた

「んなっ!!」

『いまか!!』

ちょ!そう言ったダリの声を
私は聞かずに瞬間移動した

と言っても壁裏だが、
まだ視界に入っていないだけマシである。


ポケットに残っているのは
赤い薬と瞬間移動系の薬2つ。
かなり消耗した体力を緑の薬を
がりっと噛んで回復する。

いやぁ本当に取って来ていて正解だった。
少なすぎて困っているのだが、
ちょっと多めでよかったのに。
そうぼやきつつ、ひとまず外に出る。


まだこちら側に
気付いていないので
とりあえずこのまm



『っわああ!!』

「あーれ?外れましたよ?」

「おっかしいなぁ、
確かに外れない筈なのに」

『っ!!(やっば!!!)』


そう言った声に気付いてすぐにポケットから
瞬間移動系の薬を取り出そうとするが、
矢がかすれていたのか
ポケットが地面に落ちていた。


『あっ!!』


掴もうとするがすぐに弓矢が此方に向かってくる。
その間に金髪スーツ悪魔が此方に歩いてくる



『(考えて、お願い!!
何処だ何処に出る!!!)』



ぎゅっと目を閉じて静かにさせる。
煩い耳鳴りから誰かの声が聞こえた


ー手を取っていいんだよ、都佑。



『え?』


左、そう直感が言っている。
足が勝手に動いて
彼らの攻撃をするりとかわして走る



『…誰?どこ?』


走っても走っても
声の主には辿り着けない



まるでアリスだ。

不思議の国のアリス。

追いかけてずっと誰かに追われて。

走った先に待ち受けているのは
天国かそれとも地獄か。



「ー此方オリアス&ロビン。
メルちゃん見つけましたが
切り傷だけ負わせて逃走されました。
はい、はい中庭の方に誘導してます。」


「メル先輩、何で急に姿晦まして
また戻ってきたんだろう?」


「さぁ、ただ誰かを
追いかけているのは分かった。」



一体誰に?魅了されているだけか?
そう聞くオリアスの声はメルに届かず、
メルはそのまま走って
走ってただ前を向いていた



『っ!!…あ』




中庭に出て空が見える
空に飛ぼうとしたが、

体力が残り少ないことを考慮して
もう少し先で飛ぼうとしたその時


空に火炎とツルが覆いかぶさり視界を遮った
間に合わなかったか。そう感じた





「大人しく捕まってってば…
早いんだからほんと」


『…イフリートにストラス、
ムルムルやマルバスまでいるやん
…えぇ、ちょ待ってよ』


いやぁ悪魔勢揃いしかけてないですかね?



そう上空には
スージーとイフリートが。

目の前にはツムル先生や
マルバス先生が此方を見ていた

後方からは先程対峙した
ロビン先生とオリアス先生





「こんな人数相手に、
流石に敵対しないよねぇ?」





そう言ったダリ先生が
ロビンの隣に立った




『…っ、さぁ?どうだか?』




とは強気で言ったが、どうする。


薬は先程落としてしまった為に手持ちは0
体力は10としたら2位しか残っていない。



走っても飛んでもこの人数では
誰かに捕まるのは間違いないだろう。






考えろ、考えて…
そう目を閉じた先に声がした
黒髪の男性が此方に手を出した



ー今度こそ、手を


瞼の裏で見たものを目を開けて答えた



『…その手を取れば、僕は救われる?』



声に問いかけた。
目を閉じて
先程から聞こえている声に
ただ寂しさを募らせた



この感情が消え去ってくれるのなら、
もうどうだっていい。



嗚呼、こんな感情
知らなければ良かった。



貴方のことを、
こんな気持ちで見なければ良かった。





ー嗚呼、ソウダ





手を伸ばす空に両手を伸ばしてみる
僕は此処に居る、もう、大丈夫。
目を閉じて右に顔を傾けて

両手を伸ばすメルに、
イフリートが距離を詰めたが
すぐに何かにさえぎられて止まった



「んなっ!!」

「ーやっと、ツカマエタ」



メルの身体にそっと抱きしめ
黒髪の男性が現れた



ぽろぽろと涙が頬を伝って
男性の肩におちる



「っ!彼女から離れろ!!」

「嫌だね。この子が僕を望んだから、
僕は此方に迎えに来ただけだ。
本来だったらもう少し
追いかけてもらうべきなんだが、
…如何せんこうなれば
此方も手段は選ばない。」





そう睨んだ先はオリアスの方だった
目がギラギラと睨みつけるのに、
僕と言った者はにやりと口だけが笑っている


「大丈夫だよ、メル。
もう何も考えなくて良い。
君はもう楽になって良いんだから。」


ほんと?そう彼の首元に
腕を回した力が強まる

嗚呼と言われて少し肩の力を抜いた



この感情に終わりが見えるのなら、
それでいい。



「所詮こいつらもあの人と
同じだったということだ。
置いて行かれて、
一人で寂しかっただろう?」



『っ、そんな、ことっ』


「良いさ。さっさと
こいつらを始末して帰ろう」


『っ!!それは駄目っ!!!
僕は!僕はただっ!』



確認しに来ただけなのだ。
誰にも傷付いていないかどうか。




『…確認しに来ただけで、
誰も傷付けるつもりなんてない。』



「でも、こいつらだってあの人と同じだよ?
…君を置いて前を歩いてしまった悪魔達だ。」


『っ!!違う!!!
あの人と一緒じゃない!!
だって生きてる!!!』


「いいや違うね。
同じだ…生きていたら尚更、
おいて行ってはいけないのを
君は一番良く分かるじゃないか。」



そう触れるメルの頬に
メルは首を振った


駄目だ、腕を取り、
攻撃しないでという



『っいや!生きてれば…
笑ってくれさえすれば
それで、もうそれでいいのっ!!』


「…僕にたてつくということかい?」


そう彼の腕を払ってメルは
距離を取って横に両手を広げた




『私の大事な人達を攻撃するなら、
どんな人でも許さない!!!』


「例えそれが…君の心臓を
えぐる現実だとしても?」


『っ!!煩い!!!』


「…っふふ、はははははっ!!
ああ、ふっふふふ」


「何がおかしい!!」

「いやぁ、君は優し過ぎる
…あの人に似すぎて。」


『貴方は悪魔に似すぎてる。嫌い。』


「それさ、此処にいる全員を
貶してるって分かってる?」





違うもん!!そう言い切った
メルにあのねぇと彼はぼやいた


『私がこんなにも引きこもって力を付けたのは
何も貴方の器として手を取った訳じゃあないんだよ。』


「ほう?」


『私は皆を守れる位強くなりたかったから!!!
……こんな力を使えるようにした。』



ああごめんね。


そう言って前を向いて歩く
一歩出た瞬間オリアス達の周りに
円を描くように保護がかかる

出れなくなったのに、
叩いてメルの声を呼ぶ


『…悪夢の王の一欠けよ、
天空の戒めとき離れたし
凍れる黒き虚ろの刃よ!!!!』


力が手に入っていくのに
メルは顎を引いて前を向いて構えた




『我が力我が身となりて、
共に滅びの道を歩まん!!』



『神々の魂すらも打ち砕き !!!
神威斬ラグナ・ブレード”!!!!』

一直線で走りだし攻撃を繰り出す
それに受け止めた青年に
メルはしかめっ面で返した

「その程度か?ああ?」

『っ!まだだああああ!!!!』

「っ」



誰にも渡す訳がない。

この感情もこの匂いも全て、全て。

私が好きで居た証を、
消してしまえばそれこそ
本当の死であるのだから。




だからこれはお願い。


嗚呼どうか、
こんな時間にならなければ良かった。






出来るのであれば



時間が戻ってしまえば。




「っ!!ラティス!!!」

突如稲光が空から落ちて来た
避けようと身体を左に動かした途端
地面ではない感覚に衝撃が落ちる

『っきゃあああああああ』

「メルーーーっ!!!!」

落ちていく感覚、
嗚呼こんな世界があるというのか


まるでアリスだ。


いやアリスはウサギを追いかけて落ちたので

私はそのまま落っこちてしまっただけだ。














嗚呼、どうにでもなれ。
そう意識を手放す事にした。

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