「綺麗な花だねぇーなんの花?」
わなわなと震えるメルは叫びそうになっていた
『(ああああ桜だああああああああああ)』
大きな異界の桜を目にして、
私は今日の課題を急いで終わらせることにした。
今日は間違いなく入間君に聞かなければいけない。
あともうすぐでうちの同僚上司の生物学教師が
「メルちゃん!!
あの木の名前知ってる!?」
『知らないですよ!?』
「はい嘘!!!」
『んにゃああああ!!!』
いってらっしゃーいと手を振られるのを
眺めつつ、私は俵抱きされたまま出荷される。
いやー知らない訳ないじゃないですか。
知ってますよそりゃ。
見たことあるもん触ったことあるもん。
そう思いながら、放課後
バラム先生とスージー先生がいる植物園に出向いた。
正確にはバラム先生に軽く拉致られてきた。
今生徒は出払っていない。
「ふぃっ、この植物の名前をご存じなんですかっ!?」
『ええ、桜という植物です。』
「さく、ら?」
『ええ。桜です。
植物ってか本来木ですが』
「これくらいの大きさですか?」
『あ゛ーえ゛ーっと…少なくとも
これくらいではないですね。』
年齢5億歳ではないかなって
レベルの巨木な桜に逆に引いてしまった。
大きいとは思っていたが、
デカすぎる。規模がおかしい。
遠くから見てもデカいとは思っていたが、
近くに来ると、まぁ首が痛くなる位でかい。
どうやったら入間は咲かせたのだろうか?魔力無い筈なのに。
嗚呼そういえば指輪に理事長の力を蓄えさせたとか言ってたな。
「種類は!?」
『ええ、と私も詳しく知らないので、多分10…
いや大体桁外れだから100種類くらいあるんかな?』
「この桜はどんな名前ですか?」
『いいや流石にそれは…でも優れた教育とか
花言葉があるとか聞いたことはありますよ。』
そう言ったメルに、名前を付けて欲しいと言われたが、
如何せんソメイヨシノしか出てこないのだが、違うのは分かる。
というか桜の品種なんて私は担当外だ。
『(でも私を忘れないでって
花言葉も有名なことは確かだ)』
入間君がそう思っていないとしても、
きっと彼の中では春は桜、
綺麗な想い出が入っていたのだろう。
ふわりと肩に落ちてきた桜の花弁を手に取った
綺麗な薄ピンク色にも見えた桜に散る姿が儚いと思う。
『(私は忘れて欲しいと思うのに、きっと
何処かで忘れて欲しくないと思ってるのだろうな。)』
折角会えたのに、
全て忘れられたら悲しいだろう。
誰かが言った気がする。
…知らない。そんなの、知らないふりをする。
そうやって知らないふりを続けて続けて
…私は一体何処に行こうとするのだろうか?
「ではこれはこの範囲で…」
『あ、桜の花で押し花とか面白そうですね』
「ふぃっ良いですねぇーこのまま
お酒を飲むのも楽しめそうです。」
『夜桜ですね。良いですよー風流で。
あ、私は仕事に戻りますね。』
ではと言って挨拶してわかれ、元来た道を戻る。
歩く間に、ひょろりと影が浮かび上がる
「良いの?あんなに情報渡して」
『いーの。どうせ桜なんて
有名だから適当に言っても大丈夫。
それに一度は人間界渡航したから分かるし。』
「成る程ね。…ねぇ本当に、大丈夫なの?」
『何が?』
魔力それは精神をとがらせて放出する
どんな物にも具現化する素晴らしいもの
「貴方のこと。
皆貴方を狙っているかもしれないのに。」
『私はまだ大丈夫。
それよりも次明日の授業予行練習しよ!
ほら空き教室で勉強するよー!』
そう言ってルアを連れて
私は急いで仕事に戻る事にした。
きっと今は考えてはいけない。
暫く、ずっと。
ー**が迎えに来てくれたら、いいのに。
そう桜の下で寂しく
涙を流した少女のことなんて。
考えてはいけないのだ。
悲しい事は一つも無かった。
足りない事も一つも無かった。
幸せな小瓶の中で、
ずっと春が廻って居ればいい。
『(それならどれ程良かったか)』
セミの音が声が聞こえて、雑音が入る。
その音を聞いて、
少女が笑うなんてことは知らなくて良い。
+++++++++++++++++++++++++++
「へぇーこんなことあるんだ」
『なんのことですか?』
「嗚呼、メルちゃん!丁度良かった〜!
今日生徒が何人かお泊りで
バトラパーティー開くから、
教師の見回りをしたくてさ。」
あ、ヤな予感。
「オリアス先生が良ければ
二人で見回りしてくれない?」
『本音は?』
「その方が楽」
『分かりましたよ。
オリアス先生にも許可取ってるんでしょ?』
まだと言った彼を殴り飛ばしたかったが、
彼に一応許可は取って置いた方が良いだろう。
入間君がこの悪魔学校に来てから一か月もたたない日だ。
アブノーマルクラスに入った
彼の担任が使い魔というのは驚いたが、
まさか副担任が私というのも驚いた。
まぁ許可書を得た為にも、
カルエゴ先生に一度手渡しておこう。
と思っていたら急に前から本人来た。
しかもオリアス先生と一緒。
うっわラッキーじゃん。
あ、オリアス先生の癖ついてる?
いやだ。普通に。
『カルエゴ先生オリアス先生
ちょっとお話良いですか?』
「ん?その声はメルか」
「嗚呼、いいけど、どしたの?」
そう何かの話を遮って
申し訳ないと言いつつ、
本題に入る。
『カルエゴ先生アブノーマルクラスの
バトラ用お泊り申請書です。
あとこっちが手渡し忘れてたと言ってた分の申請です。』
「分かった」
『カルエゴ先生、オリアス先生とお話してました?』
「いや、まぁしてはいたが、どうした」
『ちょっとご相談あったのでまだでしたら
後で呼びに行こうと思いまして。』
「いや、もう話は終わった。
それじゃ俺はこれで」
そうぺこりと下げた顔に、
私はお疲れ様ですと言っておじぎをした。
ごめんなさい話を切ってしまいましたかね?
と言ったメルに
大丈夫丁度切りが良かったよと
フォローをオリアスが入れた。
「んで?俺に用事って何?」
『嗚呼、ダリ先生から急用で、
私とオリアス先生で今週の夜にある
バトラお泊りの見回りを抜擢されまして、
オリアス先生が良ければ
私申請出しておきますが、
予定空いてますか?』
「成る程、そう言う事か。
俺は別に構わないけど?
メルちゃんは大丈夫なの?」
『私も特に予定は入れてませんので、
ならダリ先生に申請出しておきますね。
仮眠室の申請もしておきますので、
一応その許可で判子欲しくて。』
嗚呼、それでかーと言って
オリアスが仮眠室を使用する書類に
丁度手元にあった判子を押した。
これでいいだろと言ったことに
メルはありがとうございましたと
お礼を言って席を外すことにした。
『では私はこれで』
「ああ、まって!」
そう足を止められて、
メルは驚きなんですか?と声を出す。
「此間の資料見せて貰った奴だけど、
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ミスあったから訂正しときな。」
『げっ!マジかぁ〜
二回は確認したのに〜』
「ふふっ、でもミス大分
減ったんじゃない?
この調子この調子!」
はぁいと言ってまた同じ道を走る
メルをオリアスは遠くで見つめてから
自分の仕事に戻る事にした。