そうして待って居なかったが、来てしまった今週末の夜。
オペラ先輩から寝間着と
簡易的な荷物を持たされていた為
荷物が多かったが、仕方がない。
夕方の放課後チャイムを聞きつつ
オリアスに声を掛けた
『オリアス先生、
仮眠室今から荷物持っていくんですが
一緒に行きますか?』
「ああ、いやもうちょい仕事進めてから行くから
先に行っといていいよ。あと鍵よろしく」
『了解です』
そう言って、私は足を進めた
職員室から出て、すぐに仮眠室はあるが、
仕事をする時は荷物をなるべく
まとめておくようにしていた。
そういや入間君達は元気だろうか?
一応入間君の宿泊も受け取っていたが、
様子を見に行くのもありだな。
図書館にバトラを見にいくのは
少々後回しにしておこう。
そう思いながら、私は足を進めた。
今日は一応図書館の奥にある資料をまた見る予定だ。
勿論、人間の資料を纏めている。
私だけの秘密の世界だ。
あの場所はぶっちゃけ
知っている人は限られている。
図書館のリーダーと、理事長の二人だけだ。
勿論図書館のリーダーには人間の生物学の為
軽い妄想を入っているのに呆れている悪魔ばかりで
私が本物だというのは知られていない。
良いね。
準備を進め終わったため、
私はそのまま時間が来るまで
先に荷物を置いて周回する事にした。
一応暗くなるまで書類を進めておきたいし、
丁度良いだろう。
「あ、メルおね、先生!!」
お?と思った声に私は反応して振り返った。
可愛らしい弟の入間君だ。
私達は兄弟として今は
もう学校中に知れ渡っている。
幸いなことに、
私の髪の毛が水色だったから
兄弟っぽさが強く出ている。
入間くん髪の毛青いからね。
綺麗で羨ましいよ。
そんな入間君が私の元に走ってきた
『どうしたの?入間君。
何かあった?』
「いや、メル先生に
見に来て欲しい所があって、」
首を傾げる私を連れて来たのは
生徒会の部屋で、アメリさんが居る所だった。
それにアメリが驚き入間!?
と言うのに、首を傾げる。
「あの、メル先生、少しお聞きしたい事が」
『んお?どうしたのアメリさん』
「貴方は、この文字が読めますか?」
そう言われて手渡されたのは漫画である。
そうあの日本の文化の漫画である。
漫画である。
…
『なんでこんなところに
あるんんんんんんんんん!?!?』
「メル先生!!!」
『なん!?』
「これ、読んで頂きたいんですが…」
嗚呼ー成る程。理解した。
入間君はお人好し過ぎて断る事が出来ず、
ついつい読めることを知ったアメリに
誘われて、夜遅くまで音読会をしているらしい。
だが一度のペースで
二回三回も同じ所を読ませるのは悪い。
あと単純に男と女の会話が聞きたい。
恐らくそこら辺の気持ちなんだろう。
それに勉強も頑張っている入間君や
学校では特に生徒会長にはお世話になっている。
ここで恩返しできるのであれば良いだろう。
『構いませんよ。
入間君と一緒に音読会しますよ。』
「っ!本当ですか!!」
『ええ、何ならちょっと気になった言葉があれば
私に聞いて下さい。意味なら
入間君よりも私が正確に言えるかも。
あ、毎週月曜日と木曜日にしましょう。
学校に行く楽しみになりそうですね。』
そう言ったメルに、
アメリが感謝を述べる。
いやいやこちらもありがたい。
久しぶりに日本語を読めるというものだ。
ちゃんとメモして、この資料を
自分の部屋で解読や勉強にしておきたいものだ。
「そういえば此間読めない文があったから、
そこお姉ちゃんに教えて欲しくて。」
『分かった調べ解くよ。
場所さえ教えてくれたら
分からなくてもこっちで
何とか解き明かす。』
「何から何まですいません…
私で良ければメル先生の力になります!」
『いや生徒会長には何時も世話になってますから…
それ以上はもらえませんよ。
今まで通りで構いません。』
おかげ様で楽になっているものだ。
生徒会が無ければ割と詰みなこともある。
とりあえずオリアス先生がいない今なら、
ある程度教えてもらって
そのまま資料を見比べに行くとしよう
と思ったメルは、
早速入間から幾つかその意味をメモし、
急いで部屋に戻ろうとした。
『私の携帯は流石に生徒に渡せないから、アメリさんは
申し訳ないけど入間君を伝って私に話しかけてくれる?』
「わかりました!」
そう心なしか朗らかなのは何故だろうか?
まぁいいか。
5つ程メモをした私はとりあえず部屋に戻ることにした。
入間君には後で
メモのスクショを渡すことにするし。
一応大丈夫だろう。
にしても漫画久しぶりに見たな。
今度私も軽く読ませてもらおう。
ルンルン気分で図書バトラに入り、
大丈夫そうなのを知り
そのまま部屋の奥に入る事にした。
『“開けゴマ”』
そう日本語で言った言葉に
誰も知る事は無い。
この言葉知ってたら
私は同士だと思う。
部屋の中は約15畳ほどの広さだ。
下はフローリングで、書類の棚と
ちゃんと隠し扉に書類を入れていた
L字型の机の前にある棚に置いている
赤い本を押し込むと隣にくぼみが出てくる
開くと中に辞書が数冊と幾つか得た
大事なものが飾られていた。
エメラルド色の小石を手にして、私は目を閉じる。
パチンと指を鳴らして、チェルーシルと言った。
髪の毛の色は淡い緑色に染まり、
身体は肌が見える様になる
半そでの白いワンピース姿に、
自分の心がぞくぞくする。
口元にエメラルド色の小石を
大事そうに寄せる
目を閉じて、祈りを捧げるように肩を上げた
ふわりと浮かび上がり、
このまま時間が止まってしまえば良いとさえ思った。
綺麗なエメラルド色は、光り輝く
今日も、その綺麗な色は、私を見せてくれる。
『…嗚呼、貴方に会えるように、私がんばるね。』
ふふっと笑って、私は写真に写った人を作り出す。
目は分からずに、黒いクレヨンでぐしゃぐしゃに
されているが、それ以外は綺麗な人だった。
黒髪の、一つに編んだ三つ編みの女性
声は出せないのに、
抱きしめられると嬉しくてただ顔がほころぶ。
『私はとっても幸福なんです。』
『今日もずっと楽しくて笑っていたし、昨日だって
皆でお祝いのパーティーを開いたばかりなの!』
貴方に報告をする。
それが毎週末の決まり。
『“悲しいことは何もないよ。
足りないものは何一つない。”』
手を両手に広げ、エメラルド色の小石を浮遊させた
これは私の
『“そうだ!また明日貴方を誘いたいの!
そうすればきっと楽しいパーティーになる!!”』
女性に向けてキラキラした顔で私は見た
貴方なら、きっと縦に首を振ってくれる。
そう思って言ったら、
予想通り、縦に首を振ってくれて
私は凄く嬉しくなって、ワクワクした。
『“私はずっと笑顔だったし、
朝の占いだって悪くなかった。”』
だから貴方に沢山の事を教えたい。
でもこんなおとぎ話はもうやめにしないといけない。
だってあなたは
『“だから今日も大丈夫!”』
触れそうになるその顔に、私は目をキラキラさせた
嗚呼、今度こそ貴方に触れられる。
何度だって間違えたのに、今日は出来る気がした。
『“良い一日になりますように”』
女性の身体には触れられなかった。
ー嗚呼、まだ、触れられないのか。
私の目は涙が溢れて、零れ落ちた時
ガタンと音がした。
その音に私は驚き身体をこわばらせた
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背伸びをした自分の骨がぽきぽきと鳴る
流石に待たせ過ぎたと思ったオリアスは一人
職員室を出て荷物を仮眠室に置いた
先に見回りに出ているのか、
もぬけの殻になっており
さて先に合流したいと思い
何処に行ったのか直感で
彼女の図書バトラに居ると判断した。
その判断は大当たり。
やはり先に図書バトラに来ていたらしい。
リーダーに聞くと、
今は用事で部屋から出ないとか。ん?部屋?
「あれ?安名先生
オリアス先生には
伝えてなかったんですか?」
「え?何の話?」
「安名先生、奥に部屋があって
其処に毎週入ってるんですよ。
大体10分位して出てくるので、
何もなければもう出てくる筈なんですが、
おかしいですね…もうかれこれ30分は経ってます。」
そう言ったリーダーに、
ひょっとして倒れているかもと思ったのか
流石にそれはまずいと思った
俺は鍵がかかっていることを知り
何をしたらいいかと問う
「えーと、この呪文を正確に言えば
開く筈なんですが、
僕達も歴代言っても全く反応しなくて」
そう言った紙切れに、
全く読めない文字が書かれているが
上にルビが振られているので何とか発音できそうだ。
だがルビの様に発音すると
一切扉は開かないと言ったのに対して
そうなればこっちの時間だとオリアスは告げた。
「君はもうバトラに帰りな。
俺は安名先生呼んでくるし、
後で何かあれば伝えるからさ。」
そう言って彼女をバトラに追い返し、
さて、と言って紙切れを見て呪文を唱えたが
全く反応しない。
そりゃそうだ。
何も使っていないのだから。
なら、これはどうだろうか?
扉を開け、
「“開けゴマ”」
家系魔術得意の運を呼び寄せて、
呪文を唱えると、まさかの大成功。
扉は開いて、部屋の中に入る事が出来た。
するとそこには水色の髪の毛の同僚は居なくて
その代わりに、淡い緑色の髪の毛の色をした
真っ白なワンピース姿の少女が
長い黒髪を三つ編みにした女性を
手で掴もうとして掴み切れずに
涙を流すただ、寂しそうに泣く女性が目にとまった。
「あれっ!?ちょ、」
驚いたのか黒髪の長い女性は消えて居なくなり、
淡い緑色の髪の毛の色で、髪の長さは少し長めだろうか?
背中程に伸びている髪の毛をふわふわと浮かばせながら
女性が浮遊して戸惑っている。
何語を話しているのか全く分からないが、
ちょっと家系魔術を使ってしまえば行けるか?
『“えぇ!?オリアス先生!?嘘なんで!?”』
あれ、何か俺の名前呼んでる?
「失礼ですが
何方ですか?
侵入者ですかね?」
そう警戒するオリアスに、
少し淡い緑髪の女性が首を大きく振って
違うと手を振りながら言う。
首をもげる勢いで横に振る姿に、どうやら違うらしい。
攻撃態勢を止める訳ではないが、
一応聞く耳はもっておこう。
『“あれ?って言うか言葉どうして分かるの!?え!?
って言うか何で開けゴマできてんの!?
「俺の家系魔術まで知ってるって
…あれ、待って?もしかして、
ひょっとして、メルちゃん!?」
『“んにゃ!?なななんで!?
オズ君、どうして僕の名前を!?
って言うか何で日本語!んにゃー!
も〜まってどうしようどうしようどうしよう〜!!”』
そう涙目のメル?がオリアスの前をウロウロする
浮遊しているので
オリアスの顔とほぼ同じ高さにいるものの
彼女の日本語という単語は理解できないし、
と言うか僕っ子だったの?
なんなら何故オリアス先生ではなくオズ君と
下の名前で呼んでいるのか理解が追い付かない。
「えーーーと、とりあえず、メルちゃん?かな?
椅子、座ろうか。」