Novel - Paola | Kerry

it's just you


落下地点の夢3

20/09/15
52




それから魔物が来れば対応を変えた。



鋼の様な身体を持つモノなら
口の中に雷撃破ディグ・ヴォルトをお見舞いしたし

外が柔らかいものならば、
蓮獄火炎陣ヴレイヴ・ハウル
マル焦げにしてみたり。



食べれるかどうかは
パッチテストを繰り返して
なるべく本にまとめていく。


恐らくこれが良い。


今後の勉強にもなるし、
何より生き延びろと言われているだけで
持ち出し禁止とは言われていないのだ。



ノートが半分位埋まった辺りでうーんと唸る
幾つかは知っていた薬草や動物だったが、
こうも沢山居ると
情報量が多すぎてまとめきれない。



殴り書きで申し訳ないが、
未来の僕に投げるしかない。
そう思い少々乱雑にあることを
書ききった僕はノートを
パタンそう音を立てて閉じた。



時刻は二日目の真夜中。
寝静まる世界にちょっと
頭が冴え切っているのだ。


このまま三日目に行っても構わないし、
さてどうするか…


どうせなら森消し去るような魔法使ってみる?
そう思ったが、後で問い詰められても嫌だし…
戦闘狂の悪魔が居たら見つかったら
それこそ終わりだろう。


そうポンポンラグナブレードを
振り回す訳にはいかない。


それに魔法使い見習いとしてもランクは多少上げたい。
あ、そういやまだランク3のままで止まってたな…
どうせだから4にしたらいいのでは?そう思うが
周りは恐らく8で記憶が止まっているだろうし
中々言いづらいものである。


あれ、ってかどうやって8まで上げたっけ?
確か卒業式終わった頃本当に8だったかなぁ…?
疑問に思いつつ、

メルはとりあえず2日目の昼間に作った
パンを片手に魔法円を枝で作って遊んでいた


にしてもこの世界では魔法がいくらでも使える。
…一応ログハウスの方で試し打ちはしている。


一通り使えるということに驚いてはいたが、
禁忌呪文は一応唱えていない。


一つだけ、とんでもなく恐ろしい呪文がある。
それはどんな強敵だろうと一瞬で消える呪文だ。
ただし、失敗すると世界が滅ぶ。



二択の究極な恐ろしい呪文がある。

失敗と言っても詠唱を間違えるとかではない。

詠唱を間違えても発動しないので
そこは大丈夫なのだが
詠唱を完璧に唱えて道を作っても
綺麗に繋がらなかった時が恐ろしい。


本来何故詠唱をするかというと、
何もない場所に道を作り通りを良くするためだ。


川が流れるように、
穴を真っすぐ掘ってあげると
その穴を伝って水は流れる。

そして長くなればなるほど川になり、
海へと繋がっていく。



魔法の詠唱は水の通り道と同じ位重要な
正確に確実に放てるようにするものなのだ。



無詠唱で行えるものは
比較的威力が少ないものであって

…コップ一杯の為に大きな穴を
掘っても意味がないだろう?

詠唱をガン無視するのは
時間の短縮もあるが

威力の加減を知って、
丁寧にしなくてもいいという
意味合いの方が強い。


そこら辺はミレイユよりも
オリアスから教わった体験談だ。

彼は本当に教えるのが上手い


…ぶっちゃけ最近バラム先生に
教えている時に
「なんかオリアス先生らしいね」
とまで言われてショックを受けている。



まぁ確かに教育係と話をしているんだから
多少なりとも似てくるとは思うよ?

…教育係どころか彼氏として
一時期活躍してくれていたしな。



『(会いたいのかな?)』




そう思ったら本当に会いたくなってくる。
まだ口に出してないだけマシかもしれない。
嗚呼、この話もやめておこう。



魔法を使えて威力も然程問題ない。
とりあえず使い魔としても
先にルアラを召喚しないとなぁ
そう思い、頭をぼりぼりとかいた。


+++++++++++++++++++++++++++




「うん。まさかあの三日間で
100体の魔獣を退治した上に
薬草やら地形のレポートまで
書いてくるとは…恐れ入ったよ。」


『ありがとうございます』


そう三日間の鍛えがまさか
筒抜けだったとは思わなかったが…


メルは少々驚きつつ、
自分で乱雑に書いていたノートを
ダリに渡してみて貰っていた。

ちなみに左右からオリアスとバラムが
ノートの中身をちらりと覗いてみている。
可愛いなおい。



「細かく書かれてるし何なら
薬草とか獣の皮とか貼ってて凄いね…」


『一応2冊目突入して笑うしかなかったんですけどね』


はは、そう空笑いするメルに、
また周りも苦笑いした


「それにしても魔術得意そうだったね?
聞いたことも無い言葉言ってた気がするけど」


『ああ家系魔術ですよ。
頭の中で思い描いた5元素を
手の中に作り出すことが可能です。』


まぁ嘘ではない。実際魔女は
空も飛んだりするが
あれは風を利用しているからであるし。


火・水・風・雷・土
その5つをランダムに使っているのだから。

…まぁ黒魔法白魔法を
放置しているがあれは却下だ。
まだ彼らに教えてはいけないだろう。


「へぇーそうなんだ!!手の中にねぇ…」

『小さいものからおおきなものまで』

「大きいのだとどれくらいの威力が出るの?」

『どっ』

どれ位と言われてもなぁーーーー???



そう言ってメルは顎に手を置いて
首どころか身体ごと横に向けた
んーそう唸るメルに、
聞いたバラムが撤回する。

「あっ!いい、いいよ!
そんな思いっきり出したことないんだね。」

『ええ、あ!んーいや…でも』

「何々?」

『町1つ消える位の威力は
ある奴も無かったり…?』



街の規模をどの程度と
とらえるかに寄るのだ。



うーん広さどれ位だろう
竜破斬ドラグ・スレイブ とか

きちんと詠唱して丁寧に作り出したら
半径50kmの穴作れるんじゃなかろうか?


そう言ったメルに
それは使わないでねと言われて
そりゃあ使わないわと思いつつ、
返事を一つで返した。


「明日ゆっくりしてくれて
構わないからねー疲れたでしょ」

『はは、まぁ…』


主に君達にバレないようにするのがな。
そう思いつつ、
僕はようやく休暇を手にする事ができる…!


女子寮に帰る為に簡易のシャワーを
使用することにした。

一応公共の場なので、
丁寧にお断りしたのだが

夜でもあるので人目を
気にしないでと言われて
お言葉に甘えることになった。



綺麗に泥を落として、
すぐに香水を振りかけた

濃度の濃い、
一応匂いが消えるようなものだ。


…そういや魔女見習いになってから香水無しで
生活できなくもない話を聞いてはいたが
とんでもない勢いで
バラム先生に止められたのは何故だろう?



まぁ使って居れば問題ないかそう思い、
メルは身体を綺麗にした後、
バスタオルで水を拭きとり香水を振りかけ
風呂を後にしたのだった。



+++++++++++++++++++++++++++


さっぱりしたーそう思いつつ、
荷物を纏める。


髪の毛はドライヤーの容量で
熱と風を利用して魔術を作り出す

魔法を使うのも良いのだが、
詠唱無しだと練り込みはちょっと怖い。

今は魔女という事が
知られていないから余計にだ。



さて、このまま出るのも
悪いので職員室に戻るか。



そう思い、廊下を歩いていると
背後から気配がした

嫌な殺気を感じて、
私は腕を少し横に広げ、
腰を低くして体制を整え振り返った。




『っ!!…あれ?貴方は』


「ごめんごめん!
警戒させちゃった!?」


そう出て来たのは
タバコを吸いながら此方に来た




額に二本大きな角を生やしている
イフリート・ジン・エイト先生だった。




『いえいえ、
お勤めご苦労様です。
イフリート先生』

「ありがとーって俺に言う事じゃないでしょ…
君こそお疲れ様だよね?」


そう言ってくれたイフリート先生に
メルはまぁと苦笑いして返した。

夜の時間帯なので恐らく学校内を
ウロウロして何かないか
探しているのだろう。

職員室に戻る所、
一度何かがあったのか、
忘れ物があったか…まぁ何でもいいが。


メルの方に寄ってきた
イフリートに笑い返したまま話を続ける


『イフリート先生は
職員室に戻られる予定で?』


「うん。あ、ごめん
煙草大丈夫?」



こっそり吸ってるけど

そう言って職員室では
あまり吸わないようにしてるんだよね。

笑うイフリート先生に
メルは別に構いませんよと答えた。




『タバコは昔吸っていた方と
一緒に生活を共にしていたので』

「それって…理事長?」

『…あ、いや…ないしょで』


理事長ではなかった。
そう言えばミレイユも
煙草を吸わない人だった


…何なら煙草撲滅しようと
企む位のアンチだったな。


私は其処までではないし、
寧ろ煙草の煙に落ち着きが出る。

一体誰の、

何処の記憶だろうか?

レイが吸っていたとは思えないし…



ー都佑、


名前を呼ばれた気がする。誰?
そう思っていると、
イフリート先生から
呼ばれたことに気付いた。
嗚呼、貴方だったのか。



『なんですか?』

「ああ、いや煙草好きなのかなって」


『あー…いやそこまで、吸わないですし。
まぁストレス発散は多く持っていて損ないですから。』


成る程ね。そう言った
イフリート先生に
メルは前を向いた



丁度職員室に入るところだった。


先に手を伸ばしてドアを開けようとしたが

片手煙草に回していた
イフリートがメルより先に
職員室のドアに手を伸ばし扉を開けた


どうぞ。先に入って。
そう片目で合図をしてくれたのに
ありがとうと礼を込めて
ぺこりとおじぎをして

職員室の中に入って行った



あーそういやまだロビン先生居ないんだったよな…
あれ前ロビン先生が来てから野菜中心になったって
言ってたけど、今どういう状況なんだろうか?


まさかカップ麵毎日とか…あり得るな。
いや私も良くやってしまうが…


帰宅寸前、晩御飯の事を考える時に
思いついてしまった。


唸りながら席に帰ったメルに、
何かあった?と
声を掛けてくれたのはオリアスだった。


『いや、今日の晩御飯何にしようかと…』


「なんだ〜何か悩みがあるかと思ってた」


『いやー流石に職員室入って
うだうだ考えながらはないですよー』



僕隠すし。


そう言ったメルは
席にある荷物をバックの中に仕舞う。

一応前からデスクは綺麗にする方
だったのですぐに帰宅できそうだ。



『すいませんお先に失礼しますー!』


「あ、メル先生待って!!」


そう言ったオリアスに、
メルが立ち止まる

後ろを振り返ると
指を指されていた方向に目を向ける


「私も一緒に帰ってよろしいかしら?ふいっ」


『ストラス先生!!』



そうふぃっと声を上げたのは
私の背丈に近い
ストラス・スージ先生だった。


半目の奥がお花で
可愛らしいなといつも和んでいる。


『はい!喜んで!!
それでは改めまして、
お先に失礼しますー!』


「はーいゆっくり休んでねー」



そう言ってメルは
手を振って出て行った
職員室では少しだけ会話が広がった


「…彼女かなりの素質ですね」


「ええ、あんな家系魔術は
少なくとも見たことがない。
ダリ先生」


「家系魔術の派生にしては
特定不可能…何者でしょうね?
一応理事長のお孫さん的な
位置らしいですが。」




養子と言っていたので
恐らく別から請け負ったものだろう。
魔法の威力は教職員でも困惑するものだった。



手から見た事も無い雷や土を操作する等、
一つなら分かるが5つも、
しかも全て効果が違うときたら恐ろしい。



「町1つ破壊できる位のもある
って言ってましたからね」

「使わせないようにはするけど、
いざとなったら覚悟しないとね。
オリアス先生、
彼女とは仲良くなりました?」



「一応…?いや、女性と会話はしますが、
彼女俺のこと避けるんですよね。」


そうううんと唸ったオリアスに
バラムが首を傾げた


「え?メル先生いつも
オリアス先生の後ろ
くっついて歩いてるのに?」



「会話での話ですよ。前にちょっと
突っ込んだ話をしたんですが
はぐらかされて以来
距離が維持されてて。」

「えー?ひょっとしてセクハラ?」


した!?そう顔を青ざめる
オリアスに、ダリは冗談と返した


「知識も経験も申し分なさそうだったね。
…まるでここではまだ使えないみたいな」


そう言ったのはバラムだった


三日間の映像を職員室で
そっと流してみていた

手から雷を作り出したり、
炎を練り出したりしている


「ええ…生徒に対して
恐怖感を感じていないですし
危害が及ぶ教師ではないのは
間違いないですが…」


「寂しそうに笑う子だよね。」


三日間全て取られているとは
思っていなかったのか

メルはちょこちょこ
素顔を表わしていた

何処かを見る様に、
ただ遠くの場所を恋焦がれるように…


眉をあげて、手を伸ばしてはそっと
諦めて首を横に振っている映像が流れる。

胸に手を置いて大丈夫と笑う表情は
今にも泣きそうで
何を思っているのかが判断付かなかった。


「カウンセラー…必要ですかね?」

「んんー多くなりそうだったらありかもね?
まぁ休日もあるし大丈夫でしょ。」


そう言ったダリに、
まぁと言ってオリアスは頷いた。


ハの字にして笑うメルの目には
一体誰が映っていたのだろうか?


その感情は、メルだけが知る事だった。

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