魔女は異質な存在だと赤本は告げていた。
だから異質を正そうとするのがおかしいことだと
私は知っているのにも関わらず、今日も力をつける。
音楽祭が終わった頃、試験も終わり
ドゥルジが無事満点を取ったというのもあって
都佑は魔女としても力を付けていた為
何かあげれないかと思い、ふとタリスマンを思いついた。
きっと自分に出会った以上、何かしら起きる可能性がある。
そうなら急ぎで作ろうーと思って鍋の前で10冊程ばらまいて唸る
コンドラの根に、ドレイクの羽根を入れて…そうぶつぶつ言いながら
赤本に書いてあった通りに呪文を唱えると鍋が光り、
そこに一つきらりと光る物が見えた
早速と思い、メルは作り上げたものを革紐で吊るし
三年生に上がるドゥルジに渡す事にした。
「これは?」
『私が知っている家系の一応全てを
洗いざらい探し出して作ったお手製のお守り』
そう職員室で渡したものの説明に居た教員がざわついた
『恐らくこれから外の世界に行くと死ぬ事なんてザラにあると思う。
これはね、悪い悪魔を弾き飛ばす効果が込められている。
君に対して殺そうと思ったら、大抵の悪魔は消し飛ぶから大丈夫!』
「えぇ…それって恐ろしいやつじゃないですか!!!」
『大丈夫!ケト程度だったら生き残るから〜!』
「けけけけけけ」
『…冗談だって、並大抵の悪魔は混乱すると思う。
でもこれは受け取って欲しいな。』
そう言って笑ったメルは真面目な顔になると
ドゥルジが引きつられる
『君の能力はとても素晴らしい。
悪い悪魔に魅了されたら恐らく一発アウトだ。
良い?もしこのタリスマンの中に印が浮き上がれば
即私の名前を叫んで思いっきり叫びなさい。』
何処に行ったって、私が飛び出せるように作っている。
そう言ったメルにドゥルジが頷いた
「そんな悪魔居るんですか?」
『…ちょっと怪しい奴を知っていてね。
私のことで君が狙われるのは嫌だからさ。』
知り合いだからと言っても敵である。
恐らく魔女もメルの心を破壊しに
またこの世界に乗り込んでくる。
そうなった時ドゥルジも無事ではいられないだろう。
『一応強すぎる相手には私が直接行ける様にしてる。
基本的に浮かんだら魔術を使って
とにかく光が消えない位逃げること。いいね?』
もしもの時に叫んで。そう言った言葉に
ドゥルジがはい!と声を上げた。
三年生から半分だけ課外授業が入っている。
彼女の力は途中から他の教師も見るものがあるらしい。
ランクも3ギメルでとんとん拍子だ。
きっとこの子は、強く生きれる。だが一応念のためだ。
タリスマンがどれ程の効果を生むかは正直分からない。
だが、何かがあってからでは遅い。
念のため、何もないだけの綺麗なお守りとして生きていればいい。
『嗚呼、言っとくけど悪魔が消えても自分のせいにしないこと
基本的に消えたり消えかけたりするのは
元祖返りした奴らに対して効果がある。
結局は自分の身は自分で守るんだ。いいね?』
「はい!!」
よーし!ならば帰るぞおおお!!!連休だああああ!!!!
そう言って笑うメルに肩にポンと手が乗る。
居残りねとオリアスにメルはドバっと涙を流したのだった
+++++++++++++++++++++++++++
『出来ましたー』
「おつかれー」
『だーー疲れたああああ』
「にしてもメル先生何渡してたの?
アレ滅茶苦茶高価なものじゃない?」
生徒に渡しちゃって大丈夫?と
ダリが言ったのにメルは良いですよと返した
『実際私が作ったので間違いはありませんし。
アレは未完成ですから、
一度だけ効果が発揮できればいいです。
中身は確かにレアなものを詰めていますが、
彼女の努力からすれば充分です。』
何せ2年生の半ばから3年生に上がるのに
2つもランクが上がっているのだから。
努力家の優しい子なのだこれ位丁寧にしてもかまわないだろう。
「それに知り合いって何?悪い奴知ってるの?」
『…一部ね。うちの家系の能力が余りにも完璧で
その知識や技術は他人に受け継げることが可能なんですよ。』
「…え?」
そう目を開いて固まったダリにメルは続ける
『それを狙う輩が居まして、
ドゥルジもターゲットに入る可能性が非常に高い。
私の教え子というだけなので、継承させるつもりはない。』
だが、狙ってくる奴らはメルの教えた知識を
きっと欲しがるだろう。
それでドゥルジが巻き込まれたら
たまったもんじゃないのは確かにそうだ。
『だから三年生の外に出るまでに渡そうと思っていたんですよ。
満点取ったら渡そうと思っていたんですが
…まさかこの年末に満点取るとは思いませんでしたよ。』
「魔歴も空想生物学も取ってる教科全部満点だったもんねー」
『あいつホントやりやがったよ…』
そうため息を吐いたメルに、
良く教師やれてるじゃんとダリが答える
「来年からは担当教科持っても大丈夫そうだね」
『…良してくださいよ、あんなの大量に渡したくないですって』
「負けない程に鍛えてあげればいいじゃない」
『あーその手があったかーーー来年ソレでいきますか。』
死なねぇかなぁそう思いつつ、
メルは渡していたタリスマンを思い浮かばせた
実は教えたのはあれだけではないのだ。
もう一つ大事な効果が残っていた
『(私も貴方と同じように願ったのね)』
私が死んだ時、貴方に全てを渡そうと思った。
似たような名前に、表情に環境に全てが似ている。
きっと継承する時あなたは泣いてどうしてと言ってくれるだろう。
それを想像するだけで嬉しくて笑ってしまう
私が死んだ時、継承者は彼女に渡そう。
そう思えたから、渡したのだ。
だが、それは人間だったら渡せたもの。
所詮その願いはかなう事にはならない。
彼女が…人間であれば、話は別だが。
まぁ、そうそうこの学校にポンポン人間が
紛れ込めるわけもないだろう。
…私が言うのもおかしい話だが。
どこぞの青髪の少年を思い出す。
………いやいやいやないない。
「冬はどうするの?」
『私は帰省しようかと思っています。』
「じゃあそれまでにお祝いしない?」
『何のですか』
「今年終わりましたって!!」
忘年会ですね。分かりました。
そうため息を吐いてメルは仕方がないと承諾した。
オリアス先生もおいでーと言われて、
迷った挙句彼もついて行くことになった。
あれ、確かお酒は飲めなかった筈じゃ…
まぁ良いか。どうせ私も飲まないし。
そう思いつつ、ダリの返事に今からという現実に驚くのは
5分後スージー先生が帰ってきてからである。
+++++++++++++++++++++++++++
「それでは、かんぱいー!!」
その掛け声に、私は乾杯を唱えた
「いやぁーメルちゃんのこれからの成長楽しみだよ〜!」
『えぇー期待しないで下さいよ。』
「いやするでしょ…何せ赤点の子が
満点取れる様になったし何ならランクも2アップ。
一人だけ教えていてもすぐに伸びませんって。」
どんな教え方したんですかーと絡まれるのに
メルは何もしていないと言った。
事実何にもしていないのだ。
ただ、疑問を解消させていっただけだ
それだけで他の教科の成績が一気に上がっただけだ。
単純に彼女のこんがらがった紐をほどいたに過ぎない。
「いやいや、謙遜し過ぎだって〜
彼女にお守り上げる位可愛がってるくせにー」
『そ、それは心配だからです!…彼女最近は仲良い子
出来ていますがいつ壊れるか分かりませんから。』
いじめられた経験は尾を引くものだ。
メルは知っていた経験上のことも考慮した上でネックレスを渡した。
小さなものだから、高価な物として扱われても困る。
まぁレアな素材が消えたので、
ひと狩り行かなければならないのが問題ではあるが。
それも一人で行けばまぁ今なら楽勝だろう。
そう言ってなんの素材入れたの?と
興味本位にバラムに聞かれたので答える。
『えっと、確かコンドラの根と、
ドレイクの羽根に…あーヴィーヴルの鱗と』
それにバラムが手に取っていたスプーンが
手から滑り落ちて机に落ちる
オリアスが斜め前から聞いていたのか
固まってこっちを見て汗を噴き出しているし
ダリは目を開いて口を開けていた…あれ?
『あれ?僕なんか恐ろしいこと言いました?』
「待って待って待って待って待って待って」
「コンドラ、コンドラって、あの伝説のコンドラ!?
ちょヴィーヴルってもうかれこれ500年は地上に降り立ってないのに!?」
『わはーーー超貴重だったんだあれーーー』
ミレイユがというよりかはルアラが怒りそうだ。
まぁミレイユは好きに使えと言っていたし
生息場所も本に載っている為移動も楽である。
「え?ちょっと待って?もしかして、
一人で取りに行くとか考えてないよね?」
そう言ったダリにメルはうんと頷いた
それにダリが両手を置いてやめとけと言った
「いや、無理無理無理無理無理。無理だってやめとけ」
『い、いやそんな…えぇ?』
本に書いていた通りにすれば楽勝なはずだ。
今の実力であれば、何ならちょっと火力強めの
多分焦げる…あ、焦がしたら駄目だったんだった。一匹流石に削ぐのはなぁー
病気で死んだ死体であれば鱗綺麗にはぎ取れるのだが…
「いやどれもこれも貴重過ぎる奴だよ?
ってか寧ろどうやって手に入れて保管してたの?
普通だとコンドラの根は一日で腐るよ?」
『え゛っ!?嘘でしょ!?』
そうか、魔法で時間停止をかけていた瓶に入れていたからだ!
保管の瓶を作成する仕事もあったが、
そう言えば確かに入れていたのにあったな。書いてあったな。
『多分保管が良かったからであって…まぁさくっといけば』
「だから死にに行くなって早まるんじゃあない」
「待って飲み会無かったらどうしてたの?」
『明日狩りに行くつもりで今日立つ予定で』
そう言ったメルに、ダリが手を顔にあて隠しつつ
「誘っておいて本当に良かったぁー」
と心の底から言っているのに
其処までかとメルは疑心になった
いや別にアレ程度なら…そう思ったが
そう言えばメルはかなりダリ達に
魔法を使っている所を見せてない。
強いて言えば森に入った特訓的なあの三日間位だろう。
アレもかなり抑えていたので、
実際使っていたのは3位の威力だ。
今は体力もかなりついて来たし、
筋肉もそこそこあって
ちょっとか弱い女子からちょっと強め女子に
変化した位だと思っていただけだったが。
その判定が町1つ消せるとかの規模で
考えていたのが間違いだったのだ。
「もし!!もし行くっていうんだったら、何人か絶対連れてって!!!」
『(あちゃーこりゃ参ったなぁ)』
一人で行かないと多分魔法は使えないだろう。
禁止するんだったら確かに出来ないので、そりゃあ無理だ。
参ったなぁと思いつつ、明日の予定が少しずれることになった。
「でも何処にあるとかどれ位欲しいとか知ってるの?」
『はい。一応使った分と、+で作りたい物を考えると多めに欲しくて。』
「…ちなみに量は?」
『あー根っこ系は3kg欲しいですし、羽根だとまぁ300枚。
鱗になったら最悪一枚でも良いですが
欲を言えば1000枚程欲しいとは思っていまして
ってあれ?…どうしました?』
「ねぇ二日酔いかな?頭痛いんだけど」
「まだ早いですよ。」
そう笑えないバラムにダリが軽く泣いて頭を抱えていた
ひとまず男性寮から何人か連れて行くから絶対先に行くな!!
スージー先生メルちゃん監視してて!!
そう言って帰ったダリにメルは苦笑いするしかなかった
「にしても明日から面白そうな所に行くんですねぇーふぃっ
私も参加しても構いませんか?」
『構いませんよ!どうせ植物系のノートを取るつもりでしたんで
スージー先生がいらっしゃれば心強いです!!
…あーでも時間大丈夫かな?』
「ふふっ、では私も準備しますねぇ。何日位行く予定ですか?」
『二週間位籠る予定なんですよねぇ』
「…最初の三日程お付き合い出来ますよ」
『そうした方が良いですよ。
途中で帰りたくなったらいつでも言って下さい。
飛ばしますので。』
瞬間移動系の薬を多めに持って行こうと思った。
そんな中、スージー先生は笑って
ではまた明日と言って部屋に戻って行った
全く、こうなるんだったら言わなければ良かったなぁと思いつつも
実は明日の冒険が楽しみになっていた。
悪魔がかなり来るのを見通して、一部保管していた種を
冒険用のリュックに入れておこう。
後は、服装は適当に身体が見えないようにってこれ何時もと同じだなぁ
そう思いつつ、メルは明日が待ち遠しいと思いつつ、ゆっくり寝ることにした。