Novel - Paola | Kerry

it's just you


神様の遊び道2

20/09/15
63

剣を振るう、休日は剣と魔法の特訓。
平日は勉学にとにかくいそしむことになった。
と言うのも教科も持った以上生徒の希望はある程度請け負う
テストを考えつつも、クラスの子の面倒を見る。
相変わらずバラム先生の授業は人が少ないのが悲しい限りだ。

彼の話はとても面白いというのに。

そんなある日、休日何してるんですか?とツムル先生に言われて答えた


『私?私最近剣と魔術の特訓しかしてないなぁ…』

「え?家帰ってからですか?」

『ああ平日は座学して祝日と休日は基本的に特訓かな。』

「へぇ、剣の特訓。手合わせ願っても構いませんか?」

『ええその代わり本気で来てくださいね?
嗚呼なんならツムル先生もやります?』

昼休み、ごはんの消化と行きましょうよ!
そう言って急遽メルは中庭で対戦する事になった
そこにダリやスージーの姿も見えるのにメルは苦笑いする

「良いんですか?本気で行っても。」

『そうしないと、後悔すると思いますよ?
あと言っておきますが、私こうやって
相手してもらうの久しぶりなんです、よっ!』

だから、今ワクワクしててね!!そう言って攻撃を仕掛けた
左から右に払った剣にイチョウが目を丸くしたまま驚いていた。
そこそこ強めに攻撃を打ったからだ

気付いたイチョウが確かに、と笑ってメルの方に詰める
メルは剣を構えて攻撃を受けた。
ギチギチと刃が触れる音がして
メルはにやりと笑ったまま左に受け流し身体を転がして距離を取る

「来ないなら、こっちから行きますよ!!」

『どうぞっ!!』

左、右、左、右、下からの上!!
そう彼からの攻撃を両手を使って受け止める
振り払った攻撃に仕掛けるがすぐに受け止められるので
中々思い切った攻撃が出来ない

『っ、(体力を消耗するだけになる)』

だからと言って先輩が負けるのも嫌だなぁそう思い
右手で剣を持ち腰を低く体制を整えた
目を閉じて、集中力を高める。

世界が滲むように広がっていくのを感じる。
久しぶりにこの感覚を味わうことだ。
走ってくるイチョウの横ギリギリで交わす

驚いているのが見える。嗚呼…面白い

メルは前に走り右手だけで攻撃を繰り返した
重みが違う様で、焦っているのが見える
言っておくが、今も尚私は目を閉じたまま、攻撃をしている。

少々離れたと思えば突撃するメルに周りがざわつき始めている

下から上に飛ばしてはメルが生徒の近くまで飛ばされ
またメルが走り距離を詰めての繰り返しが続く


『どうしたあ?まだまだできるけど、息切れてきてないかなぁ!?』

目を閉じたって世界は同じだ。身体を動かして切るだけ。
世界は同時に平行に動いているのだ。
私はもっと先の相手ときっと戦わなければいけない。
これ位で弱音を吐いては女が廃る。

走り出して横に受け流しては背後を切ろうとするのを受け止められる
そのまま距離を取って詰めては攻撃を繰り返していた時
一瞬だけ、時間が少し止まった感覚があった。

目を開けてその場を見る。
そこには、刀を振り下ろそうとしていた自分が見えた
アレは倒さないといけない。

そう感じて勢いに任せて下から上に剣をスンで止めた


「勝負あり!メル先生の勝ち〜」

はぁはぁと汗をかくイチョウ
顎の下にはメルの剣が待ち構えていた
見えたあの子は、何処にも居なくて

メルは気のせいかと考え、剣を降ろした。

「完敗です…メル先輩凄いですよ!
男に負けない程の剣が使えるなんて!誰に習ったんですか?」

『え゛…ど、独学』

え?そう言ったのはイチョウだけではなく
何故か審判をしていたダリもだった
目を丸くして二人して叫んだ。

ちなみに勿論この後新聞記事に載ったのった。



「独学ってマジですか?」

『ええ、ゲームしてたら戦うじゃん?
拳に剣に、動きを見様見真似で合わせてたら出来たよ?』

「…ある意味才能ですよそれ」

そうかなぁと悩むメルにイチョウは強く頷いた。
寧ろゲームをして其処まで磨けているのなら
伸びしろが充分あるということだ。

「にしてもまた何で剣を使おうと?」

『いやー護身用』

「とぼけないで下さい。誰がアレで護身用ですか。
貴方軽く男悪魔5人位吹っ飛ばせる力あるの知ってます?」

おっと前にも似たようなこと誰かに言われたなぁー。
そう思いつつ、メルは苦笑いして答える。

『はは、冗談って…ちょっと倒したい奴が居てね?
そいつに負けないで勝つ為にも一応剣も磨いているんだよ。』

「負けないでってそんな強いんですか?」

『うん。上位互換じゃないかな…でも、負けるつもりはない。』

ふと会った彼を思い出す。ただ此方を寂しそうに可哀想に見ていた彼。
それに腹が立った自分が居て、大事な人である筈なのに剣を向けた。
私が手を掴まなかったから、彼が悪い方向に向くのか。

そんなことがあってたまるか。
天秤にかけられているのだろう。
オリアスかレイかどちらかを選べという選択肢に
きっと私は選ぶ時が来るだろう。

その時、私はどちらを選ぶのだろうか。


…皆は、どちらを選ばせるのだろうか。


「メル先輩?」

『ううん、何でもない。ごめんね!
付き合ってもらって、楽しかった。』

「あいえ!僕の方こそすいません。
実はもっとか弱いのかなって思ってて
予想以上に食いかかったのに驚いてました。」

『手抜くなって言ったでしょ?』

「ええ、次やる時はまた教えて下さい。
俺で良ければ相手するんで。」

『じゃあちょっと緊張感持ちたい時にお願いしようかな。』

そう笑って返した。
チャイムが鳴ったのでこれでと
メルは手を振ってイチョウと分かれることになった。

+++++++++++++++++++++++++++

メル先輩と一緒に手合わせした。
最初は「え?こんな細くて小さくてか弱い子が?」
と思って、半信半疑で適当に合わせて終わろうと思っていた。

なのに

「っ!(はっやい!!)」

急に入ってきた攻撃が余りにも早く、そして重い一撃で怯んでしまった。

あれぇ?と首どころか身体ごと横に曲げるメル先輩に
俺はにやりと笑ってしまった。
嗚呼、この悪魔は本気なんだと。

攻撃を仕掛けて怯まないメル先輩
強めにうっている剣の音が心地よい程にリズムを立てて攻める
後ろに下がっていてばかりでは駄目じゃないかな!

そう思い、勢いよく振ると上から攻撃を仕掛けてきたので
かかったと思った。すぐに上に押し上げて飛んで倒れるかと思ったが
着地が上手くて「おお…」と唸ってしまった。

そこから目を閉じて急に走ってきたのに
何も感じていないだろうと思って切ったのに
スレスレで交わされて誰も聞こえない位小さな声で言ってきた


ーまだ、これ位じゃないでしょう?

それに流石の俺でも苛立ち、つい強めに攻撃を繰り出す
我ながら大人げないと思ったが、彼女からの意思だと受け取る。

目を閉じてからの攻撃速度が先程のスピードや無駄が消える
片手で攻撃を仕掛けてくるのに、重みが違う。
手加減していたのか、腕慣らしをしていたのか分からないが
間違いなくこの悪魔は相手してはいけないと感じる。

目を開けて、本気で戦ったら敵うかどうか分からない。
作戦と言っても全く考えて居なさそうで意外と
精神的に詰めていくようにも見えた。

そんな中、三回位だろうか、勢いよく上に上げてから
降り立った後、メル先輩の目がギロリと此方を見た
怒っている?何に?誰に?

勢いよく手を伸ばすために腕が大きめに引かれる
嗚呼これは避けれねぇなと思ったその時。


ーやめ!勝者メル先生ー!

そんなダリ先生の声に、ホッとした。
顎を降ろしたら痛みが入り、
本当に寸前で止められていたのが分かった。

あの勢いで止められていなかったら
今どうなっていたかなんて考えたくない。


『いやー強かった〜』

いやいやいやいやいやいやいや??????
あんたの方が強かったんですけど???
この悪魔何を言っているのだろう?

そう笑ってはぁはぁと息を肩でする彼女に手を伸ばした
完敗です。そう両手を上げた後に腰掛けていた彼女が
自分の差し出した手を掴んで起き上がった。

「メル先輩完敗ですよ…にしても
男に負けない程の剣が使えるなんて!誰に習ったんですか?」

そう自分が軽く息を吐きながら聞いてみると
メル先輩はびくりと身体を跳ねらせた後
ゆっくりと此方を顔を向いて言う。


『え?ど…独学???』





先輩。目。目合ってません。


目を見てから言って下さい。


嘘ではないのは確かだ…
聞かれて答えて大丈夫かな?

と言いたそうに、
悪い事をした子供が答える様な仕草に
いや、正確には答えた内容に対して、
審判のダリ先生と叫んだ。


「「ええええええええ!?!?」」


「独学ってマジですか?」

『ええ、ゲームしてたら戦うじゃん?
拳に剣に、動きを見様見真似で合わせてたら出来たよ?』

「…ある意味才能ですよそれ」

そう首を傾げて言うメル先輩に、
俺はもう何も言うまいと思った。
いや、ゲームの動きを見て見様見真似で使う動きではない。

間違いなく誰かに教えられたような動きだったが…

余り知っている悪魔ではないが
先輩が嘘を付くような悪魔でないことは確かな気がした。
いやいやいや、だからと言ってもそんなことあり得るのか?

唸りふと思いついたことを問いかけた俺に、
メル先輩が慌てて答える

「にしてもまた何で剣を使おうと?」

『いやー護身用』

「とぼけないで下さい。誰がアレで護身用ですか。
貴方軽く男悪魔5人位吹っ飛ばせる力あるの知ってます?」

本当にいい加減にしろよ。
男悪魔5人位吹っ飛ばせる威力の護身用が何処にあるというのか。

いや先程打ち込んだのがそうだろうが
幾ら何でも、幼い頃からやってる感じの立ち位置だったし勢いだった。

…念のため何時からやってるのかと聞いたら
かれこれ1年位やっているとのこと
…いや頭が痛くなってきた。

『はは、冗談って…ちょっと倒したい奴が居てね?
そいつに負けないで勝つ為にも一応剣も磨いているんだよ。』

そう言ったメル先輩に、冗談?本当に?と思ったが
その後に言われたことに妙に気になった。
何だ?こんな女性が倒したくなる悪魔って…何者だ?


「負けないでってそんな強いんですか?」

『うん。上位互換じゃないかな…でも、負けるつもりはない。』

そう言い切った彼女の目は、ただ遠くの誰かを見ているようだった。
澄み切った水色のその目の奥は、一体誰を見ているのだろうか?

「メル先輩?」


まるで、お留守番をしている幼子の様な
寂しそうな顔に名前を呼んだ。

名前を呼ぶと、ふと我に返ったように
彼女は此方を向いて笑って返す。
貴方は一体誰を倒したいのですか?

そんな顔をする位の、相手とは一体誰なのですか?
それを、倒した後…貴方は、どうするのですか?


『ううん、何でもない。ごめんね!
付き合ってもらって、楽しかった。』

「あいえ!僕の方こそすいません。
実はもっとか弱いのかなって思ってて
予想以上に食いかかったのに驚いてました。」

『手抜くなって言ったでしょ?』

そう言った彼女に、俺は自分の後ろ頭をガシガシとかいた
全くだ。数十分前の自分に言い聞かせてやりたいものだ。

ーこの悪魔は、恐ろしい  ーと。


「ええ、次やる時はまた教えて下さい。
俺で良ければ相手するんで。」

『じゃあちょっと緊張感持ちたい時にお願いしようかな。』

そう言って腕を上に身体をめいいっぱい伸ばした後
先程の目とは戦いとはかけ離れたかのように
何処にでも良そうな女悪魔の笑顔で
廊下を走って何処かに向かってしまった。


…貴方がもし、倒したい悪魔が居て、俺でも力になれるのなら。
俺は貴方を守って倒して見せたいです。
それ位強くないと、生徒だって守れないでしょう?

どうか、貴方が俺に見せた笑顔みたいに、
ずっと笑って居てくれることを願います。
ひとまず、次の終末誘ってみようかな。


「あ、聞くの忘れてた」

彼女に戦術の経験があるのだろうかと。
だがもう時すでに遅し。もう居ない。
ため息を吐いて、また後で聞いてみようとぼやき
自身も次の教室に向かう事にした。

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