ーあー!メル先輩膝枕してる!!
ーしーメルちゃん今眠ってるから。
そう微睡む中、メルは目を少し開ける
頭に触れる温もりが手だと直で分かる。
あたたかい、優しい大きな手。
嗚呼、これは夢なのだ。
ーふふ、良く眠ってそうですね。どうされたんですか?
ー先程倒れているの見つけて、
自分の部屋に連れて行く訳もいけませんし、
このままお迎え待ちなんですよ。
何時倒れたんだろう。そう思いつつ、ゆっくりと身体を起こす
嗚呼、オズだ。会いたかった。
起きた?そう言ったオリアスの身体にそっと抱き着いた
嗚呼会いたかった…ずっと、ずっと
『あい、あいたかっ、た…』
ごめんね、あの時手を伸ばせなくて。取れなくて。
そう泣きだした私にオロオロとオリアスが慌てる
『おじゅ、ごめんね…皆、守れなくて、僕…』
『オズ僕ね、今過去に行ってるのです
ダリ先生だらしないしツムル先生カワイイし、イチョウ先生強いし。
オズにもまた会ったんです。』
『オズとってもかっこよくて、
頼りになって好きになっちゃいそうでこまるです。
…何度だって忘れたって僕好きになっても、
でもこの気持ち、伝えないんですよ。』
『オズのように泣きそうな世界を見たくないから。』
『今隠れて魔法強くしてるの、です
きっと倍以上の効果で帰れ…るよ、
ねぇ…帰りたい、ねぇ、オズ?どこ…?』
「ーここだよ」
そう言ったオズに、
僕は嬉しくなって抱きしめていた手を離して前を向いた。
嗚呼、優しい顔をした…前から見ているオズが居る。
本当に、夢の中じゃなければいいのに。
『おじゅ?オズなの?』
「ああ」
『僕ね、あのね…言えてないの』
そう額をくっつけて話す。
嗚呼、心地いい気持ちに、きっと印も和らいでいる。
「どうして俺に言わないの?」
『きっと、貴方は僕をまた守ってくれるから。
貴方があの時みたいに庇うの嫌だから。
だから今のオズには好意を見せないようにしてる。』
手を出したあの瞬間。
貴方が攻撃を仕掛けたり、守ってくれたあの時間。
笑って手を取ってくれた貴方が、私は好きで。
私が帰るべきは、この世界ではない
貴方が居る世界に、帰りたい。
「…見せたらいいのに」
『嫌だよ、嗚呼温かいなぁ…夢なのに、幻なのに
このままずっと此処に居たい。ロビーにも会いたいし
弟にも会いたいし…嗚呼、元気してる?』
「ああ、皆元気だよ」
『そっか!…嗚呼、会えた…オズ、僕この世界は、守るです。』
貴方に守られた。皆に守られたから。
だから僕は、僕は傷付かないように距離を置いておく
そうしたらきっと貴方達を攻撃しない。
ね?良い戦法じゃない?
『温かい…戻らなきゃ、…戻りたくない。
此処しかない、此処に、いたいの…オズ、オズワール。』
涙が止まらない。ぽろぽろと零れ落ちていく
『現実で、触れれないから。嗚呼、
優しい夢だなぁ。ダリ先生やツムル先生までいてさ』
「ーっ、!!」
『僕、幸せ、です…もっと、がんば、んなきゃ…』
そしたら、貴方達の元に帰れるかな?
落ちる前の世界に。
愛してくれた、貴方の場所に。
このまま居たい位だ。
でも夢は醒めてしまう。
現実にいつも取り残される。
『オズ、僕また…会いたい、です。守る、です』
だけど貴方は私のことをどうか放置して。
今とても良い感じなんだ。
『貴方を、もう…傷つけたく、ない…から』
嗚呼眠い、夢の更に夢に入る。
すやり眠るメルに、
オリアスがぎゅっとメルを抱きしめる
「…お前は、俺を俺達を何処かで_」
ガチャンと音がする
+++++++++++++++++++++++++++
「あー!メル先輩膝枕してる!!」
そう言ったのはツムル先生だ。
「しーメルちゃん今眠ってるから。」
そう言って俺はツムル先生に静かにしてもらうように指示をだす。
「ふふ、良く眠ってそうですね。どうされたんですか?」
「先程倒れているの見つけて、
自分の部屋に連れて行く訳もいけませんし、
このままお迎え待ちなんですよ。」
倒れたメルを見つけて、
オリアスは驚いて抱きしめたまま
寮のロビーに腰を降ろした。
流石に寮の前で倒れていたら驚くわ。
今スージー先生に連絡を取って、何とか来てくれるそうだ。
うたたねか、メルが目を覚まして此方を見る
それに急に抱き着いてきたのに驚いて目を開く
『あい、あいたかっ、た…』
ごめんね、あの時手を伸ばせなくて。取れなくて。
そう泣きだしたメルにオロオロとオリアスが慌てる
「え?ええ?」
『おじゅ、ごめんね…皆、守れなくて、僕…』
そう言ったのに、俺は本当に頭が真っ白になった。
周りの悪魔も固まる。一体何を言っているのだろうか
『オズ僕ね、今過去に行ってるのです、
ダリ先生だらしないしツムル先生カワイイし、
イチョウ先生強いし。
オズにもまた会ったんですよ。』
いやいやいや。そんな過去?
え?未来から君は来たのか?
って言うか素は一人称僕なんだね…
オリアスだけでなく周りが固まってそっと見守る
『オズとってもかっこよくて、
頼りになって好きになっちゃいそうでこまるです。
…何度だって忘れたって僕好きになっても、
でもこの気持ち、伝えないんですよ。』
そう急に告白されて驚いて今顔が真っ赤だろう。
熱が顔に集中している。
気持ちを伝えない?好きなのに?
気になって、どうして?と聞いた。
『オズのように泣きそうな世界を見たくないから。』
嗚呼、未来の俺は泣きそうな顔で何かをしたのか。
聞けないから余計に抱きしめる力が強くなった。
きっと聞いたら、
君は折角笑って泣いているこの時間から逃げるだろう?
喋ってくれるなんて、
ラッキーな状態を無視するなんてできない。
『今隠れて魔法強くしてるの、です
きっと倍以上の効果で帰れ…るよ、
ねぇ…帰りたい、ねぇ、オズ?どこ…?』
「ーここだよ」
そう声を出す。
彼女が好きだと言ったのは
きっと優しく言った俺だろう。
すると嬉しそうに目を見てくれる。
ただ、自分ではない自分を見て。
何で、こんな胸が痛くなるんだ。
笑った姿は、仕事場でしか見たことがない。
なのに、君は見た事も無い程に
キラキラした目で笑ってくれる
『おじゅ?オズなの?』
「ああ」
そう言うと、また涙を流しながら話す
嗚呼、君が泣いているのは見ていて辛い。
『僕ね、あのね…今のオリアス先生に言えてないの』
「どうして、その俺に言わないの?」
聞いてみる。
『きっと、貴方は僕をまた守ってくれるから。
貴方があの時みたいに庇うの嫌だから。
だから今のオズには好意を見せないようにしてるです』
嗚呼、だから俺には言ってくれないのか。
未来でどうしているのか分からないが、彼女を守ったらしい。
避けている理由がようやくわかった。
この子は、メルは未来で俺と付き合って
未来の世界と同じような過ちを犯したくないから
だから必要最低限だけの関わりでとどめているんだ。
…好きなら、記憶がない俺とまた同じように?
それがどれ程の辛さなのか、今知って心が痛い。
「…見せたらいいのに」
『嫌だよ、嗚呼温かいなぁ…夢なのに、幻なのに
このままずっと此処に居たい。ロビーにも会いたいし
弟にも会いたいし…嗚呼、元気してる?』
「ああ、皆元気だよ」
ロビーも弟も分からないが、ただ呟くと
嬉しそうに目を輝かせて笑う。
嗚呼、未来の俺にこんな顔で笑うのか…羨ましいよ。
きっと俺ではこんな顔にさせてやれない。
それに、手を取ってもし消えるのなら
それこそ俺は…辛くて耐えれない。
『そっか!…嗚呼、会えた…オズ、私この世界は、守るよ。』
同じように笑って欲しいと思った。
未来の俺と同じように、ただ笑ってみてくれたらいい。
嬉しそうに、輝かせるその目は今まで見たことない位綺麗だ。
きっと沢山抱えているのだろう。
好きなのに、好きなのに伝えられなくて。
未来から来たから、バレても困るから。
好きなのは、未来の別世界の俺だから。
だから、ずっと抱えていたのだろう。
好きになっても、未来の俺を見るだろうから。
そりゃ、酷だよな。あっている。
『温かい…戻らなきゃ、あの先輩の、もと…戻りたくない。
此処しかない、此処に、いたいの…オズ、オズワール。』
涙が止まらない。ぽろぽろと零れ落ちていく
それを拭うしか出来ない。無力だと思う。
『現実で、触れれないから。嗚呼、
優しい夢だなぁ。ダリ先生やツムル先生までいてさ』
「ーっ、!!」
そうダリ先生が声にもならない声を出す。
嗚呼、そうだろう…嬉しそうに泣く彼女の姿なんて初めてだ。
大丈夫だ、そう言い聞かせるように、彼女の背中を叩く
すると嬉しそうに顔を摺り寄せてきた。
うわぁ…めっちゃ甘えるんだなぁ…
『幸せ、だなあ…もっと、がんば、んなきゃ…』
そう眠たそうにするのに、
俺は眠ってしまえば良いと言った。
このまま現実世界だと気づかせない方が
彼女にとって得だろう。
『オズ、私は何度でも貴方を好きになる。』
その言葉に、胸がツキンと痛くなる。
嗚呼、止めろ…忘れていても好きになってくれてありがとうと
言ってくれる彼女はただ、嬉しそうなのに。
いや、嬉しそうに笑うからこそ、辛いのだ。
彼女はずっと閉じ込められているまま出れないのだ。
勝手に飛ばされて、勝手に皆知らない世界に一人落とされて
そりゃあ精神状態悪くもなる。
それなのに、メルはずっと笑って、ただ周りを和ませたりしていた。
都佑が戦闘慣れしているのは恐らく未来で誰かが教えたからだろう。
『貴方を、もう…傷つけたく、ない…から』
だから、君は努力をするのか?手には豆だって出来てるし
きっと沢山勉強したのだろう、字だって綺麗で知識も豊富。
初任の教師と比べても間違いなく経験者だと思わせる。
それ位、努力を重ねて…生きて来たのだろう。
「…お前は、俺を俺達を何処かで、そんな顔で笑って仕事してたんだな。」
羨ましいよ。そう言ったオリアスにスージーが入ってきた
真剣な周りの雰囲気にスージーは説明をダリから聞いた。
「成る程、メルさんは未来の私達と出会って
沢山愛されて育てられたんですねぇ…ふいっ」
「きっと未来の俺達が何とか彼女を逃がしたんでしょう。
ヴルと約束したし…」
そう言ったダリに、スージーはそれでとオリアスに声を掛けた。
「オリアス先生はメルさんのこと、好きですか?」
「えっ!?え、といやそれは…気には、なってまし、た。
ですが彼女が見るのは俺ではなくて、未来の俺で」
「きっとメルさんもそう思うでしょう。ですが
今の貴方と未来の貴方もどちらもオリアス先生です。」
「…ありがとうございます」
そう言ったオリアスにスージーはふいっと笑ってみせた
そうだ、何を馬鹿な事で迷っているのだろうか?
何度だって忘れたって、何処に行ったって好きになってくれる。
そんな可愛らしい彼女が、必死になって過去から変えて
自分を皆を守ろうとしているのだ。
時間を深夜ギリギリまで使って。強めてまでして。
…精々言ってしまった事に後悔してしまうがいい。
自分の中で疼いていたモヤが一気に膨れ上がり晴れる。
嗚呼、これからどんなことをしてやろう。
「ではオリアス先生メルさんを連れてきてください。
私は鍵を開けますので。ではダリ先生皆さんお休みなさい。」
そう言ってスージーが席を外す。
玄関を開けてくれてお礼を言うオリアス
歩いている間に声を掛けられる
「オリアス先生」
「ん、何ですか?」
「…きっとメルさんは未来に戻ってしまう。
それでも、貴方はメルさんを好きでいてくれますか?」
「ええ。なんか吹っ切れたので、どうせなら
戻るのも惜しくなる位でろっでろに甘やかしてしまおうかと。」
そうにやりと笑うオリアスにふふっとスージーが笑う
可愛らしい部下を愛でる席は
取って置いて欲しいと言ったスージーに
勿論とオリアスは答えた。
「(…嬉しそうに、笑ってた。)」
ゲームをしたときも、
絵を描いてと言ったアレは
きっとまだまだ欲があった筈だ。
なのに言わなかったのは、止めたのは。
俺が今の世界が過去であって、
これ以上気持ちを膨らませるのは
不味いと思ったからだろう。
嗚呼、何で…寂しそうに笑うんだろうと思った。
二度と戻れないかもしれない場所に居る。
そりゃあ寂しくもなるだろう。怖いだろう。
拭ってやりたい、この腕でこの手で。
でも、居る場所は、此処じゃない。
それでもいい、それでも俺は。
「…ああ、好きだ」
君を、好きになる。