Novel - Paola | Kerry

it's just you


きみあわせ3

20/09/15
69

此処は地下室
魔女の全てが載っている場所。

そこに、超絶久しぶりに人を入れた。
悪魔は同じだが、過去のオリアスを入れたのは初めてだ。
オリアスはへぇーと右左と首を横に振り、辺りを見回す。


黒装束を見に纏い、黒帽子の姿のメルが
ガサゴソと手を使用して物を探す。


地下室の扉を開けて、
地下の階段を少し歩いて目を開けた。
ログハウスの部屋の中は流石に禁止だと言った。

だが、この場所に居させてもらえるのは
かなりレアだというのも分かった。



何せ見た事も無い文字がずらりと並んでいるからなのと


「え゛これって、ヴィーヴルの鱗!?
ちょ、こっちは精霊の水!?」


アイテムが全て幻の店ではまず出回らない貴重な物ばかりだった。
しかも量が異常で、一個だけなら分かるのだが、手前に二瓶
奥に三瓶ずつで計8つ。その奥に小さな箱が三箱あった。


どうやらその三箱が在庫らしい。
一つの棚は4段あり、
一番下の段は更にその瓶の在庫がラベルで分かる。

その棚自体が6つ程6列あり
…全てのアイテムの在庫を確認したら
普通に店を開けるレベルだ。


その倉庫の奥は、地下室の
目の前にあった本棚の奥と繋がっているのか
薬草や何かの植物を育てる温室に続いているらしい。



思わず帽子の唾を指で上に押し上げた




『材料はこれです。』




そう出して来たのは金属類と、
何かのツタと、青と赤、緑の薬ビンだった。
布を持ってくるのと水
ぶつぶつ言って席を外したメルに
オリアスは此処の素材前からあるのかと聞いた



『ええ、ありますよ。殆どが引き継ぎですがね。
在庫は半分位途中で拡張しましたよ。そこの扉は
実は今までなくて私が拡張したんです。』


「え?」


『在庫が入らないので、
瓶に入れていますが、実はこの瓶特殊でして
アイテムを永久保存できるように
湿気の対策と兼ねて時間を止めています。
腐敗が起こらないように魔術をかけていますし、
何なら取り出すと通常の大きさに戻りますよ。』


そう言って彼女は小瓶から
ポンポンと瓶を振って中の物を手に落とす
すると言った通り、
小瓶からでてきた小さな欠片だったものが
直径10pの石がゴロゴロと戻ったのに目を丸くした



「…凄いね?」


『まぁこれ初めて見た時は
私も驚いて凄いしか出ませんでしたからね。』






苦笑いして答える

さて、此処からが面倒だ。

・古代樹の枝
・追憶の霧花
・精霊石の結晶
・精霊の水
・ヴィーヴルの鱗
・ヴィーヴルの角
・マグマストーン
・アクアストーン
・ノアの歯車
・ノアの板
・リレイズの木のつた
・コンドラの根
・継承者の血液を100ml
・悪魔の血液を100ml

この悪魔の血液は実は手に入れていない。
そうお願いと言うのは此処だった。


『オリアス先生。血下さい。』

「…え?」

『あるにはあるんですが…使う量にあわないので。』

それに、どちらにせよ過去と未来とは言えど
彼の血で力で僕の印は生きている。
それがあるだけでも効果はあるだろう。

まぁ物は試しだ。
一応予備の壺は作成済みなので壊れても
ぶっちゃけ大丈夫は大丈夫だが、念のための壺は
基本保管用に置いておきたい。

そうお願いをすると、オリアスは考えたあと許可を出した。
良いよと言ったのにメルは後で
人間界の料理を振舞おうと思った。


「それで?これで良いの?」

『ええ、僕の血はもうすでに採取してますので。』

流石に一気に抜いたのだ、安静にしてほしい。
そう思いメルは一時的にベットにオリアスを横にして採血した後
瓶に入れて呪文を唱える。

それをぼーっと見ながらオリアスは横になってメルの行動を見ていた


呪文を唱えた後、メルは歩いて壺の前に座る
此処に男性が居ることを意識していないのか
そもそも男性としてオリアスを見ていないのかしらないが
胡坐をかいて頭をぼりぼりとかいていた

精霊石の結晶、マグマストーン、アクアストーン
これら三つをまず火で溶かし、精霊の水につけて溶かす
青い炎を手で作りだし、精霊の水を器に練り込ませ
白い精霊石の結晶と赤と青が混ざったのが紫色になれば完成だ。

その溶けている物を一旦寝かせて次のアイテムを作成する。

古代樹の枝にリレイズの木のつたを絡ませた後詠唱
追憶の霧花を散りばめ、詠唱。
コンドラの根を絡ませ更に詠唱して完成。



次に、ヴィーヴルの鱗と角を砕いて、ノアの歯車に振りかけ詠唱。
胴と苔が生えていた歯車が金と銀に光り輝くと成功だ。
ちなみにコレの確率が10%だとか考えたくもない。

ノアの板を細かく切り、
精霊の水に漬け込んで月夜にあてたまま二週間放置。


『で出来たものが此方』

紫色のドロドロは鉱石に、
枝とつたは苔が少しついていたが
花がそこからちらほら咲いているのが可愛らしい印象だ。

歯車は金銀とキラキラしていたものが銀色に落ち着いていた。
板は水が沁み込んだのか、
色が黒色に近い茶色に変色していた

一応次失敗するように在庫は作っていたらしい。
流石用意周到と言うべきか。
というかさっきの分はどうするつもりかオリアスが聞くと
メルは成功したら予備に使うと答えた。


『これからまーーーーたややこしい。』

「また?」

紫色の鉱石をまず粉にして精霊の水と一緒に一部蔦に溶かす
キラキラと気持ちラメが入れば完成。勿論途中で詠唱は唱える。
壺を持って来て、透明の粘着物にぶち込んで均等に混ざった後
壺にそのまま塗りまくる。

塗ってから一時間後乾いたのを確認して
歯車を壺の下に置く、ツタを壺の左右に絡ませて
これで最後の準備が整った。

メルは左手に悪魔の血、
右手に自分の血を小瓶ごと持って目を閉じた

『オリアス先生。今から目閉じてて、開けたら殺すから』

「え?あ、はい」

そう目を閉じた後、オリアスの耳には入ってくる
くすぐったい花の香りに、血の匂い。


『“時の流れに埋もれし偉大なる魔の者よ 
永久の輪廻に紡ぐ一つの光よ
我が血都佑岡本に悪魔オリアス・オズワールの契約の元 
人ならざる永久の力をもたらさんことを”』

血液を歯車に落としながら詠唱すると
光を放ちつつ、歯車が動き出す。
混ざる血液の色に眉をひそめた

『“我此処に誓おう 我此処に灯そう
闇よりも尚深き者 光よりも尚眩き者
歯車の中廻り続けるその命を 
今ここにもたらさんことを”』

『“クルアーン・エピタル”(星の石板)』

突如光が世界を包み込み、メルは目を開けた
壺は銀色に光り輝き、
ほのかに悪魔らしいか紫色の光を放っている

中の歯車は暗いコンクリートの色に変わって
石板の様な色合いで、文字が何か書かれていた。
恐らく魔女語だろう。見た事も無い文字に目を丸めた。


これで、自分だけの壺が出来た。
安堵したのか、大きく息を吸って吐いた後
オリアスに目を向けて声を放った


『…もう目開けて良いよ』

倒れこみ、息を切らす。
流石に回復をちょこちょこ入れてもきついものはキツイ。
今日のやる事は終わったので、これからまた忙しくなる。

「お疲れ様」

『ありがとーございますほんとうに』

まさか本当に作れるとは思わなかった。奇跡に近いわ。
これを作るのにかなり手間がかかったとミレイユが言っていたが
本当にこれは手間がかかる。予備作る時もオリアスを呼ぼうと決意した。

「いやいや、こっちはただ血出してみていただけだから」

『血液普通は上げるの拒否ると思うんですけど…何で渡したんですか?』

「俺が出さないと誰かの悪魔の血取ってくるわけでしょ?」

『あーまぁ』

「それなら俺が出した方が手っ取り早いと思っただけだよ。」

ふらつくオリアスにメルが急いで駆け寄る
ふらついた方にメルが入ったので、
オリアスがメルの肩に手を置いた
ああごめんと謝るオリアスにメルは無言で首を横に振った

『ゆっくりしていて下さい。今食事を作ってきますので。
丁度お昼になりますし、お昼ご飯食べて行って下さい。』

「え?あ、でも」

『ほらほら、上には上がって来ないで下さいね?
あ、その精霊の水飲めるので喉乾いてたら飲んで下さい。』

一応手付けてないので飲めますからと言って
メルはパタパタと足音を立てて席を外した
それに、オリアスははぁと息を吐いてベットに上半身を降ろした

「…すげぇな此処」

天井は少し無機質なコンクリートだが、
何処か何かの呪文が描かれているようにも見えなくはない。
都佑が若干いない今でも本を見る余裕はあるのだが
文字が読めなさそうなのは分かっていたので、触らない。
不用意に触るのも悪い。

「いや、アレ説明書見たって言っても、一度しか見てねぇよな?」

詠唱は恐らく10回はしている。短いものだったが
最後はとんでもなく長かった。
それに、自分の名前を呼んでくれた。
ただ、力になれたのが嬉しかった。
未来の俺の血を使わずに、自分の今の俺の血を使って。

「…っくく、ったくぞっこんだな」


そうベットで笑っているオリアス。
一方、メルはというと


『んー…やっぱハンバーグだよね。』

食べて欲しいのってさ?ね、いいよね?オズ
そう言ってメルは写真に向かって笑う
君に似ているというよりかは、
君その者だと思わなければいけない。

きっと君は嫉妬で狂いそうになるだろうが。
別の悪魔に浮気するわけではないから許して欲しい。
過去も未来も全て貴方を知れる私は
得したと言っても過言ではないだろう。

写真に微笑み、牛肉に穴をあけてフライパンの元に走る
写真はきらりと光り、
オリアスとメルが二人で笑っている姿が写っていた
昔着ていた服で、ただ二人とも笑いあっていた。


+++++++++++++++++++++++++++

『出来たよ。』

そう扉を開けて来たメルに、オリアスはおっと声を上げる

「めっちゃ旨そう…」

『へへ、私の実家に伝わるハンバーグっていう料理だよ。
肉の調達はもう殆ど出来ないけどね』

牛さんだからな。

『さ、温かいうちに食べてみて?』

コンソメスープにキャベツや人参、玉葱を細かく刻み
最後にパセリを振りかけている。

ご飯はお茶碗大盛りに入れて、白く米粒から湯気が立っている
ハンバーグは大きめの楕円に仕上げ、裏表少し焦げている上に
斜めに線を描くようにケチャップを振りかけていた。

ハンバーグの周りには勿論レタスやキャベツを盛りつけて
近くに人参の花形も作ってみた。意外と魔法便利だった。作れたよ。

「い、いただきます…」

そう恐る恐る箸を使ってオリアスは口にハンバーグを運んだ
どうどう?そう聞くメルに目をキラキラさせて
美味い。そうぼそりオリアスが呟いたのに、
よっ、しゃぁ!!と言って
メルは手を叩いてガッツポーズを入れた

「っ」

『ゆっくり食べていいから、一応どれ位食べるか
分からなくておかわり作ってるし。』

「料理上手いんだ、」

『いやどちらかと言えばこれが得意料理なだけで』

「美味いよ、美味い。」

そう口に運ぶのが止まらないオリアスに
メルは嬉しくて笑った。自分もご飯を食べようと思い
とりあえず口に運ぶ。うん、肉汁も入って美味い。

これは後でケチャップご飯にしよう。
そう肉汁の入ったケチャップライスは格別だ。
おにぎりにして夜食用に取っておくかと考えつつ
おかわりの言葉を聞いてメルは笑って取りに行った



「はーもう腹いっぱい、くえねぇ」

『お粗末様。』

「なぁ、この食べ物全部前食べてたのか?」

『うん。余りと言うか記憶が無くてね。』

それは魔女として誘われる前の記憶。世界。
私がまだ世界から浮かんでいた時代の記憶の料理だ。
もう二度と帰れない場所に、想い恋焦がれ目を細めた。

『もう、戻れない場所で…食べて思い出すんだ。』

誰かと一緒に食べたいと、願った悲しくも
ただ誰かが笑ってくれるのを思う自分を。
それにオリアスは何かごめんと答えた。

「そんなことだとは思わなくて」

『いいの、僕がこの料理を出したって事はわかる?』

「?」

『…貴方が沢山頑張ってくれたからよ。』


嘘。本当は僕を見て欲しいと思ったから。


でも貴方にそんな素直な事は言いたくない。
だから気付いて、どうか気付いて笑って欲しい。

嗚呼、嘘つき。違うって。
言ってくれなくても、何時か気付くだけでいい。
この気持ちは、まだくすぶっていていいのだ。

料理を平らげたのを確認したメルは洗いに戻る。
それにオリアスがそこにある本を見て良いかと聞いたので
良いよと答えた。
本はバビルスの教科書全部が一部棚を埋めていたのだ。


どうせノート見ても間違い指摘してくれるだろうと思い席を外した。
それにオリアスはそっと棚の方に歩いて棚から本を取り出した
ペラペラめくる。隣にノートがあり、同じ教科のものと判断して見ると
沢山説明を書いているのをみてふっと笑ってしまった

昔から彼女はとても勉強熱心だったようだ
少し字が汚いのが今の綺麗な字を理由づけている証拠だろう。
ノートの端に文字を見つけて、言葉に詰まる


「ーっ」





星の中に埋もれても、見つけて欲しい。



その言葉に、オリアスはどうやってメルが帰ってくるまでに
この熱を消せばいいのかで頭がいっぱいになった。




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