Novel - Paola | Kerry

it's just you


きみあわせ5

20/09/15
71

十六日目。昨日が不安過ぎて怖かったが
ひとまず電線を張り巡らせ、
鍵を取り付け、ベットに布団を敷いた。


キッチンを幻影を使用して作り出す。
形はベストなので岩をまた砕いて
作り込んで…棚をまた作るか、今度は金属が良いな。


そう思ったメルはヴルの所に行く。
嗚呼小瓶は今空きで50はある。
大きな瓶は作れないので細かく持って流す以外方法が無い。


「また来たか」

「お?」

『あれ?ダリ先生!!』

そう言ったメルに、此方を見たダリが目を閉じて
「よっ」と声を出し手を上げた
どうやら休みに丁度出くわしたようだ。


「いやーメルちゃん奇遇だね?」

『…どうせヴルに私が来たら
連絡欲しいって言ったんでしょ?』


「やーバレた?」


そう笑うダリにバレバレだわと思った。
で?今日は何が必要だと声がかかるので話を続ける。

『大量の精霊の水を取りに来たのと、
ちょっと今キッチン壊しちゃったから
新しく作るのに大理石を一からとろうと。』


「…何をしたんだ何を、」

『やーちょっと水回りで作りたい素材
あったから作ったら爆発しちゃって!』

派手にやらかしたわと笑うメルに在り得そうだと
頭を抱えたヴルにメルは苦笑いで心臓をドキドキ鳴らした。

いやー嘘もおっちょこちょいだとつきやすいのか???
怖いけど、これは秘密だからな。

「西の方に硬い金属がある。
どうせキッチンを強固に作るんだろう?
ミレ…奴と同じ様に作るんだったら尚更だ。」

『…うん、じゃあ西に飛んで行くね。』

「待って!俺もついて行っていい?」

そう手を上げたのはダリだった。
どうせ嫌だと言っても付いてくるだろう。
メルは許可をした。


ダリは翼を広げて飛行
メルは箒にまたがり飛行続ける

それにダリが翼を広げて飛ばないの?
と聞くのにメルが少しダリの方を向く





『ええ、翼で勢いよく飛ぶのが苦手なので』




そもそも人間だから翼がないからな。
そうは口が裂けても言えない。



「へぇー飛ぶ練習すればいいのに。
付き合うよ?」


『そもそも早いのが苦手なので』


なら、ついでだし掴まる?
それ辛いでしょ
そう言ったダリが宙に止まる。


それにメルも止まるが、
まぁ確かに長時間移動するにはしんどい。




かと言って他の男に抱き着くのもなぁと思いつつ、
良いから良いからと言われたので、
速度にも慣れた方が良いと思いOKした。



箒から降りると重力が伴い、
そのまま落ちるのを
ダリが抱きしめて止める。



箒に指をくるくると回し、
小さくして鞄の中に入れた。


胸の服にしがみついて、
覚悟は決まりましたと硬く目を閉じる。


それにダリが笑い、
そんな硬くなると舌噛むよと此方を見る。


オレンジ色に近い目が此方を見て、
何処か全てを知っているよと
言われている様で、少し恐怖を感じた。





「じゃ、飛ばすよー?」

『へっ!?…ぴっ!!』



ぎゃあとも言えず、勢いよく
飛び出したダリにメルは
必死に胸に抱き着いた



これは無理。


オリアスに送り迎えしてもらった時以上にスピードが速い。
だが、これに慣れるとかなり楽では?
そう思い、なるべく硬くなった身体に力を抜く


息を吸って吐いて、落ち着いた頃、
目を開けて周りを見る
かなり速くて、多分時速60はでてそうだ。


少し上を見ると目を開けて
前を向いて飛ぶダリが見えた



目が合うのを避けて
そっと服に目を降ろす。


暫くするとついたねぇと言って速度が遅くなる。
おおー!そう目を輝かせて言うメルの目の前には
銀色に輝く鉱石がチラホラ見えている岩山だった。



恐らくこのまま取ったら銀は取れるし、
近くの岩には大理石らしき素材の岩もあった。
このまま砕いて縮ませて、粉にする?
粉にして持って帰る?


そう唸るメルにダリが
メルちゃんメルちゃんと声を掛ける。



『っはい!なんでしょう!!!』


「降りて近くで採取する?
それともこのまま浮遊して取る?」


僕はこのままでも良いよとニコリ笑うダリに、
メルは現状を思い出して顔を赤くする。



いいいいいいいです!!


そう暴れ出すメルに落ちないように
揺れて抱きかかえ直す



「(欲しくなるなぁ…)」


そうダリが目をギラリと光らせたのも面白さからくる


メルはダリが思っている以上に予想外のことをする。
しかも初心な反応を一々するので、
ついからかってしまう。


先程も自分から抱きしめて来たのに
全く気付いていなかったのをダリから聞いて
ようやく認知して恥ずかしがっていた。



このまま距離を縮めれば、
君は俺に手を伸ばす?



そう思ったダリだが、
今はまだ放置しておくことにした。





すぐにとっても面白みがないからだ。
可愛らしいので、ついつい弄ってしまう。



地面に降り立ち、そっと彼女を地面に降ろす
胸に手を置いたまま固まっているメルに指を指した
取っておいで?そう言うと
メルはハッと気づいて席を外す



バックから箒を取り出して空に飛び立った
上に上がってみた後此方に戻ってくる


『ダリ先生空に飛んで置いて下さい』


「え?これ位距離離れていたらいいでしょ?
ってか手伝おうか?」


『いえ、これ位朝飯前なので』


そう言った彼女は、
良いからと言って背中を押す
それに負けたダリは翼を広げて空に飛んだ



『強めの“礫波動破ヴィーガスガイア”!!!』

そう唱えて地面に強く手を置いた
メルの先の岩が崩れる
その威力にダリも目を開いて丸くした。



半径5kmは軽く吹っ飛んでいる。
正確には下の地面に亀裂を入れて、
上の岩をずらしている。


そこからメルは空を飛んで
蹴りを入れて唱える


『“振動弾ダム・ブラス”!!!』



そう言った途端岩が砕け散る
それに壊れないようにと唱える


『“魔風ディム・ウィン”』



突風を生み出し、散る速さを少し和らげた
それを見て、ダリは目を丸くしたまま
口を手に置いてじっと見るしかなかった。


此処までの威力は、
前にイフリートと付き添った以来だ。


だが、加減はしているものの、
威力の正確さは前より上がっている。


特定の岩だけを砕いてずらし、粉々にした後、
周囲に飛び散り怪我しないように
風を操って資材を地面に落としたのだ。



「…こりゃ、すごいな」



そうぼやいたダリの声を聞くことはなく、
メルは手に力を込めて更に砕いて砂にする。
その作業を見ながらダリが地面に降り立った




「メルちゃん凄いね、
いつの間にそんなこと出来る様に?」


『前から出来てますよ。
見せる機会が無かっただけで。』


本当は見せるつもり無かったんですよ。


私ダリ先生付いてくるって言った時
凄い唸ってましたよね?



そう聞いたメルが続けて答える



『こんな威力の高いものは基本的に
隠しておいた方が良いと思いまして。

それに生徒にこれしたら死にますよ。』



「…うんそりゃそうだ」



と言うか先生も普通に死ぬからね?

そうツッコんだのには無視するメル。

砂にして分けて、そのまま小瓶に詰め込んでいくこと一時間




ようやくバックにパンパンに成る程
詰めれて、メルは満足した
じゃ、と言ってダリが両手を広げるのに
メルが首を傾げる。



「ん。連れてくよ」


『…え?』


そうきょとんとした後顔を少し赤らめる
彼女にダリはニコニコする。




「ただ俺は君が辛そうかなって
思ってやってるだけだよ?」


何を期待してるの?そう笑うダリに
メルは顔を更に赤らめつつ
何も期待してないですから!


と言ってヅカヅカ歩いて直立する
バックを掴んで抱え込んで
頬を膨らませる彼女にダリは笑った



いやぁ、想像したよりも面白い回答で、飽きないなぁと
頭をかいたあと少しかがんでメルを横抱きにして立ち上がる


翼を広げて空を飛びあがるのに、
メルはそっと片手でダリの服を掴んだ
気付いたダリは片目を開けてメルの方を見る。

顔を見られているのが分からないのか、
頬を赤らめたままだが
少し落ち着いた表情に
「メルちゃん…」と
声を弱めにため息交じりに呼ぶ。


『え?何ですか?』


「いや、しっかり掴まっててよ?
飛ばすから」



君、他の男にそうやって振りまいてるの。天然でしょ。


そう口が裂けても言えなくなった
ダリはため息交じりに彼女に
先程スピードを上げた速度で
飛び出すのに意識を持たせる。



握っていた片手が両手に代わり、
胸にぐっと掴み目を閉じている
余りにも可愛らしい仕草に、
オリアスの苦労をそっと感じつつ
ダリは急いで空を飛んで行く。



+++++++++++++++++++++++++++



『ほんと助かりました…』


「いやいや、俺マジ行き帰りしかしてないし…」


「お前が飛ばさないとこいつ
3日位行方くらませてるぞ」



嘘だよね?え?嘘そう言ったダリに
メルは苦笑いで答えた。


『ではここで』


「あれ寮に戻らないの?」


『ええ、ちょっと行くところありまして。
そちらに今居るんですよ。
電波も届かない所なので、
連絡はあと一週間先になります。』


「ねぇそれ学校始まる一週間前だけどねぇ」


『ちょっと頑張るので!
また学校でお会いしましょう!!』



またねぇそう言って手を振って消えた
メルにダリは大きくため息を吐いた
ツムル達が連絡取れないと言っていたが、
まさか電波繋がらない所に
いたとは予想外だったのだ。



「奴と居たら楽しいか?」


「…ええ、とっても。」


「だろうな。一時期俺も
奴の前にいついたものよ。

そしたらあいつ言い出したんだ、
お前は此処じゃないって。」



「此処じゃない」



そう


「傍に居てくれなくたって
ここが通じて居れば
何処だっていいじゃない?
そう言って俺を突き放したんだあいつ。」


「ふっ…ヴィーヴル族の長を?」


「嗚呼、上の者と知っても尚
素で会話してくる奴が俺は好きだからな。」


「…それは同感ですね。」


ダリも案外おちゃらけた素振りをするが
それは楽しいからでもあり、
悪魔に懐かれるためにも
仕事上そうした方が楽だから
という意味合いが強い。



それでも上の者。
立ち位置上関わってくれないのに困っていたが
メルはその壁を軽く突き破って関わってくる。


だからダリはとても楽に接する事が出来て嬉しいのだ。



「彼女は面白い子ですね」


「嗚呼、気苦労は絶えないがな」


「…昔からなんですね」


「純粋で、何も悪意を相手に持たない…
そんな奴も、殺気を覚えだしたのは
良いことだと思いたい物だ。」


え?そう言ったダリに、
そんな話は良いと言って
ヴルが別の話にすり替える。



「(彼女が腹立てる程の相手は一体誰なんだろう?)」



そうヴルの話を相手しながら、ダリは考えた
きっと、彼女の全てを奪う相手なのだろう。

そいつが目の前に出てきたら、
彼女はどうするのだろうか?


ついて行くのだろうか?戦うのだろうか?
ダリ達を置いて?庇って?


そう思った途端、
メルが血だまりの中で倒れているのを
想像して手が止まる。




顔も見えず、ただ口を開けて動かない。


その姿を、現実にさせてたまるかと思った。


ダリはヴルの心配を
さり気なくかわして話をつづけた




血だまりになる迄
放置するつもりなんてないからだ。

手を伸ばして彼女を守る盾にだってなろう。

大事な仲間を、職員が
助けをこうのに、相手しない訳がない。



その時が来ない事を願うばかりだが…
きっと、その時が来たから。
メルは過去に飛ばされたのだろう。


「(未来で何が起きたか分からないけど、
警戒しておいて損はなさそうだな。)」

時系列は分からないが、
いつ来てもおかしくない未来だ。
ダリはそっと飲み物を飲み干し、
コップを一杯机に置いた































ーっ、馬鹿!!

そうぱしゃぱしゃと足音が鳴る
嗚呼、一体何の夢だ?


ーロビン先生!行くな!!

誰だ?

ーですが!!ダリ先生メルちゃんが!!!

抱きしめているその腕に、
血まみれで身体を動かしていない少女が居た
じっと瞼を閉じたままピクリとも動かない

ー…行くなら、全員で行くだろ?

そう言ったダリが目を光らせて牙をむいた
完全に切れた時ですら見せないその顔に驚く
教職員全員が翼を広げて目を光らせた

上空に何かが居るらしい。
目を向けると
そこには居る筈のない者がいた


水色の髪の毛がちらりと見える白い髪の毛
頭の上には白い円があり、
背中には白い翼を広げて見下ろしている
その目は銀の奥に赤い色を燃やしている

服装は黒装束のそのもので、
彼女以外その服は着ていなかった



ー嗚呼、コレが正体だ!!!



そう言って女性が手を大きく振り下ろす
すると周りからダリ達と
同じような姿の者が前に突撃する
ヒバナを散らせようとしたその瞬間



「ーーーっは!!!」

息を大きく吸って吐いて、
自分の部屋に帰って来たことを思い出した。
先程の夢は、夢か?それとも

「…いやさせない。
そんな、そんなことにさせてたまるか。」


ぎゅっとシーツを鷲掴む
血を流して、いる彼女に笑う女性は誰だ。
もし、彼女が白い翼を持つ者がメルだとしたら?



攻撃したのは何故?



手に居た少女は、一体誰だ?




この夢を見たのは、
実はダリだけではなかったと気づくのは
半年たったある日のことになるのを
この時は知らなかった。





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