『となれば、やはり天使の生まれ変わりなのは間違いない、と…うーん』
「どうしたの?何か気になる事あるの?」
『えぇ、それだと私の記憶がちょっとおかしくて』
時系列が少しあわなくなる。
メルは転生前人間界で
人間の普通の生活を過ごしていた。
確か交通事故か何かの関係で身体を
道路にたたきつけられていて
そこでミレイユと出会って願ったのだ。
もし転生した後なら、転生前の人間界の記憶が
本物ではないものになる。
ひょっとしたらダミーの記憶になるというのが
とても悲しい現実でと苦笑いする
「まぁ記憶操作の一環で、
別の記憶にすり替える方法はあるからねぇ」
『だとしても作り込まれ過ぎてて、幾ら何でも…』
「その天使の時に、
人間界で過ごしてたってことじゃないですかね?」
そう言ったツムルにメルとダリがそれだぁと答えた
『なるほど!人間界で天使降りて、
人間の誰かと約束をした。
そこで人間のふりをしていると、
天使から悪魔にそそのかされたと思われる。
天使もだけど悪魔も翼しまえるし。』
「勘違いした天使が君の転生した
肉体に天使の力を引き継がせていた。」
『だからミレイユは魔女の継承が出来た。
でも、じゃあミレイユは一体誰と契約したの?
皆知ってる?』
メルの力は未だに幻影が使える。
かなり広範囲で正確には難しいが少ない人数と
狭い範囲であれば騙せることは可能だ。
だが、その幻影も一体誰と契約した?
もし契約者が悪魔が生きていたら?
「そこは俺達も知らない」
『そっか…まぁバレたら効力失うし、
でもそこが
かなり複雑な関係ではありそうだが。
それならミレイユがふさわしいと言ったのは
メルの天使としての力になってしまう。
だが、ミレイユが言っていたのは果たしてそこだろうか?
また違う、何かに対して言っている気がするが…
ひとまずは未来で選択肢を誤ったが故に皆を巻き込んだ。
平謝りするメルに、良いと首を横に振る
「俺達だって救えなかったからこうやって此処に居るんだ。
もう一度やり直せるなら、一緒にやりなおそう。」
「なんか告白みたいー」
「ちょ!?何言ってんの!?」
そう慌てるオリアスにメルは笑ってそうだねと答えたあと
よし!と意気込む
『掛け声作ろ!それ合図にして!!』
「掛け声?」
『んー、気持ち込めて。こういおう!』
ー足引っ張んなよぉお!!!
ー上等じゃごらあああああ!!!
そう言ったメルにいいね!
とダリが腹を抱えて大笑いする
自分で言うのもなんだが、
かなり優しい性格なのにそんなこと
思いつかないだろうと思ったのだ。
提案者が言えない合図なんて、
おかしいとおもうだろう?
『じゃそれで!あ!ツムル先生明日急ですいませんが
Bクラスの授業終わり次第Aクラスに向かってくれません?』
別の先生がさっき急いで
私に言伝頼んでいたの忘れてました。
そう言ったメルに分かりました。
では明日忘れずに向かいますね。
そう言ったツムルにメルは
お願いしますと一言伝えて
そこから離れることにした。
『…、いないメンバーが、
居るのにこの速さ。嫌な予感はするが』
恐らくかなりの長期戦になるだろう。
この世界にもレイが居るかどうか怪しい。
それにこの力がレイと重なれば
どれ程の威力になるのか末恐ろしいものだ。
未来で戦った記憶は、正直無かった。
夢では対峙したことはあるが、
それが正夢だと思いもよらなかったのだ。
ぎゅっと拳を作ってメルは
前を向いて立ち止まった足を進めた
今度は、走る場所を間違えないように。
+++++++++++++++++++++++++++
『ポマードポマードポマードポマードポマードポマード』
「…なにそれ、お守り?」
おっと間違えた。
ジャガイモジャガイモ
そう呟きだしたメルに
オリアスは苦笑いするしかなかった。
音楽祭当日、リハーサルは
カチコチであったものの何とか動けた。
本番に強いメルだったが、
オリアス達と会話をしていく中で
緊張が更に増して本番でも緊張しているのを
横でオリアスは見るしかなかった。
深いため息の後オリアスは大丈夫だろと答えた
何時ものスーツ姿にしては少し豪華にも見える。
メルもまた衣装を変えて魔女は魔女でも
黒さえあれば良いと言ったので
ミニスカート姿でマントも外した状態の、
いわゆる黒ゴシック魔法少女姿だ。
しゃがめばパンツ見える?
そう言ってペラりとスカートをめくったのに
男性陣も女性陣も「わーーーー!!!」
と言って顔を全力で背けた日も懐かしく思える。
ちゃんと魔法掛けて!!
そうマルバスの姉が悪ドルの家系に生まれている為か
短くても絶対に中が見えない魔術を伝授されてかけている。
その為パンツの心配をしなくて
良いと嬉しそうに飛び回るメル。
普通にしていたらがっつり見える動きに誰も
もう注意する気力も残っていなかった。
『…大丈夫、今回は。間違いなく成功させる!!』
そう言ったメルに、良く言ったとオリアスは答えた。
時間になり、メルは顔を上げる。
確かに壇上の上に立って何かをアピールした時間があった。
だけど、それは幻かもしれない。
それでも、それでもいい。
私は確かに今、現実にアピールをするのだから。
ーそれでは、音楽祭の始まり始まり!!!
+++++++++++++++++++++++++++
衣装を片付ける。
「先生!これ何処ですか?」
『ああそれは魔植物師団に。
こら君それそっちじゃない』
そう対応をしているのは
音楽祭が無事に成功して終わった頃
放課後を終らせて
すぐに一部の荷物を整理していた所だった
そこにコツコツと音を立てて審査員の方が見える
「あんたがメルね?」
『えぇ…貴方は?』
「あたしはアムドゥスキアスよ。」
『アムドゥスキアス…あ゛あ゛!?』
そう驚いて固まるメルにアムドゥスキアスが言う
メル、あんたにこれから挑戦状を送るわ。
そう言ってアムドゥスキアスが出したのは…
書かれていたのは、
魔女として演奏をするとの言葉に、
いーーーーや無理無理無理と言ったのに
アムドゥスキアスがあんたが
無理なわけないでしょと答える
「ミレイユ様の弟子ならの頼みよ」
『っ!なんの、ことでしょう?』
そう引きつる顔に、
アムドゥスキアスは数秒メルをじっと見た後
深いため息を吐いた。
あんた嘘吐くの下手すぎと頭を抱える。
「嘘つくのに音が震えていないのは
まぁ褒めても良いけど
顔で全部台無しよ…あんたねぇ」
『ひぇっ』
「まぁ良いわ。あんたの力なら、
これ位、朝飯前でしょ?」
嗚呼そうそう、ちゃんと家系魔術も使ってやりなさいよ。
そう言ったアムドゥスキアスに、
メルは学校中に叫び声を
聞かせることになるとは思わなかった。
出て行ったアムドゥスキアスと言うよりかは
ある程度もう撤収出来たので
後はオリアスやダリ達に報告するだけであった。
メルは屋上で胡坐をかいて
真剣な顔で腕を組み考えていた
『(何故アムドゥスキアスが
ミレイユのことを知っている?
ひょっとして契約者?
いやいやアムドゥスキアスは音楽の悪魔だ。
幻影とはまた違う場所にいる。)』
というか魔女の契りを
そう知られて出来ない筈が
何故出来ているのが不思議でならない。
何で家系魔術って言った?
ひょっとして、これさ
魔女と悪魔の契約を引き継いだ時のバグか何かか?
それなら私今まで隠していた意味とは????
悶えるメルはあああわけわかんねぇと
叫びつつ髪の毛を鷲掴む
とにかくこの頼みは恐らく
魔女として幻影を作り出して演奏すればいい。
もしやらなければ
どうなるかは分からない。
いやいや、だからと言って
頼みを断るわけにはいかない。
うーーーーんこれをいうべきか否か…
一人で出来るものだから、
一応可能ではあるが。
期間は一か月とまた長い時間だ。
正直教師を辞めて山籠もり暮らししたい。
と言うかミレイユは魔王の妻として生きていたのに
魔王の妻の前は何をしていたんだろう。
『…まぁ約束してくれたから教えてくれるか。』
ーもし!貴方の予想以上のことが出来たら、
ミレイユのこと全て喋ってくれますか?
ーええ、やれるものならやってみなさい。
楽しみにしているわよ。そう言って笑って
手を振って帰って行ったアムドゥスキアスに
メルは暫く腰を抜かしていた。
嗚呼でも、音楽なんて一体誰に教わればおそお…お?
そうだ、いるじゃないか。近くに。
約束を破るとどうなるか分からないというか
『(ひょっとして殺しちゃったりして…まっさかー)』
あり得そうで怖い。
確か彼はデルキラ様をこよなく愛していた。
妻であるミレイユの事を恨んでいてもおかしくない。
そう思えば、引き継いだ自分の命は
彼の手に握られているのも
あながち間違っていなくて急に怖くなる。
とにかく音楽と言っても演奏するのに
何故楽器を指定しなかったのだろうか?
これ歌って踊っても良いんではないか?
嗚呼音楽知ってる悪魔悪魔悪魔
…そう唸っていても仕方がない。
ひとまずオリアスの元に行って終わらせよう。
音楽祭のまとめとして、メルは職員室に戻る。
勿論この後何処に行ってたのと
探されていたことに謝り
音楽祭に行われたまとめや
反省点を提出するだけで終ったのだった。
+++++++++++++++++++++++++++
『ん゛ーー!!!終わらん!!!!』
そう日本語の資料を元に本を作っている所。
音楽祭から約三日後。
年明けの日が近づく中。
テストも全て終わり、
もう休みに入りつつある。
そんな中メルはサリバン邸の中で
楽譜を探しまくって譜読みをしていた。
まぁ所詮日本語を見るのに飽きて
楽譜を読みまくっていただけだ。
だが、音楽をこの人生見た事もない筈なのに
『…まさか全部吹けるし
弾けたとは思わなかった。』
校舎、吹奏楽部が使用した後。
担当の先生にお借りして
ピアノフルートトランペットホルンに
木琴マリンバエトセトラ…
まさかそこに置いてあったもの
即興で弾ける吹けるとは思わなかった。
特にトランペットとピアノはたどたどしいが
サックスだけ妙に使えるのがもどかしい。
何だ?何処かで演奏経験あるんかわしは。
この後ちゃんとログハウスに
一部屋ずつ楽器用の倉庫を
構えることになるとは思わなかった。
そう思いつつ、メルはサリバンに
『ごめんマジでごめん楽器演奏したい』
と言ったのに許可を貰い全ての楽器を
購入してもらったのに少し後悔している。
本当にこのお金何処からくんだこれ。
そう青ざめるメルにサリバンは
最近甘えてくれるから嬉しいと上機嫌である。
その間カルエゴ達に
被害がないのでまぁ良しとしよう。
にしても、楽譜をペラペラめくるが、
音が妙に速いか遅いかイマイチ分からない。
だとしてもあのヤバい悪魔に演奏するのだ。
それ相応の覚悟は必要だ。
「ねぇねぇメルちゃんにしても
どうして全部買うってなったの?」
『嗚呼、アムドゥスキアス様に挑戦状貰って。
演奏して驚かせろって言われたので、
今楽譜と何をするか考えています。』
へぇと目を少し開けるサリバンに
メルはぎょっとした
そんな顔今まで見た事も無かったからだ。
「アムちゃんがねぇ
分かった。
でも無理しないでね?」
『ありがとう!おじいちゃん』
そう言うと
お爺ちゃんの響きいい!!とサリバンが倒れる。
苦笑いするメルにそうだとサリバンが声を掛ける
「近いうちに君に良い知らせが来るよ
楽しみにしておいてね?」
『私に?』
「きっと驚くさ」
何だろう?そう思いつつ、私は楽譜に向き合った。
そんな中、携帯の音が鳴り、メルは持っていたサックスを
股の間に置いて肩にサックスを寄せ抱きかかえた状態で
楽譜をめくり携帯の受信音に合わせてタップする
ーあ!やっと繋がったメルちゃん今暇?
『暇じゃないんで切りますね』
ーあああああ待って待って待ってまって
何ですか。そうジト目で言うメルに、オリアスが苦笑いする
何の用事ですか?今何してるかによる。言えないですね。
そう言う回答にオリアスの後ろというか遠くから
メルちゃんまだー?とダリの声が聞こえる。
どうやら男性寮らしい。
ー待って下さい今話してますって!!
……ごめんごめん煩かったでしょ
『ふふっ、いえいえ。それで?
今手止めてますのでどうぞ。』
ーさっきツムル先生やダリ先生と
誕生日の話しててさ、
今年お祝いしていないメンバーで
女性陣メルちゃん知らないかなーって思って。
『ああ、スージー先生とかまだじゃないですっけ?』
ーマジか。了解、そういやメルちゃんの誕生日っていつ?
『え?10月4日ですけど』
そう言った途端、声が聞こえなくなる。
まるで静けさったのに、
アレ?オリアス先生?
とメルが慌てて聞き返す
ー嘘でしょ!?10月4日!?
もうとっくに過ぎてんじゃん!!!
ー待って待って誰誰誰誰!?
ーメルちゃんが!?!?
ー嘘嘘嘘メルちゃん待ってお祝いお祝いお祝い!!!
お祝いしなきゃ。そうバタつく携帯の奥に
メルは少しだけ耳から距離を離した
楽譜を譜読みするのに忙しいので言うのまずかったかな?
そう思っていると
ちょっと変わってと言った声に
オリアスがああはいと言って交代したのか
違う声が聞こえて来たのにスマホの手を抱え直した
ーメルちゃん
『あれ?ダリ先生ですか?こんちわ切るねー』
ー待ってって!
今からそっち行くから逃げちゃだめだからね!?
そう言って彼から電話が切られる。
え?どういうこと?そう首を傾げるメルは
ねぇオペラと言って振り返る
するとオペラは耳をぺたんと下げて
持って来ていた飲み物を落としていた
うわぁなんだこの驚き方。
「メル様どうしてお誕生日の事を
お伝えして頂けなかったんですか!!!!」
『わぁーー落ち着いてーオペラー』
どうどうそう言うしかないメルは肩を揺らされて
頭が前後ろに揺れる。楽器が壊れるだろうがやめろ。
「これは降魔の儀を開催しませんとね」
え?こうま…え?そう首を傾げるメルにオペラが
サリバンに連絡をして、とりあえず今日は寝泊まりしろと
言われたので、一日家にいることに。
ちなみにこの後20分程で全力で寮から来たのか
息を切らして来たダリから小さな手紙を貰った。