Novel - Paola | Kerry

it's just you


背負った太陽4

20/09/15
79

誕生日会ならぬ降魔の儀を終えた次の日
メルはニコニコと荷物を開けて整理した後。
大量の日本語にいや本に埋もれながら勉強をしていた

『ーえ、これが嗚呼でこれがああああああ』

「あら何してらっしゃるの?」

そう入ってきたスージーにメルは目を丸める
アムドゥスキアスとの約束の話にあらあと目を見つめて
それなら本番用に作りましょうか?

ステージ

そうスージーに言われて出て来たのは
女性寮と男性寮の間に位置するいわば公園みたいなもの。
木を作り上げ、木の葉は銀色と青で光り輝いていて綺麗だ。

『ちょ!!!吹きませんよ!?踊らないからね!?』

そう言ったメルに緊張感を和らげるのがいいですよと笑う

「試しに歌を歌ってみればいいじゃないですかぁー
メルさん寮で鼻歌歌ってるでしょ?ふぃっ」

『なっ!ああバレてらららららっしゃって』

確かに歌は好きだ。心の奥底を飛ばせるから。
だが、だが歌はいけないのだ。

『(幻影が暴走するからああああ)』

そう、メルは魔女見習い。人間である。
ここは魔界。居住地は魔界のバビルス女性寮。
幻影を見せるのを拒むためにもピンチになっていた


遡る事2時間前


『っち、駄目だなぁ…おめぇら出しちゃう』

そうサックスを口からはなし、横を向くと
オリアスやロビンたちが踊り魔法を使う姿が出ていた
メルの感情は直接幻影に反映される。

つまり感情が丸裸に見えると言うことであって。
かと言っても音楽は心の中を見せることでもある。
これは挑戦状だ。絶対に、幻影を作り出さずに感情を表せる。

『おっら!おめぇらいなくなる!!あうと!!!』

そう言ってメルは腕を横に振った
全く、意識をすればすぐに飲み込まれる

暗い世界息も出来ない世界で
口から空気の泡が離れていく

手を伸ばして掴んで掴めなくて
ずっとループを続ける赤いリング


それを引きちぎって、
勝ち取ったこの世界。





誰が、出来ないって言った???





ニヤリと笑ったメルはもう、
前を向いて必死に楽譜を読み込む
それでもある程度の限度はあって。
いざ目の前だと緊張はしてしまう。



ー***、*******、



何処かで流れたテレビからの音を思い出す
嗚呼、沢山聞いた音だ。繰り返し、私は。


音を紡いで、感情を乗せる。
声がすっと高い音まで飛んで行く
このまま、空に居れば
…いや堕ちて行けばいい



『ー“醒めない夢なんて”』


ここに無いと、教えて。


手を上げて、私は歌えたことに驚いた。
後ろを向くと誰も居ないのに、
少し寂しさは思うが


これが、感情と言うことに、手を強く握った。




そこから歌もいいなぁと思いつつ
寮に戻って来たらあれよあれよと
ステージ作られてて
私はどうすればいいですか!!!!




まぁ誰も居なさそうなのをきょろきょろして
トイレに行ったスージーが帰ってくるまでに
思いっきり歌ってみるしかないかとため息を吐いた


そうだと言ってスージーが
渡してくれたヘッドホンを付ける
どうやらここから音が出るらしい。


どういう仕組みか知らないが、
音が流れてきたのに少し落ち着いた。


嗚呼、前にテレビで聞いた音が聞こえる。
この曲がこの歌詞が、私の今にとても響く。
ヘッドホンに両手で触り
目を閉じて息を大きく吸う




ーねぇ

『…“心音を吐いてる”』

目を開けて

ー心音を吐いている

ーそれだけ

首を振って前を見て喉に手をおく
片手は胸を締め付けるこの感情を
振り解けないように掴む

『“曖昧なものだ 見えないものだ”』

(この感情の)

『“最適の治療法なんてどこにもない”ーー!!!』

あああああそう大きな声が出る
嗚呼きっと誰かには聞こえるだろうなとは思った
でも、この声が音が止まらない


ーねぇ!!

『“感情の判断はどうしたらいい?”』

ー心境の分別はどうしたらいい?

手のひらを空に本をめくるようにゆっくりと前に開いた
ヘッドホンに手が触れて落ちないように歌う

ー証明もしようもない不明瞭が

『“エラーを吐いては脈打つんだ!!!”』


嗚呼、


ー安寧も安楽もどうだっていい!

ー後悔の人生だとしたっていいからさ



それなら、

ーこの目が潤む病の、


『“理由は何なの?ーーあああああ”』



この素直になれない私をどうか見抜いてよ。
心という名前の不可解を、此処に無いと教えてよ。
どうか、貴方が教えてよ!!


『“永遠と静寂の戸をたたいた言伝
私は何時まで忘れているつもりだろう”』

少女が私の傍でこてんと落ちる
貴方の目が分からない笑う天使


嗚呼

『“心音を吐いてる”』

ー心音を吐いてる

ー本当は?


オリアスの様な姿の男性がメルの胸ぐらを掴んだ


『“乱暴に君が触れてくれたら”』

手を触って男性の目を見て眉をハの字にして叫ぶ

ーぽっかり覗く空白も埋められる?

手をずらすと胸元に空いた穴にメルは目を閉じて笑う
手を胸に当てて呟き、目を開いた

『“これが正体?”』

こてんと首を倒して男性が消える
表情にメスを入れて、本当を偽って。
愛情を投薬して自分をぐちゃぐちゃにして繕って
解剖できない手術台では

この心の答えなんてさ わかりゃしないよ

ねぇ?


『“醒めない夢なんて”』

ー此処に無いと、教えてよ


ねぇ!!


『“何回拒んだって 振りほどいたって”』

嫌だって、好きなのに逃げて過去にまで来ても


『“そうやってまた優しくするのでしょう?”』

オリアスの優しい瞳を思い浮かべる
ねぇどうか教えてよ


『“この目が潤む病の理由は何なの?”』


誰か教えてよ



『“この想いの名前は何なの?”Aaa』


大きく息を吸って吐く
嗚呼、カラオケとか行っても
どうせ知らない曲ばかりだからって
久しぶりに人間界の歌歌ってスッキリする。

帽子もかぶってないし服装も違うので
幻影がでる感じはなかったが、それでも
まるで居るかのように想像しながら
歌えてスッキリする。



『ふぅーー!すっきりしたー
アムドゥスキアス様用には無理だけど』

「あら?もう歌歌わないの?勿体ないわね」

そう言った声が背後に聞こえる
あれ?脂汗がダラダラと勢いを増して落ちる


『わ゛ー!わ゛ー!!わ゛ーーー!!!』

何時から!?

「貴方がヘッドホンを付けた辺りかしら?
まさかステージこんな豪華なのに
練習だと思ったんじゃないでしょうね?」

『そんなことないですよ』

音が今度は震えてるわよ。
そう半目で此方を見るのに
メルはひーんと泣き声を上げた

「…まぁ、聞いたこともない音だったのと
その音の情熱に評してアムドゥスキアスの名において
ランクUPしてあげるわ」

はいだしなさいと言われて持って来ていないと
首を振っていたのに、何故かポケットに入っているのに
首を傾げつつアムドゥスキアスにランクのバッジを渡す

「ダレスに昇格ね」

「「「えええええ!?ダレスうううううう!?!?」」」

『ぴゃあああああああああああ!!』

そう木の上からズボっと出て来た悪魔にメルは奇声を上げた
ななななんでと慌てるメルにあんた気付いてなかったの?と
アムドゥスキアスに言われ指を指される方向を向いた


「あんたが歌う時からずっとあんたの仲間聞いてたわよ?」

そう指を指したのは天井、
木の上幹にイフリートやダリ達
スージー等男性寮と女性寮のメンバーが
腰を掛けて見下ろしていた

『ぴゃああああ見ないで見ないで見ないで見ないでぇええええ』

「…本当に気付いてなかったのね」

そう深いため息を吐いたアムドゥスキアスとは違い
メルは顔を真っ赤にして頭を抱えて身体を丸めた
ダリ達がケラケラ笑って居る方向と真逆に向いて。

「でも素で歌った方が綺麗だなんて…
あのお方に似すぎててちょっと焼けちゃうわね。」

『ほぇ?あ!アムドゥスキアス様!!約束!!!』

「っ」

そう立ったメルが手首を腰に置いて
鼻息を荒くして上を見る


約束通り、ミレイユの事を教えて下さい!

と言ったのにそんなことだったかと
とぼけだしたのにえぇええと叫ぶ


「全く、良いわよ。教えるわ
…ミレイユ様はね、」

『うんうん』

「本当は魔王デルキラ様の妻ではないのよ」

そう言ったのにメルが目を丸めた
その現実に、メルは「え?」とも言えずに
口を開けたままアムドゥスキアスを見ていた



「ミレイユ様…いえ、ミレイユはね、あたしの恩人なのよ。
デルキラ様の妻と言って広めたのもサリバンとアタシよ。」


『(うそだ…なら仮説が一気に崩れる)』




ミレイユはでは


『待って!ミレイユは
…(いや待て何処の出身か等分かるのか?)』


この悪魔が?このミレイユを知る
唯一の人物でもある。



このアムドゥスキアスが?



「…不安そうな音しちゃって、本当に未熟者ね。」

『っ!』

「ミレイユは実際にあった者よ。
そう言ったら分かる子だってミレイユは言ってたから。」

それじゃそう言って消えたアムドゥスキアスに
ダリやオリアス達が降りて来て話かけてきたが
メルは首を傾げて考えていた。


『(事実にあるもの?何だ?
ミレイユは何かの物語の主人公だった?)』

確かにあのログハウスには人間界の知識も入っている。
ある意味自分の書庫は歩くウィキペディアみたいなものだ。
だが、あの中にミレイユの文字が一度も無かった。




と言うことは三つある。
一つはミレイユという文字をそもそも消した。
一つはミレイユの載っている物が存在していない。
一つはミレイユとは別の名前で存在している。

この三つが可能性として浮上してくる。

『待って、それなら何故
ミレイユは相応しい救世主と言った?』

いや…?

『待てよ?そもそも
ソティラスの文字はギリシャ語!!!』

つまりギリシャの方に
目を向ければ話が分かってくるかもしれない!!

『あれギリシャって何処だ?
えーとフランスのヨーロッパの方面だろ?
えーっとイタリアの靴の隣の、
エジプトだったか上の地中海の…』

「メルちゃん!!!」

パンと音が鳴ってわっと驚いた
何々と思い辺りを見渡す。
どうやら周りが見えてなかったらしい
ごめんとオリアスに謝る

それにいいよと答えられて、少し頭を下げた。
ミレイユの魔女の全てが今ほどけかけているのだ。

このままいけばきっと何かが分かる。
だが、目の前を見ないまま
突き進めばまた同じことになるだろう。


『えと、へへ』

「もーメルちゃんったらー!」

そうダリにつつかれてオリアスが
メルを抱きしめて距離を取らせる
あれ?過保護入った?
そう笑うダリにメルは大丈夫だよと声を掛けた

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