歌声も朗らかに、明るく若々しい雰囲気の中で
村娘たちが桑摘みの仕事に勤しんでいる。
桑畑は溢れんばかり幸福感のなか、
魔法使いと思われているタヴァンが現れ、陰鬱な調子で
「この娘たちの中には悲しい恋を経験するだろうよ」
と言うが、若い娘たちは取り合おうともしない。
そして、純真無垢な村娘の一人クレマンスが
「もし どこかの若くてハンサムな王子様が手を差し出してくれたなら」
と他愛もない歌を歌う。
農場主の一人である娘ミレイユは
「自分を誠実に愛してくれる男の人が現れたら」と歌う。
このメロディーは快活なクレマンスのものとは
対照的で滑らかな動きに支配され、自然に流れる。
他の村娘たちはミレイユが貧しい籠職人の倅
ヴァンサンに恋しているのを知っており、
貧乏人なんかと恋をするなんてと笑いからかって、
立ち去って行く。
ミレイユはそんなことは気にかけず
アリア〈ツバメの歌〉「軽やかな燕よ」を歌い、
幸福感を表現する
タヴァンがミレイユに裕福な人間と貧乏人の恋は不釣合いだと警告する。
一人残ったミレイユの傍らをヴァンサンが通りかかる。
ミレイユは桑畑に急ごうとするヴァンサンを
他愛のない話に引き込む。
ヴァンサンが妹のヴァンスネットはミレイユと同い年だが、
ミレイユは誰よりもきれいだよと言う。
2人は抱き合いもしも不幸が私たちのどちらかを襲ったなら、
もう一方が神の加護を求め、
サント=マリー=ド=ラ=メールの教会に
巡礼に行くことを約束して別れるのだった。
ー『ミレイユ』フランスの作曲家
シャルル・グノーが作曲した全5幕のオペラより
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『…あぁん?なんだ今の夢』
そう深いため息を吐いて朝を迎えた。
いやぁ最近こんなの多いな。そう思いつつ
髪の毛が水色に戻っているのに
やはり新月だったからかとため息を吐いた。
だがそんなこと今までなかったのになぁと思いつつも
身体を起こして風呂にする。
身体を綺麗に洗って香水をいつものようにつけて
髪の毛を乾かした後、
携帯が鳴っているのに気付いて電話に出た
ーあ、メルちゃん今暇?
『はい切りますね』
ー待って待って待って待って!!ちょっと!?
そう言ったのを聞いてピッと切った後
勿論携帯が鳴る。煩い今服を着替えてんだよ。
ーちょ何も本当に切らなくていいんだって!!
『だって着替えてるんです忙しい』
ー…あーごめん。マジごめん。
『ふっ…いいですって、それで?何ですか?』
そう電話の相手にメルは笑いつつ何の用事かと思い
話をふっかけた。
ーあのさ、今日の夜時間空いてるかどうかだけ聞きたかったんだ。
『今日ですか?…あー一応、空いてますよ。』
今日何があっただろうか?
冬休みに何があったかなぁと思い
頭をかきつつ服を手で掴んで
オリアスの言葉にメルはパサリと
服を落とすことになるとは思っていなかった。
+++++++++++++++++++++++++++
『…魔法使わないし、まぁ良いよね』
流石にしないしない。
そう言い聞かせて着た衣装に
メルはポッと顔を赤らめる。
オリアスからまさかの
お出かけ行こうというお誘いを受けたのだ。
つまりデートである。
…こらそこ、最近シリアスだったからって歓喜しない。
メルはふわりと広がり手首で締められた
白の長袖を着た上に茶色のダウンコートを羽織った。
下は膝下ふくらはぎまである長い黒のスカートを穿いて。
靴も冬用の少し肌色よりはグレーよりのもこもこが付いた
黒の靴を履いて出掛ける。
ポシェットは職場用と私生活用で分けており
基本的に回復薬多めが職場用。
戦闘用が多いのが私生活用。
逆に思えるだろうが、
私生活では魔法を基本的に使わないので。
危機的状況でも戦えるように一応思いっきり叩きつけて
言葉を放たなくても使える
少し厚みが薄い薬瓶を大量に持っていく。
今回は火炎系3種氷系3種雷系3種の計9つ。
回復は3つ位で充分だろうと思い、今度ボタンを押したら
元の大きさに戻れるように瓶を改造する予定だ。
ちなみにこの魔具の話をすると
魔具研究師団にスカウトされたが、
図書の方に重きを置いている為却下し続けている。
図書の方が楽と言うよりかは、
魔女の部分が控えめになってこちらは好都合なのだ。
魔具研究には今度お世話になる予定だ。
『えーーっと、とりあえずオリアス先生連絡しよ』
多分これで良い筈だ。
帽子を被る物がない為、出先で購入しよう。
何か付けて居ないと凄いスース―して何か嫌だ。
職業病だろうなぁと
思いつつ部屋から出て携帯に連絡を入れると
すぐに電話がかかってきた。
はえぇなおい。
『あ、はい今出る所です。
え!?来てるんですか!?
ちょちょとまってください!!』
おうおうおう!
移動用の瓶を忘れているがまぁ大丈夫だろう。
香水はばっちり水を被った時用に
予備もちゃっかり持って来ている!
ホールの方に出ると其処にはいつも
見かけないスーツとは違う服に身体を固めた
壁に背を持たれかけていたのは
何時もの仕事着ではないものの帽子を被り
ダウンコートを羽織ったオリアスが待っていた。
気付いたのか此方の方を向いたのに、メルは駆け寄った
『すいません!お待たせしてしまって…』
「いやいや、俺もさっき来たばかりでさ。
電話出たらすぐに来たから驚いちゃった。」
そう苦笑いをするオリアスにメルもまた苦笑いで返す。
何を買うんですかー?とメルは何時ものポシェットではなく
バックルが左右についたお嬢様が使いそうな手持ちバックの
ミニバージョンみたいな小さめの鞄を肩から下げて歩く
「ああちょっと本見に行く予定でさ。
ついでに食べてく?」
『良いですね!私も丁度本欲しくて』
「師団の?」
『ええ!そちらは?』
「こっちは教材。ちょっと師団のもあるけどね。」
攻略本かなぁー?そう思いつつメルは足を前に歩いていると
歩いて行きます?と聞く。いや飛んだ方が速いでしょ。
そう言って両手を広げられたので、メルはため息を吐いた。
『ん』
そう一言言ってメルは鞄を両手で持つ。
髪の毛は一応左右に三つ編みをして
後ろで1つにまとめていた。
ちゃんとオシャレをするようになったなぁ。
モモちゃんに会えてないのに。
と言うかいた気がするが全く
接点がなくてそのままになっていた。
今度モモちゃん探す旅に出よう。
そう思っていると身体が浮遊する。
サングラスは勿論認識阻害用のをちゃっかりつけて。
抱きかかえられた腕の中はとても心地が良くて。
目を閉じてすっと鼻で息を大きく吸った
冬の気温なのか冷たくてつい口から息を吸う
いやぁきついですわ。冬寒い。
『オリアス先生は冬好きですか?』
「何急に」
あと先生駄目だって。
そう言われてさーせんと言いつつ
メルはオリアスの身体から離れて
本屋に向かう為
繁華街を歩きながら会話を続ける。
人が多い為そっと手は繋ごうと言えず
腕の袖をきゅっと掴んでいると
オリアスが気付いて此方を見た
少しニヤリと笑い手繋ぐ?
と手を出してきたのに
つい首を横に振ったが
そっと小指と薬指だけ掴んだ。
何でそこ?と言いたそうな顔だったが
息を吐いて話題を持ち出した
「俺は好きじゃないかな。寒いし。」
『私まだ好きですね。
お布団気持ち良くて』
出れねぇよなそう笑うオリアスに
そうなんですよとメルもつられて笑った。
「じゃあ逆に夏嫌いなんだ」
『休みは長くて良いんですがね、
どうしても暑くて嫌で。』
エアコンあるじゃん。
そう言ったオリアスだったが
メルはやることが大体
汗をかくことばかりなので
正直それを言うと
夏が汗かきやすいからという
しょうもない事に気付かないふりをする。
「あついたね。
へぇー新しい本入荷してるんだって」
『へぇー、あオリアスせ…さん』
「おぉギリ防いだね」
アウトだったら何するつもりだったんだろう。
何?と聞いたのにメルは指を指す
『向こうの方行きたいのですが、
オリアスさん見たい方に
行って貰っても構いませんよ?』
「いやいいよ。
はぐれると怖いし、一緒に行こう。」
そう言ってオリアスが
メルが掴んでいた手を離した後
メルの手を
ぎゅっと握って手を引いて前を歩いた
それに少しキュンとなった胸に手を当てて
『きゅん?』と首を傾げつつ
オリアスの手を見ながら前を歩いた
『わぁ、これ面白そうだな
…似たようなのあるけど
こっちも買いかもしれない。』
「新刊も此処からとってるの?」
『いや、此処と言うよりかはもっと手前に
事前にお話しをしてから吟味して
まとめて購入しているんですよ。』
新年度が始まる手前にお話しして
入荷するので時期的には早いが
…まぁ今日するのもありではある。
本来休みの時期に調べて
入荷をしていたらしいし
あながち間違ってはいないのだ。
だが折角のデートなのに、
仕事のことを考えるなんて
『ふふっ、私も職業病だなぁ』
「え?なんて?」
『いいえ?なんでも。それよりも私
店員さんと話をしているので
オリアスさん行って来たらどうです?』
「いやでも…んー分かった。
何かあったら連絡する!いいね!!」
お前は私のパパか何かか。
そう思いつつ
メルははいはいと言って手を振った。
今は魔法は使えないものの
瓶がある為攻撃は可能だ。
…勿論部屋の外での話だが。
オリアスが足音を立てて
移動したのを確認しつつ
私は店員さんと会話を進める
「ふふっ彼氏さんですか?
愛されていますね」
『っえ!?ちちっち違いいや違わな…あれ?』
職場の先輩であり上司であり
彼氏だったのは前の世界の話で
今はまだ先輩や上司で止まっている。
何処までかは知らないが一通り
思い出しているのを知っていて
好きだから付き合おうが
今前の世界だけで
止まっていないかと考えた。
なので引き継がれるなら彼氏だし
もし引き継がれなければ
ただの先輩過保護止まりの男性という事になる。
ちょっと首を傾げてまぁ良いかと
店員さんが話を進める
「あれ?そうなんですか?
でもあの方とても優しい目と手をしていましたよ。」
『そう…なんですか?』
そう言ったメルはほぼ自信がなかったからで
店員さんはきっとそうですよと笑ってくれた。
うーん店員さん貴方
私初対面だけど好きだよ。
好き。
結婚しよ?
『あ、そんな話じゃなくてですね』
「新刊の注文ですよね?
もう取り扱っていますよ。」
『え゛あれでも私何も注文してなくて』
「先代の方からのお伝えでして、
小柄で優しい髪の色が水色の女性の方に
新刊の話をされたら渡せと言われまして。」
そう笑って図書で取り扱っている
リストを何故か渡される。
そのリストは前から図書を
取り扱い本屋に渡すチケットだった。
どうやら定期的に購入するので
本屋も気を使ってくれたらしい。
非常にありがたいが申し訳ない。
『ぇええ、すいません…』
「いえいえ!此方こそ毎年
ごひいきにして頂いて助かります。」
『私リニューアルしてから
一度も来てないんですよね。』
店舗名は何となく分かってはいたが、
悪魔に極力会いたくなかった為
裏方として悪魔の名前は知っているだけで、
実際本屋に来ること自体は初めてに近い。
もう指で数えられる位のレベルだ。
「そうなんですか?」
『えぇ』
本が入った小物を受け取る。
小包みの大きさ的にも縮小魔術は欠かせない。
都佑は念のため持って来ていた鞄から
縮小魔法の書いた紙を小包みに貼る。
すると小さくなったのに、
店員さんが驚いた。
「うわぁ!凄いですね!!」
『ちょっと魔術を使うの面倒で
たまにこうするんですよ。
すいません今日はありがとうございました!』
「いえいえ!」
本屋また来てくださいよー
そう言った彼女にメルは微笑み手を振って
その場を後にした。
『えーっと、オリアスさんに連絡連絡…』
そう連絡を入れて、
本屋の奥に進んでいると
先程一緒にいたダウンコートを
着ている悪魔を見つける
「お、もう終わったんだ」
『ええ!オリアスせ…さんの方は?』
「こっちも大体決まってこれから会計。」
ここら辺良くてさそう言って指を指した本に
メルはうんうんと覗き込んで頷いた
『でもそうやって
使われるのは嫌なんだよなぁ?』
「おっと」
そう横を通り過ぎて行った
男性の背中に雷瓶を投げて叩きつけた
何もしてねぇだろ!!
そう言った男性に向かって
オリアスが答える
「じゃあその左ポケットの中身を
今すぐ見せてもらおうか?
スった物が出てくるんじゃない?」
「っぐ!!」
『便利な物をそう悪い事に使われてるの
みすみす逃すなんてこと、出来ないからなぁ?』
仕方がねぇと言ってメルの方に
攻撃を仕掛ける男性にオリアスが
前に入り男性の腕を掴みそのまま背負い投げする
その反動でポケットから小さな本が幾つか出て来た
どうやら窃盗をしようとしていたらしい。
店員に確認するとまだ購入前のようで、
掴まえられて正解だった。
普通に店の外に行く感じだったからな。
『ありがとうございます。
私でも対処できたのに』
「いやいや、女の子にこんなことさせねぇよ」
大丈夫だった?そう言うオリアスに
メルは生返事で返した。
女の子?
女の子???
そう首を傾げたメルにオリアスが
「ふふっ、違った?」と笑って
口元に杖を持ったかのようなグーを作り
片目をウインクして聞き返す
メルはそっぽを向いて違うと答えた。
素直じゃないねぇと言うオリアスに
素直ですからと、素直じゃない返しをする。
そうこうしていると、
店員さんが寄ってきて
私やオリアス先生にお礼を言ってくれた
「すいませんありがとうございます!!
実は最近お会計が合わなくて困ってましてて
あの方良く来るんですけどひょっとして
全部盗られてたのかと思うと。」
『いやいや、これで合うといいですね〜!』
「そのついでと言うのもアレですが、
こっちのお会計お願いします。」
ほらメルちゃんも出すそう言って
メルが個人で読みたかった本を
必要とするオリアスの手に、
メルは首を横に振った。
幾ら何でも貰い過ぎは悪いと思ったのだ。
だがそれ位可愛いもんだよと言って
頭をぽんぽんと撫でてその隙に
手に持っていた三冊程の本を奪われた
『むぅ』
「ちっとは甘えてもいいんだって」
『嫌です〜』
だって甘えてしまったら、もう戻れないから。
いつか帰らなければいけない世界があるのなら
余りずぶずぶ言葉に甘えて
動けなくなってしまえば
私は何処にも行けなくなってしまう。
そう言うと、
それでいいじゃないかとオリアスが
店員さんのお会計を見つめながら答える
「俺の所が帰る場所じゃないの?」
そう言ったオリアスにメルがぴしっと固まった
あれ?そうオリアスがメルを呼ぶと
顔がゆでだこの様に赤くなる。
ちゃんと逃げないようにメルの腕を
掴んで逃げようとするメルを無視して
それではと店員さんにお礼を言って本屋を後にした。
「(君の帰る場所は此処以外に許す訳ない)」
もう君はこの悪魔の世界を
好きだと居場所だと言ってくれたのだから。
それが例え、君の抜け出せない
ループの世界で帰るべき場所に帰るとしても。
帰っても必ずこの場所に連れて帰ってくるさ。
本当に、悪い悪魔を好きになってしまったことを
どうか後悔してしまえばいい。