Novel - Paola | Kerry

it's just you


誰もすくえなかった子4

20/09/15
83

アルルの闘牛場に集まった村人たちが
プロヴァンス特有のファランドールの調べに乗って人々が歌い踊っている。

そこへミレイユが友人たちとやって来る。
さらに、ヴァンサンも現れるが、2人は恥ずかしがってあまり近寄らない。
そして、周りの皆は2人に恋の歌を歌えとはやしたてる。

それに応えて2人は〈マガリの歌〉「そよ風は優しくて芳しい」を歌う。
満足した村人たちは再びファランドールの踊りに戻り、
円形闘牛場の中に入っていく。

皆が去ったあとにひとり残ったミレイユところにタヴァンが近寄ってくる。
タヴァンは間もなく求婚する者が現れるだろうと伝え
シャンソン「今や恋の季節」を歌う。

これに応えて、ミレイユは「ヴァンサンを裏切るなんて」
とアリアを歌い、心情を吐露する。

タヴァンの予告通りウリアスが現れ、ミレイユに愛の告白をする。
ウリアスはミレイユの父ラモンにも
この結婚の承諾は得ているのだと説得を試みる。

しかし、ミレイユは全く取り合わず、急いで立ち去ってしまう。
ウリアスは競技場から出てきたミレイユの父ラモンに
ミレイユが自分にこんなにつれないのだと恨み言をぶつける。

いとも簡単に袖にされてしまったウリアスの傍らに、
籠作りの親方アンブローズが
息子ヴァンサンと娘ヴァンスネットを連れてやってくる。

アンブローズはミレイユの父親ラモンを訪ねて来たのだった。
事の詳細を把握していないアンブローズは
実はそれがラモンの娘だとも知らず、
息子が誰か裕福な家庭の娘に恋をして
悩んでいるようだと懸念を吐露する。

雄弁調の誇張されたメロディーに合わせて
ラモンはアンブロワーズにフィナーレ
〈父は父として語り〉を歌い、
父親と言うものは家族に鉄拳を振るい、
誰にも口出しさせない存在でなければならぬと説く。

ミレイユはたまたまその話を耳にして現れ、
正にその娘が自分であり、
自分は心底ヴァンサンを愛していると告白する。

父ラモンは屈辱感から逆上し、
ミレイユにヴァンサンとの
付き合いを断つと誓うよう強要する。

さらに、アンブローズには金が目当てで
お前の息子が娘をそそのかしたのだろうと
罵詈雑言を浴びせる。

アンブローズはラモンのあまりの無礼な態度に失望し、
息子を連れて立ち去ろうとする。
ミレイユは泣きながら
「ああ!足元に私は跪きます」を切々と歌う。

ラモンは聞く耳を持たず、
ヴァンサンとアンブローズに〈ストレッタ〉
「そうだ お前らなど地獄に落ちるがいい」
を歌い、これからは娘に会わせないと誓う。

ヴァンサンとミレイユはユニゾンで
私たちを引き離そうとしても無駄と歌い、
アンブローズもラモンに非難の言葉を返す。

村人たちもラモンの態度を非難する。
この場に居合わせたウリアスも
恋敵ヴァンサンへの憎悪が掻き立てられるのだった。


ーーミレイユ(オペラ)より、第2幕


+++++++++++++++++++++++++++


メルは目を覚まして、
ここはと言った後頭を手に当てて
頭の痛みを緩和していると、
気付いたかとオリアスが傍に寄った


「気を失っていたんだよ」


『そうだ!ロザは!?わたしっぐ…』


「落ち着け…ロザは姿を消した。メルちゃん
君は翼を出してとある女性に
落ち着いて貰って意識を失った。」


女性?そんな人いただろうか?
そう疑問に思うメルに

髪の色や姿を話すイフリート達に
メルの顔が崩れて行った

青ざめていた顔を
首を横に振って落ち着いて言い出す


『…それは私の、いや多分ロザが
言っていた人間のあの子ですね。』


「人間?」


『私の前世はどうやら天使だったようでして。』


「てん…はい?」


そう追い付いていない
一部の悪魔を放置して
メルはしゃべり続ける


『私は仕事で人間界に降りていて、
そこで誤り人を1人殺してしまった。

その子が都佑という女の子だったようです。
その子を蘇生してまた死なせたのに後悔していた私が、
ミレイユと死に際に会って魔女になる呪いをかけてもらった。』


「成る程、だから転生した時に魔女になれたと。
そして天使だったので、また天使にしてやるから
帰って来いと言われたってことか。」


『さもないと魔界を破壊しに来るって』


「…成る程、前の世界ではメルちゃん
あんなにキレてたのはそれでも天界から
降りて攻撃しなければいけなかったからか。」


え?そう言ったメルに、
ダリは何でもないよと答えた。


「ではその方を拒否したら
天界から戦争を出すと言うことですか?」


『流石にそれは避けたい…
と、思っていたんですが、
どうやら彼女に怒られてしまったようで。』


彼女?そう言ったオリアスに
メルは先程緑髪の女性がと答えた




あの子が人間であった都佑という女性だ。



『彼女がずっと居てくれると
言ってくれたのに目覚めちゃって
馬鹿な事してるのは
あっちの方なのになぁって。』


首の後ろが痛みを伴っていた。

恐らくもう…悪魔の印は
消えて無くなっているだろう。

いよいよこの魔界にいる時間が
酷く限られることになった。

悪魔の印を他人から奪われる
ということは、死ぬに等しいものだ。


嗚呼、余りこういうのは言いたくないのだが。
どうしても話さないといけないらしい。
全く過保護なのは目の前の悪魔達だけで充分だ。




「それでもその彼女に関しては
お礼を言いたいレベルだな」


「ですねぇ。あの暴走したメルちゃんを
一瞬で止めた子ですから。」


『彼女との約束は覚えていませんが、
ただ会った時は
心が安らいだのは覚えています。』


嬉しそうにただ笑う彼女。

それだけでもう幸せな世界の中。

きっと人間界の知識のほとんどは
彼女からの知恵だ。


同じ名前の少女でも女性でもない間の人間。
無邪気でただ無垢な何も知らない様な姿の子。




『すいません、ちょっと
外の空気吸ってきますね』


そう出て行ったメルに、
イフリートとスージーは顔を見合わせた





+++++++++++++++++++++++++++



『…ったく、何でこう上手くいかないかな』


しかもこの年末という滅茶苦茶忙しい時に良く来るわ。
本当に魔界から居なくなってやろうかとも思った。
まぁそう思って実行できる自分ではない。

どうせこの場から出て行かないだろう。
少女が、あの子が言うなら…私は。


『別に君が居ればそれだけで
よかった気がするんだけどなぁ』


首に手を当てて後ろの印を
確認するがどうも分からない為

後で鏡で見ないとなぁと
ため息を吐いたら息が白くなる



嗚呼、本当に冬なんだなぁと思った。


『…きっと死んだって
どうあがいたって
天界が此方にせめてくるなら。』


一瞬真っ白にしてしまえばいいと
思った自分が恐ろしく怖かった。


このまま消えて無くなったら、
それこそ真っ白な世界と同じだ。



あの何処行っても何をしても
白い世界に、一人ポツンと居るのは
それこそ頭がおかしくなって嫌になるだろう。


メルは女性寮の屋上屋根に
体育座りしたまま
はぁとため息を吐いた



『それにしても魔女の帽子だけしか
被ってないのによく魔法使えたな』



まぁ体力かなり削がれたが、
どうやら成長はしている?っぽい


これが変な命を削っていなければ良い話なのだが…
全く、いっそのこと天界潰せたらそれで…あ


『天界潰したらどうなんだろ…』


というか、熾天使してんし
本来かなり上の天使だ。

確か悪魔の王となったルシファーも、
堕天する以前は
最上級の熾天使であったとされている位だ。




そのランクに位置していた
前世の私って一体誰で何者だ?

名前が思い出せないし、
何なら天使だった頃の記憶なんて正直一切ない。

一欠けらも残っていないのに、
帰って来いにはいそうですかで応答するわけもない。


彼女らに何がメリットあって、
私にメリットがあるかが分からない。


そもそも何故レイが私と
分裂しているのかもまだきちんとした
現状理解が出来ていない以上、
増やしてもらっても困る話なのだ。




『ぐわああああほんともうやめろ
…一年位放置させてよほんと。』



ここ数年ずっと追いかけまくって
追いかけられてる気がする。

もうお祓い行きたいな。

お祓いしても悪魔だけじゃない?
天使って元々良い方面の立場だから

それは無理では?



おこだよ????



『ひとまずお礼はしておかないとなぁ』

あ、それにしてもどうして幻影が出たんだろう?
僕無意識だったのに。
幻影じゃなかったら…一体。


「お、こんな所にいたか」


『オリアス先生!!ちょ、
大丈夫ですかこんな場所まで』


「それ君が言う?」


そう女性寮の上に座っていた自分が
いうものではないなと
メルは苦笑いした


「どう?落ち着いた?」


『ええ、ひとまずは。』


「そ。早く中入っておいで。」


そうだ風邪ひいてしまうだろう。
まぁ悪魔は風邪ひかないらしいが…


風邪というのが悪周期なのかなと思ったが
どちらかと言えば生理なのかもしれない。

いや定期的に来るわけではないから
何とも言えないかな。


そっと寮に入って息を吸って
吐いているとくしゃみが出た
うう、今日はあったかくして寝ないとな。
熱が出てしまえば大変だし。


「そいじゃ、俺はこれで」


『助けに来てくれてありがとうございました…』


「ううん、此方こそ
…助け呼んでくれてありがと」





そう微笑んで頭をぽんぽんと撫でたオリアスに
メルは少し照れ臭くて笑って部屋に入った。


勿論次の日無事に風邪を引いて、
一日ゆっくりと休んだのだった。

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