Novel - Paola | Kerry

it's just you


守るべき場所であること3

20/09/15
94

「あ帰って来た」

『お待たせしましたーいや予想以上に荷物合ってすいません!』

5分が15分に伸びて帰って来たメルはというと
背中にリュックを背負って帰って来た
中からは食材が幾つか入っていたのだ。


それも見た事もないような白い物から緑の葉っぱ


それにロビンとオリアスが固まる
あのこれは?そう指を指した
オリアスにメルは答える

『それうちの遠い故郷の食材ですよ。
オリアス先生もロビン先生も結構食べる方です?』

嗚呼入間君程じゃないですもんね?
そう言ったメルにそりゃあそうだと
オリアスは言った


彼の胃袋の底なし具合は噂に聞く位だ。


ならと言って通常男性が食える位の量で作るかぁと言って
メルは荷物を持ちそのまま調理室に向かおうと言ったので
オリアスとロビンは移動することにした。


「あれ?オリアス先生どうされたんですかこんな所で」

お、良い匂いそう鼻をスンスン嗅ぐのは
見回りをしていたイフリート先生だった

匂いにつられたと言っていたイフリートにオリアスは
メルちゃんが料理振舞うって言って調理室へと答える

メルはというと、一つの調理台を借りて包丁を使って
食材をひたすら切って切って切りまくっていた。
ロビンはそのお手伝いとしてフライパンを持って何かを炒めていた。

『あ!イフリート先生じゃないですか。ご飯食べてきます?』

多分あと二人分くらい余り出る位取って来ちゃったんですよね
そう言ったメルにイフリートはいいの?
と首を傾げるのに大きく頷いた。

包丁がメルの指を刺す前にロビンが手を使ってメルの腕を取った
よそ見厳禁!そう言ったロビンにメルはごめんと言って集中する
少しひやりとしたオリアスだったが、イフリートと会話を続けた


「それにしても何を作ってるんですか?」

「どうやら炒め物とスープらしいです。
もう少しで終わるって言ってたんですけどね」

ロビンが更に飾り付けている間にメルが鍋に具材をぶち込む
それにしても災難でしたねとイフリートが言うのにオリアスは
身体はメルの方を向いていたが、
イフリートの方を目だけ向けた

「まさか教師を狙うとは…末恐ろしいこと考えますね」

「まぁアレでもかなり練習していたんですがね。
本人曰く生徒傷つけるのは怖くて怯んじゃっただそうです。」

「あはは…彼女らしいっちゃらしいですね。」

「あの後バラム先生とダリ先生から大目玉食らいましたからね」

メルは起きて保健室でダリとバラムから怒られていた。

教師とあろう者が生徒に捕まってたまったもんじゃないと。

それにはメルも反省して、
反省文と追加で特訓を入れられている。


ちなみに生徒にも協力させる予定だからと言ったバラムに
メルが顔を青ざめていたのだが、
誰も助けなかったのは自業自得である。

生徒自体は教師から推薦を入れての話にはなるが、
まぁ夏休み前には始めようとしていた。



「…彼女は此処バビルスの悪魔ですから。」

「…ええ」


そう言ったイフリートにオリアスは一言だけ答えた
それに目を閉じて大きく身体を伸ばした

「まぁ逃げれなかったわけでもなく
ただ捕まえる予定が捕まえられたってだけだろうしね」

「それが駄目だから追加なんだよなぁ」

ははそうですねそう笑ったイフリートにメルが声を掛ける
どうやら食事が出来たらしい。見たことない色にほぉと声を上げた
ちなみにちゃんと手は洗っている。

「これメルちゃんが?」

『いえロビン先生もですよ』

「味付けはメルちゃんだけどね!」

俺炒めて皿に盛るだけだったよ

そういうロビンにメルは苦笑いした
切るのが楽しくてついつい切りまくったからだ。
仕事を与えれなくてごめんな。

『中身はお答え出来ませんが、
野菜炒めと野菜のスープです』

それでは

「いただきまーす」

そう言ってご飯に手を伸ばす
それに美味いとロビンが声を上げた
そう?と言ってメルは
首を傾げつつも嬉しそうに笑う

「本当に美味い…メルちゃん食堂出来るんじゃない?」

『いやロビン先生炒めるの美味かっただけですよ
これめっちゃ美味いですね、火良い感じに通ってる。』

「とりあえず噛んで食べな?」

そう言ったオリアスの言葉は半分無視しつつ
メルは黙々と野菜に手を付けた

そう言えば前夜祭は何も見てなかったなぁと思っていたが
明日また遊べばいいかと思いつつ、仕事を水で流した。


「マジで美味しかった…」

『へへ、そりゃお粗末様です。』

「今度また食べたくなるねこれ」

『男性寮に料理私しに行くんですか?』

色々大丈夫?そう苦笑いするメルに
たまにはいいんじゃないと言うイフリートに
止めとけとオリアスが首を横に振る

「あの量作らせるとか鬼だろ」

「皆沢山食べるからね〜」

そうケラケラ笑うロビンが女性寮では作らないの?

と言ったロビンにメルは頷いた。


そもそも女性陣が少ないと言うのもあって
量を沢山作っても食べれる自信がないのだ。


必然的に個人で食べることが多くなる。
まぁたまに会議で飲み会みたいなことをする時はあるが
ノリが良くないと務まらないし、
特に食べる理由が見当たらなかった。

『ええ作りませんよ。
私もたまにしか料理してませんし。』

「え!?まさかカップ麺!?」

『それはたまに食べますが、
基本的にストックがあるんですよ。』


それ持ってきたらよかったのにと言ったロビンだったが
メルはあんなものを皆さんに渡せるかときっぱり断った。

一人で食べれる物は大体形を綺麗に保ってはいないし
それに魔法をかけて時間を止めてたりするが
日持ちも永遠ではない。

精々一日が半年に伸びた位で、
日付を書いてはいるものの
食べたい気持ちが入らなかったりして放置していたりもする。


案外作り過ぎると満足して食べなくなったりするものだ。



「へぇーそうなんだ。
じゃ俺はこれで」


『おやすみなさいー』


そう手を振ってイフリートとは別れ、
そのまま休憩室に戻る。
歯を磨いてもう本当に寝るだけになった。

がらがらペッと口から水を出して
綺麗にしたメルは荷物から本を取り出した。

それは?そう言ったロビンに最近の趣味ですと言った。

今日は薬剤系は無視して、物語の本を取ってきていた。
いい加減逃げずにやらなければいけないからだ。


全くこの類の面倒な本が沢山あると思うと頭が痛くなる。


「え?これ読めない…なんて書いてるの?」

『…んー、言えないですね
私もちょっと知らない言葉入ってるし』

「え!?何でやってるの!?」

『コピーですよ。
コピー機使うのはもう何か
…負けな気がして。』


それに魔女の文字が案外好都合な気がする。

コピー用紙になると印字は
機械であり見るだけはまだ良いが
この本実は全て何かしら
違和感を抱いて気になる様になっている。


恐らく前に書いた者の力だろう。
薄々感じているが、
これが大事なら手書きでないといけない。
次の世界に、渡す為に…
渡すことが無ければいいのだが。



「え?待ってコレをどうするの?」


『これは保管用です。いざと言う時の
避難所を作ったので、そこに置く本ですよ。
ちなみにこれでえーっと…本棚四つ目ですから』


え?そう言ったロビンとオリアスにえ?とメルは答えた
この本と同じ量を?そういうオリアスにメルは頷く。

『あと100冊切った位ではありますが
まあそれで終わりですし。
夏までには完成させたいですから』

手伝おうか?そう言ったのに必要ないですと答える。
その間もひたすら本の文字から目を離さない。

「え?待って日課でやってんの?」

『ええ寝る寸前までこれです。
一応明日の授業ないので今日はこれで寝るだけだと。』

「…授業あったらもしかして付け加えるだけ?寝てる?」

『睡眠取ってますよ、それに…いつ死ぬか分かりませんから。』

そう目を細めたメルにオリアスは唾を飲み込んだ
力を持っているメルが居なくなる
その時、一体どんな世界が広がっているのだろうか?

反省文から逃げるなと言ったロビンに泣く泣く
メルはそっと反省文用にペンをスラスラと書き出した
どうせ10枚も書くのだ、
それで今日は終わりで良いではないか。

一時間もせずに用紙をまとめたメルは背伸びをした
ロビンがもうすでに半分寝ているのを見て
オリアスは寝てしまおうと笑ってメルの頭に手を置いた

左からロビン、メル、オリアスの順番で布団を敷いて眠る
それにメルはふふっと笑ったのにどうした?
とオリアスがメルの方を向く

『いや、何か家族みたいに川の字で寝るなあって』

「男に挟まれてますけど?」

『いやロビン先生元気だけど
料理作るお母さん的な感じして』

「俺お前のお父さんなの?」

「嫁には出しませんからね?!」

「ロビン先生?!」

そうメルを抱きしめて言うロビンに
オリアスが身体を少し起こして焦る

それにメルは笑って楽しいと
言ってロビンから離れて自分の布団に戻り
天井を見て手を空に伸ばす


『こうやって寝るのって久しぶり、だなぁ…って』

ーねぇ!**!ずっとこうやって寝れないかなぁ!!

ーそうね、**。貴方が大人になったら難しいかもね。

ーえーやだ!じゃあ大人にならない!!

我儘言わないの。そう言った女性にメルは首を傾げた
これはなんだ?この場所は

「っメルちゃん!!!」

『っ!!…ごめんなさい寝ぼけてました』

一体アレは誰の記憶だろうか?

少し寝るのが怖い

そう思いつつそっと布団を被った。


おやすみなさい、そう言って皆が静かになった頃

メルは目を閉じた


+++++++++++++++++++++++++++


手を伸ばすのに届かない
誰かも分からない光に伸ばす

後ろから手が伸ばされて身体が闇に入る
駄目だ、呑まれてはいけない。


「ー君を、待っていたんだ」

そう言ったキリヲにメルは首を横に振った
違うお前を倒さなければいけない
メルは身体を振り返りキリヲに攻撃をする

血の匂いにやったと思い顔を上げる
その顔は姿は、キリヲではなかった

パサリと落ちた髪に、メルは目を見開いた


「貴方が、寂しそうにしてたから…私は貴方に」

『っ!!何で!?何で貴方が、って言うか
貴方はどうして私の名前なの!?』

「シエル…ごめんね、助けて上げる
…私がこれを差し出すから」

そう言って女性がメルに向けて心臓を差し出した
それは血の色でもグロテスクな心臓でもない
ただ、ハートの形をしていた物を、渡していた




「貴方が私になれば、
貴方はもう泣かなくて済むでしょう?」



その声で、メルは目を開いた
布団でぬくぬくとしていた時間も
花火を見ていた時間も、
あれは全て、シエルの記憶だ







シエルにメルが渡した記憶だ





では、私は?私は一体誰になっていたのだ?
私は…シエルなのか?それとも…君か?

微笑む女性の名前は、分かっているのに。
声に出すことが出来ないまま手を引いた


「君が居られたらそれだけでいい」

『…私は、シエルなの?』

首を横に振る女性にそうとメルは言う

「私はシエルが死にそうだったからあげただけ。
ちょっとだけ一緒にいて、
ちょっとずっと居られるようにしただけ」

『…君は、どうして』

手を後ろに回してもじもじした後嬉しそうに笑う
その姿に、何処か記憶がある。
嗚呼、君は…私だったのか。


人間界で、少しだけ生きていた小さな子供。
ミレイユが見つけたのは、恐らく子供の方ではなくシエルの方だ。
だが子供は気付いた。シエルが狙われていることを。

そして自分がもう長い時間過ごせないことを。
気付いて、そして命をいや命よりも大事な者を差し出した。

それは間違いなく誰もが否定するようなものを
いとも簡単に、軽々に子供は差し出したのだ。






心という感情を、天使に渡した




そして転生した時にメルの感情を引き継いで
シエルは生まれ変わったのだ。
寂しくないように、人間の感情を持って…いや違う



人間の魂にシエルが取り込まれたのだ。
その子は、生贄になってもいいと言った。
シエルに取り込めばきっと次も狙われるから。

だからこの心を感情を全てを
魂を混ぜ込んでしまえば
その者になるし、もう寂しくないよ。
そう言って…手を取ったのだ。



手を取った始まりはーーーー天使を救う為だったのだ。












  • ">
  • ">
- 94 -
*前次#
/utakata3/novel/67/?index=1泡沫の白昼夢