サント=マリー=ド=ラ=メールの教会の外
信者たちが舞台を横切り、神の加護を祈りつつ、
讃美歌を歌いながら教会の内部に入って行く。
幸いにも傷の浅かったヴァンサンが姿を現し、
ミレイユを必死に探し、
彼女の無事を祈るカヴァティーナ
「天国の天使達よ」を歌う。
覚束ない足取りでミレイユが息も絶え絶えに現れて、
2人は感動的な再会を果たす。
オルガンの響きが聞こえて来ると
意識が混濁したミレイユは
ヴァンサンとの結婚式の幻影
「聖なる陶酔、崇高なる恍惚」を見て、
しばし喜びに浸る。
すぐに体力が無くなったミレイユは
ヴァンサンの腕の中で気絶する。
後悔した父ラモンはミレイユに許しを求め、
二人の結婚を認めようとして近づいてくるが、
彼女に生きる力は残っていない。
最後は宗教音楽を得意とするグノーらしい
荘厳な場面となっており、天上からの
「われらに続いて、神の元に行きましょう」という
女声の歌に導かれ、壮麗なコーラスと共に
永遠の祝福を受けて天国に昇るのだった。
オペラミレイユよりー最終章
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メルは目を覚まして朝になっている事に気付く
手を開いては閉じて、胸に手を当てた
トクトクと音が鳴るのに息を吐いた
『…私、前世でも馬鹿なことしてんじゃん』
私は、人間だった。
そう前世でも私は岡本都佑だったのだ。
天使が何らかの事情で、メルの元に現れた
それにメルは付き合っていたのだ。
天使だと言うことを言わせて…知っていると答えた。
寂しそうに言う天使に、自分が似ていると思ったのだろう。
両親から見放されたわけではない人生だった。
だが、自分が生きている感じがしなかったのは事実で
ああもうすぐ死ぬんだろうなと思ったら
この天使を置いて死ぬのは嫌だと直感で感じた。
どうせ寂しいなら、一緒に入れれば。
連れ去れないように、守るために。
魂ごと、感情を全て天使に全て捧げてしまったのだ。
そうしたら、何処に行っても寂しくないと。
なんの変哲もないただの人間だった。
強いて言うなら、少し魔法を使ってみたいと思っていた。
何処にでもいるただの人間で
誰かを怒らせる天才でもあった。
だからそっと距離を離れていただけだった。
人間界の記憶があるのは、
メルが前世でも同じ状態で生きていたから。
学校の記憶とかもその類だろう。
…だが、魂を混ぜるなんて
そんな芸当が人間が出来る訳もない。
それにシエルはそれを望んでいるとは思えない。
もし望んでやっているなら、
成功したらどんなことが彼にメリットがある?
天使から逃げ出す程のことをやらかして?
逃げれないで結局悪魔の世界にまで来て、
こうやって悪魔と一緒に暮らしている。
…嗚呼、なんて
『馬鹿なんだろ』
さ、起きて身体を動かすかそう思い身体を起こす
勿論オリアス達を起こさないようにだ。
トイレにもいきたいし。
メルは身体をそっと起こして布団をたたんだ
…これから、どうするんだろう。どう説明する?
オリアス達に、この記憶を話した所で
私は人間で、天使に捧げた者だと言うのか?
それにシエルが本当に居なくなったわけではない。
レイの状態もどういう仕組みかもわからないし
仮にレイがシエルだったとして、
メルを殺しに来る理由が分からない。
助けてくれたからもう用無し?
ソレは流石にないだろう。
あったとしても、
魔女にさせてしまった弔いだろうか?
どちらにせよこの記憶はまだ整理した方が良い。
…シエルの為にも、過去の自分の為にも。
笑って居たあの女性はかつての自分だったというのに
えらく寂しそうに笑って居たんだなと思った
嗚呼、寂しそうにしているのは一体どちらなんだろう?
『(朝食は大丈夫そうだしってか本祭で食えば良いか)』
メルは衣装に着替えるために荷物に手を取った
隠れれる場所もない為、
布団の近くでそっと着替えればいいだろう
パジャマを脱いで地面に落ちる
ああそう言えば昨日のブラのままに寝ていたな。
着替え何処かなと探していると
何やら左から視線が感じれた
ちらりと見ると、そこには口を少し開けて驚いてる
オリアスが見えた…ん?何で口パクパクしてるの?
「ん〜むにゃ、あれおはぶっ」
『ロビーーーーン!!!!!』
起き上がったロビンに横からオリアスが枕をぶん投げた後
急いでシーツをロビンにかぶせて早くとメルを急かす
何だろうと思って下を見ると、
下着を着ているのがパンツだけだったのに気付いた
『〜〜〜〜〜!!!!』
「…わかったら早く着替えて」
みないから。そう言って
耳まで赤くなったオリアスがそっぽを向いた
すっかり忘れていた。
皆起きてないからと言って油断したのが悪い。
慌てて着替えだすメルにオリアスはホッと息を吐いた
「…もぉ、過保護」
「っるせぇ」
そうシーツの下からロビンが
オリアスの方を向いてニヤリと笑う
無事に着替えた後メルは後ろを向いて
着替えて良いですよ!と言って
シーツを掴んで自分を包み込んだのを
見たロビンはオリアスと一緒に笑ったのだった
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着替えも終わり、荷物もした後
今日流石に泊まらないよね?
と疑心暗鬼になったメルはサリバンに連絡するが
魔法が使えて調子が良いなら良いよと言われた。
ちなみにバラム先生に見られながらテストするらしい。
おぉおうぅ…メルちゃん終了のお知らせである。
流石にこの忙しい時は一人で休むには悪い
という訳で、木を隠すなら森の中。
メルはオリアス達と一緒に
師団を回る事になった。
何時もの魔女服を着て、
ポシェットの中身を確認する
「準備OK?」
『OKです!』
「じゃいきますかー」
そう言ってオリアスがドアを開ける
オリアスやロビン共に教師服に着替えていた
昨日の前夜祭を踏まえ、
本祭の披露を教師と生徒が評価
生徒は自分の師団以外で
評価したい師団に投票するぞ!
そして何より、
本祭には生徒の家族が来るのである。
来るのである。
『な・ん・で!ヴルがき゛て゛ん゛の゛っ!!!!』
「いやー祭りという話を俺の親友が言うもんでねぇ?」
『誰だよお前居たかよ』
そうサラッと冷たく言うメルに
ヴルが誰って決まってんだろ?
と言って指を後ろにさした
ヴルの後ろからはやぁと言ってダリが出て来た
「お久しぶりヴルー元気そうだね」
「おう!こんな面白い宴なんて…どこぞの魔王以来だわ」
『嗚呼…頭痛い』
どんまいそうオリアスに言われつつメルは頭を抱える
まさか使い魔が来るとは思わなかったそれも家族で。
奥様がダリやメルの方を向いておじぎをする
「いつも主人がお世話になっております。
メル様、先日はお助けにいけず申し訳ありません。」
『っうぇ!?あっ!いえいえ!とんでもないです
顔をお上げください!!!』
「我がヴィーヴル族が貴方の危険に感じず
行けなかったのも…使い魔ではないから、
とか言葉では足りません。」
『私充分助けてもらってますけど!?
あと言っておきますが私使い魔取りませんからね!?』
そう言った後女性が舌打ちを大きく撃つ
それにダリ達が気持ち引くのにメルはおい!と叫ぶ
『全く…取れるわけないでしょ、
ヴィーヴル族とか重すぎるわ。』
「それにしても良く来たね、お金ある?」
「嗚呼、一応これで良いか?」
『…お兄さんやそれね、
500年前の通貨。
分かった分かった出すからほら』
そう言ってメルは予め
持って来ていた現金を彼らに渡す
かなりあの森にはお世話になっている為
恩返しにしては安いだろうが
渡しておいて損はないだろう。
あとサリバンにお金を請求すればいい。
割と悪魔の思考になってきたな。自分が怖いわ。
心の中で苦笑いしつつ、
メルはダリ達と別れて屋台をめぐることにした。
ヴルは入間という奴を知りたいと言っていたので
ダリが恐らくついでに見せに行くだろう。
どうせ主役だ、きっとワイワイしているだろう。
お礼を言うのは後にした方が良いと思い私は
ひとまず外から回っていきたいとオリアスに言う
それをするならアレどうにかしろと指をさす方向には
早速場所から離れてロビンが屋台をめぐりだした
うわあああ何してんの!?と焦るメルに
それかもう放置する?とオリアスが声をかけた
「…このまま逃げちゃおか」
そう言ってメルの顔近く、
耳の隣まで顔を降ろして囁く
流石に悪いと思い首を横に振ったメルだったが
オリアスがそっかとクスリ笑う。
メルの顔は真っ赤になっており、
YESと言っているようなものだったのだ。
手を取りオリアスはメルを
連れて外の方に走っていく
「良いんですか?あんなことして」
「…二人にした方がずっとラッキーかなって」
そう言ったのはダリがロビンに声を掛けたのだ
空気読めるねぇと言ったダリだったが
どうやらロビンはそういう訳もなかった
ただ屋台が気になって集中しただけだったのだ
ふぅん?と言ったダリがぼやく
「
メルが笑って今度は
オリアスの手を掴んで走る姿を遠目で見る
嬉しそうに笑う姿に、
ついつい頬が緩んでしまうのを
誰にも見られたくなくて口元を手で隠した
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『あ!スージー〜!』
そう言ってメルは魔植物師団にお邪魔する
前もこんな場所あったなぁと思いつつメルはスージーから
鉢を受け取り此間の森のお詫びとしてお花を咲かせにきたのだ
オリアスの手を繋いだまま入ってきたのに
スージーが仲良くて可愛らしいねと言ったのに
いつもならメルかオリアスが手を離したのだが…
『へへっ!良いでしょ!!!』
そう笑って寧ろ見せつける様に手を前に出したメル
夢で見た少女の様に笑ってみせた
メルにスージーは目を丸くして固まった
オリアスもまたスージーと同じく固まる
それにあれ?とスージーとオリアスを見るメルに
オリアスはブッと息を吐くように笑い帽子の唾を上げ
スージーにこたえた
「…いいでしょ?」
「…ええ!とっても」
あげませんよ。それは私の方ですよ?
とスージーが言った事に
気を向けずにメルは鉢を眺める
あーそう言えばあの天使に会う前に優しい時間を見たなぁ
ーメル、これ
そう言ってくれた緑髪の女性の目は顔はまだ分からないが
どうかあの時と同じような花を見たい。
クワンクワン、そう唱えると未来とは違う花が見えた
緑色の草に、花?と生徒が言った
緑の草から幾つか白とピンクの花が見える
今の私なら、これがぴったりだと思ったのだ。
それにメルはふふっと笑ってスージーに渡した
『はいこれちょっと置いとくね』
そう言って咲いた花をブチっとちぎる
それにああああと叫ぶ周りに
メルは構わず席に座り編み込み始め
これはねぇと話し出す
『シロツメクサっていう花で、
白とピンクの花を咲かす。
小さな小ぶりの葉は基本3枚なんだけど、
レアなのは4つの葉なのよ。』
「え?でもこれ全部4枚じゃ…」
『そこら辺に生えるのはそうだよ
…でもそう願ったから出て来たのよ。』
四葉のクローバーは満月の夜、
魔女たちによって集められる。
日中、若い娘たちが完全なる
幸福のしるしを探求している間に、
彼女たちはそれをバーベナ
その他の原材料と混合する。
そういう言い伝えを伝えていると、
出来たと言ってスージーの頭に冠を置いた
白とピンクに緑の四葉のクローバーが入った冠だ
魔女らしくあれ。
『知識も足して…これでどうですか?』
「ふいっ、充分ですよ。ありがとうございます。」
それは良かった。そうホッとする
メルにスージーは花言葉とかあるんですかと聞く
それに嗚呼ありますよと声を出す
本来楽園から追放された者が
持っていたものとされるこの四葉のクローバー
『3枚の小葉を「信・望・愛」
そして4枚目の小葉を幸福ということで
幸運がやってくる四葉のクローバーとして有名なんですよ。
どうかこれから先幸運がやってきますように。
そう思いを込めました。』
「ふいっ、なんだか愛の言葉みたいですねぇ」
『へへ!約束とか幸運とか意味ありますよ!
私スージー先生大好きなので!!』
ふんふんと鼻息を荒くして答えるメル
威張っているのがまた可愛らしくスージーは笑ってお礼を言った
それにあらあらとメルにスージーが近づく
「そんな可愛らしい事をいうなら
…本当に連れて帰ってしまいましょうか?」
そう言ったスージーに、オリアスがぎょっとして
メルの腕を取って自分の身体に押し付ける
警戒するオリアスに、あらあらと嬉しそうに笑う
「大丈夫ですよ…取りませんから」
「目が笑ってませんよ…」
『???』
首を傾げていたメルにオリアスが次と言って歩き出す
それに待ってと言いつつスージーにぺこりとおじぎをした
「…幸運、ねぇ。」
そう言って頭に置いてくれた四葉の冠を手に取り
胸元まで降ろして眺める
魔女の話を聞いてスージーはふと先程までいた
メルのことを思い出した
満月の下で願うメルを想像して、クスリと笑った
最近ダリがメルを狙っていたのに少し嫉妬をしたが
メルを狙う理由が何となく分かってそんな苛立ちも消えてしまった
彼女は、とても真っすぐに育つ
光がないとただ不安そうにするのに
光が見えたらすくすく成長するのだ
そんな素直な子を自分の思い通りに育てられると思えば
一体どれ程の悪魔が手に取ろうと思うのだろうか?
オリアスに少し大人げなかったかと思ったが
ダリが夢中になる気持ちが少し分かってしまった。
嗚呼、アレは我らの物で間違いないと。
「…貴方がそのままで居られればいいですよ」
笑顔で入れなくなれば此方に来ればいい
そうしたら、誰にも見せられない位
深い森の中で飼ってあげよう。
ただ、今はまだ泳がせてあげよう。
少しくらい、貴方の甘い蜜を啜ったって
何も減らないくせに。
オリアスの目付をみて余計に欲しくなってしまった。
これは俺の物だと言いたそうな目に
…つい弄りたくなる。
今度この話をダリにすれば
きっと彼も面白がって協力してくれるだろう。
通常の悪魔であれば、
此処まで惹かれることはないのに
彼女は悪魔であっても
きっと惹かれる存在になるだろう。
悪魔ではない、魔女だから?
いいや、彼女だからだ。
魔女でもきっと惹かれない。
笑って走って行ったメルが、
ただ笑って居れれば…
「そうですね、きっとそうだと思いますよ」
そう言ったスージーの声に
自分の声を誰が言うのかと後ろを振り返る
今まで生徒がいたのに、
自分と似た者以外気配が一切しない
強いて言うなら、クローバーを持った時からだ
「…貴方は?」
「ふぃっ、私なら分かりますよね…?
何も言わなくてもは流石に駄目ですよねぇ」
「皆さんはどちらに?」
「少しお話をしたくて貴方だけを連れて来ました。
…そのクローバーがあったお蔭でやっと来れたのです。」
昔はそれではなかったですがそう笑うスージーに首を傾げず
ただじっと彼女をみていた。
「あの子が欲しいですか?この場所に維持したいですか?」
「…何が言いたいんですか?」
「メルさんはこの場所に維持出来ません
…少なくとも私の未来では。」
「どういうことですか?」
そう睨むスージーに怖い怖いと答える
私は未来から来た貴方だと言ったのに
スージーは信じる訳もない
「メルさんを完璧な魔女にしてはいけません。
中途半端な状態で完璧な魔女にすると、
この世界が滅びますよ。」
私の世界の様にそう言った彼女にスージーは睨む
一体何の話をしてくるのか。
「メルさんはきっと私や
この場所を好きだったから
…守ろうとした。」
「何を貴方は何をしにここに?」
「貴方にこの記憶を引き継いでもらいたくて来ました。
きっとこの記憶が貴方をいつか助けてくれると思いまして。」
ダリ先生たちも
消えてしまわれて退屈なんです。
そう笑うスージーのような女性に、
スージーは目を丸くした
彼女の言っている事が植物を
使用しても同じように防がれているから
というのもあるが、
どちらかと言えば、
彼女の言葉が正しいからだ。
噓発見器的な素直になる
粉末が入った植物をかけている筈なので
間違いなく彼女の言っている事は本当である。
…どうやら、本当に未来から来たらしい。
「未来ではどうなったんですか?」
「…メルさんは私達を倒そうとして
天使の状態で此方に来ました。」
「…な」
「最初は幻だと思ったんですが、
突如黒い少女を解き放って殺したんです。
それが核だとは思いませんでしたが、
挙動がおかしくなったのを見て察しました。
嗚呼彼女はもうメルさんではない
…べつもので殺されてしまったのだと、」
「そんな未来に居る必要性はありませんし
過去を変えれば何とかなるかもと言ったのに乗っただけです。
そんな未来にしたければ私はこのまま居ますよ。」
でも、もし都佑が居なくなって
敵になる日が嫌だというのなら
手をどうか取って欲しいと
手を出して来たのに、ふっと笑った
「勿論、そんな未来此方から願い下げです」
そう言ってスージーは彼女の手を取った
すると身体に記憶が入り込んで
行くのに痛みは不思議としなかった
嗚呼、やはり痛みは知っているのかと。
「…どうか助けて、過去の私」
そう言って溶けて消えた女性に、
スージーは当たり前だと言った
笑って居たメルの姿から
一瞬で血まみれの女性に入れ替わる
その姿を、誰が2度と見せるかと。
スージーは誓ったのだった
ストラス・スージー
ー未来の記憶を継承済み