『わーー!綺麗!!!』
「でしょでしょーー!!」
そう笑うメルにオリアスは一息ついた
メルがリードの言葉を聞きつつ
魔女帽子とは違う帽子を被っていた時
スージーから逃げるように離れて
何処に行こうと考えていると丁度リードに出会い
家族と少し会話をしてから彼の持ち場でもある
遊戯師団に遊びに来ていた
今試験的にメルが帽子を外して
違う帽子を被って世界を渡り歩いているらしい。
場所は此方でゲームを指定できる為限られているのだが
オリアスはメルから帽子を預かり黒い帽子を少し目を配る
黒の帽子と言ってもよくみると先にひし形の金の金属が光る
帽子のつばの中央には赤い帯が入っていた
かなりシンプルな形である。
中にバッジが入っており、
軽く渡してくるのは信頼されているのか
それとも荷物持ちだと思っているのか分からないが。
元気そうに笑って遊ぶメルに少しほっとしたのだった
オリアスは親御さんと一緒に回っておいでと伝える
此処には生徒がいなくなるが、その間は教師でそっと見て置く。
それに持ち場に来なかった生徒は減点だと言ったオリアスに
容赦ねぇとリードが言った
ではお言葉に甘えて、そう言って
リードは両親と一緒に歩いてその場を後にした
一息また息を吐いたオリアスの横には
メルが帽子を浮かして遊ばないと首を傾げる
いや他の子来たらまぁと言ったオリアスにまぁそうかと
言ってまた帽子を被る。
と言うか熱中しないのかこの子はと、
ふと心配になったオリアスが
メルに話しかける。
「ねぇメルちゃん戻って来れるよね?」
『ああ熱中したら帰れなくなる奴ですよね!
大丈夫ですよー必ず帰りますって…だって此処じゃないから』
私の居場所は、確かにあの場所だった。
そう言ったメルの目は見えなかったが
ただ口が閉じたのを見てそうとだけオリアスは答えた
「…ねぇ、メルちゃん。ごめんね」
『何がですか?』
「昨日」
『…私もすぐに対応しなくてごめんなさい。
あの時報告したら間違いなく発動させると思ったので』
「それは良い判断だと思うよ、
俺やダリ先生だってもそうしたさ」
『まさかあんなものが出回っているとは
思いませんでしたがね…ったく酷いもんですよ。』
「…怖かったでしょ」
『違いますよ』
嘘。じゃあ何で涙出てるの?
そう言ったオリアスに
唾を持っていたから口元が見えていたが、
手を離すとすっぽり顔ごと入る
泣いてません、そう言いたそうなのに何も言わず
ただ帽子の下からぽろぽろ涙が落ちていく
それにオリアスはメルの背中を優しくさすった
「よくやったよ…よく、生きてくれてた。」
そう言ったのに首を横に振る
帽子だけが揺れているように見える
「ってか使い魔か何か召喚出来たでしょ?
何でしなかったの?」
『…オリアス先生か皆誰かが傷付きそうだと思ったです。
僕が死にかけている状態みたら、きっと怒りに任せて
あの子を殺しにかかると思ったから。』
嗚呼、だから呼ばなかったのか。
危険だと思ったから。
『魔力があってもきっと攻撃肉弾戦しかしなかった』
ああでも、魔女ってバレた時は怖かった。
そう言ったメルにそっかとオリアスはうなづいた
『でも夢を見たんです。花火を見る夢』
「え?」
『緑髪の少女が僕を見て笑って呼ぶんです。
その子が慌てて何処か行ったと思ったら事故で血を流してて
手を取ってると手に血が付いたのと同時に横から翼が見えた』
『翼は白く羽が生えていて、祈ったんです。』
どうか、傍に入れられますように。
その言葉で、誰の記憶なのかがやっと判明したのだと。
メルは帽子を外して髪の毛を降ろすように揺らした
水色の髪の毛ではなく、淡い緑髪な髪色に目を丸くした。
『その子と僕が本当にどっちかが分かりません。
ですが、僕は間違った選択をしたとは思えませんでした。
ただ、すがすがしい気持ちだったのですから。』
「…メルちゃん」
『天使だって悪魔だって人間だっていい
…僕は此処に、貴方に会えてただ幸せなんです。』
だから、今は少しだけ。
淡い緑髪を愛させて欲しい。
そう言ってメルは帽子を外してオリアスに抱き着いた
温かい。そう言って頬を首に擦り付けるメルに
オリアスはそっとメルを優しく抱きしめる
『きっとこの姿で居る時がきます…その時また』
そう言ってメルは指を鳴らす。
すると髪の毛はすっと水色の髪の色に、
青い目の色も水色に変化して元の姿に戻った
「幾らでも待つさ」
『ええ』
淡い緑髪の姿は、きっと過去の前世の自分その者だろう。
まだ自信がないのだろう…もし人間だったとしたら、
魔法も何もかも奪われてただ一人ぼっちだったという
現実に向き合いたくないだけで。
だから、それまでもっと強くなってから…向き合いたい。
いや今向き合おうとしている途中なのだ…それなら嗚呼それなら
僕は、この髪色だって、愛してしまえればいいと思う。
怖いけど、この悪魔が隣にいれば…きっとどんな事でも楽になる。
そっと抱き着いていた身体を離した
するとタイミング良く生徒と同時に
お客さんがやってきたどうやら交代らしい。
オリアスはメルに帽子を渡して彼らに交代する事にした
『(きっと大丈夫…君を、僕は信じるよ)』
例え世界が崩壊しても、
それでもきっと君を取ろうとするんだろう。
…もし、世界か君かの選択肢が来た時、
僕は一体その時どんな選択をするのだろうか?
君を取ったら、どんな残酷な世界が
待ち受けているのだろうか?
嗚呼、きっと僕は嘘を付くから、
君を取らないんだろうな。
++++++++++++++++++++++
夕方、おっと出くわしたのは
入間と理事長、そしてオペラのサリバン家だった
メルはオリアスと一緒に回っていた為
すっかり入間の事を忘れていた
「いつもメル様がお世話になっております」
「姉がいつもお世話になっています」
「っいいえ!そんな頭を上げて下さい!!ちょ入間君!?」
あはは、そう苦笑いするメルにオリアスは
予想外の反応に慌てふためいていた
ちなみに後ろの景品は?とのメルの言葉に
サリバンがついついと話を流す。
やり過ぎにはアレほど注意しましたよね??
そう言って腰に手を当てて今にでも角が見える様な迫力に
サリバンがぎょっとして涙を流す
正座をさせて説教できるのは数少ないものだろう。
『全く、ちっとは他の悪魔にも譲らせなさいよ。』
「でもー」
『分かったんだったらハイ言う!!』
「ハイ!!」
よし。そう言ったメルに良しじゃないよ
ねぇとオリアスがツッコんだ。
「メルちゃんも遊びに行ったら?」
『いやいや、これ以上させる訳にはいきませんよ』
そう指をさしたのに嗚呼と苦笑いした
『それにもうそろそろ夜だから花火上げるかと思って』
そう言ってメルが入間に
はいと言って一つの球を取り出す
これあげたらと言って
指を指したメルに入間が
分かったと首を縦に振った
約束の時間になり、花火が打ち上げられる
夜空に花が咲くように舞うのに周りも息をのんだ
メルが渡した球が飛ばされ空高くで光を放つ
すると後から大きな音が
鳴り出して幾つか綺麗な花を広げた
『(嗚呼…君と見たあの花火と同じものが見れているよ)』
今この魂にもし、居てくれているなら、どうか笑って欲しい。
あの大きな花火を見て、僕は全てが変わったのだから。
どうか、自慢して欲しい物だ。
「初めてだったからね参観するのは…大事な孫の前で
良い所見せたくなっちゃったんだよ」
『…全く、加減してくださいよ?』
そう言っていると、
リードの声が聞こえるのにメルは振り向いた
「お!入間一家とオリアス先生にメル先生だ!!」
その声におおとメルもリードの名前を呼ぶ
するとねぇーと言いながら此方に向かって話し出す
「きいてよーうちの姉ちゃん寝坊だよ!!」
『あはは…』
「さっきあったら財布取られてさぁ…」
「いーな入間くんとこは!」
「自慢の家族だろ」
そう言ったジャズに入間が、目を丸くして止まる
入間はにこりと笑い、メルの腕を掴み
サリバンの前まで寄せた
その後オペラとサリバンの腕を掴んで嬉しそうに笑った
「うん!いいでしょ!!」
そう笑ったのに、メルは目を丸くした
急に腕を掴まれて驚いたが、
なにより自慢の家族という称号に
自分も入っているのかと驚いていたのだ。
優しく頭を触れてくれる感触を思い出す
あの人たちとも僕は自慢の家族と言えただろうか?
「…よかったね、自慢の家族だって」
『ええ…とっても』
ーあー皆さんどうも!
そうアナウンスが聞こえて空を見上げた
ーさぁ!本祭も終了まであと少し!!皆楽しんでるかな?
本部から重大発表、順位を発表すると言うことに周りがざわつく
生徒は移動の為、メルやオリアスも持ち場に戻ることにした
++++++++++++++++++++++
場所は体育館中央に伸びる線を左右で分けて
全校生徒が入ってワクワクと順位発表を待っていた
すると声が入り、周りがざわざわする
「プレゼンターは我らが会長!アザゼル・アメリ!!」
「皆ご苦労だった、今年も盛大で
賑やかな披露になったことを嬉しく思う!」
ではそう言って少しざわつきを落ち着かせた
「早々に表彰へ移ろう!まずは第3位!!」
努力賞サキュバス師団
「前夜祭・本祭ともにその華やかさで
大いに祭りを盛り上げたという票が集まった。
商品として豪華師団室を贈呈する。」
続いてそうパンパンと動くアメリ
「続いて第2位!凄いで賞魔術開発師団!!!」
「魔術体験コーナーなど
生徒との交流を通じ魔術の発展に貢献!
新魔術にも目を見張るものがあった!!」
「商品は団費増額と希望商品の贈呈です!」
そう言って表彰されてる中、
ダリ先生が惜しかったね(笑)
と言っているのが聞こえた
それに流石に苦笑いしてしまう
声は聞こえなかったが、
特賞を取る勢いなのは分かった。
「それでは最後、皆準備はいいな?」
「2日間の師団披露その中で最も評価された第一位の師団」
「皆で彼らの栄誉を称えよう!!」
栄えある特賞はーーーー
「放送師団!!!」
その言葉に周りがわーと歓声を上げる
「師団披露中の度重なるサプライズやトラブルに
冷静かつ迅速に対処し、
2日間絶えず放送を続けた忍耐力は賞賛に値する。」
そう言って表彰を貰っている中、入間の方を見る
拍手をしているのに笑顔が作り笑顔だ
まぁそれもそうだ…
「選外…ですか?」
「君たちの団長が起こした事件性を考えると
披露を正当に評価する事はできない。…分かってくれるね?」
そう言ったダリにはいと入間はしょげて答えていた
まぁ自分も正当な評価は今回入れていない。
と言うのも正直捕まえられての昨日今日なので
正確な判断ができないと思ったからだ。
その話をダリに伝えると分かったと一言返事で許可を貰った。
下手に入れて上げられる師団の方が可哀想だからだ。
では閉会をと言ったのにマイクを取った者が声をあげる
キーンと言ったマイクの音に少し耳が痛くなる
「粛に」
「本来ならばここで閉会だが、1点報告がある」
「今回の師団披露は例年に比べ特にトラブルが多かったその中で」
「教師に報告をせずに、自分たちだけで
危険かつ派手な披露を成し遂げた師団がある」
「本来懲罰すべき案件だが、学校中から得た圧倒的な指示を無視するのは
師団披露の方針に背く。よって…教師陣で討議をした結果。」
「新たに賞を設けることにした。」
「トリッキーで賞。商品は代表者1名のランクを1昇格させる。」
「こんな賞を獲る馬鹿どもを皆で嘲笑ってやろう…」
「さっさとあがってこい」
「魔具研究師団」
その声に大きな歓声が巻き起こる
カルエゴが入間の胸倉を掴んだ後少し此方を見た
それに首を傾げるが、何かを話したのだろうか?
ランクを無事に上がった所を見てほっと安心した
「…ほっとした?」
『ええ、少しだけ』
そう笑ってオリアスに微笑む