「ーアレは言ったんだな」
『うるさい』
「ーやっぱり怒っただろ?」
『言わせないようにしてたんだけどねぇ〜』
オズに嫌な思いはさせたくない。
だから言わない様にしてはいた。
…最悪自分が死んだ時人間界に来れば会えるよと。
そして自分の居た場所のメモも
バラムに渡した用紙の中に記入している。
ヴルにも伝えてるから、確実に行ける。
もし、もし僕が死んだ時は
『…僕もお星さまになれたら』
君とずっと傍に入れれるのに。
それが僕の死んだ時の唯一の願い。
僕はとっても欲張りだから。
君の傍に居たい気持ちは、きっと僕の方が強いさ。
そうならない為にも、僕は今日も特訓をする。
オリアスやバラムをほぼ毎日ように出している。
夜には軽い発作で吐血を繰り返す。
そんなある日、夏休みに入った所だった
飲み会があって今回も無理矢理入れられて
夏休みに入った時、バラム先生やダリ先生に
特訓と言うこともあって体育館を使用していた。
『っ!ダンダリオン!!』
胸を刺されたダンダリオンが消えて居なくなる
持ち手にいるメンバーを考慮しても圧倒的に不利
攻撃してくる相手はイフリート先生とオリアス先生にイチョウ先生
思いっきり攻撃特化と防御特化のメンバーだった
「躾なってないんじゃないの?
ダリ先生そんな弱くない筈なんだけど」
『っ!!イフリート!!イポス!!!』
そう言ってメルが横に手を切り
イフリートを呼び出す
ソレに無駄だと言って追い込んでいく
勢いが増したのに集中を途切れさせずに
イフリートがイチョウ先生の方に
切りかかった瞬間だった
『っごほっ、ごほっ、がっ(あっ不味い)』
イフリートが消え
イポスも消えて居なくなると同時に
メルが咳き込み胸を押さえて倒れた
「っ!!メル!!!!」
『っごほっ、ごほっ、がっ、はっ』
ぴしゃりと音が鳴りつつ
体育館の床に赤いものが零れる
それに駆け寄っていた
イフリートとイチョウが固まった
『っごほっ、ごほっ、ごほっ…ぐ、ごほっ』
不味いこの咳中々止まらない。
最近鮮明に作り過ぎたからか
体内の再生が間に合っていない。
回復薬に手を伸ばすが
丁度先程使ったばかりでなかったのに
職員室か自分の家かと考えるも頭が働かない。
「メル!メルおい!!
しっかりしろ!!!メル!!!」
「俺ブエル先生呼んできます!!」
「メルちゃん!メルちゃん声聞こえる!?」
『ごほっ、ごほっ、くっ、ごほっ』
咳がずっと止まらず言葉にすらさせてくれない
吐血の量が何時もより多い…
不味い、もう時間が無いのか?
体重も体力も大分付けていたが、
どうやらかなり厳しい状況らしい。
『ぐっ、ごほっ、かはっ』
「水飲めるか?ゆすぐだけでもいい」
そうメルにそっと水を入れる
オリアスにメルが首を横に振った
今入れると不味い、更に来ると思ったからだ。
口に含んだあと、べしゃりと口から戻すと一緒に吐き気が来る
嗚呼、今日の占いは最悪だったんだろうなと
何処かで全く違う事を考える。
優しく背中をさするオリアスに、
メルは息を吸ってはいているしか出来なかった。
「ブエル先生呼んできました!!!」
「メル先生!!オリアス先生これは一体」
『っ、ぐほっ、“我が、血よ、清めよ”』
人間の血を薄めるために魔法を使い
何とか薄めることが出来た
その代わり反動で吐血するのに、オリアスが叫ぶ
「っ!馬鹿!!使うなっ!!」
『ぐっごほっ、ごほっ』
「“ヒール”!!!」
そう言ってブエルが回復を行うと、
メルの咳が止まるかと思った…が
「…止まらない?」
『ぐっ、ごほっ、っ!!ぐほっ!!』
盛大に吐血したメルが涎をたらしながら
息を吸って吐いて数十秒
水と手を出したのにオリアスがそっと口に浸ける
呑み込んだメルがそっと起き上がろうとするのを
オリアスが駄目だと抑えつけた
『ブエル先生の、ヒールは、僕に、効かないです』
「何故…まさかそれは、」
「どういうことですか?」
「メル先生のその吐血は
…元からということですね?」
ブエルの家系魔術は
どんな傷でも回復が可能だ。
だが傷という範囲に入っていなければ
痛みは勿論おきるし痛いものは痛い。
なのにメルから何も来なかったのは傷ではない。
それはつまり
「元から?」
「ええ…恐らくその家系魔術を使用した
副作用と言うべきでしょうか」
『はは、ばれちゃ、っぐごほっ、けほっ、けほっ』
「メル!!…お前
そんな大事な事
どうして早く言わねぇんだよ!!!」
『だっ、て、どちらに、っぐ
ごほっ、しても、じかん、ないから』
青い顔で起きようとするメルを駄目だと
首を振ってオリアスが抱きしめる
それにブエルも起きないでと首を横に振った
「今は安静にした方が良いでしょう」
『や、ちょっと、回復したらまた出来ます…だから』
「駄目だ。今日はもう終わり。
ブエル先生ありがとうございました。」
そう言ってオリアスがメルをゆっくり抱き上げる
ヒューヒューといつも言わない呼吸に辛さが伝わる
青い顔で吐血したのにまだ戦おうとするのか。
『でも、』
「いえいえ、お大事になってください。」
「俺とイチョウで片づけるんでメル先輩を寮に」
「申し訳ない!あと頼んだ!!」
そう言ってオリアスが歩き出したのに
メルが待ってと言って後ろを見る
それに駄目とオリアスが低い声で制した
「もう充分特訓しただろ?
アレ以上出来ないって
身体が悲鳴上げてるじゃん」
『っ、でも、前はもっと』
「最近よくやってるからその積み重ねだろ。
暫く休んで良くなってからにしよう。
俺からダリ先生や他の先生に言っておくから。」
『…ご迷惑おかけします』
「うん。だから暫く魔術も魔法も禁止。ね?」
うっ。それはログハウスに帰れないというのにも至る。
仕方がない…暫くログハウスに篭っていた時もあったため
これはまた帰らないでいる方が良いだろう。
寮に帰ると、まぁモモノキが
泣きそうな顔で青ざめてお出迎え。
スージーも何処か少し怒っている
ような顔で僕の顔は別の意味で青ざめた。
「ダリ先生から話は聞いています。
メルさん?貴方最近また夜寝てないでしょう?」
「っえ?本当ですか?!」
「ふいっ夜時々起きてるの目撃者がいるので」
『(スージー先生!?ちょ手厳し過ぎない???)』
「メル先輩、私、私〜〜〜」
嗚呼泣くな泣くな泣くんじゃない!!!
君の涙に僕はとんでもなく弱い。
…ちょっと頑張り過ぎちゃったかな。
本も誰かに渡せるような状態には
あと一冊で完成になってきている。
だから一応場所さえ教えたら後継者は作れる。
…あと二年、ミレイユと居た時よりかは少ない時間だ。
『ごめん、ちょっと吐血しちゃっただけだよ』
「その割にはちょっとの量が多かったですが?」
『…ごめんなさいです
ちょっとじゃなくて大分ですね。』
「よろしい。ではすいませんお邪魔します。」
どうぞどうぞと言ってスージーが答える。
後で色々聞きますのでと言ったのに
一体何を言わなければならないのだと考えた
「ったく、で?どうして
あんな状態になるまで放置してた??」
『それはその』
「一応言っておくけど
嘘ついたらどうなるか分かるよね?」
うっ。
自室に運ばれてベットの中で
オリアスの方から目をそらした
きっと外から誰かが聞いているだろう。
余り言いたくなかったが仕方がない。
嗚呼、本当に全部バレてしまっては困るじゃないか。
『…あの魔術は完璧すぎる故に、
長時間高度な集中をし過ぎると
吐血するんです。』
「やっぱりブエル先生が
言ってたのがあたってるってこと?」
『正確には蓄積されるです。
その蓄積が頭痛みたいに引き起こり
体内で爆発した魔力に身体が傷付いて』
「待って待って待って待って!?
そんなにやばい魔術だったの!?」
『僕の感じる感じ方がまずいのです。
爆発みたいに想像するものばかりなので
体内でも同じような事が起こり
回復は適度にしてるのです。』
「ああ、あの回復薬ってそういう効果あったの。
ってか最近俺やイポス先生を出し入れしてたのって
ひょっとして吐血防止?」
そうだ
『長時間出し続けるのが悪いので、
なるべく引っ込めては出してを繰り返してたのです。
そのおかげで吐血は其処まで多くなかったですし』
「そこまで?待って?
前まで何日に一度出してた?」
『えっと、その…週に一度』
「はい嘘。本当は?」
『…ここ、毎晩ずっと。
でもちょっとだけなのです!!
手にちょと出るくらっごほっごほっ』
「ああこら…無理に強く言わなくて良いから。」
そう背中をさするオリアスに
メルがこくこくと頷いた
『でも、此処まで沢山吐血したのは初めてに近いのです。
前も何度かありましたが、ちゃんとセーブしてましたし。
それにどれ位耐えれるのか見ておきたかったのです。』
「…それでも、流石に急に倒れて
吐血されたらゾッとするよ」
ごめんなさい。
そう何度目かの謝罪に
良いよとオリアスが答えた
「にしても吐血は魔力が無くなる証拠?どういう状態なの?」
『正確には感情の操作のミスです。
感情の起伏が魔力となり、力に変わるんですが
勢い余り過ぎて飛ばせないまま
身体の中に維持されて爆発した時に吐血するのです。』
「…それ体の中大丈夫?」
『回復薬を適度に入れていれば
基本的に中は大丈夫ですよ。』
流石に死ぬ位まではならない。
勿論血を沢山吐いてしまう為良くないのだが。
『部屋の中の回復薬も、
多分職員室の回復薬も丁度切らしていた筈なので
一度ログハウスに戻らないといけないのですが』
「駄目だからね?」
『ですよね…なので、暫くはじっとしてるです。』
一応身体自体は動かして問題ないと言ったメルだが
いや安静にしときなさいとオリアスから言われた。
「例えそれが魔女の力だとしても、
いざと言う時に戦えなかったら不味いだろ?
とりあえず一週間は安静にしとけって」
『しぬぅ…本も後一冊で終わるのにぃ』
「安静にしていればなんでも良いから。ね?」
そう言ったオリアスに、メルは
ううんと言ってベットの中に潜り込んだ
それにふうとため息を吐いたオリアスが
メルの部屋から出る
扉を閉めた時には何人かが
メルの前にいるのに気付いてはいたが
予想以上に人が居ることに驚いて
手をしっしとあしらって移動する。
+++++++++++++++++++
場所は男性寮と女性寮の間に位置する共同ホール
たまに使うホールだったが、そこに何人かが移動した
「メル先輩の容態は!?」
「一応回復傾向かな?
彼女曰くやらかしただけだって言ってたけど」
「まぁ多分違いますよね。
間違いなくやり過ぎた感じがしましたし。」
舌打ちして力を込めて手を上げた時
痛みを生じて吐血したメルを
思い出しながらイチョウが喋る
「ええ。ちなみにここ毎日寝不足らしくて
原因が吐血していたっていうことが分かったので。」
「っえええ?!アレをずっと!?」
「吐血するのがバレたら今の状態から
落とされるのが怖かったんでしょう。
今彼女からしたら丁度良い感じだろうし。」
男三人に詰められて力を使用しながらの攻撃。
メルにとってはかなり良い特訓練習になっており
かなり調子も良かった時に、一気に体調が崩れた。
まぁ隠してちょこちょこ吐血していたことさえ言えば
此処まで大量に吐血する事は無かっただろうが…
「暫くは安静にさせます。
モモノキ先生スージー先生
すいませんお手数をおかけしますが」
「ふいっ、任せて下さい!
メルちゃんが倒れては困りますからねぇ」
「私も!彼女のこともう少し見ておきます。」
「よろしくお願いします。じゃ俺達はこれで」
そう言ってオリアスが帰るのに、
イフリートやイチョウもまた
会釈をして男性寮に帰って行った
「…で?実際の所はどうなんですか?」
「何が?」
「いやオリアス先生肝冷えたかなって」
「ほんっっっとに冷えた。
もうほんと止めて欲しい。」
「あはは!ですよねぇ〜いや急に口から
血吐かれて変な事しちゃったかなって思いましたよ。」
でも事情がありそうですし、
そこさえ何とかすれば大丈夫でしょう。
そう言ったイフリートにオリアスはうなづいた
「にしても強力な上で身体に
ダメージが入るのはまぁ痛いですね…」
「吐血する事が分かったら
今凄い戦えてるのに抑えられる気がして
嫌だったから言わなかった。
って彼女言ってましたからね?」
「まぁ適度にやってもらうしかないよねぇ。
オリアス先生不味いって思わなかったの?」
「いや全く思わなかったから
肝冷えたんじゃないですか」
「だよね…」
「ダリ先生とんでもなく冷えてたよね」
「あーーー、説明した時
「は?」って言ってましたよ。」
目開けて青ざめた表情で。
アレ凄い見たことない顔でした。
まるで自分の子供が死にかけたみたいな顔で。
まぁ何年も見て来た子だから
我が子みたいに可愛いのは分かるが。
「マジですか」
「ええ。出て来た時
ダリ先生煩くなると思いますよ。」
「それか静かだったりして」
「うわっ、それ怖い奴じゃないですか。」
「まぁ一番怖かったのは見てた俺達だけどね」
「「それはそう」」
そう言った二人に苦笑いする
「にしても強いよなあの家系魔術」
「元よりも強化されてる話聞きましたが実際どうなんですか?」
「え?あー確かにミレイユ様の前に
まだ居たとかの話をしてたから
でもそこら辺曖昧らしくて今調べてる。」
「何せ数千年前の悪魔ですからねぇ〜」
悪魔も長生きではある。
だが数百年数千年の単位であって
メルの維持している家系魔術は
数億年単位に近い程遠く消えた悪魔だった。
「元々は一体しか出せないとか数百人出せるけど
軍隊っていう影に近いものだったとか?」
「なら俺達出せるってかなり高度ってこと?」
「多分…メルちゃんの事だから
知らない悪魔を出すの怖いからって
俺達出してるでしょ。」
「「あーーーーありそう」」
「それにそんな軍隊だした時とか
絶対あいつ死ぬからさせない」
それはそう。そうイフリートとイチョウがハモるのに
お前ら何してるの?とツムルが入ってきた。
この後メルの話をして、ツムルが顔を青ざめて
魔インしたのはまた別の話だ。