Novel - Paola | Kerry

it's just you


純粋才能2

20/09/15
2

「にしてもオリアス様とそんなことが…」

『今思えば本当に奇跡なのか呪われてるのか分からないんだよねぇ』

「いや最初だけでいいだろ…なんだよ呪いって」

そうジト目で見るオリアスにメルは苦笑いした
メルは今まで起こったことを大まかにではあったが
リンとリオンに説明をした。

うんうんと頷いたり、顔を青ざめたり驚いたりと
喜怒哀楽が激しくて面白かった。


「成る程オリアス様は家系魔術ラッキーハッピーがあるから
余計にメルの野生の直感と相性が良いのかもね。」

『野生の直感…いやまぁ確かに直感で方向決めたりするけど』

それはまた違う気が。そう言ったリンに違うの!?とメルがツッコむ。

「にしても、そってか…貴方は一度。悪い事を聞いてしまったわ。」

『いいよ、僕はあの子を救ったことで今こうやってオズと入れるんだから。』

ねそう言って笑うメルにオリアスはそうだなと
答えるかのようにうんと首を縦に頷いた


「にしてもその天使と組んでるって言うのは
ひょっとしたらクラインの檻かもしれないなあ」

『クラインの檻?』

「えーっと、メル貴方前の世界では何処の地方出身?」

『えっと、日本って言ったら分かる?』

そう言ったメルにどっがらがっしゃんと
言いそうな音で椅子から転げ落ちるリンに
大丈夫かと声を上げたオリアスだったが

すぐにメルの前に「本当!?」と
食いかかってきたのに

メルだけでなくオリアスも
ぎょっとした顔で後ろに背を逸らす


『え?ああ、うん…そう、え!?
待って!?ひょっとして!?』

「その通りだよ!!あたしもそう!」

あっあたしって言っちゃったそうてへぺろと言って
舌を出すリンにメルは首を傾げた

『えぇ…地方は何処?』

「東京」

『あーーーーーーーー』

「メルは?」

『私高知の方…』

「うっっっっわ田舎」

うるっっせぇ。
そう言ったメルにリンは苦笑いした。

「年号は?20世紀あたり?」

『まぁレ点使わない日本語』

「うぅうん、まぁ…うん。
大体日本語同じっぽいなら尚更
義務教育受けてるんだよね?」

覚えてる?すいへーりーべーと言ったリンに
メルが僕の船!と
どや顔で言うのに大丈夫そうねと答える

「話を戻すわ。クラインの壺って言って
境界も表裏の区別も持たない(2次元)
曲面の一種で、主に
位相幾何学で扱われるものがあるのよ。」

そうオリアスにも分かるように
言葉を変えて説明するリンに
オリアスはうんうんと首を縦に振る

「表裏の区別を持たない2次元曲面には
他にメビウスの帯とかっていうのがあるけど
その帯を3D化したみたいなもんと
思ってくれて構わないわ。」

『要は通常の形ではなく、
かなり強引に作った形の曲面ってことだよね?』

「そゆこと。」

『それがどうしたの?』

「クラインの壺みたいに、
自己が一直線になったものの
集合体みたいな檻を作ってる環境があるって
聞いたことがあるのよ。」

『えぇ宗教団体的なアレ?』

「あーかなり近い寧ろソレかもしれない
…それに噂では
“前永久の魔女を開放する”とかって聞いたし」

それは、ミレイユを蘇生するということそのものであり
蘇生に必要な肉体があることにも、気付いた。

メルの喉がヒュッと音を鳴らす


『…それ、って』

「先に言っておくけど私は大反対よ。
前の魔女を蘇生させるなんて
ゾンビを人間に戻すみたいな不可能に近い
レベルの事をしてメリットが無い。」

それに過去の人間も多少のやりたかったことを生き返ってまで
やり通したいとは流石にやりたくもないだろう。
そっとしておいた方が良いに決まっている。

「メルのことを知って尚更頭おかしいって思ったし」

『…ミレイユ』

「駄目よ、あの人はもう貴方を信じて託した。
もし貴方が願ったとしても、ミレイユ様が望んでいない。」

何なら占ってあげようか?そう言ったリンにメルは首を横に振った

「ミレイユ様は貴方を相応しいと言った。それはつまり、
貴方が永久の魔女であるべき存在って言ったのよ。」

『ねぇ、永久の魔女って、そんなに良い存在なの?
永久に生き残ることが、そんなに良いこと?』

「…それは」

『僕分からない、ミレイユと
ただ笑って暮らしたかっただけ…
でもそれを急に取られて、っ、やだから、ただ、僕』

そう目に涙を溜め込みだすメルに
リンはそうねと言ってそっと
メルの身体を抱きしめて背中を叩く
それにメルが首を横に振りながら
リンの胸に顔を埋めつつ背中に手を回す

ぎゅっと握った手にリンは眉をひそめながら答える
嗚呼この子の痛みを彼らは分かっていないのだろうと。

「そうね、ただ助けたっただけなのよね。
ミレイユ様と一緒に遊びたかった。ただそれだけ。」

なのにミレイユを助けられると聞いて
手を差し伸べたのに大事な
オリアス達を殺さないといけない様に仕向けられて

迷惑をかけないように
努力していたのが水の泡にさせられて

そんなことになっても、
彼女は尚怒りを募らせなかった。


正確には怒ってはいたが、
募らせた怒りは誰でもなく
己の欲望に向かっていて

感情を持っているからと刃を向けていて

間違いなく周りが悪い筈なのに、
敵が悪い筈なのに。


「…良い?何が何でも
そのバビルスって学校に居なさい。」

『ふぇ?でも…僕』

「迷惑をかけると思って消えるなら、
消えることが迷惑かけちゃうから。」



そう言ったリンにうんうんと言いながら
オリアスが頷く



今メルがいなくなれば、
ツムルは探しまくるし


モモノキは雄叫びを上げて
自分が悪かったと悩み気を落とすし
下手したらショックで倒れるかもしれない。


ダリはとりあえず探しにイフリート
あたりを連れて旅に出る可能性もあるし
挙句の果てには学校の授業放置で
総出でメルを捜索しかねない。


「メル、貴方はとっても素直な子なのよ。
隠そうとしてもバレる所はバレてしまうわ。
今はただ力を強めて、守ってもらえる場所に居ること。」

『…うん』


「大丈夫よ、とっても強くてかっこいい悪魔さん達なんでしょ?
貴方が守りたいって思う悪魔さん達なんだから
ちょっとは頼ってやらないと、泣いちゃうわよ?」


そう言ったリンにメルがえっ!?と声をあげて驚く


『いっ、いや!それは、やだ…』

「ならちょっとは甘えてやりなさい。」

『うっ…ううん』

あっ悩んだ。そう言ったリンに
リオンが大変だなとオリアスに言う
オリアスは分かってくれるか
と言ってため息を吐いた


「ま、この手の子は徐々に分かっていくわよ。」

『あ!リン、あの…その今、何年?』

「っ!!…まだ二年よ。あと数年は一緒に居れるわ。
だからまた近いうちに遊びましょう。」

そう笑ったリンにぱああと暗かった顔が
花が咲くように笑顔になる

それに微笑んだリンはまた今度ねと言って
その後メルとオリアス二人と会話を楽しんだ後
メルたちを見送った


「…いいのか?あんな嘘なんかついて。
お前の命はもう長くないって」

「皆にしているお返しってことにしてあげよ…
どうせ、もう次に会える時が最後位になるんだから。」

数回位なら、きっと彼女も忘れてくれるわ。
そう笑ったリンに、リオンはそうならないと思っていた


メルの笑顔を見るに、あの子は一度会っただけでも
涙を流してしまう程優しい子だと。


リオンはそっとリンの手を繋ぐと
リンは気付いて微笑んだ。


+++++++++++++++++++++




『へぇーにしても本当にカード綺麗になるわ』

そう言いながら本を見ながらカードを遠目でみていたメル
リンの所に遊びに行ってから早くも一週間。
早速カードが溜まってキラキラしているのを
本の中身を見て荷物を持って職場の廊下を歩いていた時だった

後ろから声が聞こえるのに反応が遅れたのは
間違いなく早速何を占おうと思っていた僕が悪いと思った。


視界が消えて真っ暗になって、気付くのは先になる。



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