「大変です!!メル先輩が小さくなってしまったんです!!!」
そう勢いよく扉を開けたツムルに職員室が騒ぎ始めた
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時間は少々遡り5分前
ごそごそと服が動くと、
足が生えてタタタと足音を立てて前に進む
「んでさー」
「おい!ちょっと待てツムル!!」
「ん?どうしたイチョそんな血相をか」
そう足が生えた状態でなにか服が引きずりながら走るのに
待て待て待て待てとイチョウとツムルが追いかける
一瞬固まったが、その服を見て一発で誰かが分かった
「ちょちょっ!メル先輩!?」
そう言ったツムルに『うん?』と顔があらわになる
目の色は青く澄み渡り、
髪の色は淡い緑色の髪の色になっていた
ぱちくりと大きな瞳を瞬きする子に
「あれ?」とツムルが声をかけた
「メル、先輩?」
『…うぇ?』
そう大きく首を傾げていると、
そっとメルの身体が宙に浮かぶ
イチョウがそっと服ごと身体を抱き上げたのだ。
「メル先輩、俺の名前言えます?」
『うー?しろ!!』
「駄目だ」
そう言ったイチョウとツムルが駆け足で
職員室の扉を勢いよく開けた
「大変です!!!メル先輩が小さくなって!!!!」
「ええ、まさかそんな」
こと。ともいう前にマルバスの胸元に
寄せていた資料が手から落ちる
イチョウが脂汗をかきながらそっと
抱きしめていた腕の中には
口に親指を入れて辺りをきょろきょろ
見ているメルらしき人物がいた
「記憶は?」
「ないです」
「誰かー!オリアス先生とモモノキ先生!!!」
「今電話してます!!あ!オリアス先生!
ちょメル先生が!!緊急事態で!!!」
そう電話していると遠くからドアを開く音が入る
丁度オリアスが出勤してきたときだったらしい
血相をかえて走ってきたオリアスに
こっちですとツムルが声をあげた
「っ!あ、れそれ…」
『…うぇ?』
「俺とイチョが見つけた時はこの姿で裸足で
服を持って走っているのが見えてですね。」
「保護してくれたのか…すまん」
ありがと。そう言ったオリアスがそっとイチョウの
正確にはメルの前で両手を広げる。
それに首を傾げ、身体をねじるメルに
暴れるなとイチョウが言うのにガン無視
服が全く合っていない為つるりと出ていくのに
全裸姿は流石に不味いと一同の顔が青ざめる
「っ!チェルーシル!!」
そう言ったオリアスの言葉で
メルの姿が小さな魔女服姿になり
何とかなったとほっと胸をなでおろす。
腰を降ろしてメルと同じ位置になって手を出す
「俺の名前はオリアス・オズワール。君の名前は?」
『…えお、うー、メぅ!5しゃい!!』
「メルちゃんね。」
『おう!おうおう!!』
「オズね」
そう苦笑いするオリアスの方に
メルが寄って中指をそっと掴むと
そのままオリアスがそっとメルを抱き寄せて抱っこする。
衣服はたたんでメルの机に置く事になった。
「にしてもどうしてこうなったんですかね」
「それが…エリゴス・シネルとメルさんが
ぶつかったという報告が先程入ってまして…」
そう言った職員に全員が「あーーーー」と声を出した。
それにメルも『あーー!』と笑いながら答える。
どうやら面白かったらしい。ケタケタと笑う
「10歳位若返る様にしていたのが、
メルちゃんだと20歳近く若返ったと。」
『ぶぅ!おす!!』
「…オズね」
そう苦笑いするオリアスにメルはケタケタ笑う。
明らかにオズと言わずにオリアスの答えに笑っている。
「オリアス先生今日の授業は?」
「最初から最後まで入ってます。
それよりもメルちゃんの授業どうします?」
「入ってた?よね」
「確か2限程」
「流石に変わってもらうのも悪いし自習にさせとこ。
オリアス先生の授業はどう?変わる?」
「今日は流石に無理ですので…」
「あ!俺一限目空いてますよ!」
そう言ったツムルに、ダリが言う
「じゃあ空いてる教員がメルちゃんの
面倒見るって事でいいんじゃない?」
えぇ良いんですか?そう言ったオリアスに
ダリはあのねぇと腕を組んで言う
「メルちゃんいつ戻るか分からない状態で
オリアス先生おんぶして教卓いける?」
「無理ですね」
「でしょー?お互い黒歴史作りたくないなら、
せめて面倒みてた方がいいでしょ。」
なら職員会議してそのまま仕事いくいくー
そう言ったダリに席に座るよう言うダリに
オリアスはそっと抱きかかえて
メルと一緒に席についた
『おーず!』
「…ふふっ、オズ」
『おず?おじゅ!』
「オーズ」
『オズ!!』
「ふふっ正解」
そう微笑みオリアスはそっとメルの頬を指で撫でる
もちもちした感覚が非常に温かくて気持ちがいい
人間の子供は見たことがないが、
悪魔の子供と変わらないだろう。
正解したのに嬉しいのかニコニコと笑うメルに
つい此方も微笑んでしまう。
そのまま職員会議が始まると
静かになったのに驚いたのかメルが固まる
一瞬泣いてしまうかと焦った
オリアスと近くに座っていた周りだったが
どうやら周りの空気を感じ取って
じっとしているだけらしい。
幼いころから周りを感じ取って
じっとしている子だったらしく
いつも笑顔で時々騒いでいる姿とは真逆で驚いた
昔はかなり落ち着いていたのだろうか?
数分で終った職員会議後、自分の仕事を取る前に
ツムルとイフリートのコンビがオリアスの方に駆け寄った
「俺とエイト先生が空いてるんで、
メル先輩の面倒みますよ!」
「ごーめん、お願いできる?」
『うーーー』
離そうとすると、
メルがぎゅっとオリアスのスーツを掴む
そう寂しそうにするのにオリアスは離して?
と首を傾げる
う!と言ってオリアスの帽子を奪ったメルが
オリアスの帽子をそのまま被る
それに嗚呼成る程とツムルが声をあげた
「なに?何か分かったの?」
「ほら子供の時って親の匂いないと
寂しがるじゃないですか。
メル先輩今オリアス先生のこと
親と思ってるんじゃないんですか?」
「あー身に着けてるもの上げりゃ落ち着くってこと?
んーーでも…あ、それならこれ」
そう言ってポケットから出したのは
前から使っていた薄い金のハンカチだった
ふわりと匂った匂いにメルが固まりそっと
オリアスのスーツから外れてハンカチを両手で取る
それにツムルがおいでーと両手を広げるのに
首を傾げつつオリアスの顔を見る
「ちょっとの間この赤い髪の先生と
黒髪の先生と居てくれる?」
『やー!』
「あ!ちょ、」
『う!』
そう言って指を指すメルに、
どうやらイフリートが良いらしい
俺?と言って指を指したイフリートが
そっと両手を広げるのに
メルが嬉しそうに笑って胸に抱き着いた
煙草の匂いがして悪いかと思って
ツムルに任せようとしていたのだが
メルが嬉しそうにしている為
無理に引きはがすのは面倒だ。
「そいじゃほんと今度お礼するから」
あとよろしく!そう言った
オリアスが走って消えたのに
メルが寂しそうに叫ぶ
『うーーー、おじゅ、おじゅー』
「えっ!ちょ、」
うぅ。そう言って涙を溜め始めたメルに
ハンカチハンカチと言ってツムルが言うのに
イフリートが慌てる
「あー!ちょ、貸して!!」
そう言って半分無理矢理にツムルがメルを抱き寄せる
泣きそうな顔をしていたが、胸元にハンカチを広げた後
メルを抱き寄せ、とんとんとリズム良く叩くのに
徐々にメルの涙が引っ込んでいく
「おおおおおお」
「よしよし、いい子だから」
そう言ったツムルに、メルの涙が引っ込んだ
ほんの少し寂しそうにしつつも落ち着いたのに
イフリートとツムルはホッとした。
「にしても子供なんて面倒見るの何時ぶりだろ」
「え?下にいたの?」
「うん、ちょっと離れた妹が一人ね」
「へぇーーーー」
「妹もそうだったけど最初は嫌がるんだけどね
抱きしめた後は不思議そうにして落ち着くんだ。」
懐かしいなぁと言いながらツムルは場所が悪いと思いつつ
歩きながら縦に揺らしつつ前に進む
不安そうにしていた姿はもう無く、ただぼーっとツムルを見ていた
『うーおじゅ?』
「ん?俺の名前?」
そう言ったツムルにメルがこくこくと頷く
「ツムル」
『つうう!』
「ぷっ」
ちょ!笑うな!そう赤らむツムルに
メルがもう一度言う
『つーぅう!』
「つーむー」
『つーぅむあ』
「お、惜しい」
そう言ったイフリートに気付いたのか
メルが口を大きく開けて
手をぎゅっと握って言う
『つぅーぬ!』
「つむる」
『つむう』
「おおお!!」
『つむうる』
惜しいーーー!!そうざわつく周りによしよしと
背中を叩いて笑うツムルにメルが目をキラキラさせる
『ツムル!つむる!!』
「そうそう、つむる先生だよー」
『つむる!あう!!』
「何歳位なんだろね」
さぁー流石に6歳位じゃないのは分かるけど
3歳?そう言ったツムルにイフリートは
さぁ?と答えた
「わぁ!!本当にメルちゃん子供になってる!!!!」
そう言って出て来たバラムに
イフリートとツムルが声を上げる
驚いたのかメルも目を丸くして少し涙が溢れだす
「あわわわ!驚かせちゃったか…ごめんね」
『ふぇえええあああ』
あー泣いちゃったかぁーそう言いながら
ツムルがよしよしと言って背中をとんとんする
するとツムルの髪の毛を掴んで頬を寄せる
ひと泣きしたのに落ち着いたのか
ぐすんぐすんと言いつつバラムの方を見る
じーと見た後、メルがツムルと声を出す
「ん?どうした」
『おーりう』
「え?お、降りる?いいの?」
そう言ったツムルにメルがこくりと頷く
そっと降ろしたツムルは腰を低くしたままメルを様子見
数メートル先にはバラムが腰を降ろしていており
そっとバラムの方向を向いて一歩歩く
二歩、三歩と調子に乗ったのか勢いよく足を上げると
そのまま落っこちそうになる所を
我慢できなくなったバラムがそっとメルの身体を受け止めた
「ほっ、間に合った」
『…う?つむう?』
「違うその人はバラム先生」
『ばー?』
「ツムル先生流石に子供にバラムは言いにくいかな」
そう苦笑いするバラムにツムルはですよねと苦笑いした
濁点は子どもの発音と相性が悪い
「んー名前を教えて貰ってるんだったら、シチロウって呼んでみる?」
『しちろー?』
「おお!一発」
呼びやすいもんね。そう言ってそっと
メルを起こしながら距離を取るのに対して
メルが『しちろー!』と言ってバラムに抱き着いた
それに身体をピシッと固めるバラムにあああとツムルが慌てる
『しちろ!おきい!』
「大きい?」
『うん!とりさん!!こけこっこ!』
こけ???そうツムルとバラム、
イフリートが首を傾げる
それにメルが首を傾げた
『にあといさ!』
「にあとい…?戻ったら聞いてみようかな。
なんの生き物だろ…
にしても泣いたと思ったら笑ってるねこの子…」
「心臓に悪いものは見せないようにしたら基本的に大人しそうですよ」
さっきも職員会議中オリアス先生の膝の上でじっとしてましたし
そう言ったイフリートにバラムがへぇーと声を出した
『んぅ?まぅあ!』
そう言ったのにん?とバラムが後ろを見ると
其処にはモモノキが此方に走ってきていた
「メル先輩!!ああこんな小さな姿に…!!」
『まあま!!』
「メル先輩モモノキ先生ママって」
「あらあら」
『ふふっ』
そうにっこりするメルにモモノキもまたにこりと笑う
ちょっと借りますねそう言ったモモノキにバラムや
ツムルはこくりと頷いた
そっとメルの席に座らせてモモノキがじっとメルを見る
「どうですか?」
「霧状のものをかけてしまったと言っていましたが
ちゃんとメル先輩に魔術がかかっていますね…ただ」
「ただ?」
「解くことは可能なのですが、
凄い素人が適当に編んだセーターみたいに
こんがらがっていまして、
このまま解いて身体が戻っても
記憶が戻るかどうかが…」
「え!?それじゃあ」
「一応時間が経過すれば戻るらしいので
収縮可能な衣服に着替えさせて
おいた方が良いと思います。」
そう言ったモモノキにそんな…とツムルがしょげる
それにメルが気付いたのか
モモノキの腕をツンツンとつつく
「ん?どうしました?」
『んーや!!』
「あー多分ツムル先生を悲しませた
って思ってるんじゃないかな?」
「ええ?!いいいいやチガイマスヨ!?」
『…ほんと?』
「ええ、ほんとです」
それならいい!と言いたそうに笑顔になるメルに
ほっとモモノキが息を吐いた
「大体どれくらいとか分かります?」
「恐らく今日中には解けると思います。」
そう言ったモモノキに一同はとりあえずホッとした