前回のあらすじ
クルアーンは
オリアス家と通じていた。
そっと誰からとキョロキョロ見る
これは出会った順番が良いかな?
と思いじゃあと声をあげる
『悪魔ダンダリオン』
そう手を出したメルの手をそっと触れ
メルが感じた場所にダリを連れていく
…楽しい?そう聞いたメルにダリは
いつも開けない目を見せたまま微笑み答えた
「嗚呼とんでもなくね」
ここだなと思った場所についたので
ちょっと名残惜しいが手を離しお辞儀する
それに右手を胸においてお辞儀で
ダリが返したのを見て
メルはオリアス達の元に歩いて戻る
『悪魔オリアス』
そう手を取りダリの隣に向かう
多分左回りで置けばいい。
「…なんでこの順番なの?」
『ん〜出会った順番!』
「ははっ、なるほど」
そう笑ってまた手を離す
手の中が寂しくて仕方がない。
でもそっとオリアスの目を見る
金色の目が僕を見ているのに落ち着いた。
『悪魔ムルムル』
「…緊張してます?」
『うん少し。
でも皆居てくれるから!』
大丈夫そう言ったメルに
そっかと笑って
ツムルは答え手を離した
『悪魔イポス』
「大丈夫ですよ。
貴方なら」
『ほんとかなぁ』
そう苦笑いして言った
メルにイポスは
ええと答えた
『悪魔ストラス』
「貴方の晴れ舞台に
私を呼んでくれて
ありがとうございますふいっ」
『こちらこそ応えてくれて
ありがとうございます』
最後だ
手を前に出した
『悪魔モラクス』
手を取り最後の場所に足を運ぶ
ゆっくりゆっくり
手が汗ばんでいくのに
モモノキは気づいていた
「…大丈夫ですよ
私達がついてます」
そっと言ってくれた言葉に
何時しか聞いた言葉が溢れ出る
ー大丈夫よ、都佑
じわりと視界が歪むが
すぐに気分を変える。
六方向からオリアス達に見られる中
クルアーンに向かう
「お前は何を願う。何を望み、
この者達を連れて来た。」
『…最初はお母さんに愛されたくて、
どうか愛されますように
って願ったのです。』
でも時間を
そのままにしているなんてもう嫌だ。
僕はミレイユに
拾ってもらって感情を知って
過去に縛っていた
身体を解いてくれた
彼に彼らが笑って
居られたらそれでいい。
自分を作り上げて
繰り返していた歯車をぶち壊して
彼らの手を取って、
広い世界を見せてくれた。
だからだから僕は
『今は出会った人達が幸せになれるよう
強く居続けたいと思うのです!!』
幸せになりますように
だけでは幸せにならない
腹も満たされないし
それなら、
それならいっそのこと
せめて世界を救える程の力じゃなくても良い
周りの人達が幸せになって、
その感じが
広がって行けばいいのだ。
それは石ころが
水に落ちた
水面の波紋の様に
「…では始めよう」
そう言ったクルアーンが目を閉じて
六芒星に立っている
オリアス達の後ろから
空中に浮かび上がる
中央にメルは身体を横にして
足首を持つように丸めて目を閉じた
リンが鈴を鳴らし
人間が二人増えて三人が
オリアスとメルの間に入り
トライアングルを作り立つ
「
闇夜に沈みゆく星々よ」
世界が薄暗くなり、光が抑えられる。
まるでカーテンが光を遮るかのように薄暗くなり
空が多少星々がチカチカと見える暗黒が見える
「永久と無限をたゆたいし 全ての心の源よ」
メルの寝ている
地面からくるりと回るように
大きな魔術円が展開される
外枠に何かの数字が書かれており
魔法陣の円は青く光り輝いていた
「闇の王が生み出せし 星を紡ぐ六つの光よ」
そう言ってクルアーンが腕を横に切る
オリアス達悪魔六名の身体がふわりと色を帯びる。
オリアスは金色に、ツムルは赤色に。
スージーは緑色に、モモノキは青色に。
イチョウは白色に、ダリは黒色に。
ふわりと光り出すと
自身に溢れる
桁違いの魔力量に驚くが
すぐにメルを見て
暴れる訳にはいかないと踏ん張る。
頭の中に入ってきた
呪文をゆっくり唱える
「「「「「「
永久を願う
メルの身体が青白く光り始めると
メルがううと身体を丸く縮こまり
胸をぎゅっと鷲掴みだす
背中から何か黒いものが現れ
メルを吞み込もうと
今か今かと襲わずに
両手を前に出して揺らぎ始めた。
「その力もて 黄昏よりもなお昏きもの
暁よりもなお眩きものよ!」
クルアーンの手の中に金色の光が光り出す
それと同時にオリアス達も何を考えたのか
ポケットに入れていた
自身の血が入った瓶を取り出し手に取る
取った手で瓶の蓋を開ける
「「「「「「導かれし力を束ね
盟約の言葉により 我が力を持て 彼の者に
永久の
」」」」」」
そう言って血を左から右へ水を撒くように血を宙に撒く
「「「
永久の
そう言った人間が両手を出して
血をオリアス達と同じように飛ばす
クルアーンが最後に
天使の血をまき散らし
悪魔の血と人間の血天使の血が
渦を描くようにメルの
元に吸い寄せられていく
「“今こそ目醒めよ
グルグルと唸っていた
黒い物体の空から一つの光が落ちる
メルの身体ごと
突き破ったソレの上には
真っ白な髪色を持ち
銀色の目を持つ女性が
空に浮いていた
女性が降り立つと
魔物がグルグルと言い出す。
それに待てと
オリアス達に守らせないように
クルアーンが指示を出す
女性が降り立ち
メルの額にキスを落とす
大丈夫と言いたそうに
嬉しそうに笑って
槍を持っていた女性が
黒いモノに一つ突き刺す
唸るモノがメルを攻撃しようとするが
それが入ることはなく
女性が防ぎきっていた
何も言わずに女性は
モノに対して攻撃を止めない
所々オリアス達の様な姿をした者が
現れて黒いモノを叩き落す
「“立て!
そう言った女性の言葉に
眠っていたメルの姿は消え
何処に行ったかと探すオリアスに
上だと言ったリンの声に
全員が空を見上げる
背中に大きな白い翼を付けて
手を大きく下に振り下ろす
するとそこから何時も見ている
職場でのスーツ姿のオリアスや
ダリ達が出て
黒いモノに向かい飛び出した
黒いモノは姿を変え
ダリやオリアス達に
変化し攻撃を仕掛ける
それにメルはキッと睨み
裸足になり助走をつけて
走りつめる
勢いよく入った槍に
押えたのは黒い姿をした少女
作り出したオリアス達を
綺麗に消し去り
少女が口を開けた
「ー君は僕を殺すことはできない」
そう言った時
メルは少女の下に潜り込み叫ぶ
『“ただ
一条の光を与えんことを”!!!』
手から光を一つ剣のようなものを
創り出し少女に突き刺した
ぼたぼたと赤いものが身体に落ち
メルは見上げて
少女だった者を見て顔を青ざめた
「…っばか、なんて、顔してん、だ」
違う違う違う
これはかなり再現度が高い
自分の作り上げたオリアスだ。
少女を作っていただけなのに
彼は遠くに居て刺すわけがない。
だというのに
何故こんなにも
心がぽっかりと空いたのだろう?
一瞬過ぎて驚き
頭の思考回路が消え去ってしまった
『ーーー(ああ)』
ーお前なら大丈夫だ。
そう言った彼の姿が突如
頭の片隅から浮かび上がった
それにメルは絶望した目に光が一筋入る
『(嗚呼!!!違う!お前は!!!)』
手に力を込め、横に裂いた。
するとオリアスだった者は
嬉しそうに笑って姿を変えた
『ーーミレイ、ユ?』
嬉しそうに笑う女性に
メルは驚いたが
すぐに嗚呼そうかと笑った
貴方はずっと僕の中で
黒い魔物を抑え込んで
守ってくれていたのかと。
最後までお世話になってしまったね。
そう思って、メルは
力を使い切って
身体を地面に打ち付け
意識を飛ばした。
+++++++++++++++++++
「メルっ!!!!」
そう我慢できずにオリアスが
走って倒れたメルの元に寄る
しっかりしろ!そう言って
ゆっくり抱き上げるのに
びくともしないメルに
オリアスが嘘だろ、と言う。
「…久しいなミレイユよ、お前がこの子を
其処までして守っているとは思わなかった。」
そう言ったクルアーンに
女性の形をした者が
ミレイユの姿に代わり微笑んだ
「もう此処で眠れば良い。
もう、終わったんだ。」
そう言って手を出した
クルアーンの手を
嬉しそうに笑って
手を取り泡のように
消えて無くなった。
「クルアーン様、
メルは…メルは
どうなったんですか!!」
「喚くな…無事儀式は終了した。」
成功だ。そう言ったクルアーンに
ハラハラして止まっていたツムル達が
よっしゃあああとガッツポーズをして
喜びを身体で表していた
大きく息を吐いて
腰が抜けたオリアスは
腰を地面に降ろして
身体を丸めて良かったと
声を振り絞り言う
「良くあの時少女から
お前に変わっても貫いたと思う。
流石に暴走するかと思っていたが」
お前達の絆は強いらしいな。
そう言ったクルアーンに
オリアスは照れ臭く笑った
「星々に愛されし少女…か、
また厄介な奴を
後継者に選んだものだな。」
「メルちゃんは
これからどうなるんですか?」
「永久の魔女として
仮ではあるが試験期間に入る。
大体早くても一か月まぁ
半年程度で永久の魔女として
生活出来る様になるだろう。」
あの感じだと13人居なくても構わん。
と言うか人数は
元々永久の魔女になる者が
信頼出来るかどうか
怪しい者の人数合わせみたいなものだ。
ぶっちゃけ六人だけで
本来は間に合っている。
そう言ったクルアーンに
それじゃあ正式に?
とリンが聞く
「嗚呼、このままいけば
そのまま永久の魔女になれるだろう。
先に黒いモノが現れて
無事こいつは自分の力で倒したからな。」
そう言ったクルアーンに
メルは嬉しそうに微笑む
気絶している筈なのに
どうやら夢を見ているらしい
オリアスの腕の中で
寝がえりを打とうとしている。
「全魔力を使い果たして
ぐっすり寝てるな…
くくっ、こんな奴初めてだ!!
まさか落ち着くとは言っていたが
此処で寝るとは!!!」
そうメルを覗き込み
見た後噴出したように笑う
クルアーンにオリアスは苦笑いした
「…悪魔オリアスよ」
「はい」
「この子と居るなら、
通常の生活など考えられない程
振り回されるが
それでも良いなら
そのまま契約してもらっても構わない。」
今なら切れるは切れるぞ。
我が居るからな。
そう言ったクルアーンに
切りませんよとはっきり言う
「このオリアス・オズワール、安名メルが
死にゆくその時までお守りしましょう。」
「…お前が先に死ぬだろうがな」
そう言ったクルアーンは
二人して面白い奴だなと笑う
「気に入った!!
悪魔オリアス…いや、
名はオズワールと言ったか」
「はい」
「この子はきっと
何度だって手放そうとするだろう。
それでもどうか奪ってやって欲しい。」
暫くこの地に
お前達を見るつもりはないからな。
そう言ったクルアーンに
ええとオリアスは頷いた。
此処に次来るときは
メルが死んだ時だけだ。
始まりと終わりが存在する場所
生死の狭間にある
ぐったりとして寝ている
メルを抱きかかえて
オリアスはリンたちの元に歩いた
ツムルやイチョウが
メルを見るために覗き込む
ううんと唸ったのに
驚いて身体をびくりと跳ねさせたが
すやすやと眠っている
メルに起きそうにないね
と言いながらダリが
メルの頬をふにふにと指でつついた
止めて下さいよ!と言ったオリアスに
ダリが減らないでしょ〜と笑い頬をつつく
心なしかメルの顔が
しかめっ面になって
別の意味で唸りだした気がする。
その姿を見ていてクスリと笑った。
嗚呼、今まで
何人もの永久の魔女を見て来たが
こんなにも悪魔に愛されており
こんなにも穏やかに
眠りだした子は初めてだった。
ミレイユでも
3人だけだったというのに。
彼女は元々13人連れてくる予定で
話を進めていたらしい。
この6人の悪魔だけでも
凄まじいというのに。
「…この先の未来が楽しみだねぇ」
さぁ、君は一体どんな未来を創り出すんだい?
甘美な甘い時間を割いて掴んだ
その存在を殺した瞬間の絶望
その目は真っ黒に染まり
心が押しつぶされて消えた筈だった
だと言うのに、
すぐに心を取り戻して打ち勝ったのだ。
そんなことは中々出来ないというのに。
「さぁ、君はどんな世界を望む?」
母親に捨てられた記憶すらも捨て去って
どんな世界で
君は絶望に身体を投げ落とすのだろうか?
ミレイユが眠るこの深淵で、
そっと見守り続けて居ようと
これからの先をワクワクした気持ちで
オリアス達を見ていた。