Novel - Paola | Kerry

it's just you


輪っかの先6

20/09/15
37

それから夜になり夕食を食べた辺りだった
一人2時間位で交代していたダリ達で
丁度交代するダリと
イフリートが会話をしていた時だ




ばたりと音がした方向を見ると
メルがベットから
抜け出して落っこちていた



「っ!!メルちゃん!!!」

「オリアス先生!マルバス先生
メルちゃんが目を覚ましました!!!」



そうイフリートがオリアス達を呼びに行き
ダリは急いでメルの背中に手を伸ばした



はぁはぁとまだ息が上がるのに、
目が座っておりダリが声を上げた


「っ来るな!!!!」


そう言ったダリが
メルから飛び跳ねて距離を取る
ごとりと身体が落ちた
メルが息を荒げている




「どうしたんですか!!」


「違う起きてない…!
ほらあの背中」


そうメルの背中には
黒い翼の様な靄が
不定期にうごめいていた


今にでも羽根を広げて
飛び立たんとしているのに
オリアスが飛び出しメルを抱きしめる



「っ行くな!!!」



そう言ったのに翼は黒い靄と化し、
すぐに消えて無くなった
オリアス先生の効果つっっよ。


そう言ったイフリートに
マルバスはコクリと頷くしかなかった。


「傷つけてない。大丈夫だから…」



ね?そうですよね
ダリ先生そう言ったオリアスに
ダリもうんうんと声を出す


「ちょっと驚いちゃっただけだよね、
ごめんね急に触れて」


でも目覚ましたと思って焦ったんだよ。


君かれこれ二日分寝ようとしてるんだよ?


そう言ったダリに
ピクリと眉が寄る


すやりと寝始めたのに
ほっとピりついていた空気が落ち着く

急に攻撃を出してきたのには
流石にひやりとしたらしく
ダリはマルバスたちに先程の事を伝えた



「確実に殺す感じで
首切られたかと思ったよ」


「威嚇ですよね、
やっちゃってもう居れなくて
逃げようとしたんでしょうかね?」


傷付けた。


そう感じたのか
モヤが黒い翼を出したのに

不味いと感じて
飛びついて正解だった。


「恐らくね〜いやー
首ちゃんと繋がってるし
大丈夫だけどね!!」


俺風呂ってくるね
そう言って席を外したダリに
ええと言ってイフリートは
メルが寝ている部屋に戻ることにした。


「メル先生のことが
気になりますか?」


そう言ったマルバスに
ええとオリアスは答える

何もしてやれない状態が
続いて申し訳ない


それにマルバスは充分
力になってますよと答えた


「だって何度もメル先生の気持ちを
受け取ってるじゃないですか」


それにダリに悪いと思って
逃げ出そうとする時点で

もう熱にうなされて意識が
朦朧としたまま動いたに近いでしょうし。

そう言ったマルバスに
オリアスはそうですかね
とテレビを眺めた



「ええ。にしてもダリ先生が
あんな切羽詰まった声と顔で
引くとは思いませんでしたよ」


「そうですね」


目を見た瞬間不味いと感じ取ったダリが
これ以上傷付けまいと急いでくる
オリアス達に指示をした

あの焦り方と目に
逆に驚いて固まって
しまったとはいえない。


がちゃりと音がして
イフリートが出て来た



「どう?」


「熱も解熱剤の効果か
落ち着いていますから安心かと。」


俺トイレ行ってきますね
そう言ったイフリートに
はぁいとマルバスは答えた。

時刻はもう10時になり
そろそろ寝る準備するかぁと
マルバスが背伸びをした時だった



ガチャリと音がするはずないドアの音が鳴り
ばっと顔を上げて音の鳴った方を見た



「っ!!メル!!!」



ふらふらとドアを開けて歩こうとするメルが
前に倒れそうになるのを
抱きしめて防いだオリアスに
マルバスも後からの傍に寄った

「メルちゃん!
まだ起きちゃ駄目だよ…!!」


『、っ、ぼ、く…な、に、こ、こ』


「此処共同で使ってる
悪周期用の部屋ね。
気絶してから
此処に交代制で見てるんだよ。」


ちなみに倒れてから二日経ってるよ
そう言ったマルバスに
メルは無理に身体を起こそうとする


「ばっ!動くな!!」


『、はっ、はっ…っ』


「まだ本調子じゃないんだから!
無理しちゃ駄目だって」


「マルバス先生オリアス先生
なんの騒ぎで…メルちゃん!?」


そう風呂から出て来たダリと
トイレと言って席を外していた
イフリートが血相を変えて
メルの元に駆け寄った


オリアスの腕の中で
無理矢理動こうとしているのを
マルバスとオリアスが
駄目だと叱っていた所だ。



「自分で起きて扉空けて出て来ちゃって」


「駄目だよ〜」


『っ、にげて、ください
…ぼく、今』


「馬鹿、暴れても
大丈夫だって。」


絶対に傷付かないように
ずっと家系魔術使ってるの分かるだろ?


そう言ったオリアスに
メルはそうですねと答えた



先程まで引いていた熱が
どうやらぶり返したらしい

顔が赤くなって
息を吸って吐くペースが速まっているのに

寝かしてきますと
オリアスは一言言って
メルを姫抱きして
部屋に入っていく



「俺一応バラム先生呼んできますね」


「他の子には連絡待ってね。
ひとまず明日の子には
連絡しておくよ。」


そう言ったダリに
お願いしますと言って
イフリートは席を外した



「俺おかゆ位作ってきますよ。」


「ごめんお願いできる?」


そう言ったダリに
こくりと頷いてマルバスはキッチンに向かった

二日分腹を空かせているのだ
何もいれないまま寝れる訳もないだろう。

ダリは連絡を入れた後
メルが寝ている部屋を
ノックしてドアを開けた



丁度着替えが終わったらしく、
顔の熱が少し落ち着いてる様に見えた。

メルは身体を起こしたい
と言ってきかず
オリアスが背中を支えていた



「無理しないでよ?」


そう言ったオリアスに
メルがコクリと頷く

「メルちゃんお腹空いてる?」


そう言ったダリの声に
反応して首を横に振る

しんどいのか知らないが
顔を見れない所
まだ本調子じゃないのは分かった。


リンが一週間は熱に
うなされるだろうと言っていたので

少なくともあと5日は
此処に居てもらわないといけない。


「ちょっとでも良いから
ご飯食べて欲しいな。
気分はどう?しんどい?」


そう下を向いて息をするメルの方を
下から見上げるようにダリがしゃがんで聞く

それに気づいたのか
目だけを動かし左手をダリの方に出した
何だろうと思いつつダリはメルの手を取る


「ーーーっ!!
ちょ、メルちゃん君」


「どうしたんですか?」


「…了解、うん、分かった伝えるよ。
駄目ご飯と水分は取ってから寝てね?
…駄目絶対駄目。」


何を話しているんだ何を。

そう焦るオリアスに
手を離したメルに
ダリが寝かせてあげなと言ったのに

メルは仕方がなく
オリアスの腕に体重をかけた


ゆっくりと横になったメルの背中から
手を抜いて起き上がる


「手を取って意識を強く持てば
テレパシーで会話出来るんだって。
口できちんと言えないから
って使っただけだよ。」


「それで?」


「ご飯も水分も何も
受け付けたくないって
言ったから駄目って言ったのと

一人で出来るから
出てって下さいって
言われたから絶対駄目って言った。」


「そりゃダメだよ
何言ってんの」


そう言ったオリアスに
メルは横を見て
不貞腐れながら寝ている

こら起きとけと
頬を軽くつつくと
メルの機嫌が悪くなるのか
眉間にしわが寄った



「ベットから出て
数歩で倒れそうになる子を
放置しておける程冷たくないよ。」


コンコンとノックが入ったのに
ダリがはぁいと声を上げる

すいませんと
イフリートが扉を開け奥から
クスリを持ってきたバラムと
おかゆを持ってきたマルバスが入ってきた


「メルちゃん目覚めたって
聞きましたけど本当ですか!?」

「ええ、そして今
食べ物受け付けないって
駄々こねてますよ」


「駄目だよ!?
食べてね!?」


そう言ったバラムに気付いたのか
びくりと身体がはねる

どうやら言いたい事は
まだ言えないらしい。

それ程熱にうなされていたし
何なら現在進行形なのだから
体力を取り戻すためにも
食事は大事だ。



マルバスが持ってきた
おかゆの乗ったお盆を
ライトの置いている机に
置いたおかゆをよそおい
オリアスが手に取る


「はい」


そう言ったオリアスに
気付いたのかメルが

シーツを脱いで
背中に黒い靄を出して
逃げようとする



はぁい捕まえた。


そう言ってイフリートが
メルの腕を掴んだ



それにダラダラと汗を流すメル
首を横に振りながら下がりだすので
オリアスはイフリート先生と
一言彼の名前を呼ぶ



はぁいと言って
答えたイフリートは

メルの腕を引っ張り
メルの背中と自分の胸をくっつけた
逃げられない。

間違いなく逃げれない。


下がろうとするメルに
無駄だよとイフリートは答えた


この弱っている状態で
良く逃げようと考えたなと思った。


おかゆをスプーンで
すくってあーんと言う
オリアスにメルがそっぽむく。


近づけると鼻をクンクン
として匂いを嗅いだ

ん?と言いたそうに
眉があがりチラリとみて

口が少し開いた隙を逃さずに
スプーンを口に押し入れる



『んぐっ!!!!』



そう言った声と同時に
頭が後ろに下がる

イフリートの頭に
ぶつかると思っていたが

予想以上に頭は上で
チラリと上を見上げると
メルを見つめながら
じっとするイフリートが居た


逃げないように片手処か
両腕を両手で掴んでいた
イフリートだったが

モグモグとメルが
口に含んだおかゆを
口だけ動かして呑み込む



「…ど、どう?」


『…ん』


そう言って下を向いたメルに
はいはいと言ってオリアスは
おかゆをもう一つ掬って
メルの前に差し出した。


嫌そうに口を少し大きく開けて食べ始める
モグモグと食べている間何かを言いたそう
に眼がぎろりとオリアスを睨んでた


「イフリート先生なんて言ってます?」


「…美味しいけど
こんな見つめられた状態で
食うの恥ずかしいわ
馬鹿だそうです。」


「いつ暴走するか
分かんねぇんだから
そりゃ見るよ…」


そうがっくり頭を降ろした
オリアスにメルの眉間に
しわが寄った


「…あのね、さっき
逃げ出そうとした子はどこの誰かな?
いやさぁ、だから駄目だって。
いやそんなの元気になったら
幾らでも付き合ってあげるから。」


「ひょっとして特訓しようとしてます?」


「ええ。食べたらやるって。」


「だーめ、一週間は此処いるんだよ〜??」


「ヤダってめっちゃ連呼してますが…」


そう言ったイフリートに
メッとダリがメルの前に人差し指で言う

我儘言わないのーと言ったのに
ごくりとおかゆを呑み込んだ。



「…わかった、
ひとまずベットもってくから。」


動かないのそう言って
イフリートは失礼と一言言いながら
メルを抱き上げて
そっとベットに降ろした

シーツをかぶせて
身体を起こした状態で俯くメル
メルの前におかゆを持っていくと


嫌そうに食べては
呑み込み食べては
呑み込む


嫌がってるのは
単純に見られているからだけらしく
味自体は滅茶苦茶美味いとか。


結局完食した上に
おかわりを請求されたが
また明日と言われて水で我慢した。



「どう?声でそう?」


そう言ったバラムに
メルは声を出そう
としたが首を横に振った


「駄目かぁ。」


「今身体がどういう
状態か分からないらしくて
どうやって喋ってたのか
イマイチ分からないらしいです。」


ですので通訳俺しますねと
オリアスが手を繋いで言うのに
お願いとバラムが答える


「具合はどう?
解熱剤とか気分悪くない?」


「…一応良いらしいです。
感覚がイマイチ掴めないので
良いという判断が正しいか
分からないとか。」


「へぇー
今どんな気分?
しんどい?」


「熱っぽくてぼーっとする
っては言ってますね。
はいはい、水ね」


そう言ったオリアスが
水を持ってメルの口に寄せる
こくこくと飲んだ後
息をふうと吐いた


「これ以上強くしなくても
効いてそうだし大丈夫だね。
何かあればすぐに教えるんだよ?」


溜め込まないこと
そう言ったバラムに
こくりと頷いたのに

良い子と言ってバラムは
メルの頭を撫でる


すると嬉しいのか
目を細めてにこりとする


「っえ!?」


『っ!!!!』


突如メルの目の前に小さな光が
ふわりと広がり温かい光が溢れた


それにメルも驚いたのか
身体がびくりと動いた


「…成る程、メルちゃん
今嬉しいって思ったでしょ?」


そう言ったバラムに
メルは首を傾げる


頭の上にクエスチョンマークが
白いモヤで形どられる



「あー成る程ね、そういうことか」


「え?どういうことです??」


「今メルちゃんの気持ちがそのまま
身体の周りで表現されているってこと。

多分力の使い方が
イマイチ掴めてないんでしょ。」


つまり考えていることが
筒抜けということだ。


口が使えない以上
何を考えているのか
分からないと思っていたが

こう身体に出てくるとは
思っていなかったのか
そっぽを向いた



「落ち着いてますし
僕は帰りますね。」


「ええ、すいません
ありがとうございました」


「じゃあねメルちゃん
ちゃんと寝るんだよ!!」


そう言ったバラムに
メルはコクリと頷いた


俺達も寝ますよーと言って
イフリートとマルバスは席を外す



「俺も寝ようかなー」



そう言ってダリが隣のベットに腰掛ける


いやオリアスはどうするんだよと
言いたそうにメルがダリを見る
それに気づいたのかダリが答える


「いやーメルちゃんのベットで
一緒に寝ればいいじゃん」


「っえええ!?」


「だってこのまま放置したら
朝居ないとかあり得そうじゃん?」


う゛っバレた?
そう心の中で言った
メルにオリアスが名前を呼ぶ


「ね?オリアス先生
襲わないでよ?」


「誰が病人を襲いますか…!!!」


あはは!だよねー


ダリは何かあれば
すぐに起こしてよと言って
ベットの中に入った


仕方がないと言いたそうに
メルはずりずりと
壁側に身体を寄せた
どうやら寝て良いらしい。


分かったと言って
オリアスはベットの中に入った
熱がまだ高いのか
ベットの中は温かかった。



「はいはい、寝るよ」



おやすみそう言って
頭を撫でるオリアスにメルは
こくりと頷いて目を閉じた


++++++++++++++++++



距離を取って寝ていた
メルだったがそっと目を開けた
むくりと起き上がるのに
ううんとオリアスが目を開けた


「何…?」


トイレ。


そう手を取って言うメルに
分かったと言って
オリアスは身体を動かした。


歩きたいと言ったメルに
オリアスはトイレの時はねと言って
移動は姫抱きにして移動した



『(…よしできた)』


トイレ出来たよ。

介護認定一級かな?

とか思いつつ

メルは出来たのを
手を繋いでないオリアスに
テレパシーで言う


すると気付いたのか
オリアスが部屋に入ってきた


「凄いね近くでも
テレパシー使えるんだ」


かなり小さいけど
違和感あったから部屋入っただけだけど

そう言ったオリアスに
へぇとメルは思った。

どうやら手を繋いだ方が
確実に会話出来るらしい。


相変わらず喉の調子は悪い。

下手したら喉の声奪われた?

いやぁまさか足を生やす代わりに
声を失った人魚姫じゃあるまいし。



大丈夫でしょそう思いつつトイレから戻って
ベットの中に戻って寝ることにした。


少し寒くてちょっとずらすと
オリアスの背中に当たる

オリアスが気付いたのか
ぐるりと身体を反対にした



『(あったかい…)』


この温もりのまま眠れそう。
そう思いメルは目を閉じて
すやりと暗闇に手を離した


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