Novel - Paola | Kerry

it's just you


輪っかの先7

20/09/15
38





ぐっすり寝てるね〜
可愛い〜

そう言った声に目を開ける
どうやら本当に眠っていたらしい。



ううんと思いながら手を前に出す

何か温かいものがあるな。

何だろう…抱き枕?


にしては何かごつごつしてる
いや大きさ割と抱き枕に似てる。


目をこすり目を覚ます



「あ〜もう起きちゃった?」


『〜〜〜っ!?!?!??』


目の前にはニコニコしていた
ダリがはぁいと手を振っていた
そっとメルの顔を塞ぐ声が聞こえた



「うちの子あんま
いじめないでやってもらえます?」


「あらあら、ジェラシー感じちゃった?」


ニヤリと笑うダリに
オリアスは否定しませんとだけ答える。



おはようございます。
なんでこっちみてたんです?
そう思いながらダリを見つめる。


口を開けて声を出そうとするが、
どうも発音がおかしい。

何なら頭の上に文字が浮かんだらしい
ダリが目をぎょっとして
メルの頭の上を見てた



「っ!?…あ、え、
いや、うん。おはよ」

「文字浮かべられるんだ…」


全く持って意味が分からない。

何故に喋ろうとしたら言葉が出るのか。

この身体の仕組みどうなってんだ。


冷や汗をたらすメルに
ノック無しでバアンとドアが開いた

驚いてメルがびくりと
身体を揺らす前に
オリアスが身体を動かした



「ご飯ですy…」


「びっっっくりしたぁ………!!!」


スタスタと真顔でロビンが
メルを見ながら歩いてくるのに
何々と言ったオリアスに

ロビンがメルをオリアスごと
抱きしめて低い声で呟いた



「…よかった、目覚めたんだ」


…ごめんね、君にも迷惑かけちゃったね。


そう思っていると
オリアスが通訳として言う

それにううんと
ロビンが首を横に振った


「あれ?なんでオリアス先生が???」


「メルちゃん今声帯無くてさ、
正確な会話したいなら手繋いだ方が良いよ。」


オリアス先生
今メルちゃんと手繋いでるから

意思疎通出来てるし
と言ったダリにメルがコクリと頷いた


「ねぇねぇご飯食べれます??
一応目覚ましてるって
聞いてて半信半疑で作ったけど」


大丈夫だよお腹空いたし食べれる。


そう思うと本当だ!
とロビンが驚いた

ね?言ったでしょ?
そう言ったダリに
ブンブンと首を縦に振った


じゃあ食べましょう!
持ってきますよ!

そう言って出て行った
ロビンにああと思う。

別にベットから
もう出ても良いと思うんだが
そう思っていたら
オリアスがじゃあと言った



「せめてリビングで食べる?」


そう言ったオリアスに
メルはコクリと頷いた

ベットから立ち上がると
多少ふらつくが手を繋いでいれば
なんら問題はない。


熱も引いている為
今動いて食べないと体力も付かない。


ドアを開けると
食器を並べている
イフリートとマルバスに目が行く


「メルちゃんもう歩いて
大丈夫なんですか!?」


「うん、一応昨日みたいに
意識が怪しいわけではないし
ベットに縛り付けも悪いからね。」



手を繋いでゆっくり歩くが、
すぐにかくっと身体が倒れそうになるのを
おっとと言ってオリアスが受け止める


「力が身体に馴染んでないから
身体の動き方も
中々うまく出来てないしね。」



介護してもらうには
何年も早い気がするんだが。

そう思っていると
介護してもらわないと

いけない位にこっちがなるよと
オリアスが答えた


リビングのソファーに座り
そう言えばミカは?とオリアスを見る

ソファーの後ろで
ゆっくり寝ているらしく
先に見たマルバスが
良く寝てるよと話した。


「昨日から寝て起きないよね。
大丈夫かのかな?」



…ひょっとしたらもう寿命?


まさかぁとは思ったが、
ミカが入って来れない以上

今ミカは魂だけで
浮遊しているようなものだ。


それにもうミカから
数日は離れて立っている。


…あれ?ひょっとして割と不味い?
魔女に天使に狙われない?



「え?嘘そうなの??」


「何?なんていってる?」


「いやミカが体内に入っていたおかげで
魔女として生活していたのが
バレてなかったらしくて
このまま放置すると
ひょっとしたらバレるかもって」


「まぁバレたら守るし
良いんじゃない?」


そんなあっさりいう!?
そう振り返った
メルだったがいつのまにか
ソファーの前に料理が並べられていた



「ついでだし皆で食べよ!!」


メルちゃん
こっちの料理ね!
おかわりあるよ!!!


そう言ってメルの身体に
合わせて料理を出される

あーんいる?
そう言ったオリアスに
メルは煩いと言って

スプーンを手に取ったが、


まさかの途中で落としたのに固まった




「…どうする?」




ごめんなさいあーんほしいです。



そう苦渋の決断に
ぐっと歯を噛みしめた

身体の感覚が
本当にあるのかないのか分からない。



全く、一体何時になれば
開放されるんだか。




「美味しい?」



うめぇよ。


じっと見られる以外は。



「美味しいらしいですよ。」




おい後の言葉言わなかったな。


そう思いつつ手を離して
服に手汗を擦りつけた



「それにしても
熱引くの早いねぇ」


「ぶり返しそうですけどね。
まぁ本調子じゃないのは
見て分かりますし。
これいる?」



「待って?オリアス先生メルちゃんと
手繋いでなくても分かるんですか?」


「え?分かるくないですか?
こう何となく」


「…頑張れば?」


そう疑問形のイフリートに
オリアスが首を傾げる

メルはもう
余り恥じらいというものを
考えるのは止めることにした。



++++++++++++++++++


『(頭の中で描いたものが
具現化するなコレ)』



そう目を閉じて
花を一輪咲かしてみたが
触れると泡となり消える


なので思いっきり世界を描いてみる


青い空に温かい木漏れ日に
下が草原に花が沢山あって

そう盛りだくさんの事を
考えていると何か名前呼ばれた




うるさいなぁ、今良い所なんだよ。




「メルっ!!!」



そう言った声に目を開けた
何か青い空が見えるというか
地面凄い気持ちがいい。


青ざめて驚いている周りに首を傾げた




あれ?ひょっとしてこれも???
きょろきょろとする
メルになにこれと
部屋に入ってきたツムルが言う



「今見えてるコレって考えてた?」



そう聞いたオリアスにメルは
こくりと頷いた

まぁすぐに消えて無くなるだろう。

そう思っていると
泡となって消えていく。



ああ、溶けていくなぁ。
儚いとはこういうものを
言うんだろうか?



使っちゃ駄目でしょと
叱られるのにむぅと頬を膨らませる

仕方がないじゃん、
ちょっと考えたらこうなるんだよ。



それにしてもかなり
浅い状態でこうなるとは…



『(深い所に落ちたら
戻って来れるのかな)』



ずっと落ちていくあの感覚は
何も現実に影響がなかったから良かった。


だがこうもサラッと考えて
情景を考えただけで
影響される程強いと割ときつい。



ミカはあれから一度も目覚めない。

下手したら冬眠か?



いや天使に冬眠とはあるのだろうか???




影響を抑えるタリスマンが
確かに何処かにあった。

ああそうだログハウス戻るか。

そう行こうとするのに待たんかと
オリアスがメルの肩に手を置いた



「いやいやいや行かせないからね?
どうせログハウス戻るつもりでしょ。」


あ、バレました?ってか
私の気持ちなんか気付きすぎない?


ダラダラと脂汗を出すメルに
分かるわとため息交じりに息を吐いた。
メルはああもうと思い
オリアスの手を両手で取った


『(今さっきちょっと考えただけで
現実に影響が起きたの!!

想像したことが現実に起きる
可能性が高い事を考えたら

抑制用のタリスマンを
取りに行きたいわけよ!!)』


「でも魔力あるの?
ってか早口だし口数多いね!?」


『(いやそりゃあ口で喋らないし
つーか僕結構喋るけど
全部途中で整理して
綺麗にまとめて話せてるんだよ。)』


ほら頭の中見るとビビるでしょ。


そう言ってメルは目を閉じて
オリアスに自分の考えている一部分を見せる。

情報量が余りにも多くて
オリアスがびくりと身体を跳ねたのに
メルはそっと目を開けた



『(ほらね?考えたことが
現実に影響されてる)』



そう言ったのに
オリアスの周りに
ツタが生えて大きな花を咲かせていた

ふわりふわりとシャボン玉や
小さな小鳥がメルの肩にとまる


『(流石にちょっと貴方に見せただけで
これじゃあ色々と困るわけであってですね?)』



「分かった分かった分かったから!!
その代わり俺もいく。それでどう?」


『(いいよ。どちらにせよ
オズ連れて行く予定だったし。

と言うかタリスマン以外も
他にも取れるなら取りたい。)』


「…仕方がない
ダリ先生ちょっと良いですか?」


++++++++++++++++++


「成る程ねぇ〜
考えたことがそのままに」


「抑制用の魔具を事前に
作っていたらしくて
それを取りに行ってきます。」


「いいよ!じゃあ
俺達は交代で帰るね」


はい。お世話になりました。
そうぺこりメルはおじぎをする。


今日はツムル、イチョウ、モモノキの
三人が付いてくれる予定だったらしい。
彼らにも後で何かお礼したいわ。


そう思いつつオズの袖をつつく
行こうという合図でお姫様抱っこのまま
メルは口パクで詠唱し、
異空間を広げた


入っていくと何時も感じている陽だまりの世界。


ミレイユの世界ではある筈なのに、
何処かおかしい。
ううん?何か…凄い落ち着く…。


ズズズと木が生えていくのを見て
うん感情なんて知らないと考え
急いで部屋に入ってもらうことにした。



「ちょ、何考えてたの…」


いやぁちょっと木陰欲しいなと思ってたんだよ。



そしたら物理的に木が生えると思わんやん?
いや正確には思ったんだけど、
予想以上に生えるスピード速くて笑ったわ。



「それで?タリスマンとは
どちらですか?お姫様。」


『(地下一階入って右側の
薬草棚の机の奥の引き出し
左から5番目と)』

「早い早い早い早い!!!」


まぁ待てと言わんばかりに
オリアスは速足でメルを移動させる

ドアをメルが開けて
地下に入り無事タリスマンを取る。



ついでにこのまま
声が出ない原因も
探りたいものだ。



下手し抑制してるから何とかなるかな?

そう思いつつも
ひとまず制御の強化も含めて
幾つかの素材と、


後は暇なので本を
幾つか持って帰宅する事にした。



「あ、帰ってきた」


「ただいま〜」


『(ただいま〜ツム君と
イチョとモモちゃんか
あれロビ君は?)』


「ロビン先生は担当じゃないでしょ。」



『(ひょっとして食事担当なだけ?
なら笑うんだけどってか
普通にもう歩けると思うけど)』



降ろしてそう思うとオリアスが
分かったのかそっとメルを降ろす
身体を少し起こして
膝をつきつつ身体を起こした


うん…このまま腰を降ろして、
両手の中にタリスマンを置いて



『(“そらを駆ける闇夜に沈みゆく星々よ
永久と無限をたゆたいし 全ての心の源よ)』




そう詠唱をすると手の中にあった
青いタリスマンが光り輝き始める
力を閉じ込めるように
綺麗にラッピングするように



『(彗星ほしを律し永久を願う存在もの
秘めたる力を今封印せよ”)』


そう言ったメルの身体から
光がタリスマンの中に凝縮されていき
暫くすると光がなくなり
そっとメルが目を開けた




『ーーーあ、あーあーーー』


「っ!?メル先輩声が!!!」


『うん…成功したな。
僕やっぱり天才では???』



まさかこう上手く行くとは思わなかった。

聞いていた魔女の詠唱を
引っ張り出してみたら
大当たりとは思っていなかった。


「どうして声が急に?
と言うか何かキラキラしたものが消えて…?」

『ああ説明するから…
今魔力が駄々洩れドバドバ状態だったのね。
おかげ様で声が出なかったり
肉体の感覚が凄い曖昧だったわけよ。』


まぁ神様の勢いに片足ずぶずぶ
入っていたんだろうな。

そう思いつつもメルは
よっこいせと言いながら
身体を起こした

多少ふらつくが
地に足ついてる感覚がある。


今までふわふわしてて
夢の中かなと思うレベルだった。

危ない危ない、

想像でもオリアス達が死ぬような
思考回路に行かなくて良かった。




「それで?」


『今何とか力を抑えて
何時もの状態に戻った感じですね。

いや〜一時は
どうなるかと思ったけど
何とかなったぁ』


そう言ってため息を吐いたメルに
まだ油断できないよとオリアスが言う



「抑え込んでいる状態なんでしょ?
ソレ暴走したらどうすんのよ」


『…まぁ確かに?そこは追々
使えるようにしたいとは
思ってるですよ?』


「瀕死になっていた子の
言う者じゃないんだよなぁ…」


そう言うイチョウにモモノキと
オリアスがうんうんと深く頷いた



全く、確かに熱にうなされて
何かを見ていたのは覚えているのだが。
一体どんなものだったか覚えていない。




『(手の中に念じてもちゃんと発動しない
赤ん坊みたいなもんで、感情の抑制が
出来ないのと同じ見たいなもんだろうな。)』




魔力を調整して放出出来なかったが
前に作っていた魔具のおかげで何とかなってる。
いやぁ本当に自分すげぇな。




…何がなんでも増幅タリスマンはお預けだな。
これは力が使えない時とか
抑えられている時位だろうな。




うん、暫く封印しよ。

- 38 -
*前次#
/utakata3/novel/69/?index=1泡沫の白昼夢