Novel - Paola | Kerry

it's just you


しっぽがゆらゆら2

20/09/15
40

「所でその魔法って火力どれ位なの?」

『…対屋外専用と言うことだけは伝えます。』

流石にどれもこれも爆発物過ぎて
屋内で使用が出来るものは
アレンジしたものか威力を抑えたものか
或いはオリジナルのものになるだろう。

『ここにあるものでも殆どは使えますし
まぁ限定した魔術という練習も必要だしなぁ。』

「あの言っとくけどまだ本気駄目だからね?」

そう言ったオリアスにえぇと
イフリートと一緒にブーイングを入れる。

元気じゃんと言うメルにそうだそうだと絡む。

一体何時から戦闘狂になったんだと言う
オリアスにメルは元からだもんと首を捻る

「あれ?にしてもさ烈火球バースト・フレアって火力かなり高くない?」

『加減してますよ???
何言ってんですか????
あとそれ僕が好きだから
使ってるだけで威力は倍ありますよ。』


「え゛」


『かなり威力を押さえたら消費も少なくなるので
実質火炎球ファイアー・ボールと変わりませんが。』


それは火炎球ファイアー・ボールを撃った方が
まだ良いんじゃない?
そう言われてうっと良い所突かれて固まる。

『そりゃそうなんですけどねぇ〜
なんというかロマンがあるというか』


「ひょっとして俺達
ロマンの為に実験台されてた?」


あっバレた?そう笑うメルがチェックメイトと言う
それにあああとツムルが叫ぶ。
今チェスをしていたのだ。

一勝一敗したのでもう満足だ。

と言うか勝てるか
どうか分からない戦いは嫌だ。


出来るならば避けて通りたい。


「って言うかイフリート先生みたいな
火炎って出せるんですか?」


『出せるよ?』


「っええ!?」


『いやでもあの威力までいくと
流石に手火傷するから
火炎耐性の手袋っていうか
フィンガーレス・グローブ
付けないと出来ないですって〜』


やだなぁ。
そう首を横に振るメルに
どうして?とツムルが言う


「フィンガーレスって確か指
全部見えるやつですよね?
意味なくないです?」


『…ああそうか
分からないんだった』


君達魔術使うのに熱いとか寒いとかないの?

そう聞いたメルにまぁ多少は?と首を傾げる。

なんなら元々素手ではない者もいる。


『魔女というか多分僕だからなんだろうけどさ
こう指が出てないと多少触れてないと感覚掴めなくてね?
手袋で水触ってる感じで微妙に気持ち悪いのよ。』


「へぇー」


『だから指が出ている耐火性の手袋使うわけ。
まぁアレも精錬しないといけないし
…いやぁやること沢山で困るわ。』


この感じだったら二学期
また衣装を変えないといけないだろう。

何なら魔女の衣装と占い師の衣装を
足して2で割れないかな?


あと詠唱本当に全部か分からないし
多少変わってるのを含めると
やっぱり一度全部試した方が…


『イフリート先生イチョウ先生!!
3日後予定空けといて下さい!!!』


「おっ?やる?もしかしてやっちゃう??」


『オリアス先生とダリ先生と
バラム先生の許可出たら!!!』


どちらにせよ火炎球ファイアー・ボールであの始末だ。
恐らく他の詠唱も全く発動しないだろうし
何なら詠唱変えないと発動しなかったら割と詰む。

それに錬金術位のものなら多少
魔力が削られても構わない。

だって気力だもん。


気力ないと
魔法も使えないし
薬草も取れない。


「りょー」


「それまで絶対安静出来るかなぁ〜?」


『むーー!!モモちゃん
居たらできるもん!!!』


「モモノキ先生居なくても
出来てほしいなぁ…」


それはそう。

コクリと全員が頷くのに
丁度良いタイミングで
カルエゴとモモノキが入ってきた。

珍しいコンビだねと弄るダリに
メルもトテトテと音を立てて
モモノキの方に寄った。

「近くでばったりお会いしたのでついでに。
魔導書は燃えてないですか?」

「おお危険視されてた」

いえ、何となくメルならやりかねないかと。

そう言ったカルエゴに
メルは流石にやらないですと首を横に振った。

いやいやどの口が言ってんだと
オリアスがメルの頭にチョップを入れる。


「君さっきまで燃やそうとしてたじゃん」


『っあ゛!こらそれ言わない!!』


「それはもう読んだのか?」


『僕ですか?はいです。
大体読みましたよ。』


「そうか。
アレは全て正しいものか?」


『いいえ。一部使われていない
呪文もありましたし、
それに詠唱が間違っている
可能性の呪文や的外れな
書き方してるものもありました。

イポス先生ごめん見てる所貸してくれる?』



いいですよ。はい。そう言って
イポスが魔導書を閉じて
ツムルの頭の上からメルに手渡しする

ツムルはそっと頭を下げ、
メルに行き渡ったことを
手渡しされた動きで出た風を頬で感じて
上に何もないことを願い頭を上げた。


『こーれーのー…あった!これですね。』

そう言ってペラペラと片手で
本を持ちめくったページに

左右からダリやカルエゴ
オリアスにモモノキが覗き込んでくる。

『例えばこの雷撃モノ・ヴォルト
コレ手で触った相手に電撃を流す術と書かれていますが
実は手だけじゃなくても良いんですよ。』


「と言うと?」


『要は手を伝っていれば良いんです。
僕は剣を余り持ちませんが男性であれば
剣に雷撃モノ・ヴォルトを使用して
相手の身体に刺した後
内部から雷を撃つことだって可能です。』


「「へぇ〜」」


そうダリとオリアスがハモる。
何々?とイフリート達も此方を見てくる。

「成る程、と言うことは身体の中に
炎を伝わせることも可能と言うことか?」


『まぁ理論的には可能ですが、
…その前に剣が溶けるんじゃないかと。』


「ああ」


耐火性の強い剣があれば良いが
練度を増せば増す程勿論火力も威力も上がる。


その分熱も上がるわけであって
…先に剣を作る温度よりも
遥かに超える温度に作られていた剣が
溶けてしまわないかの心配をした方が良い。


『そういう感じで魔法にも適材適所ありますし…あ』


「どうしました?」


『剣に水を纏わせて身体の中に入れて
水を直接血管に入れてぶっ壊すの
思いついてしまった…』


うわぁとオリアスがどん引きする。
メルも自分の発想にドン引きした。
いや何でそんなグロいの思いつくかな。

馬鹿か?

それにマルバスが良いねと
キラキラした目で見つめる


「何でそんな思いつくの!?」


『いやぁ今つい思いついて
…魔法は組み合わせや
アレンジによっては消費も少なく
火力の高い魔法が作れますから、
割と思いつきで練習ぶっぱしてるんですよ。』


「へぇーーー」


『まぁ話が逸れましたが、
そんな感じで多少違う所はありますよ。
ですが殆ど同じですし使ったことない物が
実際今使えるかと言うとちょっと怪しいですが。』


「どれだ」


『え゛っえ〜とですね…何処だったかな、』


そうペラペラとめくる
メルがああ此処だと手を止めた


炎熱鞭バム・ロッドっていう魔法がありまして
これ文字の通り炎のむちなんですよ。』


「それで?」


『これちょっと応用したら遠近距離戦で使える
もう無敵むちなんですよね〜ただ欠点があって。』


「欠点?」


『これ消費からして威力少ないし
範囲無駄にデカいので周囲を巻き込んでしまうとか
…あと普通に詠唱した後使い勝手が悪い悪い。』


そう言うのってアレンジして
使えるように無駄に改良しちゃうんですよ。


『なので正確な文章ではない
可能性が高いって所ですね。』


「へぇー改良し過ぎちゃって
元が判明しないものもあるんだ。」


「それ不味くない??」


『かなりまずいですね。
ですがまぁ当たればそれ覚えてりゃ良いんで
個人の練習量に比例しますよ。』


「そんな数うちゃ当たるみたいな方法…」


『悪魔の魔術と魔女の
魔術の決定的な違いは魔力の出所です。

悪魔は血に流れる力から自分の力を使っていますが
魔女は外の力を自分の血に伝わせて放つんですよ。』


「…ほう」


お、あのカルエゴ先生が唸った。
顎を置いてメルの話を聞くカルエゴに
メルは続けて説明する。

『なので魔女は力を制御するのが上手い人程
魔法を使えるので、実質魔力=別の根源から
引っ張ってきてるだけでありまして…』

「使い魔とかはどうなっている?
俺を前に呼び出しただろ。」


あとこいつもそう指を指すカルエゴの隣に居たダリ
それにコレって〜とダリがからかう。


『ああ似たようなものですが、
先程言った様に悪魔と魔女で
力を放出する元が違います。

ですので魔女の使い魔は
“召喚した魔物に比例する”んですよ。』


「つまり自分の制御できない
とんでもない魔物を召喚する事も
可能と言うことか。」

『そういうことですね。
言っておきますがオリアス先生を
使い魔として召喚するのと
カルエゴ先生召喚したのと
ダリ先生召喚したの全部
意味合い違いますからね?』


そう言うと何となく
予想がついたのか答えが返ってくる


「呼び出す内容が違うということか?」


『おお!流石カルエゴ先生。
そうです、使い魔として召喚するのは
「守って欲しい」という欲から来ています。』


カルエゴ先生を呼び出した方は
魔女の血を介しての召喚なので
一時間だけ呼び出すだけになっている。


「ダリ先生呼び出したのは?」


『嗚呼、アレですか?あはは!
アレもう高位召喚なんですよ〜』


「高位召喚!?」


『ええ!詠唱間違えたり召喚者のこと
知ってないと命と引き換えに
召喚しちゃう奴ですね!!!』


「へぇー命と引き換えに
…命と引き換えに!?」


「っええええ!?
アレそんなとんでもない
召喚だったの!?」

通りで身体の中煮え渡ったわけだよ
そう言ったダリと
あの場に居た者が思い出し冷や汗をかいた


『あの中で適当に笑ってて
何でもOK出しそうだったから
ダリ先生なら上手く行くかなって思って!!』


「ねぇサラッと傷付くこと言わないでくれる???」


『実際ラッキーなことに命取られませんでしたし?』


「いやまぁそうだけどさぁ…もうちょっと、さ」


「身体大事にしよ?ね???」


そう肩をポンと手を置いて来たダリに
メルは首を傾げる。

いやぁ命あってこそ
皆と居られるわけではあるのだが
如何せん無知なもので、
実は後で知ったことだったりする物が多いのだ。

実験して初めて気付く事だってあるだろう?
それが命の綱渡りをバイクでブンブン
時速30qで往復しているだけだが…
ああそれが駄目なのか。
じゃあ足で駆け足すればいい?
え?そもそも命の綱渡りをするな??


「ではこの魔導書は
ほぼ正確ということか?」


『ああそうですよ。
それがどうしたんですか?』


「いやこれに書かれていることが
出来るなら手を抜いていたのかと思ってな」


『…言っときますが、
好きで手を抜いている訳ではありませんからね?』


使いたいけど渋って結局没にしたものも
多くあることを忘れないで欲しい。


悪魔の魔術を封じるための
魔法だって此方はあるのだ。

勿論その逆もある位なのだが
それが載っている感じは今の所無い。

それにまだ使ってはいないが
眠りの呪文だって存在する。

ドアを施錠したりするのもあるが


…嗚呼ものによれば
振動弾ダム・ブラスとかだと
威力を絞ってドアの鍵穴にそのままぶち込んで
壊して無理矢理入るのもあるはある…けど。



まぁ其処までして入りたい所もないし、
と言うか器物破損はなるべく避けたい。


『それに僕の威力を舐めないでいただきたい。
きっとここにいる悪魔ひと全員殺せる自信僕あるですよ?』


「…ほぉ?他の奴らはまだしも
この俺やシチロ、バラム教諭をもか?」

そう言ったカルエゴにメルはサラリと答える。

『バラム先生や危険だと判断した時の
イフリート先生との戦いに雷撃破ディグ・ヴォルト
ぶちかましたりしましたが、アレ直撃すると普通死にますからね?』

「っええ!?そんな危ないもの使ってたの!?」

嫌な予感はしてたけど!
そう言ったイフリートに
メルはコクリと頷いた。


『ロビン先生と対戦した時氷霧針ダストチップと言った
氷の粒を撃ちましたがアレも威力を上げれば普通に死にますからね。
心臓普通に刺さって冷えて心臓麻痺するのが先か、
出血多量での心臓停止が先かの二択出来ますし。』


「…案外怖いの使ってたんだね?」


『威嚇や牽制けんせいとして
頻度を上げている魔法も
実際は威力上げれば普通に死にますからねぇ〜』


まぁそれもこれも
自分が隠れてこそこそ詠唱していた賜物である。

案外魔法練習していて正解だったなと
今更ながら自分を褒め称える。


「それ以上に使えることもあるだろう?」


『…おっと、神威斬ラグナ・ブレードのことを仰ってます?』


そうひくり眉と口が引きつるメルに
カルエゴがサラリとそうだと言う。
いやアレはですねぇと魔導書を閉じながら話す


『アレはもう鬼みたいなものですよ。
本来僕みたいにバンバカ撃つものじゃないです。
魔力体力消費は非常に激しい上
正確に詠唱しないと長時間維持出来ません』


「だが一撃で仕留められるだろう?」


『…僕一応皆さんに見せているのは
増幅効果を付けてないものであって
精確な不完全版の神威斬ラグナ・ブレード
使うつもりないですよ?』


「え?威力もその分上がるんじゃないの?
あのめっちゃかっこいい黒と紫の剣!!」


『…あのですねぇ、増幅効果の付いた神威斬ラグナ・ブレード
位階ランク6の悪魔を一撃で滅ぼし
位階ランク9クラスの悪魔にさえ
致命傷を与える事が出来る
とんでもない高威力の剣なんですよ!!』


そう言ったメルにメル以外の者が
一瞬思考停止した後叫びだす


「っえええ!?嘘嘘うそ!!!
待って俺達全員死ぬくない!?」


「どれ位維持出来るの?」


『そうですね、正確に測ったことは
ありませんが…まぁ最大で5分かと。』


「いーや長い長い長い!!!
触れただけでアウトでしょそれ!!!」


『そーですね!サクッと切れたら
もうおしまいかと!!』


そんな軽く言う!?

そう言ったマルバスに
メルはケラケラ笑って
大丈夫ですと言う


『そんなものは例え
皆さんが襲い掛かったとしても使いませんし
物に当てるか敵に当てるかの二択になりますから〜』

「…メル先輩、本当にバビルスいちなれるんじゃない?」

『番犬と守護者の地位は要らないですよー
…それに、僕はちゃんと居場所を確立しているので。』

居場所?そう首を傾げたモモノキに
メルは、はいですと答える。


『僕は生きている間ずっと君達を守り抜くと誓ったのです。』


あの深淵の中で

うずくまった身体の奥底で出会った子を思い出す。


白くただ純粋な子の背中を貫いてしまった赤い手を。

その手で自分の身体を裂いても裂いても
泡となって元に戻る幻想の闇。



例え魔女が君達を狙ったとしても守ろう。
例えこの命を捧げることになったとしても。



『だから安心して守られやがれなのです。』


「おぅおぅ魔法使っても勝てねぇのによく言うね?」


『むぅ!!ちょっと手加減してるだけなのです!!
ほんとはもっともーーっと強いん、で、すっ!!』


「あははっ!今度楽しみにしとくね??」


『も〜!言いましたね!?
とっておきのをプレゼントしてやるのです!!!』


「あんまり高火力のは使わないって約束するならいいよ〜」


三日後位ならもう大丈夫そうでしょ。
そう言ったダリに周りもこくりと頷いた。
先程の威力は割と心配になったが、
熱も引いて何時も通りに話す所もう
そろそろここを離れてもよさそうだろう。

明日辺り一度寮に戻って大丈夫そうなら
そのままでと言ったダリにはいですとメルがこくり頷いた。


『あ、カルエゴ先生』


「なんだ」


『この魔導書明らか間違ってる所は
訂正しても構いませんか?』


「消さないのであれば構わん。」


『へへ!じゃあ早速書いてくるです!!
完成したらお返ししますねー!!』


そう言ってメルは嬉しそうに
胸に抱きかかえて部屋に入って行った

それを見ながらひとまずは安心かな?
とダリが言うのにええとカルエゴが答えた。


「所で皆さん彼女の付き添いに
行ったと噂を耳にしましたが」

「あぁ〜?気になるぅ?気になるよねぇ??」

「っぐ、良いです言わなくて。」

では私はこれで。

そう言って逃げようとする
カルエゴにまぁまぁとダリが
腕を掴んで離さないまま笑って帰るなと言う。

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