Novel - Paola | Kerry

it's just you


しっぽがゆらゆら3

20/09/15
41

次の日、メルは寮で安静にしていた。


と言うのも出来ずに
…ログハウスに帰って作業していた。

勿論もぬけの殻にするのは良くないので
幻影具現化モル・レヴァを使用して
幻影は寮でベットに寝かせて
本体はログハウスにいたのだ。




いやぁと言うのも、本当に時間が無くて困っている。
あと一週間とちょっとで長い休みも終わるのだ。
終末日が来たら絶対ちょこちょこ資材取りに行こう。



そう言っては結局
夏か冬のまとまった休みにしか
取りに行けずじまいだが。

まぁ良い。

未来の私が何とかしてくれる。


そう間違いなく
未来の自分が怒ることを考えもせず

メルは材料を見比べながら研究していた。

紫色のタリスマンをぶら下げつつ、
在庫の管理と同時に
どれ程作れるかを見ていた。


『駄目だな…強化タリスマンのおかげで
在庫すっからかんのままだ…』

紫色のタリスマンは消耗が激しい。
かと言ってオリアス達に
これ以上迷惑はかけたくないので
一人で行けばまぁ問題ないのだが


如何せん不安定な状態で足を運ぶ等
自殺行為もいい所なのは
分かり切っていたのでしないのはしない。


かと言ってこれ以上放置すると
割と後の立て続けに行われることを考慮すれば
間違いなく今のうちに行かないと

…まぁ間に合わないだろう。

暴走して壊しても困るのは
恐らくメルだけではない筈だ。

となれば…手を打つのは一つ、二つ…三つ。
さてどれを選ぼうか。
まぁやることは二つ程しかないのだが。


『リンちゃんとヴルに
報告と同時に相談だなぁ。』


そう思い、メルは一度寮に戻ることにした。

ひとまず自分のよく使っていた魔術本を片手に。

ぐにゃりと歪んだ世界をくぐるのに
慣れてしまったなぁと思いつつも
部屋に誰もいないことに安心し幻影を消す。


居た場所にそっと手を置いて
温もりがあるかと確認に触れたのだが…


『…冷たい、か。』


そりゃ生きとし生ける者の形を模したものだから。
だから温もりを掴もうとしたらそれはそれで本当の…


いや、考えるのは止めよう。

あの時間を僕は掴まないと決意したのだ。

ゆるぎない決意がまた揺らいで、
空いた穴に自分を投げ捨ててしまう。

…まぁオリアスに助けてもらえば良い話ではあるのだが。


それは余りしたくないというか、
もう何度も堕ち過ぎていて
今が本当に落ちている感じなのか
分からなくなったら
それこそ行方不明になってしまう。



駄目だ駄目だと首を横に振って
メルはベットのシーツを直し
外に出てリンの休んでいる部屋をノックする…が。


『あれ?リンちゃーん、おーい!』

「あら、メル先輩?」

『その声はモモノキ先生!?』

「リンさんなら部屋変わりましたよ?
と言うか呼んできますね。」


そう言ったモモノキにえぇ?と首を傾げる。
共同スペースに向かっていろと
言われたのでとりあえず行くことに。
一体どういうことだろうか?

共同スペースに一人ぽつんと座って
暫く待っていると
奥から二人の影が見えた。

『リンちゃん!!』

「メル先輩ストップ!!」

そう強く言ったモモノキにメルが固まる。
一体どういうことだ?そう首を傾げる。
リンは魔女衣装でモモの後ろに入ったままだ。

ひょっとして嫌われた?
そう顔を青ざめだしたメルに
違いますとリンが答え前に出た。


「メル先輩、悪魔が魔王に
逆らえないことはご存じですよね?」

『え?何?急にどうしたのモモちゃん』

「メル先輩は今仮だとしても
永久の魔女になった存在。
悪魔である私でも仮とは言えど
魔王様に逆らうことは出来ません。」


『…待って?つまり私が悪魔でいう
魔王の位置に居るから
距離取ってないと生きれないってこと?』


「そういうことです」


そう言ったモモノキに
メルは大きなため息を吐いて
よかったと身体を地面に倒した

ゴロンと大の字になって
誰もいないことを理由に
ゆったりと身をゆだねていた。


『焦った〜嫌われちゃったかと思った〜』


「っそ!そのような事は!!!」


『じゃあリンちゃん』


はいそう言って膝を立てて
そっと座るリンにメルはサラッと答えた


『永久の魔女(仮)として命令ね。
私とお友達になって!!』


あっこれ命令じゃなくて催促?
もしかして誘導?それとも指示?

いえ…ただのお願いですね。
そう言ったモモノキにメルが苦笑いで返す。


「よ、よろしいのですか…?
私が、そのような」


『リンちゃんが良いなら僕はそれで良いよ。
おこがましいとか勿体ないとか
思うなら受け取って欲しい。』



僕は君が、君と沢山お話をして
笑って居られるならいいから!

そう笑うメルに、リンは
目を丸めてキラキラとメルを見つめた。


「…っ!!ありがたき、幸せ。」


『も〜!そんなの良いから〜!
君の大事な人にもちゃんと言っといてね?』


「リオン、のことで…あってる?」


ことですか?と言いそうなのをよく堪えたな。
そう思いつつ、
メルはそうだよとこくり頷いた。



『いつも通りの君達と話したいんだよ。
だって寂しいじゃない、
何時も話していた姿がもう見れなくなるの。』


感じれなくもなるのは、
流石に夢の中だけでいい。
そう言ったメルに
分かりましたとリンは答えた。


「暫くは慣れませんが
…なるべく努力します。」


『うん!!部屋離れちゃったのって
威力に耐え切れずだよね?』


「う゛っ」


ああごめんそう苦笑いするメルに
いいですとリンは答える。


『そこでお願いがあってリンちゃんに〜』


++++++++++++++++++

「なるほど、抑制タリスマンの強化が必要だと。」


ちなみに他のタリスマンって何持ってます?

そう聞いたリンたちがいるのは
中庭に位置する場所。

女子寮側にある女子の中でも
憩いの場お茶会の出来る木々の下だ。


丸椅子にメルとモモノキ、
リンが丸机を囲う様に座りお茶をする。

そうなのとメルがこくこく
両手を合わせてお願いポーズで言う。

『攻撃特化10個とー』

「ぶっ」

そうお茶を明後日の方向に吹いてむせるリンに
大丈夫とモモノキが答える。

『あと制御特化が2個と〜回復はほぼなくて〜抑制もなくて〜』

「…鬼ですか?」

何でそんな強化しまくってたんですか。
そう言ったリンにいやぁとメルが照れながら答える。


『つい勢いで作っちゃって〜』

お手伝いしてもらった話を説明するとああと納得してくれた。
流石にあの量を一人で出来る程暇ではない。
まぁそれと似たようなことをこれからやるので
ある意味暇人なのではと思ってしまうが、気にしたら負けである。


「成る程何となく読めた…私にその材料を取りに行ってってこと?」

『ううん本当はしたくなかったんだけど…無理なら良いよ?』

「仮とは言えども永久の魔女になられた方の命令は絶対ですから」

と言うかそうじゃなくても良いよ行くよ。
どれ位?多分桁違いの方が喜ぶよね?
強化タリスマン10個作った馬鹿だもんね。
そう言うリンに待って待って?とメルが焦る。

「二学期始まる手前までで構わないなら今からでも取りに行くよ。」

『えぇでもあそこ危険じゃない?』

「まぁ…でも何とかなるでしょ。」

「よろしければ私も手伝いますよ。」

「『いやぁそれはちょっとぉ…』」

そうはもった二人に何でですかとモモノキが叫ぶ。

「モモノキさん、貴方仮にもメルさ…
メルと契約を交わした悪魔でしょう?」

「ええ」

「貴方達契約した悪魔がそうそう外に出て
しかも魔女がうろつくような場所に入れたら
もうメルのことが広まって魔界中の敵を増やすよ。」

「っええええ!?」

そうなの!?そう言ったメルにリンがこくりと頷いた。


「魔女は噂好きだからね。
今外に出て噂を流す魔女がいないから良いけど
ちょっと出ると多分君達も結構危ないよ。」

『うぉおい、がっつり迷惑かけとんやんけぇ…』

「そりゃ側近だからバレるよ…チラッと
ロビン先生が皆さん悪魔がメルの匂いに
何で反応しないのって聞いてたのを耳にしたんですが。」

「ええそうですよ。何にも変わりませんが…」

「それが側近の効果ですよ。
食べられない様に守れる様に
かかっているんでしょう。
男性陣ならまだしも女性陣が
混じっているとちょっと話が別だからなぁ。」

こっちも一応警戒しとく。
そう言ったリンに
よろしくとメルはおじぎをした。

「そいじゃ私は行ってくるわ。」

またねーそう言って消えたリンに
メルはひとまずこれで良いかとほっとする。


「メル先輩」

『っはいなんでしょう』

「昨日ダリ先生が仰っていたダリ先生を召喚した呪文は
ひょっとしてダリ先生を召喚するものですか?」

『…と、言うと?』

何が言いたいそうゆっくり顎を引くメルにモモノキは告げる

「私やカルエゴ先生などを召喚する事は可能ですか?」

『…モモちゃんは良いとして多分カルエゴ先生はアウトかな。』

多分ねそう言ったメルに何故?と首を傾げる。
今の状態ってねとメルは答える。

『今僕不安定なのよ。モモちゃんは
あの日あの場所に居てくれたからまだ分かるけど
カルエゴ先生を呼べる自信はないかな。』

あとめっちゃ無理難題言って
心臓渡さないといけなくなるのやだし

そう笑ったメルに、モモは
それはそうかもと否定が出来ずに苦笑いした

「では私やダリ先生を同時に呼ぶ事は?」

『可能だと思う。と言うかそれは何時かやるつもり。』

まだ皆に言っていないけどね。
そうお茶を飲むメルに
そうなんですか?とモモノキは首を傾げた

『ええ、じゃないと魔法使いたくないの?』

「っえええ!?使えるんですか!?」

『ほら僕がオリアス先生と戦ったでしょ?』

対戦したあの時、そう言ったメルにモモノキがああと答えた。
それにメルはアレと同じことが出来る筈と言ったのだ。

「…本当に?」

『恐らくね、血の繋がりを受けてオリアス先生が解き放てたんだよ。
運もあるだろうけどさモモノキ先生なら多分全部使えるようになる。』

「そんな私が…」

『魔術も魔法も全部使えるようになったらそれこそ面白いと思うよ。』

どう?そう手を出すメルに分かりましたとモモノキは手を取った。
そうこなくちゃ笑うメルににこりとモモノキは答える。

「では先程までログハウスに戻られていた件もお話しますね?」

『え゛っ、ちょ、ちょっとモモちゃん?』

「ふふっ」 

冗談ですでもきっとバレてますよ?
そう言ったモモノキにメルは
もぉと頬を風船のように膨らました。


『…ね、モモちゃん』


「何ですか?」


『モモちゃんサボテン好き?』

って言うかカルエゴ先生好きでしょ。
そう言ったメルにモモが目を丸めて顔を赤くする。
嗚呼可愛い〜自分もこうやって慌てふためいていたのかと思うと
ちょっと可愛いより恥ずかしいが勝ってしまうが。

なななと急に何を言い出すんですかと言いたいんだろうが
全く言葉になっていない。


『人間界ではサボテンは水が少ない乾燥した土地で育つのね。
水が少ない所でも強く育つことから「枯れない愛」という花言葉が付いている。』

そう言ってメルが空中を指で何かをなぞるように動かす。
その後パチンと指を鳴らすと斜めになってはいるがサボテンが飛び出して来た

『また「燃えるような愛」という言葉もあるよ』

「もっもももももも」

『燃える様な恋から愛に変わったらいいねぇ〜って事でそれ消えるから!』

あとよろしくそう言って寮に帰るメルを
待ってとモモノキが言って追いかけようとしたが
消えて居なくなった彼女を追いかけてまでして片付けるのも悪く
モモノキはため息を吐いた後自室に帰ることにした。

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